ソードアート・オンライン ヴァルキリーズfeatボーイ   作:牢吏川波実

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外伝 メインシナリオ 第一章 10話

 都内某所に存在している地下施設。

 その存在はトップシークレット。所在を知る者は国の大臣クラス、警察の中でも数人が知っているかどうかというほどにその所在を隠された秘密の組織があった。

 今、その中で多くの人間が慌ただしく動きながらそれぞれに上層部から出された指示に的確かつ迅速に対応している。

 そして、その上層部の人間であるこの男もまた、各地から入る情報をつぶさに観察し、自分の持つ戦力や、貸し出してもらっている戦力をどこに配置するのかを決断する。今、その第一弾目が終了したところである。

 自分が、今のこのポジションについてどれくらいの時がたっただろう。

 自分が、前線で仲間たちとともに戦ったあの時から、一体何年の月日が流れたのだろう。今となってはもう遠い思い出となってしまった地球を守るための戦いの日々。しかし、こうして目をつぶれば今でも思い出せる。若かりし頃の思い出。

 多くの無茶をした。大勢の命が犠牲となったあの戦いの日々は、彼にとっては財産と言ってもいいだろう。そう、大事仲間にも出会えた、そんな奇跡のような時間だった。

 

「隊長!」

 

 いや、今はそんな感傷に浸っている暇はない。男性は、部屋の外からドアを壊す勢いで現れた長年の部下である女性の言葉に耳を傾ける。

 

「日本各地に散ったスーパー戦隊の各部隊から、最新の報告が入っています」

「聞かせてくれ、桃」

「わかりました」

 

 桃と言われた女性は男性、星野吾郎の目の前でタブレット端末を操作、先ほど自分のもとに飛び込んできた情報を簡潔に報告する。

 

「北海道に救援に向かったスカイフォース、並びに近畿地方の地球守備隊、そして国際空軍の各隊員の動きによって、それぞれの地方のSAOプレイヤーの搬送は落ち着きを取り戻したとのことです。また、トンネルの落盤事故によって道を封鎖された東北地方には、サージェスのゴーゴードリル、ゴーゴーミキサー向かっていて、もうすぐ到着する手はずになっていると」

「都内で発生したタンクローリー事故に関しては、何か情報は入っているのか?」

「救急戦隊ゴーゴーファイブの四名が現着、SAOプレイヤーの搬送は終え、火災も鎮火まじかとのことです」

「そうか……」

 

 どうやら、当面の危機は避けられたようだ。

 警視庁からの応援要請があったときにはどうなる者かと思ったが、しかし結果的にはこちらで用意していた戦力が役に立った形だ。いや、自分たちだけじゃない。各地で戦っている自分たち以外のスーパー戦隊の支援のおかげで今の優位な形を保てているのだ。今は、それを良しとしておこう。

 ここで、彼らについて説明せねばなるまい。星野吾郎、そして丸尾桃は国際空軍、正式名称t≪he United Air force≫、通称≪U.A.≫の隊員である。そして、かつて超力と呼ばれる古代文明の力を利用し戦った、超力戦隊オーレンジャーのオーレッド、オーピンクとしてマシン帝国バラノイアと決死の戦いを繰り広げた英雄でもある。

 現在、星野吾郎はその功績や数々の実績を考慮され、U.A.の中でもほとんどの隊員に指令を出せる位置にまで出世することになった。

 そして、今日この日。SAOプレイヤー移送作戦において不測の事態、警察や自衛隊の力だけではどうにもならない事態が起こった時に備え、事前に数々のスーパー戦隊を組織した軍隊や、支援してきた組織に声をかけてバックアップの体制を整えていたのだ。

 現在北海道で活動しているというスカイフォースは、鳥人戦隊ジェットマンという戦隊の母体組織であった。ジェットマンの活動が始まる直前に、次元戦団バイラムによって壊滅的打撃を受けたのだが、長い年月をかけて再編され、U.A.の元で活動を再開していた。

 地球守備隊は、電撃戦隊チェンジマンを組織した国連所属の地球防衛組織である。本来はU.A.の直轄の組織ではないのであるが、今回ある筋からの協力を得て日本のために尽力をすることを約束してくれていたのだ。

 サージェスは、轟轟戦隊ボウケンジャーを要し、世界各地の貴重な宝物を収集、保護する民間団体だ。その宝物、通称プレシャスには様々なものがあり、その分人間が行くのが難しい地中や、海中に残されているということもある。そのようなプレシャスを回収するために様々な採掘機材を有しており、今回はそれを利用させてもらったのだ。

