SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO 作:牢吏川波実
場面は、まるで救急車の道を塞ぐかのように出現され、瞬く間に外道衆に包囲されてしまった泊進ノ介たちの場面に戻る。
「寄りにもよってこんな時に……」
そう、よりにもよってだ。普段はなかなか現れないはずの外道衆の残党が、よりにもよってこんな一刻を争う追うなタイミングで現れるなんて、まさか、何者かの指示でもあるのか。いや、外道衆の頭領血祭ドウコクは侍戦隊シンケンジャーがとうの昔に倒している。では一体。
何にしても考えている場合じゃない。今はこの状況を何とかするのが先決。
先も言った通り、搬送中の三人の命のタイムリミットは一時間四十五分。こんなところで時間を浪費している場合じゃない。
泊は、自分が囮になるべく懐からニューナンブM60を取り出しパトカーの扉を開けようとした。
だが、忘れていないだろうか。ここには、彼以外にも戦える人間がいるという事が。
「フッ!」
「ハァァ!!」
「タケル! マコト!」
そう、タケルとマコトだ。二人は、それぞれに外道衆を蹴散らしながら現れるとパトカーの窓を開けた泊に言った。
「ここは俺たちに任せてください!」
「お前は早く、カノンたちを病院に連れていけ!」
「……あぁ、分かった!」
その、三人の力強い言葉は、背後で外道衆の出現に慌てていた捜査員たちを勇気づけるものだった。
そうだ。ここには、仮面ライダーが三人もいるのだ。何を恐れることがあろうか。とても頼もしいその三人の会話に、先ほどまで慌てていた捜査員や救急隊員の顔がほころぶ。そう、大丈夫だ。何故なら彼らは。
≪アーイ! バッチリミナー! バッチリミナー! バッチリミナー!≫
≪アーイ! バッチリミロー! バッチリミロー! バッチリミロー!≫
「「変身!!」」
≪開眼! オレ! レッツゴー! 覚悟! ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト!≫
≪開眼! スペクター! レディゴー! 覚悟! ド・キ・ド・キ! ゴースト!!≫
人間の自由を守るために生まれた仮面ライダー。その名前を継承し、人々の命を未来につなぐために戦う仮面ライダーであるのだから。
「命、燃やすぜ!!」
「俺の生き様見せてやる!」
「「ハァァァァ!!!」」
二人の仮面ライダーは、それぞれのパーカーを取ると、ナナシ連中の群れに向かって駆けていく。
ゴーストは剣型の武器、ガンガンセイバーを、スペクターはガンガンハンドと呼ばれる腕を模した武器を所持している。
「ハァ、ハッ!」
「フッ! ハッ!」
二人の仮面ライダーは次々とナナシ連中を切り裂き、叩いていく。すると、彼らの背後にあった救急車を狙っていたはずのナナシ連中の目は続々とゴーストたちの方に向いていく。
「今のうちに行くぞ!」
「わかりました!!」
泊たちはそれを見ると、パトカーのアクセルを力いっぱいに踏みしめた。パトカーはその圧力によってうなりを上げ、タイヤからはゴム臭い白い煙が立ち上がる。初速、果たして何キロ出ていたのか今となっては把握もできない。しかし、とてつもないスピードを出したのは確かだ。
「お願いします、泊さん!」
「決めるぞ! タケル!」
「うん!」
≪≪オオメダマ!!≫≫
「「はぁぁぁぁぁ!!!!」」
ゴースト、スペクター、そしてナナシ連中のすぐ近くを通り抜けた―その際何体かのナナシを轢いたとの報告あり―移送部隊は、まっすぐに病院に向かうのであった。妨害行為があったのはその時だけで、その後彼らは無事に三人の女性を送り届けることに成功したのである。
一方、また別の移送部隊の面々は病院に≪送り届けられた≫直後で困惑していた。
そもそもの目的地が病院であったはずなのに何が困惑することがあるのかと不思議に思うのかもしれない。だが、その経緯、そして彼らの反応を見ればその困惑度合いも分かるという物だ。
「こ、ここは病院!?」
「さっきまで、怪物に囲まれてたのに……」
そうなのだ。実は彼らもまたナナシ連中とは別の灰色の身体を持った怪物たちに囲まれていたのであった。
以前公安にいたとある女性刑事が、その怪物たちのことを知っており、その女性を中心として先ほどまで戦っていった。しかし、その数も多く途中から持久戦の様相を呈してきてしまい、そうこうしているうちにタイムリミットが近づいてきてしまっていたのだ。
もう、ここから病院に走っても間に合わない。誰もが絶望したその時にも女性はあきらめなかった。最後まで、希望を捨てなかった。最後の最後まで希望に手を伸ばすことを止めなかった。
希望を諦めなかったら、きっとその希望を拾ってくれる誰かが来てくれるから。そう信じて彼女は最後の最後まで弾丸を使い果たした。
その時だった。突然赤い魔法陣が彼女たちの身体を包み込んだのは。一瞬のめまいにも似た感覚。その後に彼女たちの前に現れたのは、自分たちが目指していたはずの病院だった。
