SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO   作:牢吏川波実

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 さぁ来ました。この作品出すと今後ユウキを出した時に色々といざこざが起こりそうな作品。自分でもこの作品をSAOに出すのは鬼か悪魔か死神かくらいだと思う作品の参戦です。
 さて、何でしょう?


サブシナリオ 音楽をさがして

「やっぱり、分かりずらかったかしら……」

 

 SAOという地獄の牢獄に囚われてしまったことにまだ気が付いていない女性プレイヤーは、ログインした直後、とある場所に急いでいた。

 そこは、町にいくつもある路地裏の中でも、プレイヤーがログインしたあの広場から少しだけ離れた場所。イベントの発生ポイントでも、アイテムを入手できる場所でもない極々ありふれた路地裏である。

 何故そんなところに彼女が来たのか。それには、ある理由があった。

 彼女、と呼称しておこう。彼女は今でこそSAOの一プレイヤーと成り下がってしまっているが、現実世界では誰もが知っている超有名アイドルの一人であるのだ。その仕事は多忙を極め、本来ならばこんなゲームをしている暇なんてないはずだった。

 だが、この度アーガスからの依頼でプロジェクトSAOというプロモーションに参加したことによって、いやおうなしにこのゲームの世界に足を踏み入れてしまった。βテスト期間が終了し、表向きはプロジェクトSAOが解散状態になった後でも、事務所の方針で彼女たち自身の宣伝のためにと本サービスが開始された後にもプレイすることとなった。

 そんな彼女は、以前仕事の一環でとある街を訪れた際、そこで出会った読者モデル、俗にいう読モと言われる女性と仲良くなった。何故そこまで親睦が深まったのかは、今となっては分からない。だが、そんな彼女、そして彼女の友達が偶然SAOとナーヴギアを手にいれることが出来たというのは運命のいたずらだったと言えるのかもしれない。

 そんな三人が、一緒にSAOをプレイしようという話になるまでさほど時間はかからなかった。本当は、同じ事務所のアイドルの仲間と一緒にプレイしようとしていた彼女ではあったが、仲間たちに事の経緯を説明すると、ゲームをする時間はこれからもいっぱいあるのだから、今は自分たちの事よりもその友達とプレイしてきたら、という旨の言葉を貰って一時仲間たちと別れることとなる。

 結果的に、元βテスターとしてこの世界の一部を知りえている彼女が他のプレイヤーに戦闘テクニックやアイテムやモンスター等の情報を流布することが出来るいい機会になったのかもしれない。または、誰かの命を救えるきっかけになったのか。どちらにしても、ここで彼女が一時期離れることとなったのは不幸中の幸いだったのかもしれない。

 

「どんなアバターを作ったのか、楽しみ……」

 

 そんな彼女は、目的地である路地裏にたどり着くと、その友達がどんなアバターを作ってくるのかを楽しみに待っていた。

 因みに、彼女自身の姿形は現実のそれと何ら変わりはなかった。元々アイドルとして顔を売るのも仕事の一つである彼女たち。ファンとの交流は元より、ゲームの世界でも顔を売るために現実と同じほうが良いのではないかという一部の意見があったためにそうなっているのだ。

 その時だ、メニュー画面。正確に言うとメールボックスに一通のメールが届いた。

 

「春香?」

 

 それは、彼女のアイドル仲間の一人。天海春香、いやこの世界ではハルカというプレイヤー名になっている人間からのメッセージだ。

 彼女は、受信したそのメッセージをタッチすると、目の前にいくつもの文字列が現れる。

 

≪千早ちゃん! 私たちも無事ログインできました! 千早ちゃんは、もうももかさんと合流しましたか? ゲームの中でまた会えるのを楽しみにしています!≫

 

 彼女、いやチハヤはそのメッセージにうっすらと笑みがこぼれた。

 別に、寂しかったというわけじゃない。しかし、不安がなかったと言えば嘘になる。

 βテスト時代、自分はずっと仲間たちと一緒に行動していた。共にモンスターと戦って、共にクエストに参加して、共にゲームオーバーになったりして、そして時には仲間たちと一緒にゲームの中でゲリラライブなんて開いたりして、とても濃密な時間を過ごせてもらっていた。

 思い返してみれば、こうしてゲームの中で一人だけとなるのは初めての事。彼女のメッセージを受け取るまでさほど気にも留めていなかったが、しかし改めて考えるとやっぱり仲間と離れ離れになることは寂しくなってくる。

