SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO 作:牢吏川波実
自分たちの現在の状況を把握したはれかぜ、そしてシズクたちはその後しばらくののち雑談をした。それにしても何度話を聞いても信じられない。学生だけで大きな船一つを動かすことができるなんて。そして、目の前のなんて事のない女の子がその艦長だなんて。
しかし、それをいうなら自分たちの親友だって別の世界で数多くの世界を守る魔法使いをやってるわけだから、それを考えたらどっこいどっこいなのかもしれない。
とにかく、今はこうして出会えた奇跡に感謝して、次の行動に移さなければならない。シズクは、話がはずんでいる友達に言う。
「それじゃ、私一度ログアウトして、岬さんのことを管理局の方に伝えてくるの」
「え? いいんですか?」
「確か、シズクさんは有給を取っているって言ってませんでしたっけ?」
「そうだけど、でも伝えるぐらいだったらこの地球にも管理局員の友達や上司もいるし、大丈夫なの」
「へぇ……」
シズクの言う友達と上司というのは、自分と同じく偶然有給を取っていたフェイトや、リンディのことだ。もし自分とあまり交流のない上司に漂流者発見の報告をした場合、有給もそっちのけでその対応に追われていたのかもしれない。しかし、知り合いに話を通せば、自分の現状を鑑みてくれるはず。だから、シズクは大丈夫と言ったのだ。
ローウェルは、少々不満気の様子だ。せっかくの有給休暇であるというのに、こんなところにまで彼女を仕事にいざなう存在がいたなんて。まぁ、そんな不満をはれかぜにするのはお門違いであるのはわかりきっているから言葉にしないのだが。
「それじゃ、岬さんも、私と一緒にログアウトして」
「え?」
「連絡するとき、本人も一緒にいた方が話が早いかなって」
「なるほど……分かりました。でも、私今大洗学園艦に乗っているから、海の上なんですけど……」
「あ、そっか……それじゃ、飛んでいくから今どの辺りにいるのか教えてもらってもいいかな?」
「えっと、確か……」
一応この世界の彼女は大洗学園の航海科の一員であるため、艦の走行ルート、大体の進路について把握、というか記憶していた。どうやら、かなり陸地に近い場所であったので、自分の町から飛んでいけば、大体一時間くらいで往復できそうな距離だった。
因みに大洗側のプレイヤーからは、魔法使いなんだから転移魔法とかないの、と聞かれた。シズクは苦笑いをし言う。
「私、そういった魔法はちょっと得意じゃなくて……」
「ほんと、シズクができるのは空を飛ぶのと、光線を出すのくらいだもんね」
「あ、アリサち、じゃなかったローウェルちゃん……」
まぁ、事実である。実際、転移魔法に代表される補助系統魔法は、シズクの魔法の師匠たるユーノ・スクライアという少年の方に一日の長がある。ほかにも敵を拘束するバインドという魔法、それから結界を作って一般市民を巻き添えにしない戦い方もユーノの方に軍配が上がる。
一方で、シズクができることはローウェルの言う通りで空を飛ぶこととピンク色の光線や光の弾を放つこと。簡単に言えば、ユーノというのは後方支援型の魔法が得意で、逆にシズクは前線攻撃が得意であるのだ。
「光線?」
「そっ、それもビルを壊したり巨大な敵を木っ端みじんにできるくらいのね」
「それって、魔法っていうの?」
「ま、まぁ魔力を使えば全部魔法だし」
「というか、もしかしなくてもシズクさんって……」
「あぁ、脳筋だな」
「うぐっ!」
そのエリーゼの一言が、意外と胸に突き刺さるシズク。確かに、自分は攻撃魔法が得意で、頭で考えるような作戦は立てられずにただただ敵をせん滅した方が分かりやすいなんて考える。でも、だからと言って脳筋はない、とは言えないのも事実。
確かに自分も思っていた。というか、思わざるを得なかった。あの、自分が大けがを負った事件の時からずっと、他の魔法もできるようにならないと危ないなと思っていた。でも、どれだけ補助系魔法を覚えようとしても頭がこんがらがってしまって人並以上には扱うことができず、結局自分には力押ししかないという結論に至ってしまった。
このままではだめだと頭ではわかっているのに、なんともままならない者である。おかげで、友達のはやてからはとんでもない異名をつけられてしまったし。
「異名?」
「そう、管理局の白い悪魔だって」
なんて自分が考え事をしている間に隠されていたはずの異名が勝手に明かされてしまっていた。というか。シズクには一つ不思議なことがあった。
「え!? あ、アリサちゃんそれどこで聞いたの!?」
「え? この前はやてにあったときに聞いたんだけど?」
「は、はやてちゃん……」
実は、なのはよりは頻回にこの地球に帰ってきているはやて。時折ローウェルやノエルの家に遊びに来ては、時空管理局であった色々なことを教えてくれたりしているのだ。その中で、実はシズクが時空管理局では白い悪魔という別称が付いているのだということを教えてくれたのだ。
