SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO 作:牢吏川波実
「フッ! ハァッ!」
「へぇ、流石だなぁトッキー」
「まぁ、これだけ戦えば……」
タカとミコトの二人がクロシェットたちと合流してから数十分。その間、次々と出現するイノシシ型のモンスターや蜂型モンスターを全員で協力しながら討伐を繰り返していた。そのなかで何度かレベルアップを繰り返していき、徐々にその動きからも硬さが抜けていった。
とくに、成長著しいのがトッキー、そしてムツミの二人である。やはり、柔道部であり、身体を動かすという事が得意であったことが幸いしたのだろう。確かに最初は慣れない動きばかりで苦労はしていたが、いつの間にか彼らのメンバーの中でも一、二を争うほどに強くなっていた。
「そうそう、慣れ始めたらこっちのもんだよ。最初は狭くても、何回もしてるうちにこうぬるっと!」
「何の話だ」
という感じで、時たまミコトからくる下ネタをトッキーは軽くいなしながらも、まるで流れ作業であるかのようにモンスターを駆逐していく。
だんだんと、このゲームを楽しみ始めている自分に気がついたトッキー。最初はたんなるゲームと思っていたが、こうして身体を動かしている分には現実と何ら変わりない。もちろん、現実で実際にイノシシを殺したことは無いためイメージとしての現実、という話であるのだが。
しかし、現実ではできないようなことができるというのが、こんなにも清々しい気持ちになれるとは、思っても見なかった。
「この辺のモンスターじゃ、もう相手にもなりませんね」
と、粗方出現したモンスターを倒し終えたところで、タカが言う。確かに、既にこの辺りで出現するモンスターでは肩慣らし程度にしかならなくなってきた。やはり最初の草むらという事でそれなりに弱い敵が配置されているのだろう。ゲームバランスの問題からしてそれであっているのかもしれない。だが、強くなった彼らにとっては、もはや赤子の手を捻るような感覚で倒すことが出来るくらいに手ごたえが無くなってきている。
かといって、このままはじまりの街から遠く離れた別の街に向かうにはまだまだ情報が足りない。確かにこの変緒モンスターを相手に無双状態にできるとはいえ、少し離れればどうなる事か分からない。モンスターの種類、レベル、弱点、注意点。それらの情報を少しでも多く仕入れるまでは、進行は控えたほうが良いだろう。
なら、どうするか。ここで手を挙げたのはムツミであった。
「ねぇ、そろそろ他のプレイヤーと戦ってみようよ!」
なるほど、確かに、モンスターよりも手ごたえの方はあるのかもしれない。それに、まだサービスが開始された直後であるからして、プレイヤー同士の実力差もトントンであるはずだ。故に、他プレイヤーと戦うというのも悪くはない手段である。
しかし、タカは一つ疑問に思った。
「え? 仲間内じゃなくて?」
そう。ただプレイヤーと戦うというだけならば、ここには全員で七人もいるのだから、別に他のプレイヤーを探して戦わなくてもいいんじゃないだろうか。
「だって、知ってる人相手だと手加減しちゃうかも知れないじゃん」
「まぁ、そうかも……」
「うん、確かにそうかも……」
確かに、いくらこれがゲームの中であったとしても、そして顔を変えているからと言っても相手が知っている人間であるのならば幾分かの手心を加えることがあるのかもしれない。そうなれば少しばかり興ざめ。自分自身がもつ実際の力の半分も出すことなく不完全燃焼で終わってしまうかもしれない。それなら、戦う意味なんてないだろう。納得するタカの隣で、アライアも頷きながら言った。
「マジックミラーの向こうに誰がいるか想像するだけで興奮するのと同じことね!」
「すみません反応に困るボケは無しの方向で」
ここで、違うだろというツッコミを入れてしまったら、じゃあタカは見たことがあるのかという話になってしまうし、かといってボケを無視してしまうと収拾がつかなくなってしまう。だからタカとしてはいまいち反応に困ってしまうボケは無しの方向にしてもらいたかった。
「模擬戦か……腕が鳴るな……」
「そうね、ならあたしが交渉してくるわ。ここで待ってて」
「了解!」
