SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO   作:牢吏川波実

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外伝 メインシナリオ 第一章 15話

『氷川さん! 伏せてください!!』

「ッ!」

 

 その声が届くのが先だったのか、それとも彼の第六感という不思議な力が作用いたのが先だったのか、バーロ兵に向けて銃口を向けていた氷川誠が身体を伏せた。

 その瞬間だった、彼の頭上を一つの小さなミサイルが飛んで行ったのは。ミサイルは、一切の躊躇を見せることなくバーロ兵の軍団に向かっていき、その先頭に激突した瞬間に起動、巨大な爆発を起こした。

 その爆発は、先ほどのバーロ兵のビーム兵器の威力に勝るとも劣らないような爆撃で、立ち込めた爆炎の中から香鉄が焼け解けた匂いに思わず角田も顔をゆがませるほどだった。

 

「なんだ!? 今のミサイル!?」

「今のは確か、GXランチャーの……まさか!」

 

 氷川には、そのミサイルの形に見覚えがあった。至極当然の事であろう。なぜならその武装は、二十年前、自分があの装備を身に着けていた時に使用していた武装の一つであったから。

 それに先ほど自分に指示を出していたあの声。それにも聞き覚えがあった。くしくも、同じ二十年前の事。

 まさか、そう考えた彼が振り返った。そして、彼は目にした。横一列に隊列を組んでこちら、否自分の向こうにいるはずのバーロ兵に向けてサブマシンガンを構える≪青い鎧≫に身を包んだ戦士たちの姿を。

 

「G3……」

 

「そうか、間に合ったか!」

 

 本部にいる大岩のもとにきっぼうが届けられた。周囲の者からしたら、彼の顔の変化こそは微々たるものだが、しかしその声色からとても喜ばしいものが届けられたということを瞬時に把握した。

 大岩はそれからいくつかの指示を飛ばすと、受話器を置き、ゆっくりと椅子に座った。

 それがあたかも導火線の先の先であったかのように、周囲にいる捜査員たちが大挙して大岩に聞く。

 

「一課長、今の電話はどこからの?」

「尾室隆弘。G3ユニットの統括主任だ」

「G3ユニットって、あの!?」

 

 G3ユニット。それは今から二十数年前に突如として出現した未確認生命体、正式名称グロンギに対処するために警察が組織した警視庁未確認生命体対策班内に設立された特殊部隊の名称である。

 その力は結局のところ未確認生命体の出現が沈静化されたことによって使われたことはなく、変わるかのように続出したアンノウンに対して使われることとなった。

 当初は、アンノウンという強大な力を持った敵に対してほとんど抵抗すらもできないほどで、多くの敗北を重ねたが、しかしアンノウンとの戦いが熾烈を極めるにつれ、G3の改良、開発を続けていくことによって、最後にはアンノウンと互角以上に戦うまでに成長していった。それが、G3。そしてG3ユニットなのである。

 尾室隆弘という人間は、そのかつてのG3ユニットのメンバーの一人であり、当時はオペレーターとして活動していた。主任である小沢、装着者の氷川が抜けたことによってただ一人残った形となった尾室。再び人類にあだ名す存在が現れた時のために、彼はG3の装着者を育て上げ、また統括する立場となり、現在に至る。

 

「ですが、G3は以前にあった古代の王が復活した事件の際そのほとんどが破壊されたと聞きましたが……」

 

 と、捜査官の一人が言う。彼のいう通り、かつてのその事件の際、G3ユニットは誰よりも率先して前線に赴き、そして強大な力を持った800年前の王と戦った。むろん、勝ち目がある戦いではなかった。しかし、それでも危険な戦いに赴いた彼らのことを無謀者と笑う者はいないだろう。

 結果的に二十年の間にも改善を繰り返していたはずのG3も、歯が立たなかったのは事実。しかし、時間稼ぎをすることができたのもまた事実だった。

 その激戦においてG3はその大半を再起不能といわれるくらいまで破壊されたはずなのだ。

 

「そうだ。しかし、人類の敵がまたいつ襲ってくるかわからない。そのため、急ピッチで修理しなおしたということらしい」

「いや、でも急ピッチって……大丈夫なんですか?」

 

 確かに、急ごしらえの装置を使って大騒動になるなんて話よくある。たとえ数だけ揃えられたとしても、表面上だけがしっかりしているだけだったら意味がないのではないだろうか。

 

「心配はない。G3システム……その生みの親が駆けつけてくれたからな」

「生みの親?」

 