しかし、シズクは知っている。そんなあだ名をつけ、そして使用しているのははやてただ一人であるということを。何故嘘をばらまいていくのか、まぁ十中八九面白半分でやっていることなのだろうが。
「はやてちゃん……帰ったら覚えておくの……」
シズクの二人の友達は、彼女のその静かな怒りを聞くと、この話をこれ以上広げることに危険性を認識し、はやての無事を祈ることに専念することになった。
一方、大洗組はというと、である。
「そういえば、みぽりんもつけられた異名とかあったよね?」
「え? それって何の話?」
どうやら、みほ自身に身に覚えのない話ではある者の、彼女にもシズクと同じようにある異名がつけられているのだとか。
「あぁ、ネットで大洗の活躍を知ったファンがつけたアレだな」
「確か、軍神西住みほ……でしたっけ? 大洗のことについて調べているときに見ましたよ」
「ぐ、軍神……」
「そっちもそっちで大層な名前を付けられた物ね」
「そ、そんな軍神だなんて……」
と謙遜するみほ。が、しかし彼女の活躍を鑑みてみれば、確かに彼女が軍神であるとあがめられるのも分かる者だ。
廃艦間近に迫った学園艦の窮地を救うべく素人ばかりの洗車道履修者を率い、前回大会優勝校や、その前まで九年連続優勝の高校をありとあらゆる奇抜な作戦で打ち負かした。まさに生きる伝説に等しい少女。
悪魔と軍神、今更ながらとてつもない異名を持った者どうしが出会えたこの奇跡に感謝したいところだが、ともかく、先ほど言ったがこの話をこれ以上続けたとしても誰も何も得をしないためか、シズクは話を完全に切り取って言った。
「と、とにかく早くログアウトするの、それで明乃さんと合流して……はやてちゃんにお仕置きを……」
「なんだか物騒なことを言ってないか?」
後半の発言は聞かなかったことにして、シズクとはれかぜは、ほぼ同時に人差し指を上から下になぞるようにおろしてメニュー画面を出現させる。
「それじゃ、アリサちゃん、すずかちゃん。ちょっと待ってて。すぐに戻るから」
「待たせすぎないでよ」
「行ってらっしゃい、なのはちゃん」
「岬さん、今日はもう無理かもしれませんけど、また今度一緒にゲームをしましょう」
「うん、私も楽しみにしてるね」
シズクは、一度ログアウトし、フェイトやリンディに引き継ぎを済ませた後すぐに戻ってくることができる。だが、岬に関しては詳しい検査などが必須であるため今日中に戻ってくるということは考え難いこと。だから、彼女たちは約束するのだ。またいつの日にか、落ち着いたときに一緒にゲームをプレイしようと。
しかし、その約束は永遠に果たされないことになる。いや、違う。そもそもまたいつの日にかなんてものは永久に訪れないのだ。だって、彼女たちはこの後、現実世界への細い道を崩されることになるのだから。
「あれ?」
「どうしたのよ?」
ログアウトの準備をしていたシズクは、しかし気が付いてしまった。メニュー画面の中の違和感に。
続いて気が付いたのは岬だった。
「これって……」
「どうしたんです?」
「ログアウトのボタンが、無くなっている……」
「え?」
「どういうこと?」
二人の言葉の意味がどうにも理解できなかった少女たち。ただ一人、エリーゼだけは彼女たちの言葉を聞いたすぐそばから行動に移していた。まさか、そんなはずはないはずだ。しかし、もしも彼女たちの言う言葉が確かだとするのならば、それが彼女たちだけに起こっていることなのか、それとも自分たちにも起こっていることなのか。それで状況はとても大きく変動するからだ。
しかし、彼女が確認する暇なんて、与えられることはなかった。
「え?」
「なに?」
鳴り響いたのは大きな鐘の音。重く、深く、心の奥底まで揺らすかのような不気味な音色。
それが、まさか地獄への導きになるなんて、この時の彼女たちは思ってもみなかった。
女三人寄れば姦しいとは言うが、まさか彼女たちの話がここまで長く、そして花が咲くものだとは思っていなかったのだろう。気が付いた時にはもう、17時30分。SAOすべてのプレイヤーの運命を変えた、あの時刻になってしまっていたのだ。
因みに、この話を書いてた時の第一稿の時点では≪魔王≫の異名を持つ女の子も関わって、悪魔、軍神、魔王の三人の共演がなされる予定でした。が、収拾がつかない。この場面で出せる状況じゃなかったなどの理由により没になりました。
岬明乃に関しても、作中落ちこぼれクラスとも言える晴風の乗組員を引っ張って数多の戦艦、潜水艦に勝った戦績があるし、海神くらいの異名ないかなと思ったのですけどありませんでした。
次のサブシナリオのうち、見たいのはどれですか?
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なのは組のデスゲームチュートリアルまで
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アイマス、ネギま組の一部のメンツの話