当初戸惑っていた警官たちであったが、とにかく今から病院に駆け込めばプレイヤーの命は助かるはずだと、急いで病院内に駆け込み始める救急隊員たちを見て、彼らもまた動きを再開する。
それにしてもあの魔方陣はいったい何だったのか、そうほとんどの人間が回想するのはもっと後のことになるのだった。ただ一人、見当がついている女性を残して。
「晴人くん……」
女性、大門凛子は自分の左手薬指にはめられている指輪に触れながらある男性の名前をつぶやいた。あの魔方陣。きっと彼が助けてくれたのだ。
世界中を旅して、絶望に陥りそうな人たちの心を希望に変えるために今も戦い続けている彼が。
「お節介な魔法使いの、ちょっとしたイタズラさ」
その男性は、警官隊がいなくなって襲う物がいなくなり困惑している怪物。グールの姿を真上にある信号機の上に座りながら見ていた。
今回自分が彼女が移送部隊のリーダーを務めている部隊にたどり着いたのはただの偶然。しかしその偶然が功を奏したようだ。救急車の中にいるであろうSAOプレイヤーの命の残り時間がいかほどかまでは認識していなかったが、病院に直接送り込んだのだからきっと間に合っているはずであろう。
後は、ここにいるグールの後始末をつけるだけだ。晴人は華麗にグールの群れの真ん中に降り立つ。そして―――。
≪ドライバーオン! プリーズ!≫
右手を腰に当てた瞬間、腰のベルトに付着していた手形のような形のレリーフが巨大化。さらにそこに銀色のベルトが巻かれていき、ウィザードドライバーと呼ばれるベルトへと変化する。
さらに、晴人は左手の指に赤い宝石をあしらった指輪をつける。
≪シャバドゥビタッチヘンシ~ン! シャバドゥビタッチヘンシ~ン!≫
晴人が、ベルトの両側に付属しているシフトレバーを操作すると、ベルトの中心部の手が左右反転した。すると、ベルトはまるで意思を持ち始めたかのように言葉を紡ぐ。これは、魔法の呪文を短縮したり、符丁と化した物。要は、魔法発動のための詠唱呪文を、変身者の代わりに口ずさんでいるのである。
そう、彼は魔法使いなのだ。それもただの魔法使いではない。怪物、ファントムの力をその身に宿し、人々の希望を守るために戦い魔法使いの仮面ライダー。
「変身!」
≪フレイム! プリーズ!≫
≪ヒー! ヒー! ヒーヒーヒー!!≫
晴人が左手をベルトにかざした瞬間。彼の左側に地面から垂直に伸びる赤色の魔法陣が出現する。それは、先ほどの警官隊を病院に移送させたソレと全く同じものであった。
その魔法陣が彼の身体を通り過ぎた瞬間。男の身体は完全に違った物となる。
赤い宝石をその身に宿したような顔と身体、そして漆黒のマントを身に羽織る希望の仮面ライダー。
「さぁ、ショータイムだ!」
仮面ライダーウィザードが戦場に現れた瞬間、である。
一方で、絶望とは無縁の場所にある、とある移送部隊が存在していた。
「なんだか、何も起こらないままスムーズにここまでこれたな……」
と、ぼやいてしまうのも無理もないほどに彼らには何も起こることがなかったのだ。
ほかの部隊は渋滞やら事故やら怪物の出現やらでとても時間内に病院にたどり着くことが困難になっているというのに対し、自分たちはなんとインターネット回線切断からわずか三十分ほどで病院にたどり着いてしまった。
どうして自分たちだけがこんなに楽できているのかと疑問を持った彼らだが、ここにも一人だけその理由を知っている人間がいた。
「ま、当たり前だな。俺たちが移送しているのはあの二人だから……」
「あの二人? 加賀美さんの奥さんと、ご親戚の方でしたっけ?」
「まぁ……ややこしいけど、そういうことだな」
と、ややベテランの風格を持った中堅刑事はそう言いながら頭をかいた。
彼の名前は加賀美新。かつて、仮面ライダーガタックとしてワームと呼ばれる怪物たちと戦った男である。
戦いが終わった後、彼は一警察官の身分に落ち着き、その後着々と実績を蓄えて出世し、今では警視庁の刑事としてその手腕を発揮していた。彼はかつて一緒に戦った男の実妹、と呼称しても良い人物と、色々な壁―主にその兄だが―を乗り越え結婚していた。今回の事件において、自分の奥さん、そしてその男の義理の妹が巻き込まれてしまったのだ。
ショックだった。もしかしたら何年も会うことができなくなるのではないかと、などという感傷に慕っている暇なんて彼にはなかった。
彼にはやるべきことがあったのだ。それが、実の妹と義理の妹を奪われた男の暴走を止めるという、とてもじゃないが無理難題と言わざるを得ない大仕事。
途中双方ともに変身し、殴り合い、他の知り合いの仮面ライダーの救援もあって三日三晩戦ってようやく落ち着きを取り戻した彼。
加賀美は、そんな彼を家に送り届けたのち、少しだけ仮眠をとってのこの作戦である。正直コンディションは最悪。自分の戦士としての姿たる仮面ライダーガタックに変身する力もないほどに疲れ果てていた。
しかし、それでも自分の奥さんであり、友の妹、そして義理の妹を守るために、自分は任務に就いた。たとえこの命を懸けてでも、守り通すと、彼は決めていた。
