前書きという名の一言日記にしちゃってすいません、
リムルはトブの森に転移し、そのまま飛行しイビルアイたち蒼の薔薇のいる王都へ向かう。
もちろん誰かに気がつかれないように高度を高くして。
(「しかしなんて伝えればいいんだろうな。イビルアイの様子からモモンが好きなのは本当なんだろうけど、
それでアインズが好きなのかはまだわからないもんな。
てか、もし仮にイビルアイがアインズが今回参加する戦争の話を聞いて王国の冒険者として見過ごせないとか言って敵対関係になったら最悪だな。
そんなことは起こらないとは思うけど最悪のケースを想定しておかなきゃいけなよなぁ、、、。
これでモモン=アインズってバレたら色々と不味そうだし。
とりあえずイビルアイとアインズのデート前にそのことをアインズに話しておくか。
てか、ラファエルさん、もしアインズとイビルアイが敵対関係になった場合ってイビルアイの記憶をモモン≠アインズって書き換えられたりする?」)
(「解、可能です。」)
(「マジか、なら最悪イビルアイとアインズのデートにこっそりついていって修羅場になったらそうすればいっか」)
とさも名案のように語るリムルだが本音としては2人のデートとやらを見たいだけなのであった。
(「………………………」)
それを知ってか知らずかラファエルさんは何かいいたそうな雰囲気である。
(「あれ?ラファエルさんが何か言いたそうな気がする?」)
(「解、何もありません。」)
1人での検問は流石に緊張したが冒険者の証であるカッパーのプレートを下げていたため、
怪しい仮面をつけていようとも一言二言質問されるだけですんなり通れた。
王都内に入ってからリムルは蒼の薔薇、厳密に言うとイビルアイが宿泊している場所を探していた。
いくつか高級そうな宿を訪ね、イビルアイについて尋ねるが、利用していないと伝えられる。
3つ目に訪ねた場所は蒼の薔薇が宿泊している場所ではなかったものの、利用している宿を知っていたので教えてもらった。
王都で蒼の薔薇が宿泊している宿は有名らしく、街の者ならばほとんど皆知っているそうだ。
リムルはそれならば前2つの宿はどうして教えてくれなかったのかと思うが恐ろしい考察をしてしまう。
(「まさか、似たような背丈で、似たような仮面をつけているから熱狂的なイビルアイファンとか勘違いされてるのか、、、、、?まさかな、まさか、、、な」)
と考えるリムルだったが、その理由はもっと単純であった。
街の者ならば誰でも知っているようなことをわざわざ宿の受付まで来て尋ね、そしてその相手がよくわからない仮面をつけているため不審に感じた、ただそれだけの話であった。
リムルはようやく蒼の薔薇が宿泊しているという宿に辿り着き受付に尋ねる。
「すみません、アダマンタイト級冒険者チーム、蒼の薔薇のイビルアイさんって今いますか?」
「ええ、っと申し訳ありません。どちら様でしょうか?蒼の薔薇の皆様のお知り合いの方でしょうか?」
と尋ねられた受付のお姉さんは戸惑っている。
それもそのはずだ。なんたって謎の仮面+性別不詳の奴に突然話しかけられたのだから困惑しない方が異常だろう。
しかし高級宿で働く受付嬢なだけあってその様子を一切、噯にも出さない。
「あ、突然すいません。僕、リムルっていう者なんですけど。少しイビルアイさんと約束がありまして、何か聞いていませんか?」
「あ、リムル様ですね。はい、蒼の薔薇のイビルアイ様からお伺いしております。
ですが申し訳ありません。
蒼の薔薇の皆様がご宿泊されているのはこちらなのですが、ただいまクエストに出ていらっしゃっています。
おそらく夕方ごろにはお戻りになると思うのですがいかがいたしますか?」
「あーそれなら待っていても大丈夫ですか?」
「はい、かしこまりました。
イビルアイ様からリムル様がいらっしゃった時、部屋の鍵を渡して欲しいと申し付けられましたのでこちらをお持ちになってください。」
「ありがとうございます」
受付嬢から鍵を受け取り部屋に向かうリムルであった。
蒼の薔薇は前回のヤルダバオトの手下である王冠の悪魔の討伐以来、特に何もクエストを行っていなかった。
というのもアダマンタイト級冒険者である彼女らに見合うだけの依頼がなかったのだ。
しかしいくら依頼がないとはいえずっと宿にいるのも体が鈍ってしまうので一つ下のランク、オリハルコン級の依頼を冒険者組合から斡旋してもらいその依頼を受けていた。
