歪な愛   作:糸守

27 / 40
最近ブラックコーヒーにハマっています、、、、、ヒロシです。
どうでもいい一言の後には
ヒロシというワードを入れたくなってしまいます、、、、筆者です。


間話1 配下と従者
1 配下の苦悩


あのクソスライムは本当に一国を統治する王であった。そこは別にどうでも良い。

しかしこの国を仮想敵国とする私からしたらこの国の武力は決して侮れない。

あのクソスライムは確かに強い、それもシャルティアと肉弾戦できるほどに。

しかしいくら強くてもそれは「個」でしかない。

ナザリック全勢力をもってすればあいつを消すことなど容易だ。

 

 

同盟締結の際あのクソスライムは秘書として小娘を連れてきた。

階層守護者に及ばないにしろあの小娘は秘書にしては、そこそこは強い。

それこそプレアデス一人一人の力量で互角に戦えそうなのは第8位階魔法を使えるナーベラルくらい。

だからあのクソスライムは武力を示すために自分の次に強く、そして頭の切れる者を連れてきたと私とデミウルゴスは考えた。

しかしこの国に来てその判断は間違いであったと気づいた。

 

 

スライムの出迎えにきた3人の中であのスライム級の実力者が1人。

そしてそいつよりは実力がやや劣るものの確実に小娘より強いやつが1人。

その他にもこの国内から強者どもの気配を何人も感じる。

それでもおそらくナザリック全軍をもってすれば勝てる。

しかしそれは勝てると言うだけでそれには何もメリットがない。

侵略戦の場合多くの戦力をこちらに送らなくてはならないため、自然とナザリックの防備が薄くなる。

そして勝ったとしてもこちらの損耗率を考えると頭が痛くなる。

そしてまだ視察できていないためこの国を侵略することで得られるナザリックの利益が分からない。

つまりデメリットしかない。

 

 

仮に私たちにレベルの成長限界が来ていないのならばこいつらを殺すことで得られる経験値にメリットを見出せたかもしれない。

しかしそれはたらればの話なのだ。

もしかしたらアインズ様は敵戦力を知っていた?もしくはここの戦力を推測できていた?

それはなぜ、、、?

やはり階層守護者を下がらせてクソスライムと2人きりで話した時の内容に答えがあるとしか考えられない。

それにしてもアインズ様が敵戦力を把握した上で同盟を結ぼうと言ったのならば納得できる。

そうするとデミウルゴスのふざけた推測は大外れとなるかどまぁそれはひとまずどうでもいい。

私を大使にしたのは確実にこの事実に気づかせるため、、、、もしくは私にここの戦力を調べさせるため?

しかし、しかしだ。

それならばなぜアインズ様は私たちにこのことを教えてくれなかったのかが分からない。

やはりどうして同盟を結んだのかが分からない。

 

 

考えに行き詰まったアルベドはひとまず自分の考察を整理することにした。

 

①アインズ様は敵国の兵力を完全に把握、ないしほぼほぼ確信をもって推測していた。

②私にこちらの兵力を探らせ今後の対応を定めるためひとまずは隷属ではなく同盟にした。

③こちらが異世界に転移できない以上隷属関係を強要し逃げられた時追うことができない。

④バハルス帝国以上にあのスライム個人を脅威として捉えた。

 

 

①の場合どのようにしてアインズ様が敵兵力を把握していたのかと言う疑問が残る。

そうなった場合考えられることは2つ。

1つはアインズ様があのスライムと2人きりで話した際にそうした自国の戦力の話題になった。

2つ目はデミウルゴスの考えたようにアインズ様とスライムがもともと面識があって兵力など国家機密とも言える情報を言い合えるほど親密だった。

これはどちらにしても最悪ね。

 

②の場合はもしこの国の兵力が想定よりも弱かった場合にすぐ隷属できるよう、逆に想定より強くかったとしても関係維持できるよう考えて同盟にした?

