SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO   作:牢吏川波実

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メインシナリオ 第二章 1話

 一万人のプレイヤーが閉じ込められてから二週間、そして私にとってのSAOが始まってからすでに一週間という、長いようで短い時間が過ぎていった。

 私が決心をし、心理的な閉鎖空間である始まりの町を飛び出してから今日まで、多くのモンスターと戦って、たくさんのアイテムを手に入れて、色んな景色を見て、たどり着いたのは、とてものどかな農村でした。

 茅葺き屋根の家々が立ち並び、その近くには畑も見える。そんな田舎の小さな村を思い出させる趣に、別にそのようなところに言ったこともないはずなのに、最初に来た時にはなんとなく、故郷に帰ったかの様な錯覚をしてしまった。

 頭の中では、そもそもこの世界は偽物の世界であるのだということをわかっているはずなのに、そんな望郷の念を奮い立たせてしまうなんて、茅場晶彦が恐ろしいのか、それとも人間としての心理なのかはわからない。でも、これまで見てきたどの町よりも日本らしい景色を見れたことは、喜んでいいのかもしれない。

 私、エイミーはその茅葺き屋根の家々の中にある一つの宿を借りて、そこを拠点として近くでレベルアップを目指していました。

 民泊形式で泊まらせてくれたその宿では、毎朝朝食に近くの畑でとれた〈新鮮な野菜〉を一定個数、その宿の持ち主であるお婆さんがくれます。私は、なぜかそれが気に入っていました。自分が現実で暮らしていた家では、父が家庭菜園をやっていて、たまにその菜園で採れた野菜が食卓に並ぶことがあったからかもしれません。

 私は、その村で宿を取ってます。そこでもやっぱり、あの悪夢は見てしまう。友達に、毎日、毎日置いていかれる。そんな悲しい夢。

 そんな夢を見た後に、朝ごはんを食べ、元気がついたら飛び出していって、モンスターを狩って夕暮れ時になったら帰ってくる。そんなことを繰り返していたら、いつのまにかレベルは5。これが果たして、強いのか弱いのかはよくわかりませんが、とにかくこれだけは言えます。

 私はまだ、この世界で生きている、と。

 

「これで、最後っと」

 

 エイミーは、畑で熟れに熟れたトマトに似た野菜のヘタと、そのヘタと繋がっている茎の境目付近にハサミを潜り込ませ、切る。

 すると、野菜はないはずの重力に引かれるかのように地面へと落ちようとする。ここで、もし野菜を落としてしまったら、減点対象となってしまうのだ。

 エイミーは、同じような種類の野菜が大量に入ったカゴをその野菜のすぐ下に潜り込ませた。落ちていった野菜は、まるで導かれるかのようにそのカゴに向かっていき、まるで自分の居場所がそこであったかのように仲間達の中に入り込んでいった。それを確認したエイミーは、もう野菜が残っていないことを確認してカゴを持ち上げ、畑の入り口へと向かう。

 そこには、やや現実離れした紫色の髪の毛と、どこの老婆にでもありそうなシワを持った女性がいた。

 

「おばあさん、野菜全部採れたよ」

「旅人さん、ありがとう」

「どういたしまして」

「これはほんのお礼よ、受け取ってちょうだい」

「ありがとうございます!」

 

 エイミーがそう答えた瞬間、彼女の目の前にクエスト達成、並びにいくつかのアイテム、コルの入手を告げるウィンドウが現れた。

 そう、これはクエストであるのだ。それも、モンスターと戦う、遠い場所にあるアイテムを取ってくる等の危険な部類のクエストではなく

終始安全な村の中で行われるクエスト。

 その分お礼として支払われるコルも大したことはないが、しかし逐一危険な真似をしてモンスターと戦うよりもよっぽど効率がよくてお手軽に稼ぐことができる。

 それに、例えNPCのキャラクターであるとはいえ高齢者のお手伝いができるのだ。自分にとってこれほど嬉しいことはない。

 クエストが終わった後には、おばあちゃんのNPCからちょっと長いけどためになる世間話も聞けることも相まって、彼女はこの村に来てもう十回くらいは野菜を採っている。多分、この世界にいるプレイヤーの誰よりも野菜を収穫するのが得意となってしまっただろう。

 

「ーーー旅人さん。夫のように無茶だけはしないでね」

「はい、分かりました」

 

