SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO   作:牢吏川波実

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外伝 メインシナリオ 第一章 4話

 東京都内にある寺、大天空寺に集まった捜査員の数々。もちろん、彼らもSAO被害者のプレイヤー達を搬送する任務を負った警察官たち。その中には、泊進ノ介の姿や霧子の姿も見える。

 作戦開始からすぐさま寺の大階段の下までやってきた彼らであったが、しかしそれからかれこれ十数分動けないでいた。それは、泊の方から自分たちが入っていかなくても大丈夫だという知らせがあったから。

 

「泊さん、本当にいいんでしょうか?」

「あぁ、大丈夫だ。アイツらに任せておけば……」

 

 と、一人の捜査官に対してとても勇ましい返事を返した泊。

 今回の大天空寺。どうやら、泊の知り合いが住職を務めている寺であるらしいが、果たしてどうやってこの大階段からプレイヤー三名とパソコンを持ってくるのか、泊と霧子以外の警察、救急隊員は疑問に思っていた。

 そもそも今回のこの場所、移送に関してはかなり難易度の高い場所であると言える。

 寺に入るためには、先も言った何段もの大階段があり、大天空寺はその敷地面積からヘリコプターが降り立つことができないという場所。そんなところに、SAO被害者が三人。日本全国で今も同じような作業をしている人間たちの中でも、自分たちが受け持ったこの場所が一番移送の難易度が高いと言えるであろう。

 大階段を一段ずつ一段ずつ捜査員たちが重い棺を持つかのように支えながら、階段下で待機している救急車に一人ずつ運んでいくしか方法はない。そう考えていた。

 しかし、その為の労力といい人員といい、かなりの体力の消耗を覚悟しなければならないだろう。人を担ぎ上げて見づらい階段を下るという時点でかなり難易度が高いというのに、こと今回に至ってはベッド以外にもナーヴギアを接続しているパソコン。さらには、ナーヴギアに電力を送り込むための発電機もまた一緒に持ってこなければならないのだ。それは、苦労が目に見えて分かる事であろう。

 だが、動かない。泊は一切動かなかった。ただ、この階段下での待機を命じられ、一切何もしてこなかった。

 こんなことでいいのかと、その場に残った者たちは誰もが口々にそう言った。しかし、忘れてはならない。泊進ノ介は、かつてこの世界のために戦った仮面ライダー。仮面ライダードライブであるということを。

 仮面ライダードライブ。それは、かつて天才的な科学者が作り出した仮面ライダーだった。彼は、ドライブの作成者と同じ人間が作り出したロイミュードという怪物と長きにわたり戦い、そしてそのすべてを倒した。

 その後、天才科学者、正確に言えば天才科学者の記憶をそのままコピーしたベルト、そして装備一式が世界平和の維持のため封印。仮面ライダードライブへと変身することは二度とできなくなった。しかし、だからと言って彼の、泊進ノ介の心から仮面ライダーとしての志が、そして培った正義が途切れることはない。

 例え仮面ライダーになれなくても、一人の刑事としての、そして一人の仮面ライダーとしての泊進ノ介の戦いは続いているのだ。

 周囲の刑事からは、そんな泊進ノ介に一目を置く声も少なくなく、今では同僚たちにとても信頼されている刑事の一人として成長している。

 そんな泊が言うのだから何かあるのだ。だから、ただ自分たちは待っていればいい。だから刑事や救急隊員は皆が待っていた。その時が来るのを。

 やがて、ソレは現れた。

 

「え?」

「な、あれは……」

 

 空中を浮遊する三つのベッドだ。それが、刑事たちが見た物だった。恐らく、超能力なのだろう。しかし変だ。どこにもその力を使っている人間の姿が見えない。

 SAOプレイヤーの移動はとても慎重にならざるを得ない物。そのため、その作業には繊細さが求められる危険な物だ。どこか遠くから力を行使するなんて、大雑把なことをして務まるような物じゃない。

 だが、三人のベッドの動きはとても静か。まるで、スケートリンクの上を走っているかのようにとてもスムーズに徐々に徐々に自分たちの方に向かってくる。

 それに何だろう、この違和感は。何か、自分たちは何か大きな見落としをしている。そんな気がしてならない。何だろう。

 

「おい、あれ……コンセントが繋がってないんじゃないか?」

「! そういえば……!」

 

 そうだ。言われてみればあまりにも不自然すぎることに気が付いていなかった。

 そもそも自分たちがSAO被害者を病院に連れて行こうとしているのは、茅場晶彦が言う電源の消失によるナーヴギアの暴走という物をさせないために非常用電源の設備がある施設へと移送するため。それなのに、今自分たちが目撃している三人のナーヴギアはどれも電源に繋がっていないじゃないか。これは、明らかにおかしい。

 いや、よく目を凝らしてみると何かが見える。三人のナーヴギアが繋がっているコンセントを持つ、何者かの姿。

 

「あ、あれって……」

「アイツらも、仮面ライダーだ」

「仮面ライダー!? 泊さんと同じですか!?」

 

 泊のその言葉に、刑事、そして周りの人間たちもまた驚きの表情を見せた。もちろん、ここ最近人知を超えた事件の連続で、泊以外にも仮面ライダーがいるという事は知っていた。だが、まさかこんなところにもその仮面ライダーがいるなんて、思ってもみなかった。

 

「あぁ……あの三人は、あの二人にとって大切な人なんだ……」

 