そして確認のために私を送った?その場合、帰ったらすぐに報告しないといけないわね。争うにはメリットが少なすぎると。

 

③は②と同じね。仮に逃げられてもこちらからは追うことはできない。逆に相手は魔力さえあればいつでもこちらに攻撃を仕掛けることができる。最悪ね。

 

④はあのスライムの国を見ずともアインズ様はこいつ単体を脅威と見做した。

でもそれならばなぜあの場で出会った時に転移阻害の魔法を発動させて私たち4人と協力して排除しなかった理由が分からないわね。

 

つまり考えられる中で可能性が高いのは②。

次点で、と言うより私個人で考えて最悪なのが①ね。

と考えたアルベドはナザリックにより多くの情報を持ち帰るために大使としての仕事を今以上に気を引き締めて行わなければならないと考えるのだった。

 

 

 

 

テンペストに来てから数日。

ナザリックから共にきた技術者たちはこの国の研究者たちと何やら話し合っている。

毎晩の報告書を読む限りここの研究者のレベルは高いらしい。

らしいと言うのも世界が異なるため研究の根幹となる知識にいろいろと齟齬があるそうだ。

しかしその齟齬を即座に修正できることからこちらの研究者が有能だということを示している。

今現在アインズ様が求めていらっしゃる異世界間で利用できる通信機。

こちらの開発はやはりと言うべきか難航している。

と言うのも前述したように世界ごとの知識齟齬が大きな問題らしい。

詳しいことは技術者に任せているので分からないがこのままではなかなか通信機は完成しないだろう。

ナザリックへの帰還が当分先になりそうで、そう考えただけで発狂ものである。

 

 

ただそれ以上に不満なことに私はこの数日放置されている。

同盟国の大使であるのにだ。一体どうしてなのか。

そもそもあの憎たらしいクソスライムは建国祭や何やらと色々と忙しいらしい。

同盟国の大使である私を部下に任せないといけないほどに。

私はあのクソスライムを見ているだけで吐き気がするから問題ないのだけれどその代わりに充てられた者も以前一悶着あった小娘。

一瞬私に対する嫌がらせなのかとも考えたが小娘も顔を顰めたし、あのクソスライムは私と小娘に一悶着あったことを知らないのね。

それにその小娘の方もかなり忙しいらしい。

 

 

〜数日前〜

「ああ、俺以外だと面識あるのシュナだけだし、女性同士だから何かといいのかと思うんだけどだめか?」

「い、いえ。わかりました。」

「それじゃあ、よろしくなー」

と言いあのスライムは私が警戒していた奴らとナザリックの技術者を連れてどこかへ行ってしまった。

その後小娘から話しかけられる。

「リムル様から案内役を仰せつかったシュナです。

前回のことは気にしなくていいのでゆっくりこの国を堪能なさってください。」

「そうね、そうさせてもらうわ。」

といったもののアルベドの心中は前回の言い争いのことを思い出し腑が煮えくりかえりそうだった。

 

 

〜同盟締結日〜

「なるほど理解しました。3は、、、特に問題ないですね。

私から何か追加したいことはないので問題ありません。」

「わかりました。ならばあとはこちらをお二人にお見せして正式に同盟締結といった流れですかね。本日はお疲れ様でした。」

と対等な感じで握手する2人を見てアルベドは同僚までもが同盟国に対し表面上は敬意を払った対応をしておりイライラしていた。

そしてアルベドはつい思いを吐露してしまった。

「あなたはリムル陛下の考えを理解したつもりでいるけど、実際は唯々諾々とただ命令に従っているだけなのね。」

唐突なアルベドの発言に穏やかなムードで終わろうとしていた話し合いの場が一気に冷え込む。

「それはどういったことでしょうか?」

「あら、言葉通りの意味だけど、そんなことも伝わらない?」

「それは、つまり私は何もリムル様のお考えを理解していないと、、、?」

「ええ、そうよ」

「それはどうしてですか?」

 

 

「そんなことも分からないのね。いやだから何も分かっていないのね。

そもそもこの同盟の締結はアインズ様から持ちかけたけれど実際は隷属を要求しているのよ?」

「それはどういうことでしょうか?」

「まだ分からないの?アインズ様は貴国の王を尊重して同盟を提案しただけなのよ。

本来ならばそのアインズ様の恩情に気がつき、すぐに隷属を懇願するべきだったのよ、貴国の王は。

それなのにそれをしなかった。いや、できなかったのね。

きっと自分が王であるというプライドが邪魔をして。

だからリムル陛下はあなたを連れてきたんじゃない?