内容としてはオーガ、トロールの群れの討伐。難易度はさほど高くないものの数が多かったため1日で終わると予想していたが2日もかかってしまった。
「いやぁ〜まさかあんなにいるとはな。依頼通りオリハルコン級の冒険者が相手してたらまずかったんじゃねぇか?」
「確かにそうかもしれないわね。それよりガガーラン、あなた以前より強くなった?」
「ん?そうか?前の感覚戻ってきてるだけじゃねぇか?」
「そうかしら?まぁそうね、王都の件で大変だったものね。
「それはそうと全く組合はもっとしっかりして欲しいものだ。」
「イビルアイなんかババァみたい」
「クレーマー、タチ悪い」
「ババァいうな!!!!」
「はいはい、ふざけないで。この件は組合にはしっかり報告しておくから。それにまぁ多少は仕方ないでしょうし。」
「そうだな、魔物がどれほどいるかなんて偵察しなきゃわからねぇし、
その情報も王都に着く頃には信憑性が高いってだけで正確じゃねぇからな。ほんと魔物の繁殖力ってのは厄介だな。」
といつものように軽く文句を言うイビルアイにそれをおちょくるティアとティナ。
パーティを取り持つラキュース、そして豪快に笑うガガーランと蒼の薔薇は心身ともに擦り減るような依頼の後でも良くも悪くもいつも通りであった。
「てか、俺は早く宿に戻って飯食って寝てぇな」
「ええ、そうね。組合への報告をさっさと済ませてご飯食べましょうか」
と今後の予定を立て帰路につく蒼の薔薇であった。
「いやぁー疲れた。なんであんなに組合は情報を聞きたがるんだよ。
もう討伐し終えたし次、気を付ければいいだけの話じゃねぇか。
散々魔物を相手した後に人間の相手までしなきゃいけないなんてよ、全くこっちの身にもなってくれってんだよ。」
あれから組合に行き報告を済ませ早く宿に戻ろうとした蒼の薔薇の面々だったが、
出会った魔物が予想以上に多かったことで事情聴取に時間がかかってしまった。
「まぁまぁ、ヤルダバオトのこともあったばかりで魔物の数が事前の情報と違うってなったら心配にもなるわよ。
そんなことより早く部屋に荷物おいてみんなでご飯食べに行きましょう?」
「鬼ボス珍しくまとも」
「鬼リーダーにしては殊勝」
「はいはい、2人も無駄口叩いてないで行きましょう」
蒼の薔薇は宿に着くと鍵を受け取りそのまま荷物を置きに部屋へ向かう。
しかし部屋に向かう途中でおかしなことに気が付くラキュース。
「あら、これって私たちの部屋の鍵かしら?なんかいつもと違うような気がするんだけど?」
「どれ、見せてみろ。」とイビルアイに言われて鍵を渡すラキュース。
「確かに、これは私たちがいつも使っているものではないが部屋番号は同じだし、受付が渡し間違えたんじゃないか?」
「そうね、確かに部屋番号は同じだし、予備の鍵と間違えたのかもしれないわね。受付の人いつもと違う人だったし。」
と納得した2人だったがティアとティナに声をかけられる。
「私たちの部屋誰かいる」
「え?私たちの部屋に?何人?」
「確実に1人はいる。何か魔法だったりアイテムを使用していたらもっといるかも?」
「どこかからの刺客な訳ないわよね?
もしそうなら私たちのことを部屋で待っているなんておかしすぎるもの。
それも気配も隠さず。」
「あぁ、しかしそいつの目的がわからない以上迂闊に、、、、、っておい。ガガーラン、話を聞け!」
イビルアイが話している間にガガーランが部屋に入ろうとしている。
それもいつの間に今さっき話題になったいつもと違う鍵を使って。
イビルアイは戦闘系職業のガガーランが気付かぬ間に鍵を持っていることにも驚いた。
当のガガーランは楽観的に「誰か確認すりゃ済む話だろ」と言ってドアのノブに手をかけ開けてしまった。
他4人は一応警戒するがそれもすぐに杞憂だと部屋の中から聞こえてきた声でわかる。
リムルは昼頃に蒼の薔薇の宿泊している宿に来て、鍵をもらい部屋で蒼の薔薇が帰って来るのを待っていた。
「あの受付のお姉さんが言うにはあいつら今日の夜前には帰ってくるとか言ってたけど、
それまで何しようかな?なんならここの座標わかるし一旦向こう戻ってもいいけど蒼の薔薇が正確に帰ってくる時間なんて分からないしな。
んーーーここで建国際の資料でも精査してるか。」
と何をするか決めたリムルはベッドに寝転がり書類を読み始めた。
どのくらい時間が経ったのだろうか?