トッキーがつぶやいた直後、クロシェットが他のプレイヤーを探すために一時離れることとなった。恐らく、他のプレイヤー達も自分たちと同じように武器を買った後はこの草原に出てモンスターを狩っているはずだからすぐに帰ってくるだろう。
しかし、問題は単独行動になってしまうという事だ。万が一、モンスターに出くわさないとも限らない。ミコトがクロシェットの背中に向けて言う。
「モンスターに襲われないように、気をつけて下さい先輩!」
「分かってるわよ」
ここまでは普通の会話だった。そのはずだったのに、ここで一つの蛇足が入る。発言者はウオミーである。
「ミコト、襲うのはなにもモンスターだけじゃないわよ」
「あ、そっか……」
タカ、クロシェット、トッキーの脳裏に何か嫌な予感を感じた。案の定、結果は彼らの予想通りのひどい者であった。
「○○されないように気をつけて下さいねぇ!」
「会話にも伏せ文字が使えたらなぁ……」
「同感」
聞こえないふりをしているクロシェットに代わりタカとトッキーがそう突っ込んだ。
しかし、タカのいういわゆるセンシティブな発言を除外するという物は、ゲームでよく見るチャットなどであればなんとか対処することが出来る。しかし、こうしてリアルタイムでの発言に対してはそういった修正が一切聞かなくなてしまう。
そのため、残念ながら、彼らの要望は決して叶えられることは無い。できることと言えば、ただ一つ。他のプレイヤー達と遭遇した時に、彼女たちがおとなしく下ネタの一つも言わない状況が作り出せればいいなという、絶対に叶いっこない願いを祈ることだけだった。
それから十数分の時間が経ち、クロシェットがタカたちの下へと帰ってきた。
「連れてきたわよ」
と、彼女が見つけてきたのは男性プレイヤー四名、女性プレイヤー三名、合計七人という男女比の比率は自分たちとは違う物のグループとしての数が同じプレイヤー。存外早く見つかったものだ。恐らく、彼らもまた自分たちと近い位置でモンスターと戦っていたのだろう。ともかく、すぐに対戦相手が見つかったのは不幸中の幸いだと言ってもいい。
そんな七人の中の一人の、男性プレイヤーがクロシェットの前に出て言う。
「えっと、初めまして。君たちが戦いたいって人達ですか?」
「はい。よろしくお願いします」
随分と礼儀正しいというか、おとなしい人間だ。また、それに引き続きまたもや男性プレイヤーである二人が続けざまに言った。
「まっ、俺たちも人と戦いたいなと思ってた頃だし」
「他のプレイヤーがどんな戦いをしているのかも、興味があるしね」
なるほど、つまり利害の一致というわけか。偶然にしても助かった。その後、互いに自己紹介をし、男性プレイヤー四人は、コハル、ルカ、オルカ、ボサノバ。女性プレイヤーはクラカノ、キミコ、ルータスというらしい。このうち、最初に挨拶をしてくれた礼儀正しかった男性プレイヤーがコハル、その後に話したのがどこか似たような顔つきのアバターを使用しているルカとオルカ。現実で言うところの双子コーデという物だろうか。
とかく、自己紹介が終わった直後、次は誰が誰と戦うかという問題に移行する。
「さて、ソレじゃまず誰から行きます?」
この場合、誰から先に戦ったとしても結局は同じ。だから別段順番に気を使うことは無いのだが。
「一人一人戦っていたら時間がかかるから、何人かいっぺんに戦ったら?」
「そりゃいい。時間の短縮にもなるし」
ゲームをプレイする時間の確保という意味でも、時間短縮を目的としたソレに反対する人間は誰一人としていなかった。
そして、とりあえずまずは三人ずつで戦ってみようという話に落ち着いた。
「よろしくお願いします」
「お、お手柔らかに……」
第一戦目は、タカとコハルである。双方ともに、こうして誰かに向けて剣を向けるという経験はしたことがない人生を送ってきたため、その目には緊張の色が見え隠れしている。。
「大丈夫です。自分も、初心者ですから……」
「そ、そうですよね……」
当たり前だ。βテスターという部類にごく限られた特例を除き、このゲームをプレイする人間のほとんどが初心者。だから気負う必要なんてないとコハルはいうのだが、しかし心配しているのはなにもそのことばかりではないとタカはつぶやいた。
「それって、どういうことですか?」
