SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO   作:牢吏川波実

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 今回ちょっとしたサプライズ要素を含めました。
 外伝メインシナリオの総仕上げです。
 なお、感想などで、他のヒーローの活躍も見たいとの声をいただきましたが、長々と書くのもどうかと考えた結果。
 ≪ICPOからのお客さん関連の話≫
 ≪キラメイグリーンとゲキレッド、そして参戦作品には載せない予定の作品の話≫
 ≪仮面ライダーゴースト勢の本格的な戦闘≫
 ≪緋弾のアリア、探偵学園Qの話≫
 が、いわゆるディレクターズカットとなりました。


外伝 メインシナリオ 第一章 16話

『葵! 紫穂!!』

『だめだ! 薫!』

『離してよ皆本! こんな機械、あたしが壊して!』

『さっき宇宙警察から連絡が来ただろ! ナーヴギアの中には例の装置が埋め込まれている……超度7でも壊すことはできない!』

『ッ、くっそぉぉぉぉぉ!!!』

 

 思い出すのはあの日の一コマ。目を閉じれば蘇るのは彼女たちの寝顔。そして、これまで彼女たちと歩んできた数々の日常。

 一緒に笑いあい、泣いて、喜びあって、苦しい時に励ましあった家族といっても差し支えのない二人の少女。

 思い出を分かち合い、これから先何があったとしても離れることはないと信じていた二人の家族。

 あの日、ソレが奪われた。ザ・チルドレンの野上葵と三宮紫穂の二人は、SAOにとらわれてしまったのである。例のSAOのニュース速報を聞いた彼女は、すぐさま家の寝室で眠っている二人の仲間を助けるために超能力を使おうとした。

 でも、使えなかった。皆本のいうように、一緒に茅場晶彦について調査をしていた宇宙警察から連絡が来たからだ。それによると、茅場晶彦が宇宙の運び屋から買っていた物は、その運び屋の脳内に埋め込まれていた機械と全く同じものだったのだ。

 しかもそれを一万個以上買っていたということが判明した。SAOの販売本数が一万個。そして他人の能力を阻害する力を持った機械が一万以上。これは何かの偶然か、そう考えていた中での出来事だった。

 どうして、彼女たちが閉じ込められなければならないのか。何故、あの時自分はSAOをプレイする者を決めるジャンケンで負けてしまったのかと、悔やみに、悔やみ続けた。

 変わることのない時間だと思っていた。いつまでも、ずっとずっと一緒にいられると思っていた。そんな家族を奪われた。明石薫の絶望は、底知れぬものであっただろう。

 そして、それは現場運用主任として、そして彼女たちの保護者としてずっと一緒に暮らしてきた皆本光一もまた同じことだった。どうして閉じ込められたのが自分じゃなかったのか。何故、彼女たちの人生を滅茶苦茶にされなければならないのかと、募る思いがあった。それから四日間は、正直何も手に付かず、仕事にも向かうことができなかった。

 そんなときに、警視庁からB.A.B.E.Lにもたらされた応援要請。様々な場所で立ち往生している救急車がいると言いう連絡を受けたザ・チルドレン。職業病であるのか、果たして使命感であるのか、それともまた別の理由だったのか。驚くほどにすんなりといつもの制服に袖を通した二人。

 いつもだったら、三人で出るのに今日は、今日からはたった二人のザ・チルドレン。タンスに残った二つの制服を見た薫は、ギュッと音が鳴るくらいに拳を握る。決意を新たにするように、そして―――。

 

「薫、準備はいいか?」

「うん、いつでも行けるよ……皆本」

 

 作戦は、ついに最終段階に移行していた。

 

 

「全く、通行規制なんてまどろっこしいことをしているから渋滞や事故が起こる……」

 

 眼鏡をかけた青年と少年の間くらいの男性。彼は、病院の前で手に持ったタブレットPCを操作しながらそうつぶやいた。

 彼、鳳鏡夜は今回のこの移送作戦に際して、その規模の大きさ、また時間帯を考慮して渋滞や事故などのあらゆる可能性をシミュレーションしてきた。もちろん、警察もそのシミュレーションを行っていた。だからこそ、交通規制という方法を用いて被害者を安全に病院などの施設に運べるように努力はしていた。