 特に、彼女は自分の事を救ってくれた恩人とも言うべき人間だ。いや、それをいうならあの事務所の仲間たち全員がそうなのかもしれない。

 とにかく、そのメッセ―ジ一つ受け取っただけでもとても嬉しい気持ちになったのは間違いない。

 

≪PS.亜美と真美もゲームをプレイしてるみたい。見かけたら教えてね≫

「あの二人も?」

 

 そのメッセージに、彼女はきょとんとした顔になった。

 亜美、真美というのも確かに自分の所属する事務所の仲間であり、当然プロジェクトSAOにも参加していたアイドルだ。だが、確か今日は彼女たちがプレイする日じゃなかったはずなのだが。

 あの時、自分たちの事務所765プロが貰ったSAOとナーブギアは全部で五セットだった。対して、所属アイドルは全部で12名。全員が全員一緒にプレイすることは無理だと、βテストのときにも問題となった。そこで、彼女たちは順番に交代交代でSAOをプレイすることにしていたのだ。

 今回本サービスが開始となった際にも、交代交代でプレイしようという話となり、確か自分以外には天海春香、高槻やよい、菊池真、四条貴音の四人。あと自力でゲームを手にいれた水瀬伊織と萩原雪歩の計七人でプレイする予定だったはず。

 二人もまた、自分たちに内緒で自力でゲームを手にいれたのか。いや、違う。悪戯好きな二人の事だ。もしかすると、765プロからナーブギアとSAOを無断で持ち出した。という可能性も無きにしも非ず。どちらにしても、二人がゲームをプレイしているというのは確実であるようだ。

 

「分かった。見かけたら連絡する。と」

 

 チハヤは、ハルカにそう返信すると、メニュー画面を閉じた。その時である。

 

「あ、いたいた!」

「え?」

 

 と、チハヤに声をかけながら近づいてくる一人の女性のアバターを使用しているプレイヤー。前述したとおり、自分の姿は現実の如月千早とまるっきり同じであるため、自分のファンが気が付いて寄ってきた可能性もあった。しかし、女性は、チハヤのすぐ前に来ると自分の事を指さしながら言った。

 

「千早ちゃん。私よ。来海ももか」

「ももかさん……」

 

 来海ももか。先ほど言っていた読者モデルの女性である。それを聞いたチハヤは安心すると同時に少しだけ不思議な気持ちになった。

 もちろん、この場所で彼女と待ち合わせをしていたという事を知っていたのは、自分と彼女、そして彼女の友達の三人の中だけの話。だから、現実の彼女の名前を発している目の前のプレイヤーは彼女本人である。と、思うのだが。それにしても、である。

 

「その……随分と様変わりしましたね」

 

 と、チハヤは彼女の姿を上から下までじっくりと観察する。髪形、髪色、そして目の色や輪郭、身長に至るまで細部にわたって現実の彼女とは似ても似つかない姿となっているももか。もしかしたら、本来のSAOの楽しみ方としてはこちらの方があっているのかもしれない。

 やはり、自分もβテスト期間が終わった後なのだから、少しばかりアバターの自分を変えてみたほうが良かったのかもと思って来た。

 

「フフッ、この世界ではオーシャンを名乗ってるの。よろしくね」

「えぇ」

 

 チハヤは、来海ももか改め、オーシャンの差し出した手を取り、握手した。現実世界ではよくあって仲の良い二人だが、こうして別々の姿で出会うとなると、また違った経験が出来たようで楽しくなる。これもまた、オンラインゲームの醍醐味なのかと、βの時には味わえなかった感動を身に染みた時、もう一人の女性プレイヤーが現れる。

 

「オーシャン、チハヤ」

 

 長髪で薄紫色の髪を持った女性。とても端麗な顔立ちだ。総合的な面で見れば、自分よりもモデルとして、そして女優としても活躍できるかもしれない。もしも、その顔が現実と同じであるのならばの話ではある。しかし、だからこそ彼女はそう断言したのだ。

 現実の世界の彼女と、二,三度顔を合わせたことのあるチハヤは、こちらにも手を差し出すと言った。

 

「この世界では初めまして。名前は?」

「ムーンライトよ。今日は、よろしく。チハヤ」

「よろしくお願いします」

 

