ここまでお付き合いしていただきありがとうどざいます。
翌朝、モモンとナーベがエランテルに戻るということで蒼の薔薇の面々は見送りに来ていた。
「今回は色々とありがとうございました。」
「元気でな!」
「バイバイ」
「またね」
「ああ、また何かしらの依頼などで会った時はよろしく頼む。」
「おい、イビルアイ 、何か言っとけって。」
「あ、、ああ。も、モモン様、あの、、」
「今回はイビルアイのおかげで相手との戦闘に集中できた。助かった。
これから大変だと思うが頑張ってほしい。何かあればいつでも頼ってくれ」
と言ってモモンは何通かの封筒を取り出してイビルアイに渡した。
「こ、これは?」
「これに手紙を入れて魔力を込めれば送りたい人のもとに届くマジックアイテムだ。何かあれば使ってくれ」
(ああ、優しすぎるよモモン様。きっとあの王女が危ないって確信したからさらに親身になってくれてるんだろうけど、、、
もっと自分のことを考えて欲しい。いつも忙しいだろうにこんなの私が手紙送ったらまた迷惑かけちゃう、、、でも、、それでも嬉しい、、。)
「あ、ありがとうございます」
とイビルアイが受け取るとモモンとナーベは軽くみんなに挨拶して行ってしまった。
「おい、よかったなイビルアイ、それでまた話せるし、もしかしたら会えるかもな」とおちょくってくるガガーランに対しイビルアイは「ああ」と気の抜けたような素っ気無いような返事を返すのだった。
「アインズ様、なぜあのようなアイテムをあんなやつに?」
とナーベは若干不機嫌そうな感じで尋ねてきた。
それもそのはず。先の件でエントマが死にかける原因を作ったのがあの女なのだから、嫌うのも無理はない。
「今回の件で蒼の薔薇の信頼度は比較的高くなっただろう。もし何かあれば連絡をしてくるかもしれない。
それはつまり奴らの行動をある程度把握できあわよくば制御できる可能性があるということだ。」
「なるほど、アインズ様の御慧眼恐れ入ります。」
(相変わらずよいしょしてくれるけど本当はあいつが気に入ったからなんだよな。
エントマの件でイメージ最悪だったけど、実際は物凄い仲間思いなやつだったし少なくともあのくそ王女なんかより断然いいし。
それに今回の件で疑いの目も少しは晴れたような気もするし)
と相変わらずイビルアイ の恋心には全く気づかないアインズだった。
あの後再び殺された私は生き返させられコッコドールとともにどこだか分からない場所を連れまわされていた。
(ったく、ここはどこだ。こっちは生き返ったばっかでしんどいってのによ。
つーかなんだ、このガキ。今までなら何も考えず殺していたがこいつもあいつと同じ感じがする。今すぐ離れてぇ。)などと考えていると
「ちょっとぉどこに行くのよぉ」と甲高くこちらをイラッとさせる声に思考が停止させられる。
「もーうるさいなー、黙ってついてきてよ。他の8本指のとこだよ、ひとまずは」
「あ、あらそうなの。他のみんなもここにいるのね。あれから全く連絡取れないから消されたのかと思ってたわ。」
「まーなんでもいいから黙ってついてきて」
「え、ええ」
などと言っている間に扉の前までたどり着いた。
そのガキはノックも何もせず突然扉を開くと
「はーい、ちゅうもーく」とその場には明らかに不適切な声で話し始める。
しかし異様なのはそのガキのテンションだけではなかった。
部屋に入った途端そこにいた7人の、おそらくコッコドールと同じ8本指の幹部たちが一斉に立ち上がりそのガキに頭を下げたのだった。
その光景の異様さにさっきまで気に触るような声を出していたコッコドールも唖然としていた。
「はい、今回はみんなの同僚を連れてきたから。紹介するから顔あげてー。」
上がった7人の顔を見て二人は再び愕然とさせられる。