自分は席を外させてもらうからその間に隷属を代わりに要求してくれと。

それをリムル陛下があなたに託したのにあなたは言葉通り同盟を結べと言うリムル陛下の命令にただ従って、ほんと王共々無能ね。」

「いい加減にしていただけますか?

リムル様への侮辱、いくらこれから同盟を結ぼうとしている国の方でも看過できませんよ。

それにどうして貴国の王は隷属を望んでいると?

そしてなぜリムル様が隷属を私に要求しているとわかるのですか?

妄言が酷すぎますよ。ここは外交の場であって精神病患者の通院する病院ではありませんよ。」

 

 

「なんですって?本当に無能ね。彼我の戦力差を考えたらわかることじゃない?

あなたの国で脅威となり得そうなのはリムル陛下のみ。

あなたが言う外交の場に王が配下を1人しか連れてきていないのがいい証拠よ。

他国に行く王が示威行為として国力なり兵力なりをなんらかの形で喧伝するのは当たり前のことじゃない。

それなのにそうしないと言うことは私たちに匹敵するほどの戦力が貴国にはないと言うこと。

ならば当然隷属して庇護下に入れてもらおうとするでしょ?」

「はぁ、これは異世界間での同盟です。どうして力を誇示しなければならないのですか?

政略戦争でもするわけもないでしょうし。あなたこそ常識に囚われすぎではありませんか?」

と両者は一応口論をしていたが既に2人は互いを警戒していた。

いつ攻撃されてもおかしくないと。しかしそこを冷静にデミウルゴスが止めに入る。

「お二人ともいい加減にしていただけますか?」

「ちょっとデミウルゴス!邪魔しないでちょうだい!」

 

 

「そろそろ頭を冷やしてください、アルベド。

あなたの発言はこれから同盟を結ぶ国の王に対して失礼すぎますよ。」

「あなたは本気で今回の同盟に賛成しているの!?あり得ない!」

「賛成か反対かではありません。あなたの態度が見過ごせないと言うことです。

それにアインズ様がお決めになられたことです。まず私はそのことを否定するあなたに思うことがあるのですがね。」

「ッッ!!!///」

「すみませんでした、シュナ殿。こちらから厳重に注意しますのでどうかお許しいただけないでしょうか?」

と言うデミウルゴスの低姿勢にシュナも血の気が引いて謝罪を受け入れるのだった。

それから少ししてアインズとリムルはやってきた。

 

 

 

 

確かに今となってはあの時の私の考えは的外れだった。

テンペストの戦力はとても軽視して良いものではなかった。

しかしそのことを小娘に得意顔で暗に指摘されては納得しようにもできない。

「それではこれからご案内いたします。何かご質問などはございますか?」

だからここでまた言い返してしまう。

「特にないわ。そもそもあまり興味ないもの、だから早くしてくれる?」

そしてシュナも顔に出してはいないが前回のことがだいぶ腹に据えかねていたためこう答えてしまう。

「そうですか、では宿泊する場所へ案内いたします。

その後はお好きにしてください。

私も今後のことで忙しいので、つきっきりでご案内できませんがご了承ください。」

 

 