気がつけばあたりは暗くなっており、外からは仕事終わりなのだろうか、冒険者らしき者たちの騒ぎ声が聞こえてくる。
そしてリムルは部屋の外から気配を感じた。蒼の薔薇が帰って来たのだろうと思い書類を胃のなかに仕舞い、ベッドに腰掛ける。
しかし蒼の薔薇は扉の前でこそこそと何かを話しており、一向に入ってくる様子がない。
どうしたものかと考えているとようやく扉が開く音がした。しかしそれと同時にイビルアイの焦った声も聞こえる。
リムルは疑問に思うもののひとまず声をかけた。
「おかえりー随分遅かったな。」
「おう、リムルじゃねぇか。どうしたんだ私らの部屋で?なんだ、俺と寝たくなったのか?」
「ちげーよ!俺はイビルアイに用があって来たんだよ」
「ん?そうか?だとよイビルアイ」
「部屋にいたのはリムル、お前だったのか。」
「あぁ、この間王都に来て会えなかったら部屋で待っててくれって言ってただろ?」
「そうだったな、受付に伝えたことをすっかり忘れていた。だから私たちの部屋の鍵がいつもと違ったのか。」
と納得するイビルアイ。
「それでリムルさんはどうして王都に??」
とラキュースが尋ねてきたので
「ああ、それはイビルア、、、、」
「ああああああああああああああ、ちょっと私に用があったんだよな?な?リムル」
とイビルアイがリムルの説明を遮ってしまう。
リムルは頭に「?」が浮かんだものの本当のことなのでそのまま話を進める。
「あぁ、ちょっとイビルアイに用があってな。急に来て悪いな。」
「いや、気にするな。それよりむしろ待たせてしまって悪かったな。」
「そうね、部屋にいたのには驚いたけどイビルアイが話してくれなかったのが悪いんだし気にしないで。
それよりこれから私たちご飯行くんだけど、リムルさんもどう?」
「ん?ご飯か?俺はちょっとイビルアイに伝えることがあったんだけど、イビルアイも飯行くのか?」
「え、っとそれは、イビルアイは行かないわよ?」
とイビルアイに聞いたつもりのリムルだったがラキュースが返答に窮してしまう。
「ラキュース、気にするな。リムルには私の正体を伝えている。」
するとイビルアイ以外の蒼の薔薇の4人が驚く「「「「え!?」」」」
そのうち1人はまた別の意味で驚いているのだが。
「そ、そうなの?」
「ああ、リムルは信頼できるからな」
「そりゃ、ありがとな。てかそう言うことはしっかり仲間にも伝えておけって。」
「そ、そうだな。これから気をつけよう。
みんなは飯に行かないのか?私ならここでリムルと話しているから気にしないでくれ。」
「ええ、そうね。みんな行きましょうか?」
「ああ、そうだな。」
と言い4人はご飯を食べに行ってしまった。
「しっかし驚いたなぁ、イビルアイのやつリムルとなんか親しげだったけど部屋に入れるくらい仲良くなってたんだな。」
「そうね、初めはびっくりしたけど正体も伝えるくらいだし本当に信頼しているようね。」
「もしかしたらイビルアイ、モモンからリムルに変えた?」
「きっとそう。」
「そうかしら?リムルさんとは友人って感じじゃない?
あの子の恋愛レベルじゃ好きになった相手と2人っきりで話すなんて無理でしょ?」
「おい、おい、ラキュース今日はやけに辛辣じゃねぇか。もしかしてリムル狙ってたのか?」
というガガーランの言及にラキュースは顔を少し赤くして反論する。
「違うわよ、そんなんじゃないわ!」
「鬼ボス顔赤い」
「鬼リーダー照れてる」
と揶揄うティアとティナであったがラキュースの顔が赤かったのはお酒によるものなのか照れによるものなのかはラキュース本人にしか分からないのであった。
蒼の薔薇が楽しく飲みあっている一方イビルアイとリムルはというと…。
「それで急にどうしたんだリムル?」
「この間話たことなんだけどさ」
とリムルはイビルアイに会いに来たはいいが、
モモン本人に「イビルアイが惚れているからデートしてあげてくれ」と言ったなんてことは依頼主であるイビルアイには口が裂けても言うことができないため
なんと言うべきか考えていた。
しかしその黙考がイビルアイには凶兆にしか感じられず思わず大きな声が出てしまう。
「気にしないでくれ、、!も、モモン様も忙しいんだ、、
きっとそうだ!だだだからわ、私はそそそんななにニニに気、気にしていないか、ら。ダダダ大丈夫だぞ。」
とイビルアイはリムルが言い淀んでいる様子からデートの取り付けに失敗してしまったのだと考え、
落胆するとともにわざわざ自分のためにモモンに頼みに行ってくれたリムルを気遣わなければと思い辿々しくも元気な様子を見せる。