 しかし、結果的に渋滞がいたるところで発生し、動けなくなってしまうということが多発していた。そもそも人命がかかっているというのにそんなまどろっこしいことをしているなんてナンセンス。

 やるときは徹底的にやらなければならない。そう、彼は考えていた。

 その時、黒いスーツに身を整え、サングラスで顔を隠した数名の男性が彼の元に近づいた。

 

「鏡夜様、桜蘭高校から病院までの道、その半径百メートルまでの道の封鎖が、完了しました」

「ご苦労……謝礼はいつも通り」

「はい」

 

 彼らは、プライベートポリス、つまりは、SPという物だ。

 そう、鳳鏡夜が考えた大胆な作戦。それは、被害者がいる場所から病院までの道、のみならずその近くまでの道を完全に封鎖してしまうということだ。

 もちろんそんな作戦ただのSPだけではできる物ではない。大病院の院長である父のあらゆるコネを使用し、国交省などの関係部署への根回しも決して忘れず行っている。

 また、どうしても交通量の多くなる道も外すことによって交通網への被害も最小限に抑えこんでいるつもり。なおかつそれによって実際に被害を被ることになる会社などへの詫び金、もとい謝礼も抜かりない。

 大胆不敵とはまさしくこのことか。と言いたくなるようなこの作戦。実のところ今回が初めてではなかったりする。彼の親友である環の、一時帰国した母親が自分の国に帰る時にも、同じような作戦をとっていたのだ。今回はその経験が役に立って何よりだ。

 だが。

 

「ッ……いかんな、あの時の事を思い出そうとすると頭が痛くなる」

 

 なぜだろうか。その時の事も含めたいくつかの事柄を思い出そうとするとすぐに頭が痛くなる。検査もしたが異常はないと言われてしまったし、全く持って原因は不明。

 一体自分の身体に何が起こっているのか。常日頃として考えてはいるもののどうにも答えは出てこない。

 とにかく、今は彼女の到着を待つべきだろう。

 桜蘭高校の保健室で眠りに入った彼女の到着を。

 なお、余談ではあるが彼と同じ作戦をとった人間がほかにも何人かいたそうだ。

 

 

念動(サイキック)・ダイナミック救急搬送!!」

 

 一方、また別の場所。そこでは救急車が空に浮いていた。いや、別に空を飛ぶ車であるというわけではない。本当に普通の車が空を飛んでいたのだ。

 渋滞に入り、身動きの取れなくなっていた救急車。他のソレと同じようにタイムリミットが近づき、慌てだした彼らを救助したのは、赤毛の少女であった。

 

『薫! 焦らなくていい! まだ時間は十分にあるんだからな!』

「分かってる!」

 

 念動力者の本領発揮である。明石薫は、救急車の天井に昇り、念動力によって、救急車を持ち上げて空を飛ばしているのだ。どうやらナーヴギアに搭載されている例の装置は、どうやらその使用者本人と関連する機材にしか反応しないらしい。

 その様子を間近で見ることはかなわなくても、救急車の中から皆本もまた通信機を使用して指示を飛ばす。このスピード、そして病院への距離を考えるとおそらくタイムリミットに至る前に到着することはほぼ確実。それは薫もわかっているはずだ。

 しかし、皆本には分かる。彼女がどこか焦りを感じているということを。きっと、彼女は考えているのだろう。今、自分が運んでいる救急車のほかにも数多くの場所で立ち往生している救急車があるのだと。そして、その救急車の中にいる自分の友と同じく、SAOに閉じ込められたプレイヤーの命の危機が迫っているのだと。

 だから、早くほかの場所にもいかなければならないと、責任感を感じているのだろう。

 けど、焦燥感はつまらないミスを引き起こしかねない。早く、彼女を落ち着かせなければ。

 