 そして、前回杉下右京のもとに来た救急戦隊ゴーゴーファイブ。彼らに関してはもともと人命救助を目的とした組織であるため指示を受けなくとも緊急性の高い事故が発生した時にはすぐに駆け付けるようにと指示を出していた。結果、ほかの場所と比較して早く現着することができたのである。

 とにもかくにも、これで各地で発生した事故の対応は十分。ほかにも余剰戦力として数々の戦隊の力も残している。これならば、どんな異常な状況が発生しようとも対処は可能であろう。

 

「では、残るは……」

「そうだ。各地に現れたという怪物の対応だ」

 

 そう、事故は何とかすることができた。残るはどういうわけか日本全国、それもSAOプレイヤーのすぐ近くで続発的に発生し始めている怪物の対処だ。

 その怪物たちは、聞くところによると外道衆やギャングラー、ほか様々なスーパー戦隊や仮面ライダーが倒してきた怪人たちが現れたらしい。

 なぜ、かつて倒したはずの敵が蘇ってきたのか。そんなことを考えるのは後回しだ。今は、一刻も早く現地に仲間たちを送らなければならない。

 SAOプレイヤー搬送中の警察官たちは、何かがあったときのためにと拳銃の携帯を呼び掛けているそうだが、自分の知っている怪物たちが蘇ったとなると、そんなもの歯が立つかどうかわかった物ではない。早急に対応が必要、最悪自分もまた出るしか。

 

「作戦の責任者の一人が、安易に出撃するのは同意しかねるな」

「え?」

「そうだ。それに……戦えるのは、スーパー戦隊だけじゃない」

「あなた方は……」

 

 星野、そして桃の二人は部屋に入ってきた壮年の二人の男性の姿を見るとかしこまったような表情をしてスクッという音が聞こえるほどに素早く立ち上がり、綺麗な敬礼をした。

 当然だろう。なぜならば彼らの前にいるのは自分たちの先輩。自分たちよりもはるか昔より地球全人類の平和と自由のために戦ってきた勇者であるのだから。

 

「ご足労感謝します! 海城剛さん! 本郷猛さん!」

 

 海城剛。かつて、国連が組織した秘密部隊、秘密戦隊ゴレンジャーのアカレンジャーとして黒十字軍と戦い、世界に平和をもたらした史上最初の、そして自分たちスーパー戦隊のリーダー的な存在にあたる人間だ。現在は、国連の上層部に所属しており、世界各地を回っていると聞いている。そして、今回の事件に際して地球守備隊の指揮をU.A.に一任してくれるように口添えをしてくれた人間でもあるのだ。

 もう一人の男性、北郷猛。彼はスーパー戦隊ではない。しかし、スーパー戦隊と同じく、いやスーパー戦隊よりも前から人間の自由のために戦ってきた戦士である。

 仮面ライダー。それが、彼につけられたコードネーム。悪の組織ショッカーによって改造手術を施され、悪の心を植え付けられる前にアジトから逃げ出し、以来人間の自由のために戦い続ける自然界がもたらしてくれた戦士。それが仮面ライダ1一号なのである。現在彼は、大きな組織に入ることなく世界中を回り各地で人間の自由を守るために戦っていた。そんな男が、人間の自由を奪い、多くの涙を流させた茅場明彦との戦いに備える為に帰国したのである。

 この、日本を代表する二大ヒーローを前にして、緊張しない人間なんているはずがない。

 

「二人とも、楽にしてくれ。我々は、別に君たちを脅そうと思ってきたわけではないのだからな」

「その通り。我々もまた、若者たちを助けるためにここに来たのだ」

 

 その言葉を聞いて、星野は少し困ったような笑いをした。自分ももう50代。ベテランの域にまで達していると思っていたのだが、しかし彼らからしてみればまだまだ若者であるそうだ。まったくもって、長い時間戦い続けている人たちのいう言葉は時間の重みのようなものを知らせてくれるようで肩身が狭くなるという物だ。

 

「それで、必要がないとは一体……」

 

 本題に戻そう。先ほど、二人は星野たちが戦いに行く必要はないという旨の話をしていた。あれは、一体どういうことなのか。

 

「すでに、我々仮面ライダーも動き出している。それぞれの、守りたい物のためにな……」

 

 そう。この時、星野が二人のレジェンドと対話を果たしている。そんな中でも、各地にいるヒーローたちは着々と動き始めていたのだ。

 仮面ライダー、スーパー戦隊、そして、それ以外に戦える者たち。それらすべてが一丸となり、作戦は次なる段階へと移行していくのであった。




秘密戦隊ゴレンジャー
仮面ライダー
超力戦隊オーレンジャー
           参戦

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