アルベドが執務室で仕事をしていると戦闘メイドのエントマからメッセージが届いた。
「アルベド様、侵入者がただいまシャルティア様と戦闘中の模様です。」
「シャルティアが相手していて問題が?」
「いえ、まだ何も問題はないのですが何分、戦いが拮抗していまして」
「シャルティアが手こずるなんて珍しいわね、そもそも侵入者なんて初めてかしら。それで敵の人数は?」
「一人です」
「は?一人?!」
「はい。なので報告させてもらいました。」
「そ、そう。分かったわ。仕事に戻りなさい」
「かしこまりました」
(シャルティアが相手一人に苦戦、、、相手は100lvに近いもしくは100lv。
可能性としてはシャルティアを洗脳した奴ら、まだ接触したことのないこの世界の強者、もしくは私たちと同じ。
どちらにしても確認してからアインズ様に報告するべきね。)
と考えたアルベドは頭の中で練っていた計画をひとまずやめてミラーオブリモートビューイングのある部屋まで向かった。
そこで見た光景にアルベドは驚愕した。少しではあるもののシャルティアが押され始めていたのだ。
これはまずいと思ったアルベドはすぐさま主人へとメッセージを飛ばしたのだった。
一方エランテル近郊でギルドからの指名依頼であるギガントバジリスクの討伐を終えたアインズはギルドに向かっている途中だった。
するとそこにアルベドから伝言が届く。
「アインズ様アルベドです。」
「アルベドか、どうした?侵入者でも来たか?」とアインズは少しでも自分を神かなんかと勘違いしている子供たちの誤解をとくために日頃からちょっとした冗談を言っているのだがこのタイミングでこの冗談はアインズの狙いとは真逆の方に行ってしまった。
「!?はい、お気づきでしたか。連絡が遅れて申し訳ありません。只今侵入者はシャルティアと交戦中です」
「は、え」ゴホン。「了解した。それで敵の数は?」
「一人です。」
「は?」
「一人です、相手は相当の実力者のためナザリックにご帰還お願いできますでしょうか?」
「りょ、了解した。すぐ戻る。私が戻るまでにナザリックにいる守護者のみでいいので集めておくように」
「かしこまりました」
(まじか、冗談で言ったつもりだったのに、、、それよりも各階層守護者中最強のシャルティアとの戦いが拮抗。
流石に想定外すぎる。急いでナザリックに戻らねば)
「ナーベラル、私は至急ナザリックに戻らなければならなくなった。ギルドへの報告は任せる。ハム助も連れて行け。」
「かしこまりました。」
戦いが始まり約20分が経過したあたりで互いに距離をとり無言の状態になる。
両者ともに致命傷はなく、息も乱れていないが険しい表情をしていた。
(このままだと少しまずいでありんす。ここまで強いとは思わなかったでありんす。)
(まずいな、めっちゃ強い。今はなんとかラファエルさんのおかげで反応できてはいるけど、、、)
と内心二人はここまでの戦いからなんとなくではあるものの相手の力量を把握しここからどうするか悩んでいた。
「アルベド、アウラ、マーレよく集まってくれた。しかし今は形式的な会話をしている暇はない。侵入者はどうなっている?」
「はい、未だシャルティアと交戦中です。どちらも決めてがなく攻めあぐねている状況です。」
「シャルティアとタイマン張れるなんて強いですねーアインズ様ー」
「うむ、1vs1でならばおそらくシャルティアは守護者最強だ。
だからこそシャルティアが負ければ1vs1 であいつに勝てるものはこのナザリックないにはほとんどいないということになる。ここは慎重に事を運ばねばならぬ。」
「ぼ、ぼくもそう思います。」
「3人から見てこのものはどう感じる?敵か?」
(???)アインズの言葉に首をかしげる3人。
「コレだけ強い人間がいたら流石に我々は情報を少しは持っているはずだ、見覚えや心当たりのあるものは?」
「この仮面は王国で活動している蒼の薔薇のイビルアイというものではないでしょうか?」とアルベド
(青の薔薇、、、あ!アダマンタイト級冒険者のことか、仮面なんてしていたのか、もっとしっかり報告書読まなきゃな)と内心で自分の勉強不足を反省していると
マーレが「で、でも蒼の薔薇って複数人のパーティですよね?1人はおかしくないですか?」
「うーんあたしもそう思う、イビルアイって確かあと4人仲間がいたよね?そいつらは?」
「私もマーレとアウラの考えに賛成だ。今モモンとして活動している時のlvはおおよそ40lv程度だ。
同じアダマンタイト級であるからlvの誤差は多くても10〜15くらいだろう。そのレベル帯の相手にあそこまで苦戦することは考えにくい。」
「申し訳ありません、アインズ様。仮面というだけで決めるのは早計でした」と頭を下げるアルベドに対してアインズは蒼の薔薇すら候補に出てこなかったことを猛烈に謝りたくなった。しかし支配者はそう簡単に謝れないためその気持ちは心に留めておき、
「良い、アルベド。意見は大切だ。多角的に考えていかねば必ずどこかで失敗する。それよりも今は対策だ。それで初めの質問に戻るがお前らはあれは敵だと思うか?」