『かお……』

 

 そう、考えた皆本が言葉を発しようとした。その瞬間だった。

 

≪そんな、心配せんでええって≫

≪薫ちゃんなら、大丈夫だから≫

「え……」

 

 薫の耳に、そんな声が聞こえてきたような気がした。今のは、幻聴、あるいは、妄想。どちらかはわからない。でも、彼女には二人の、そんな声が聞こえてきたような気がした。

 

「皆本、今の声……」

『声?』

 

 どうやら、皆本には聞こえなかったらしい。ということは、やはり自分にだけ聞こえてきたのか。あの声は、友からの励ましは。

 そうだ、自分は一人じゃない。たとえ心が離れていても、二人はいつも一緒にいてくれる。いつだって、どんな時だって。葵がいて、紫穂がいて、そして皆本がいる。それでザ・チルドレンなのだと思っていた。

 でも、違う。

 

『薫?』

「大丈夫、安心して皆本……私は」

 

 自分たちはたとえどれだけ遠くに離れていても、身体がすぐ近くになかったとしても、自分たちは。

 

「特務エスパーザ・チルドレン、明石薫だから!」

 

 その声は、先ほどまでとは違う。全然明るい声だった。皆本は安心した。どうやら、彼女の精神状態は平常時に戻ったようだ。しかし、彼女の言った声とは一体何だったのか、そしてその正体が何なのか。

 いや、今はそんなこと関係ない。今は、自分たちのやるべきことをやるだけ。彼女が、そうであるように。

 ザ・チルドレンは前に進み続ける。家族の、そして友の帰還を信じて、前に、前に、前に。

 

 そして、ついにその時が来る。

 

「熱田充瑠さん! 到着しました!」

「よし、行くぞポッピーピポパポ」

「うん!」

「来生愛さんの搬送を完了しました!」

「天海響さん、並びに神山美月さん! 搬送しました!」

「日奈森亜夢さん搬送! おい、お前も手伝えよ!! ……え? あぁ、そうかよ! たく、お前ってやつはいつもいつも!」

 

 各地での搬送作業。たった数時間のうちに何万、十数万もの人間がそれぞれに動いた大騒動もついに幕引きの時が来た。

 

「もしもし? わかりました……一課長。全被害者の搬送作業が、今しがた終わりました」

 

 小山田の言葉に、作戦の総合本部の中にいた全員が黙り込んだ。最後の最後、全被害者の搬送作業が終わったその時には、まず自分に電話をかけるようにと、小山田は担当部署の方に頼み込んでいたのだ。最後、大岩に伝える役目は、自分が一番の適任であると、そう考えて。

 その場にいた全員は、誰もが小山田の方を向いた。大岩もまたそうだ。誰もが、今回の作戦の結果を気にしていた。その理由はもちろん、全員が搬送に≪成功≫したのかどうかを知りたかったから。

 今回の作戦。入念な準備をしてきたつもりだった。しかし、ふたを開けてみれば想定外の、そして想定することのできないようなトラブルの連続で、結果的に多くの人間を混乱させることとなってしまった。

 犠牲者が出た可能性がある。SAOプレイヤーのみならず、捜査官の中にも何人か。

 

「それで、結果は……」

 

 大岩が聞いた。一体、何人が≪失敗≫してしまったのか、と。

 現場に緊張の色が見える。まるで永遠にも思えるような沈黙。時間が静止してしまったかのような感覚。日本中の全警察官、救急隊員、医療従事者。その全てが協力し合った前代未聞の最大の作戦。その成果は果たして―――。

 

「SAOプレイヤー」

 

 果たして―――。

 

「並びに搬送関係者」

 

 果たして―――。

 

「死亡人数は……」

 

 ―――。

 

「……0人です。作戦≪成功≫です。一課長」

「……………………そうかッ!」

 

 作戦という筒の中から、大きな花火が打ちあがった。それは、満開の桜を思わせるくらいに綺麗に咲き誇り、この数時間泥沼のような緊張の中にいたすべての笑顔が花開いた。

 