そうして部屋に案内されそのまま放置。

この国は正気かと尋ねたくなるものの原因が自分であるためどこか後ろめたいアルベドであった。

そしてあれからさらに数日。

ようやく小娘が部屋に来た。

「失礼いたしました。私の代わりに案内役の者を遣わせる手筈だったのですがこちらの手違いで大使の方を放っていてしまい申し訳ありません。」

「いえ、構いません。こちらこそお忙しい中突然の来訪申し訳なく思っていますので。」

とアルベドはこれ以上皮肉を言い合っても敵陣ではこちらが不利だと考えたため大使としての職務を全うすることに決めた。

アルベドの様子に少し驚いているシュナであったが、シュナはシュナで少しやりすぎたかと反省していた。

「それでは遅ればせながらではありますが私がご案内させていただきます。よろしくお願いします。」

「ええ、よろしく」

それからアルベドはテンペスト内をシュナに案内される形で回った。

 

 

 

 

まず初日は午後から首都である中央都市リムルを案内される。

そして翌日は朝から移住地区、商工業地区、観光娯楽地区、迎賓地区と大きく4つに分けられている場所をそれぞれ見て回った。

端的に説明すると移住地区はテンペストの国民が暮らしている場所。

商工業地区は職人たちの家やその職人が作り出したものを売る店などがある。

観光娯楽地区はまだ未完成とのことで詳しいことはわからないが闘技場が製作されている途中であった。

まだ完成してはいないがどうみてもバハルス帝国にある闘技場よりも規模が大きそうである。

そして最後が迎賓地区。ここは私も宿泊していた施設もある。

これらを見るだけでも正直リ・エスティーゼ王国やバハルス帝国なんかよりも活気がありよっぽど栄えている。

ナザリックが国家運営する際に見習うべき箇所もいくつかありそうだ。反乱の可能性などを考慮し、ここまで国民に活力はいらないが。

アルベドは自分の想像を遥かに超えるテンペストの国力に言葉を失っていた。

しかし翌日アルベドはさらに驚愕することになる。

それは案内役のシュナに連れられ封印の洞窟に来た時だった。

 

 

アルベドが驚愕した理由は二つ。

まずこの洞窟内では回復薬の生成とその材料となる薬草の栽培を行う生産研究施設があるという。

そんな施設、普通ならば国家機密レベルのものであるはずなのになんの惜しげもなく公開し、説明までしている。アルベドにはとてもじゃないが信じられなかった。

そしてさらに信じられないことにここにはあのクソスライム以上に強大な力を持った龍が封印されていたというのだ。そしてその封印を解いたのがあのクソスライム。

つまりこの国の武力面で最も警戒していたクソスライム以上の奴がいるということ。

まだそいつの実力を確認したわけではないが今までの情報の精度を勘案すると簡単にブラフだと判断することはできない。

第一ここには多少ではあるが強大な魔物特有の魔力残滓がある。このことからもアルベドは聞いた話がほぼ真実であると考える。

 

 

 

案内が一通り終わりアルベドは自分に用意されている部屋に戻ってきていた。

残る施設は迷宮など見学に時間がかかりそうなもの以外全て終了したとのことらしい。

アルベドは部屋で熟考していた。それはこの国とどう付き合っていくべきかをだ。

この国、テンペストと上手く付き合っていくことができれば確実にナザリックの利益になる。

しかし一歩この国との付き合い方を間違え、戦争にでもなれば確実に階層守護者の何人かは死ぬ。

それはいくら復活できるとはいえまずい。階層守護者が負けたということがダメなのだ。

もしそのことがナザリック内もしくは他国に知られた場合、盤石な支配に亀裂が生じかねない。

となると初めの通りに同盟関係を維持しつつ関係を深めていくのが吉。

しかし、しかしだ。そうなれば自ずとあのクソスライムがナザリックに来る回数が増える。

それはつまり私がアインズ様と2人きりでいられる時間が減り、逆にあいつがアインズ様と一緒にいる時間が増えるということ。

それに関してはいくらなんでも妥協できない。

それならばどうするべきか。戦争をせずに相手を服従させる方法、、、

アルベドはその方法を部屋にこもり思索するのだった。

 




syrupさん、トマス二世さん誤字報告ありがとうございます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。