 そして、再び場面は現場へと移る。

 そこは、まるで戦場のようだった。多くの銃弾が飛び交い、またビームが放たれ、地面は陥没し、近くにあるビルというビルの窓が割れて降り注ぐ。

 しかし、違うところも確かにあった。それは、一方的ではないということ。先ほどまでは、ただただ蹂躙されるしかなかった立場である人間たちであるが、今では攻勢に回っている。もちろん、その理由はただ一つだった。

 そう、G3である。

 現場に到着したG3は、総勢十二人。しかし、そのほとんどが氷川誠が抜けた後すぐにG3ユニットに配属になった古株である。先ほどまで拳銃が通じず歯が立たなかったバーロ兵たちが、次から次へと鉄くずに代わっていく様子は、見ていて痛快といってもいいほどだ。

 このままならいけるか。いや、敵は続々と増えつつある。ここは、ダメ押しが必要のはずだ。そう角田は考えていた。その時である。

 

「角田課長!」

「へ?」

 

 角田の前に現れた人物。それは、先ほど氷川に向けて声をかけていた尾室だった。現場を指揮するはずの人間が前線の前線にまで来てどうするんだと言いそうになったがしかし、それを遮るかのように尾室は後ろに引き連れてきた部下たちとともにいくつかのアタッシュケースを運び、角田たち捜査官の前に置いた。

 

「なんだ、これ?」

「神経断裂弾です」

「あの未確認の時の弾か!?」

 

 神経断裂弾は、かつて未確認生命体が多くの人命を奪っていた時にある科学者が発明した兵器だ。たとえ強靭な肉体を持った生物であったとしても、その弾を打ち込めばその身体の中で連鎖的に爆発することによって通常の弾丸をはるかに超える力を発揮する物だ。

 開発されたのは未確認の事件の終盤も終盤で、その使用回数もさほど多くはなく、それに、そのあまりの威力のために危険であると判断した上層部によって封印されていた。しかし今回の数多くの敵の同時出現に際して上層部がその重い腰を上げたそうだ。

 

「これを使ってください。角田課長」

「よし……わかった。おい! 早く銃をとれ!」

「はい!」

 

 角田のその号令で、周囲にいた多くの警察官がアタッシュケースの中に入っていた、当時使用されていた拳銃と、弾を取り、装填していく。この力、確かに人類には過ぎたる力であるのかもしれない。だが、それでもこれで市民の平和を守ることができるのならば。

 

「しかし、司令が前線に出てきて大丈夫なのか?」

 

 と、ここでようやく角田が尾室に最初の疑問を聞いた。

 それに対して尾室はやや困ったような笑みを浮かべて言う。

 

「あっ、いや……その、先代が戻ってきまして……」

「先代?」

 

 先代とは、いったい誰の事であるのか。

 その答えは、G3の現場指揮本部として稼働していたG3の基地、G3トレーラーの中にあった。

 G3トレーラーの内部。そこには数多くの武器やG3の予備のアーマーが置かれており、二十年前の時のそれとは明らかにグレードアップしたものとなっていると、久々にG3トレーラーの中に入った氷川は思っていた。

 それにしても、何故自分がここに呼ばれたのか。目の前にいる十数年ぶりに会った彼女は知っているのか。いや、気になることはそれだけじゃない。この場所にここまで過剰なばかりに戦力を送っていることも気にかかる。

 確かに、バーロ兵の力はとんでもなく、G3ユニットが来てくれなかったら自分たちは危なかった。だが、何もここまで戦力を一点に集中していいものなのだろうか。

 

「よかったんですか? G3をこの場所に集めて、他の場所にも分散させた方が……」

「大丈夫よ。G3ユニットは私たちがいた時よりも戦力は十分に増しているわ。ちゃんと、他の場所にも派遣できるぐらいにね。それに、ICPOからお客さんも来ているみたいだし、ZECTや鴻上ファウンデーションも戦力を出してくれているそうよ」

「そうなんですか……」

 

 ZECTは、かつて加賀美新が所属していた組織の名称だ。いや、彼は最近ワームの襲撃が活発化していることもあって警察の職を続けながらも再びZECTに戻って戦うという二足の草鞋を履いているのだが。

 ともかく、ZECTにはゼクトルーパーという対ワーム専用の特殊部隊がある。それらが動き出したということか。

 鴻上ファンデーションはとある一年間の多くの出来事の元凶として知られている鴻上光生が会長を務めている会社で、先日の事件の折復活した800年前の王の子孫にあたる人間だ。