しかし、その覚悟は杞憂に終わってしまう。先も言った通り、本当に自分たちには何も起こらなかったのだ。事故も、渋滞も、怪物の襲撃も、何も。
しかし、彼には察しがついてた。その理由が。新は、パトカーから降りる。すると、目の前には一人の赤と銀色に彩られたメカメカしい姿の仮面ライダーの姿があった。その角の形からして、カブトムシをモチーフとしたであろう仮面ライダー。彼こそが、新の友である仮面ライダーであったのだ。
「天道お前……寝てないんだろ? ハイパーフォームになって大丈夫なのか?」
と、あきれた様子の新が聞くと、仮面ライダーは腰のベルトにつけていたカブトムシ型の変身アイテム、カブトゼクターを取り外した。カブトゼクターはそのまま仮面ライダーの手を離れるとどこかに飛んでいき、それと同時に、その鎧が崩れるかのように取り外され、中にいた変身者の姿を映し出す。
「ひよりや樹花のためだ。なんの問題がある?」
と、男は言う。
彼の名前は天道総司。天の道を行き、総てを司る者。そして、仮面ライダーカブトに変身して宇宙から来た生命体ワームと戦った最強の男である。そして、世界を敵に回そうとしてまで妹のことを守ろうとした男。そんな男が今回の事件に妹が巻き込まれて何もしないわけがなかった。
察しの通りである。警官隊が何の障害もなく病院にたどり着いたわけではない。障害になりそうだったものはすべて彼が先回りしてつぶしまわっていたのだ。ワームや、他多数の救急車を狙って現れた怪人、怪物もまた、救急車に近づいていたりしたのだが、誰にも気が付かれることなく討伐。基本フォームであるライダーフォームでも十分であるはずなのに最強フォームであるハイパーフォームを持ち出してきたことから見て、いったいどれだけ彼が激怒しているのかというのが見てわかるという物だ。
「全く……一応言っとくけど、また二人のナーヴギアを取ろうとしたら許さないからな」
「……」
そう、それが錯乱状態にあった天道が最初にしようとしていたことだった。それを新を含めた複数人の仮面ライダーで止めたのである。仮面ライダー内でこれまでいくつもの内戦が勃発してきたが、ここまで私情が絡んで、かつ止めるのが難しかった内戦はなかっただろうと、後に新は回想している。
その言葉を聞いた天道は、ゆっくりと指先を天に向ける。これは、彼のお決まりのポーズ、いわば彼の癖のような物である。そしてそのポーズには必ず≪言霊≫が付属するのだ。
「おばあちゃんが言っていた。うどんを寝かせるのはコシを強くさせるために必要なこと。大切な人が眠り続けるのは、その人の心を強くさせるために必要なこと……俺はもう、眠りを妨げることなんてない」
「そうか……」
といって、新は病院に入っていく救急隊員の後をついて行く。
あと天道もまた色々と無茶をしすぎたのでついでで入院していくことになった。やはり無理がたたったようだ。しかし、それだけの無茶をしたというのに半日で退院するその生命力はさすがであると言わざるを得ない、のかもしれない。
他、様々な場所でそれぞれの戦いをする仮面ライダーたち。風の都で戦う、二人で一人の仮面ライダー。混乱に乗じて山から降りようとする物の怪と戦う鬼のライダー。昭和の時代から、人々の自由のために戦ってきた仮面ライダー二号をはじめとした九人のライダーと、三人の緑の仮面ライダー。
そして、孤独になりながらも愛のために戦う仮面ライダーもまた戦う。人々の生命が、これ以上奪われる事のないようにと。
仮面ライダーウィザード
仮面ライダーカブト
参戦
タイトル、また変えようと思ってます。今度はシンプルに。でもそんな頻繁に変えていいものかと思ったので、ちょっとアンケートとります。なお、前提としてSAO、あるいはソードアート・オンラインを頭につける事としてます。よろしければお答えください。
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ヴァルキリーズfeatボーイ
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プロジェクトSAO
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アルティメットカオス
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無への逃走
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肯定あるいは否定
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フィクションスターズ
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〜いろんな著作物から以降はいらない
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タイトルはそのままでいい