 その言葉をきき、彼らは文字通り押し黙ってしまった。そうか、仮面ライダーの友人や知人にも被害者が出てしまっていたのかと。たった一万個しかない地獄への片道切符に当たってしまった不運な人間がいたなんて。

 しかし彼らはまだ知らない。仮面ライダーの友人どころか、仮面ライダー自体がこの事件に巻き込まれて現在SAOの中にいるという者が多数存在することに。だが、それはまた別の話。

 

「泊さん……」

 

 三人のベッドがゆっくりと地上に降り、事前に用意していた発電機に三人のナーヴギアのコンセントを繋ぎ終えた泊達。これで、とりあえず病院までの電気の確保はできた。今回の移送作戦に置いて、東京中の発電機をかき集めたかいがあったという者だ。

 そんな彼に、ベッドを運んでいた仮面ライダー二人が変身を解いて現れた。

 一人は、桜模様と黒い無地の布が半々になった着物を着たブロンド色の髪を持った男性。

 もう一人は、青色のライダースーツを着た手足の長さが印象的な男性。

 彼らが、仮面ライダーなのか。それにしても、泊といい彼らと言い、仮面ライダーになることができる人間というのはルックスの良さも関係しているのではないかと思うくらいにイケメンぞろいで少し嫉妬してしまうほどだ。というのは、彼女いない歴=年齢の中年刑事の談である。

 

「タケル、マコト。ここからは俺たちの仕事だ」

「三人の事は、私たちに任せてください」

 

 泊、霧子は二人を安心させるためにそう言った。

 着物を着た男性タケル、ライダースーツを着た男性マコト。二人は、緊張感の抜けない顔を保ちながら言う。

 

「はい、アカリと、カノンちゃん……そしてクロエを……よろしくお願いします!」

「俺からも、頼む……」

「あぁ、任せてくれ」

 

 深々とお辞儀をした二人に対し、こちらも凛々しい顔をしたままに返す泊。そこには何処にもない覚悟を集めたかのように感じられるほどの勇ましさがあった。彼らの大事な仲間の、友の命を預かった責任を一身に背負った警察官としてのプライドにかけて、三人を無事に病院に送り届ける。そんな覚悟を改めて決めた泊。

 タケルの仲間であり、頼れる姉的な存在であったアカリ、マコトの妹であるカノン。そして、タケルの奥さんであるクロエ。何度この言葉を発しているのか定かでないくらいに連続しているが、彼女たちがSAOを手に入れられたのは偶然、とあるSAOの抽選会に参加したことが原因だった。まさか、三人ともに当たり、そして三人ともに事件に巻き込まれるなんて、夢にも思ってなかっただろう。

 三人がSAOに閉じ込められた時の衝撃、特にマコトの慌てふためきようは尋常ではなく、血迷ってナーヴギアを彼女の頭から取ろうとする彼を、タケルが変身してなんとか止めることが出来たというほどだった。

 それから約四日経ち、この日が来るまで、彼らの心労たるや想像することもできなかっただろう。仮面ライダーとして、何度も生死の境を文字通り彷徨いながら戦いってタケルでも、生きた心地がしなかったと語っているほどの長い時間。いつ停電が起こるか、いつブレーカーが落ちてしまうのかと気が気でなかった四日間。だが、それも今日で終わりとなる。

 本当なら、自分たちだってSAOの中で戦いたい。アカリ達を救ってやりたい。だが、できない。何故なら、自分たちにはSAOもナーヴギアもすぐ近くになかったから。

 だから、彼らは信じるしかなかった三人が、無事に、ゲームオーバーにならずに帰ってくるという事を。

 祈るしかなかった。

 

「泊さん、搬送の準備が出来たそうです」

「分かった、霧子。タケル、マコトまた後で」

「はい……」

 

 それから数分後、準備していた救急車に三人の積み込みを終わらせた泊達は、二人に敬礼をすると、それぞれ救急車を先導するためのパトカーに入っていった。

 今回の搬送作業はここからが本番となる。ナーヴギアは、電源の消失だけでなく、二時間のネットワーク回線切断もまた、プレイヤーの死亡に繋がるという仕組みとなっている。

 そのため、迅速に、なるべく早く病院へと運ばなければならないのだ。もちろん、緊急車両としての救急車を信頼していないわけじゃない。だが、ここ最近は例え救急車であっても道を譲らない不届きものがざらにいる。そこで、先にパトカーが大音量でサイレンを鳴らし、それでできた道を救急車に走ってもらったほうが効率が良いという話になったのだ。

 これにより、より早く病院に届けることが可能になるはず。タケルたちによると、彼女たちを運び出してから間もなく十五分。残り一時間四十五分の内に病院のインターネット回線に接続しなければならない。

 

「よし、行くぞ!」

 

 と、一番前のパトカーを運転する泊が出発した。

 その数十分後、誰も予想していなかったことが起こるなど、露も知らずに。

 

「ッ!?」

「そんな……」

 

 スキマから赤い光と共に現れた無数の怪物たち。かつて、シンケンジャーが戦い、殲滅したはずの外道衆であった。

タイトル、また変えようと思ってます。今度はシンプルに。でもそんな頻繁に変えていいものかと思ったので、ちょっとアンケートとります。なお、前提としてSAO、あるいはソードアート・オンラインを頭につける事としてます。よろしければお答えください。

  • ヴァルキリーズfeatボーイ
  • プロジェクトSAO
  • アルティメットカオス
  • 無への逃走
  • 肯定あるいは否定
  • フィクションスターズ
  • 〜いろんな著作物から以降はいらない
  • タイトルはそのままでいい
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