しかし当のリムルは宣言通り完璧にデートの確約をもぎ取ってきたのだからイビルアイが泣きそうな声でいる理由がわからず困惑してしまう。
「どうしたんだ?急に泣きそうな声になって。大丈夫か?」
「私?、私、ならも、も問題ないぞ。
たとえダメでも私は気にしてなんかいないからな。
むしろわざわざ聞きに行ってくれてありがとうな。私はちょっと1人になりたいから、、、、」
などと訳の分からないことを言うイビルアイ。
よく分からないがこのままでは埒が明かないと思いとりあえずモモンと話たことだけを伝えるリムル。
「とりあえず、モモンはデートokって言ってくれた。
ただ今は忙しいから一月後くらいで予定のつきそうな日を教えて欲しいって言ってたぞ?」
この言葉を聞いたイビルアイはフリーズしてしまう。
先程まで完全に諦めていたのに、いざデートできるとわかってしまうと嬉しさよりも困惑と緊張が勝ってしまう。
そのためリムルは数分固まったイビルアイにずっと話しかけることになるのだった。
イビルアイがようやく氷解し始めたと気がついたリムルは早速本題を話進める。
「とりあえずモモンにイビルアイとの時間作ってくれないかって頼んだら今は難しいけど一月後なら大丈夫って言ってたけどイビルアイは大丈夫か?」
「あぁ何も問題ない。たとえ問題があってもモモン様最優先だ。」
「それって問題ないのか?まぁいいか。
それとモモン的にはエ・ランテルや王都で2人で色々すると注目を浴びて大変なことになりそうって言っててな」
「確かに別チーム同士のアダマンタイト級冒険者が一緒にいたら嫌でも注目を集めてしまうか、、、別に私はそれでも、、、、」
と何か言いかけたイビルアイ。
しかしそれにリムルは触れず話続ける。
「だから何か一緒にクエストでも受けるのはどうかって言ってたんだけどどうだ?
もちろん討伐とかのじゃなくて何かしらの薬草採取とか、簡単なやつ。」
「それはいいかもしれないな、ふ、ふ、2人っきりになれるし、、、、」
と照れているイビルアイ。
そんなに照れるなら一々言わずに心の中で思っていればいいのではないかと思うリムルだがそれを直接、
面と向かって言うほどデリカシーがないわけではない。
「えっとじゃあ、一月後に何かしらの依頼を一緒に受ける形でいいのか?」
「ああ、私はモモン様と居られるならば正直なんでもいい。
ただ依頼はどこのギルドで受けるんだ?
どこのギルドでも流石にアダマンタイト級冒険者が採取依頼を受けるなんて、逆に目立つ可能性があるぞ。」
「確かにそうかもしれないな、なら俺から依頼を指名で出せばいいんじゃないか?
指名依頼の内容は指名された当人しか分からないだろ?」
「そうだな、でもそんなことまで頼んでしまっていいのか?」
「別に今更だろ。そのくらいならいくらでも手伝ってやるよ。」
「本当にありがとう。」
一応話が一纏りしたところでリムルはイビルアイに尋ねた。
「最終確認なんだけどさ、イビルアイはモモンに直接自分のことを話すのか?」
この質問をされた時イビルアイは固まってしまう。
しかしそれはそうだろう。
長い年月生きて初めて好きになった相手。
そんな相手と採取クエストという名目ではあるが2人っきりでいられる、いわば初のデート。
そんな幸せな時間を彼女の正体が破壊する可能性があるのだから、悩むのも当然だろう。
イビルアイからしてみれば今まで信用し正体を明かした途端に手のひらを返し、即討伐というひどい対応をされたことがあるのだ。
もしかしたらイビルアイは自分の正体をモモンに伝えることで最悪、冒険者と魔物というただの討伐関係になってしまう可能性も存在する。
そしてイビルアイは何かを決心した様子で口を開く。
「私はモモン様が好きだ。
だから彼には偽りの私ではなくて本当の私を知って欲しい。
これは私のエゴかもしれない。ただ伝えなきゃ一生後悔すると思うんだ。
勝手に伝えられるモモン様は迷惑かもしれない、でもそれでも私は大好きな人に嘘をつきたくないんだ。」
と仮面越しですら伝わる熱量で語るイビルアイ。
「そっか。分かった。」
決心したイビルアイに対しリムルが言う、いや言えることは何もなかった。
その後もう少し話、イビルアイとは別れた。
そしてリムルはこの2人のことも考えつつ直近の問題である建国祭について考えなら転移を使用しテンペストへと戻るのだった。
5章終了です。
色々とあり毎日の更新が難しくなって来たので更新日を固定したいと思います。
毎週火曜と土曜を予定しております。
よろしくお願いします。
トマス二世さん、誤字報告ありがとうございます。