 どうやら、これで今日の世間話は終わりであるようだ。今日の話は、彼女の夫が数十年前に近くの森に凶悪なモンスターが現れた時に討伐隊として赴いたという話だった。

 残念ながら、男性はその時のモンスターに敗れて帰らぬ人となってしまったらしく、今でも旅人がその森に入るたびに不幸なことが起こらないかと心配しているのだとか。

 とても、心優しいおばあちゃんだなと、エイミーは思った。でも、こんなに優しい人間のように見える人でも、その実はゲームキャラという意識のないプログラム。それが、彼女にとってとても残念でならなかった。

 

「ふぅ……」

「?」

 

 ここで、エイミーは不思議に思った。彼女のこんなため息を聞いたことがなかったからだ。

 このクエストが終わって、彼女の話をききおえたら、おばあちゃんはいつも自分の住まいの方に戻っていくのに、今日は深いため息をついて左手をサラサラと撫でている。

 なにかいつもと違う。そうエイミーが感じた瞬間だった。

 

「え?」

 

 金色のびっくりマークが、彼女の上に現れた。これは、まさしくクエスト受注のマーク。でも、いつもとは様子がおかしい。

 普通なら、このクエストは時間を空けないともう一度受注することができないのに、一体、これはどういうことなのか。とりあえず、エイミーは彼女に声をかけた。

 

「あの、何か悩み事ですか?」

 

 それは、いつも彼女の野菜採りを手伝うときに、そして彼女がクエストを受注するときに使っている定型分だ。もしも、彼女の上に現れた!がクエスト受注待機のモーションであるのならばこれで反応が返ってくるはずなのだが。

 と、その時、!が?に変わって点滅を始めた。やっぱり、これはクエストなのだ。でも、何だろうこの違和感は。おばあちゃんはやや考え込んだ後にエイミーに向けて言った。

 

「こんなこと、頼んじゃいけないと思ってるんだけどねぇ……」

「聞かせて、おばあちゃん」

「実はね……」

 

 話を聞くに、どうやら先ほどの彼女の話に出てきた夫に、彼女は指輪を渡していたそうだ。桃色の宝石が輝くとても綺麗な指輪を。

 危険なモンスターの討伐となる。帰ってくる保証はないと聞いた彼女は、夫の無事を祈ってお守りとして自分が夫から結婚の際にもらった指輪を渡していたのだ。

 しかし、そのかいなくどちらも帰ってくることはなかった。指輪も、人も。その人いっしょに討伐に向かった人間によると、モンスターは男性を武器や防具もろとも飲み込んでしまって、森の奥に逃げていってしまったそうだ。つまり、彼女の渡した指輪も、飲み込まれてしまったのだろう。

 クエストは、その指輪をモンスターから取り戻して欲しいというものだった。お礼として、自分が昔愛用していた武器を渡すと言われたエイミーは当然のようにクエストを受諾した。

 

「わかりました。絶対に、指輪を持って帰ってきます! だから、待っていてください!」

「お願いね、旅人さん……」

 

 エイミーは、そういうと畑から飛び出した。突如として降って湧いた特別な、そして謎のクエストに混乱はしたものの、クエストであるというのならば参加しない手はない。それに、自分が本気で戦ったらどれくらい強いのかも試しておきたいという気持ちもあるし、このクエストは力試しにはいいものだと、そうおもった。

 なにより、例え偽物であるとはわかっていても、大切な人からもらった指輪を取り戻したいというおばあちゃんの気持ちを考えたら、断る気持ちにはなれなかった。

 でも、彼女は過ちを犯した。

 自分を過信しすぎたこと、そして、よくわからないクエストをよく知らないうちに受注してしまったこと。それが、まさかあんなことになるなんて、この時の彼女は知る由もなかったのだ。

 こうして、エイミーの危険なミッションが幕をあける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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error……

 

 

不明のクエストが受注されました……

 

 

クエスト名……

 

 

〈戻らずの指輪〉

 

 

プレイヤー名……

 

 

エイミー……

 

 

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error……

 

 

検索中……

 

 

検索結果が出ました

 

 

鹿目まどか

 

 

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error……

 

 

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loading……

 

 

ダウンロードが完了しました

 

 

インストールを開始します……

タイトル、また変えようと思ってます。今度はシンプルに。でもそんな頻繁に変えていいものかと思ったので、ちょっとアンケートとります。なお、前提としてSAO、あるいはソードアート・オンラインを頭につける事としてます。よろしければお答えください。

  • ヴァルキリーズfeatボーイ
  • プロジェクトSAO
  • アルティメットカオス
  • 無への逃走
  • 肯定あるいは否定
  • フィクションスターズ
  • 〜いろんな著作物から以降はいらない
  • タイトルはそのままでいい
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