SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO   作:牢吏川波実

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外伝 メインシナリオ 第一章 14話

 日本各地で、様々なスーパー戦隊、仮面ライダーの活躍によって数多くのSAOプレイヤーの命が救われる。しかし、その中でも手の届かない場所。彼らが助け船を出せない場合も数多い。例えば、この場所もそうだった。

 

「おい! また増えたぞ!! どんどん撃っていけ!!」

「ダメです! もう弾切れです!」

「くそぅ……」

 

 警視庁の、薬物銃器対策課課長である角田六郎は、部下の刑事の報告を聞いて苦虫をかみつぶしたかのような表情をする。

 現在、彼を含めた一つの移送部隊は、搬送中に遭遇した数多くの怪物たちに囲まれ、銃撃戦を繰り広げていたのだ。とはいっても、相手は弾を撃ってくるような怪物ではないため、警察側が一方的に銃を乱射しているだけ出るのだが、しかしそれでも怪物たちは止まることなく進んでくる。

 今、彼らが相手にしているのは、現在進行形でスーパー戦隊たちの指示を出している星野がかつて相対した敵、マシン帝国バラノイアの戦闘員、バーロ兵。

 一体なぜ、二十年以上も前に滅んだはずのマシン帝国が復活したのかは皆目見当もつかなかったが、しかし明らかに自分たちが守っているSAOプレイヤーが目当てであったため、全員がパトカーから降り、その扉を、あるいは車体自体を盾にして持っていた拳銃で相手をしていたのだ。

 しかし、あまりにも分が悪い。角田はそう考えていた。なぜなら、バーロ兵という存在は、スーパー戦隊の敵の戦闘員にしておくにはあまりあるほどの力を有しているから。その強大な力が健在だった時には、バーロ兵の大群によってとある国の軍隊が壊滅したほどの力を持っていると聞く。現に、警察から支給された拳銃の弾をすべて打ち尽くしても一体たりとも止まることがなく進んでくるではないか。

 それにだ。今はまだ様子見であるのか本来あるはずの≪ある能力≫をまだ見せていないのだ。このまま戦うとなるとこちらの被害も甚大になる可能性がある。かといって、退くことなんてできない。自分たちの背後にある救急車の中にいる救急隊員、そして一般市民のためにも。

 この時、角田を含めた多くの捜査員の中にまだ、戦う意志という物があった。しかし、その意志をあざ笑うかのように、バーロ兵は角田が危惧していたとある兵装を使用することになる。

 

「角田課長! 伏せてください!!」

「!」

 

 それは、角田とは違う部署にいる人間の言葉だった。自分よりもまだ若いものの、自分と同じ階級である人間。そして、かつてとあるプロジェクトに参加していた人間だ。

 角田は、その言葉に従うかのように、あるいは防衛本能が働いたかのように頭を隠した。その瞬間だった。

 バーロ兵の口から、一筋の光線が伸びた。

 

「うわぁぁぁ!!」

「ッ、こいつは……」

 

 果たして、光線がそれたのか、それとも威嚇のためだったのか、どちらかはわからない。しかし確かなことはただ一つ。バーロ兵の攻撃は、近くにあった巨大なビルに当たり、そして大きな爆発とともに崩れ落ちたということだった。

 そう、これこそが角田が危惧していたビーム兵器。一戦闘員が持つにしてはあまりにも大きすぎる武器だが、それだけマシン帝国バラノイアの科学力は自分たちの想像のはるか上を言っていたということだ。

 ビームが当たったのが巨大なビルだったということで、そのビルの破片が角田たち警官隊に降り注ぐいだ。

 ビルの破片にあたる者。慌てていたために足がもたついて転倒するもの。恐怖に駆られて逃げ出そうとする者や、はたまた逃げる勇気すらもなくただただその場にうずくまっているだけの者もいた。

 たった一つの、一回だけの攻撃だった。それで、総ての決着がついてしまったと言っても過言ではない。

 誰もが持っていた戦う意志、誰かを守りたいという覚悟は、強大すぎる心無いモノによる一撃で砕け散ってしまったのだった。

 

「たく、なんてことしやがんだ……」

 

 角田は、降り注いだ破片の一つにあたってしまったのかその頭から血を流していた。それほど大きな傷でないことは不幸中の幸いだったが、しかしこれでは銃の照準を合わせるのも困難だろう。いや、弾はすでに打ち尽くしたのだからそんな心配はする必要ないか、とどことなくのんきなことを考えているのは、彼もまたこの状況にただたただ混乱しているからなのかもしれない。

 

「大丈夫ですか!? 角田課長!」

 

 といって一人の男性が駆け寄ってきた。かなり長身の男性警察官。先ほど角田に注意を促してくれた警官だ。

 角田はまるで何事もなかったかのようにあっけらかんとした笑顔を浮かべて答える。

 

「おう、お前こそ大丈夫か? 氷川」

「えぇ、なんとか……」

 

 と、氷川は車の影からバーロ兵の姿を見据えながらそう答える。それにしても、バーロ兵。とてつもない力を持っているとは聞いていたがこれほどまでとは思わなかった。

 物言わぬ彼らは、まるで光線を合図としていたかのように進軍スピードを上げて自分たちの方に向かってくる。さて、どう対処するものか。いや、対処も何も自分たちにはもうほとんど武器が残っていない。

 先ほども言ったが、全員が弾を撃ち尽くしたがために拳銃は使い物にならないからだ。あと残っているものとしたら警棒くらいだが、そんなものでバーロ兵を倒すこと、不可能に近いだろう。