「よっしゃあぁぁぁ!!」

「うぉぉぉぉぉ!!!」

「ありがとう、みんな……よく頑張ってくれた!」

 

 そして、その歓喜の報告は現場にも。

 

「よぅし!」

「やったぞッ!!」

 

「やりましたね」

「あぁ、ここまでは試運転だ。ここからが本番……これから忙しくなるぞ、霧子」

「はい!」

 

「右京さん! 全員搬送できたって!」

「えぇ、そのようですねぇ」

 

「やれやれ、一時はどうなることかと……」

「油断するなよ目暮。事件はまだ続いているんだからな」

「そうでしたな、松本管理官」

 

「もう疲れたぁ……」

「ポッピーピポパポ、これからもその調子で頼むぞ」

「えぇ!? これからもこんなに忙しいの!? もう、ピプペポパニックだよぉ~」

 

「全バーロ兵の破壊を確認しました」

「まだ残党が潜んでいるかもしれない。くれぐれも注意を怠らないようにしろ」

「はい」

「終わったか……」

「氷川! おい、氷川、大丈夫か?」

「角田課長……えぇ、ブランクはありましたけどなんとか……角田課長こそ、大丈夫ですか、その傷」

「傷? あぁ、こんなの日常茶飯事よ」

「そうですか……」

「それより、コレからも頼むぞ! 仮面ライダー!」

「ッ! はい!」

 

「たく、気絶するんなら病院の目の前でしてくれよ。おい、起きろ! 天道!」

「樹花、ひより……」

 

「お父さん、大丈夫!?」

「あぁ、マトイさんに、助けてもらったんだ」

「マトイさん?」

「あぁ、そうさ」

「……任務完了!」

 

 誰もが、喜びに包まれていた。

 大事な任務が終わった安堵。すべての人間を救えたという安堵。そして、これから自分たちが真にやるべきことに対しての責任感。

 この事件はまだ終わっていない。いや、むしろココからが始まりなのだ。最初に、大岩が言っていたように。

 

「ひと段落ですね、一課長」

「あぁ、しかしまだ事件は始まったばかりだ。茅場晶彦を逮捕する。それがこれからの……俺たちにかせられた責務だ」

「えぇ」

「だが、今は喜ぼう。一時の平穏を、助けられた命を……喜ぼう」

「……そうですね」

 

 そう、今は喜ぼう。この一時の幸福を。これから続く数多くの危機に乗り切るための前夜祭として、事件解決までの糧として語り継いでいこう。この奇跡の移送作戦の成功を。

 SAOの世界内部で、戦う者たちがいる。

 しかし、その外側でも戦っている者たちがいる。

 戦いは、まだ始まったばかりである。




 次回、12時ごろに投稿される短いエピローグにてこのメインシナリオ外伝、第一章はおわります。
 そして、現在、メインシナリオ第二章を執筆中。
 なのですが……自分でも想定外の人選になってしまいました。テーマを絞ってキャラを集めたら、思いがけず声優ネタ祭りになってしまうなんて……。
 流石にこのアニメは大丈夫だよなぁ〜と思ったやつも、よくよく考えたらそっちもそっちで声優ネタになってしまうと言う衝撃。
 個人的に声優ネタは使いたくないのに、結果論として声優ネタだと断言されてしまう程の、露骨な人選となってしまいました。
 とりあえず、頑張って書いていきますので、応援よろしくお願いします。

タイトル、また変えようと思ってます。今度はシンプルに。でもそんな頻繁に変えていいものかと思ったので、ちょっとアンケートとります。なお、前提としてSAO、あるいはソードアート・オンラインを頭につける事としてます。よろしければお答えください。

  • ヴァルキリーズfeatボーイ
  • プロジェクトSAO
  • アルティメットカオス
  • 無への逃走
  • 肯定あるいは否定
  • フィクションスターズ
  • 〜いろんな著作物から以降はいらない
  • タイトルはそのままでいい
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