「侵入者であることに変わりはありません。命令さえいただければすぐに排除してまいります。」というアルベドの意見にアウラもマーレもうなずいている。
「ダメだ、それは問題の先送りにしかなっていない。今後このようなことがあったときのためにも手当たり次第抹殺するのはあまり良いとは思えない。私はおそらくあの人間は私たちと同じ存在であると思われる。理由はいくつかあるが1番の決め手はやはり単独であるという点だ。シャルティアを洗脳した奴らはシャルティアの危険性を考えて単独で行動するとは考えにくく、まして他の手のものという線も考えられない。」
なるほどと言った感じで納得する3人。
「それでアインズ様、どうするんですか?」
「うむ、一番いいのはやはり我々の勢力に取り込むことだな。それができなくとも敵対しない関係を作っておきたい。あれは非常に厄介だ。」
「しかしアインズ様、もし敵対してこようとしたら、、、」
「ああ、アルベド心配いらない。もしそうなれば殺すだけだ。」
「「「かしこまりました」」」
「それでは第一階層へ向かうとするか。」
「ソウエイ、リムル 様は見つかりましたか?」
「申し訳ありません、まだです」
「シュナ、どうしてディアブロに聞くのは嫌なんだ?」
「聞いてすぐにリムル様を見つけられたらなんか悔しいからです。それに彼ならもうおそらくリムル 様がいらっしゃらないことに気がついていると思いますよ。」
「どうしてわかるんだ?」
「なんとなくです。」
「なんとなく、、か。」
「はい、ただ100%気付いていると思いますよ。彼のリムル 様への思いは狂信者並ですから。悪魔なのに」
「ああ、そうか(苦笑)」
「はい。それよりもリムル様はいったいどちらに、、、、」
(んーどうしたものか、一向に決着がつかない。俺としては倒す理由も倒される言われもないからいいんだけど相手は確実にこっちを殺る気だしなぁ)
(決め手がないでありんす、スポイトランスでいくら体力を吸っても減る気配がない、こいつ本当に人間?)
(「シャルティア」)
(「は、はい!アインズ様!」)
(「今からそちらにアルベド、アウラ、マーレと向かう、相手との距離を開けて待機せよ」)
(「かしこまりんした。」)
(あれ相手が後退した。なんでだ?)
(「告、個体名シャルティアと同等と思われる個体4名がこちらに接近中」)
(うわ、マジかよ、いよいよ相手も本気なのか?)と思案していると豪華な衣装を着た骸骨が姿を現した。
(なんだあのスケルトン、ボスか?でもそれにしたら弱い気がする。)
(告、あの個体は魔力探知阻害のアイテムを保持していると思われます。)
(俺の仮面みたいなものか)などと考えていると骸骨が話しかけてきた。
「ようこそ、侵入者君。こちらと話をする気はあるか?」
(??えらく温厚そうだな。てか俺から仕掛けてないんだけど、、、)
「あぁ構わない。というか俺は攻撃されただけなんだけどな」
「それはすまないな、彼女はそれが役割なのだから許してやってくれ。」
「まぁそれはいいけど、確かに守護者とかいってたもんな。というかここは墓なのか?」
「あぁそうだ。君はここがどこだか知らずに来たのか?」
「ここが目的っていうか目に入ったから来たというか」と答えると相手の空気が一瞬張り詰めた。
「ここは幻影魔法をかけていて普通は見えないはずなんだが」
「んーと言われても見えたからなー?」
(幻影魔法に何らかの耐性を持っている?いやそれならシャルティアとあそこまで戦えた理由がわからない。何なんだ?いったい)
「まあそれはいい。それでここに来た理由は?」
「ああ、ルベリオスって知らないか?」
「ルベリオス?何かモンスターの名前か?」
「国の名前だよ、ルベリオスに行こうと転移したら見覚えのない森の中にいたんだ。それでちょうど建物らしいものが見えたから誰かいないかと思ってきてみたんだよ。」
(アインズ様、私もそれについて聞かれたんでありんす。)
(ほぉ、それで何と答えたんだ)
(聞いたことない単語だったので会話に意識を誘導してるのかと思い、とりあえず気絶させようとしたでありんす。)
(は!?気絶?ゴホン!!!わかった。)
「なるほど君の言い分は理解した。残念だがここにいるものたちにルベリオスという国を知っているものはいない。それで次はこちらから質問させてもらっていいか?」
「ああ、いいぞ」
「君はどこの国のものだ、王国か?帝国か?それとも法国か?」
「は?何だそれ?」
(ふむ、やはり違うか。)
「では、ユグドラシルという言葉に聞き覚えは?」
「ユグドラシル?悪いが初めて聞いた」
(は?・・・どういうことだ)思っていたことと違い困惑しているとアルベドが
「あなた先ほどから黙って聞いていれば人間のくせに、アインズ様に対して失礼よ。名前くらい名乗ったら?」
「良いアルベド、下がれ。」
「はい、申し訳ありません」
(うわなんかめっちゃ綺麗な人がすげー怒ってる。人間嫌いなのか?)