 彼らも彼らで独自の私兵であるライドベンダー隊や、仮面ライダーバースという戦力を持っているため、それらを動かしてくれているのだろう。

 ICPOつまり、インターポールからのお客様というのに心当たりはないのだが、いったい何者なのだろうか。いや、今は今この時の事を考えるべきであろう。

 

「それにしても小沢さん、いつ日本に戻ったんですか?」

「この前の事件の後よ。G3の修理のために私の力が必要だって言われてね」

 

 彼女の名前は小沢澄子。十二歳の時にマサチューセッツ工科大学に入学、十五歳で博士課程を主席で修了したという秀才にして、二十年前のG3ユニットの主任。そして何よりもG3の設計、開発に携わった天才である。二十年前にアンノウン事件の一通りの終息を見た彼女はその後、警察を辞職してイギリスにある大学にて教授になった。

 しかし800年前の王復活事件で壊滅的打撃を受けたG3の修理の中でどうしても小沢にしかわからないようなブラックボックス化した部分があったために日本警察の依頼によって帰国し、その修繕に協力していたのだ。

 そして、その修理もようやく終わりが見えた矢先のこの事件。小沢は上層部に対してG3による早期の解決を進言。結果、なし崩し的に≪何故か≫現主任の尾室を差し置いてG3ユニットの指揮を任されることとなってしまったのだ。

 

「それじゃ、この事件が終わったらまたイギリスへ?」

「そのつもりだったけど、止めたわ」

「え?」

 

 氷川は、その場にあった椅子に座りながら何気なしに行ったその言葉に当惑した。

 

「いくら開発と運用がこなれているからといって、G3はもう二十年も前のシステム。この前の事件の時がそうであったように、いくら運用がしやすくても歯が立たないんじゃね」

「確かに……そうですね」

「というか、私が開発したG3がオモチャみたいに通用していないのになんか腹が立ったわ。今度王が復活した時にはコテンパンにできるくらいのを作らないと、私の気が済まないのよ」

「そ、そうですか……」

 

 どこか子供っぽい理由の気もする。しかしある意味そういう人間の開発できるものの限界までチャレンジするというその精神は二十年前と一切変わっていない。ある種でのなつかしさのようなものを感じる氷川に対し、小沢は言う。

 

「ということで氷川君。あなたにもあたらしいGシリーズの開発を手伝ってもらえるように上層部に掛け合ったからよろしくね」

「え!?」

 

 この強引さもある意味変わらないというかなんというか。

 いきなりの人事異動に少々驚いたところはある者の、だが久しぶりにG3などのようなGシリーズに携わることはどこかうれしいものがある。まるで、自分の原点に立ち返ったかのようだ。

 

「それじゃ、まずはデータ収集から……実践データを取りましょうか」

「実践データ?」

「えぇ、そのためにまず……警視庁で尾室君が大層大事に保管しておいたこれを装着してもらうわ」

「これは……」

 

 そして、小沢がGトレーラーの一つのボタンを押した瞬間、ある扉が開かれた。果たして、その中に入っていた物は―――。

 

「G3-X……」

 

 G3の発展改良型タイプであり、二十年前に最後に自分が装着していた戦士の証。アンノウンの事件が終わった直後、自分が辞め、誰も装着することができなくなったがために、てっきり廃棄処分にでもなった物だと思っていた。まさか、尾室が残しておいてくれたなんて。

 見たところ、あの戦いでできた大きな損傷はおおかた補修されているようだ。

 

「行けるわね、氷川君?」

 

 そう、聞かれた氷川誠。返事は、たった一つしかなかった。

 

「はい……G3……いや、仮面ライダーG3-X……出動します!」

 

 かつて、≪仮面ライダーになろうとした男≫は、再び仮面ライダーとして出撃する。市民の平和を守る。警察に所属する仮面ライダーとして。

タイトル、また変えようと思ってます。今度はシンプルに。でもそんな頻繁に変えていいものかと思ったので、ちょっとアンケートとります。なお、前提としてSAO、あるいはソードアート・オンラインを頭につける事としてます。よろしければお答えください。

  • ヴァルキリーズfeatボーイ
  • プロジェクトSAO
  • アルティメットカオス
  • 無への逃走
  • 肯定あるいは否定
  • フィクションスターズ
  • 〜いろんな著作物から以降はいらない
  • タイトルはそのままでいい
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