 どうする。どうすればいい。

 

「所詮、無理だったんだ……」

「え?」

「あ?」

 

 どこからか、風にかき消されるかのようなつぶやきが聞こえてきた。

 その言葉を発したのは、バーロ兵から見てタイヤの影に隠れている形となっている一人の新人警官だ。

 

「仮面ライダーやスーパー戦隊が戦ってきたような敵と戦うなんて……所詮、ただの人間には無理な話だったんだ……」

「……」

 

 それは、あたかもその場にいた警察官たちの総意のように思えた。

 だが、そう思うのも無理はないのかもしれない。というか、実際にそうだ。

 今まで一体何人の勇敢な警察官が仮面ライダーの敵、スーパー戦隊の敵、そして人類の敵と戦って殉職してきたことだろう。何人の未来が潰えてきたことだろう。

 もはや、数えきることなんてできない。警察だけでなく、自衛隊などの日本の防衛にあたる任務を背負った人間、各国の軍隊も含めるとそれこそ天文学的な数になることだろう。

 それほどの優秀な人間たちですらも倒すことがかなわなかったような敵を相手に、一体自分たちに何ができるのか、自分たちはただただ殺されるだけの駒のような存在じゃないのか、そう考える人間が実際警察内部には多かった。

 

「どうせ、俺たちが何もやらなかったとしても仮面ライダーやスーパー戦隊が戦ってくれるんだ……俺たちのことを守ってくれるんだ。だから、だから……」

 

 だから、幻想に縋りたがる。仮面ライダーという、かつて都市伝説とまで言われた存在に、スーパー戦隊という偶像に縋りたがる。いや、縋るのも当然のことなのかもしれない。

 それほどまで信頼を置かれているということなのかもしれない。

 それは、確かに≪彼≫にとっては≪誇り≫だったのかもしれない。でも、それと同時に仲間たちに絶望を与えてしまったという後悔だったのかも。

 

「お前、何のために警官になったんだ?」

「え?」

 

 その時だ。角田が、その若い警察官に向けて優しくも、そして厳しい言葉を投げかけた。

 と、思ったら今度はまるで野獣であるかのように瞬時にその胸倉をつかむと言う。

 

「何のために警官になったのかって言ってんだ!!」

「そ、それは……」

「仮面ライダーに守ってもらうためか? スーパー戦隊が正義の味方をしているのを間近で見るためか? どうなんだ!」

「お、俺は……一人でも、犯罪者を逮捕して……みんなの平和を守りたくて……」

「だったら、今がその時じゃないのか! 今、俺たちの後ろには何の罪もない一般市民がいる。それを守ることが、お前のやりたかったことじゃないのか!!」

「そ、それは……」

 

 全く持って、想像とは違っていた。氷川はそう思っていた。

 警視庁薬物銃器対策課の角田課長はとても温厚な人間だと聞いていた。でも、実際には違う。彼は自分の仕事い誇りと責任を持った熱い人間だったのだ。

 いや、それも当たり前だったのかもしれない。薬物銃器対策課といえば、時には暴力団の組事務所にまで足を運んで拳銃や麻薬の捜査をするような部署。そんな部署の課長が温和なだけの人間であるはずがないのだ。

 そして、そんな人間が課長であるからこそ、これまで多くの犯罪者を逮捕することができてきたのだ。氷川は改めてそう感じた。

 負けてられない。自分も、この人に。氷川は、目線をその警官に合わせると言った。

 

「君、確かに僕たちはただの人間かもしれない。でも、僕はそのことに誇りを持ちたい」

「え?」

「ただの人間だから、できないことや、何でもできる人間のことがうらやましいこともあるかもしれない。不思議な力や、存在に憧れを抱くかもしれない。その人たちに比べたら、自分なんかと思うこともあるかもしれない。でも、だからって何もしない言い訳になんてならないんです」

「言い訳に、ならない……」

「はい……だから……」

 

 氷川は、その警察官が持っていたであろう拳銃を拾い上げる。やっぱりだ。弾は≪一発≫しか撃たれていなかった。まだ、弾は残っている。

 一発だけ、彼は撃っていたんだ。その勇気が、彼にはあったのだ。氷川は、それを確認するとゆっくりと立ち上がり、その拳銃をバーロ兵に向けた。

 

「僕も戦う。ただの人間として、そして……≪氷川誠≫として……」

「氷川警視……」

「氷川……」

 

 たとえ今の自分ではどうにもできないかもしれない。それでも、決してあきらめない。最後の最後まで、戦う。あがき続ける。自分が生きるために。死にあらがうために。

 そして、市民の平和を守るために。

 二十年前の、あの時のように。どんなに絶望的な状況に陥ったとしても、決して、迷うことなく、戦い続けて見せる。

 その時、バーロ兵の口が開いた。氷川は、そこに向かって一発の弾丸を放とうとした。

 しかし、その弾が発射されることは、永遠になかった。

タイトル、また変えようと思ってます。今度はシンプルに。でもそんな頻繁に変えていいものかと思ったので、ちょっとアンケートとります。なお、前提としてSAO、あるいはソードアート・オンラインを頭につける事としてます。よろしければお答えください。

  • ヴァルキリーズfeatボーイ
  • プロジェクトSAO
  • アルティメットカオス
  • 無への逃走
  • 肯定あるいは否定
  • フィクションスターズ
  • 〜いろんな著作物から以降はいらない
  • タイトルはそのままでいい
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