「ああ悪いな、自己紹介もまだだったな。俺はリムル=テンペスト。後人間じゃなくてスライムだ。」
(((((は???)))))
リムル の発言にその場にいた5人全員が困惑した。
その後に続けて話したリムル の「まぁ元は人間だったけどな」という呟きは誰も聞いていなかった。
「何の冗談だ?君からは魔物の気配を全く感じないが」
「?ああそれはこの仮面のせいだ」といいリムルは人型からスライムに変化した。
そうすると再び場が一瞬ざわついた。
「本当にスライムのようだな、、、」(ヘロヘロさんと違って毒々しいオーラは全くないな)などと考えつつもう少し話してみることにした。
「私はこのナザッリク地下第墳墓の絶対なる支配者アインズ・ウール・ゴウンだ。ここで立ち話はなんだ、先程の詫びも兼ねてお茶でもどうだ?」
(どうする、今戦っていた奴のレベルが計5人、今のうちに逃げるべきか?それとも少しでも情報を集めるべきか?)と考えはしたがいざとなったら転移すればいいかと楽観的に考え誘いを受けることにした。
「ああ俺も聞きたいことがあるから構わない」と少し強めに出てみると周りのアルベド、シャルティア、アウラの3人が渋面を浮かべ、マーレは慌てだした。
(あの美人さんめっちゃ嫌そうな顔してる、)とリムルも気付きつつもスルーすることにしアインズとかいうやつの後についていくことにした。
リムルの失踪発覚から数時間が経った今何の手がかりもないまま悩んでいるとコンコンとノックされる音が聞こえ扉の方を見るとすごく不機嫌そうなディアブロがいた。
「おはようございます、ベニマル様、シュナ様、ソウエイ殿」
「ディアブロか、どうした?」明らかに不機嫌そうなのはスルーしてベニマルが尋ねる。
「我が主、リムル様はどちらに?」
「やっぱりお前も気付いていたか。」
「はい当然です。あの方の気配がこの世界から消えて気づかないものなどいるはずがありません!」と熱弁するディアブロ
「は?おいこの世界から消えてっていうのはどういうことだ?」
「言葉の通りです。リムル様の気配が全く感じられません、悪魔は元々気配を辿るのが得意なのでそうそう探し人を見つけられないなんてことはないのですが今回は全くわかりません。」と不機嫌そうにいうディアブロ。
(この世界に反応がない?あ、、シュナは、、、?、、、!!!!まさか)
「ディアブロ、ソウエイこのことは誰にもいうな。誰かに尋ねられたら適当に答えておけ。
とりあえずまた後で話し合おう、とりあえずもう一度探してみてくれ」
「は?だからもう、、、、あーわかりました。それではまた後ほど」とシュナの様子を見たディアブロはため息をしつつ部屋を出た。
ソウエイはいつの間にか消えていた。
「あーシュナ」
「ゥゥ、、、リ、、、ムル、、、ザマ、、、、ヒック」
(こんな取り乱してるシュナ初めて見た気がする。ってもどうしたもんか、、ったくどこいったんだよリムル様)
とどうすることも出来ないベニマルは一人頭をかきながら悩むのだった。
トマス二世さん誤字報告ありがとうございます。