 ムーンライト。現実の世界では月影ゆり、であったか。来海ももかの同級生であり、一番の親友の彼女。

 チハヤは、その名前を聞いた時、少しばかり親近感のようなものを感じた。多分、彼女と自分の苗字に月という漢字が入っているからだろう。それもあって、彼女とはすぐに仲良くなれそうだと直感的に感じたのは確かである。

 

「さて、まずはどうする?」

「そうですね、それじゃ……」

 

 と、まずはこの世界で戦うための武器を買いに行こうと提案しようとした。

 その刹那。

 

♪たったひとつ変わらないもの ずっと描いてた夢♪

 

「え?」

 

 チハヤは聞いた。確かに、その耳に届いていた。街のBGMの中にかすかに聞こえてきた。自分の聞き覚えのある。でも、聞いたことのない歌声。

 この曲は、確か何年か前にあるアーティストによって発表された楽曲。その心を打つような、そして未来への希望溢れる歌詞、そして中盤に出てくるあるワードにとても親近感を感じた。そんな楽曲だ。

 でも、流れてくる声は全然違う。いや、しかし―――。

 

「どうしたの?」

「この歌声……」

「歌?」

 

 耳の良いチハヤとは違ってすぐには周囲に流れているBGMにかき消されている形となっているアカペラの曲に気が付けなかった二人。

 彼女たちもまた、周囲の音楽を一切遮断し、耳をすまして彼女が聞いているであろう音を探してみる。すると―――。

 

♪今の自分はどう映るの?♪

 

「本当だわ。だれかが、歌ってる」

「それに、すごく上手……」

 

 聞こえてきた。誰かの歌声。とても、綺麗で、そして透き通るような。そして、心を打ち貫くかのようにスッキリとした歌声が。

 とてもつよく、そして繊細な感情の込め方。こうして遠くで聞いていても、その歌の力に心が安らいでいるかのように、胸が弾む。一体、これは。

 

♪あの頃の小さな瞳に♪

 

「……ッ!」

「あ、千早ちゃん!」

 

 チハヤは思わず走り出していた。その音が聞こえる場所に向けて。その音楽が始まりを告げる場所へ。

 

♪ねぇ 見上げて こんなに広い夜空だから♪

 

 何故、そんなことをするのか。この世界ではボイスエフェクトと言って、現実の世界でゲームの中にいれた自分の声を元にして好きな声色を再現することが出来る。だから、その声が偽物である可能性は十分に高い。

 

♪そう すぐに分かるように 精一杯輝くから早く♪

 

 それなのに、何故自分はこれほどまでに急いでいる。何故、その声の持ち主に会いたいと願っている。

 決まっている。心を奪われたからだ。アイドルとして、日本中の人たちに歌声を届け続けている自分。如月千早がその歌声に感動したから。いや、歌声だけじゃない。その声の使い方。振るわせ方。感情の込め方に抑揚の使いかた。そのすべてに至るまでまだまだ粗削り。でも、だからこそ胸を打つ歌声を作り上げている。

 粗削りだからこそ、プロじゃないのは確か。でも磨いていけば十分に輝く、ダイヤの原石のような存在。自分だって、自らの歌に関しては自信を持っている。自分は、自身をもって多くの人々を感動させることが出来る歌を、声を持っているのだと自負している。だからこそ分かるのだ。そんな素質を持った歌声が、いかなるものであるのか。

 彼女は、そんな声を持つ人間に会いたいと心から願った。だからこそ急いだ。そう、それはまるでその歌の歌詞のように。

 彼女は、さがした。そして。

 見つけた。

 

♪フルムーンをさがして♪




プレイヤーNo.28 如月千早(チハヤ【Thihaya】)ログイン
プレイヤーNo.29 天海春香(ハルカ【Haruka】)ログイン
プレイヤーNo.30 月影ゆり(ムーンライト【MooNLight】)ログイン
プレイヤーNo.31 来海ももか(オーシャン【Ocean】)ログイン

タイトル、また変えようと思ってます。今度はシンプルに。でもそんな頻繁に変えていいものかと思ったので、ちょっとアンケートとります。なお、前提としてSAO、あるいはソードアート・オンラインを頭につける事としてます。よろしければお答えください。

  • ヴァルキリーズfeatボーイ
  • プロジェクトSAO
  • アルティメットカオス
  • 無への逃走
  • 肯定あるいは否定
  • フィクションスターズ
  • 〜いろんな著作物から以降はいらない
  • タイトルはそのままでいい
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