コハルは不思議そうな顔をしている。当然だろう。これから戦おうという中に置いて、心配しているのは敵が人間、プレイヤーであるという事ではないというのだから。では、何が気になっているというのか。コハルは聞いた。
タカは、困ったように苦笑いを浮かべながら明後日の方向を、まるで死人のように青い顔を浮かべて言う。
「いや、下ネタの一つでも言わないかと思って……」
「え?」
刹那、コハルの顔がややひきつったのを感じる。確かに、冷静に考えると突然下ネタを言わないか、という事が気になる時点でおかしいという事は分かり切っている。だが、それでも気にしてしまうのだ。
オルカの目の前にいる彼女が何か言わないだろうかとーーー。
「なんだか、物足りないですね……」
「どうしたの? もしかして、僕に惚れちゃった?」
「いえ、こういったドキドキするところでは、現実ならこう……自〇を誰かに見られるんじゃないかというようなドキドキ感が!」
「「そんな変態あんたくらいだよ!」」
戦う前だったタカ、そして傍観者の立場にあったクロシェットが同時にツッコミを入れた。やはりか、やはりこうなったかと予想通りの言葉を発したウオミーに頭を抱えた二人。
「じ〇?」
「なんですか、じ〇って?」
「え? えっと……その……」
「……」
一方、相手側。コハル以外の男性プレイヤーはその意味が分かっているようだ。女性プレイヤー達は皆反応もほとんどないが、ウオミーのような思春期真っ盛りの女性達であるのか。
いや、考えてみれば全員が全員彼女と同類とするのはかわいそうだ。この場合はその意味すらも知らない人達であることを願う。と、ある意味ウオミーに失礼な事を考えるタカであった。
「……」
「……」
その二組を差し置いて、最後の一組。トッキー、そしてボサノバと呼ばれたプレイヤーは、互いに見つめ合ったまま微動だにしない。これこそまさに、緊迫とした雰囲気と言えるのではないだろうか。この面子の中では一番シリアスになっていると言ってもいいのかもしれない。
プレイヤーNo.24 笠野田律(ボサノバ【Bosanova】)≪原作:桜蘭高校ホスト部≫ログイン
プレイヤーNo.25 倉賀野百華(クラカノ【Kurakano】)≪原作:桜蘭高校ホスト部≫ログイン
プレイヤーNo.26 桜塚希美子(キミコ【Kimiko】)≪原作:桜蘭高校ホスト部≫ログイン
プレイヤーNo.27 宝積寺 れんげ(ルータス【Lotus】)≪原作:桜蘭高校ホスト部≫ログイン
因みにこの話、改変前は≪オルチッド≫というプレイヤーと≪カフェ≫というプレイヤー、そして『るん♪』が口癖のアイドルたちが出てきてタカトシ達と戦うはずでした。
そう考えると、桜『蘭』高校の生徒と出会ったのも偶然とは思えませんね……。
タイトル、また変えようと思ってます。今度はシンプルに。でもそんな頻繁に変えていいものかと思ったので、ちょっとアンケートとります。なお、前提としてSAO、あるいはソードアート・オンラインを頭につける事としてます。よろしければお答えください。
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ヴァルキリーズfeatボーイ
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プロジェクトSAO
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アルティメットカオス
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無への逃走
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肯定あるいは否定
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フィクションスターズ
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〜いろんな著作物から以降はいらない
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タイトルはそのままでいい