その顔は皆一様にやつれておりここでの環境の、扱いの厳しさを物語っている。
元漆黒聖典のクレマンティーヌでも恐怖を感じるほどにここにいる奴らの顔は皆酷かった。
「今回連れてきたのは二人ね、一人は知っての通り君らの同僚のコッコなんたらね。もう一人は法国から寝返ったやつね、えーっと名前はクレアとかだっけ?」
「クレマンテーヌだ」名前を覚える気すら見せない様子のガキのイラッとしたが今はこれから起こることへの不安が大きすぎてそれどこはなかった。
「クレマ、、、?まぁなんでもいいや。とりあえず今からこの二人を恐怖公のところに連れて行くから帰ってきたらこれからのこと説明してあげて」
恐怖公とアウラが言葉を発した途端そこにいた7人が皆「ヒッッッ」と声を押し殺そうとしたが抑えきれなかった悲鳴のようなものが聞こえた。
「ちょ、ちょっと、何よその反応、これから私たちは何されるってわけ?ちょっとヒルマ教えてちょうだい」
とコッコドールが危機迫った様子で問いかけるがそのヒルマとかいう女は一瞬逡巡するもすぐ諦めたような表情となり目を逸らす。
「ちょっとどうして目を逸らすのよ!!!」
と騒ぎ立てるコッコドールをうるさいと感じたのかさっきまでどこにもなっかた鞭で突然コッコドールに巻きつけそのまま歩き出す。
「そっちのクレ、、、何とかもついてきてよ、あんま手間かけさせないでね」
というアウラに対して何かできるわけもなく黙ってついて行くクレマンテーヌ。
3人が部屋をさった後ここにいる7人は二人を、同じ苦しみを体験した同志を優しく迎え入れようと決めたのだった。
私はこの日初めて法国の生に執着させる考え方を呪った。どうしてあんな思いをしてまで生きなければならないのか。どこから私は間違えたのか、私の人生はいつ終わってくれるのかと。
「みなのもの面をあげよ」
「「「「「「「ハっ」」」」」」」
「先日のことについて何かわかったことはあるか、アルベド」
「はい、先日アインズ様のお手を煩わせたごみによると何者かに蘇生されたらしく気づいたら生き返っていたとのことです。
その時に自分の持ち物の中に手紙(指令書)が入っていたらしく今回の計画が実行されようとしました。」
「ふむ、、、わかった。ではデミウルゴス今後どうするのが最善と考える?」
「はい、やはりアインズ様のおっしゃられたようにあの者を法国に向かわせるのがよろしいかと。」
(俺の言った通りにか、、、今回も俺が全く考えてもいないことがその発言には含蓄されているんだろうな、、、、はぁ、、)
「ではそのようにしろ、それと今後私みたいに正体を知った相手を逃さぬよう注意しろ」
「「「「「「「ハっ」」」」」」」
「しかしながらアインズ様、今回は私たちの落ち度。アインズ様には何も問題ございません」
「アルベド、せっかくアインズ様が我々のミスを無視してくれてこちらへ注意してくださっているんだ。そこには触れなくても、、、」
「いいえ、デミウルゴス。もしこの言葉を鵜呑みにしてアインズ様の意図を読み取れないものがいたら大変だわ」
「それもそうか、失礼しました。アインズ様。」
「う、うむ。他に何か報告のあるものは?」
(は?何何何?明らかに俺の落ち度だろ。死体が蘇生されることを考慮して「これがハンデの正体だ」とかイキらなければ何も問題なかっただろ!
お前らの思考どうなってんだよ!)
「アインズ様、そろそろあのリムルとかいう奴が来てもいいんじゃありんせんでしょうか?」
「あぁ、そろそろかもな。しかし我々にはあいつと連絡する手段がないのでな。あちらから来るまで待つ他あるまい」
「アインズ様、私はその時この場にいることができなかったので同盟の件詳しくお聞かせ願えますでしょうか?」
「あぁ、まだ皆に話していなかったな。そもそもの出会いは偶然だ。
たまたまあの者が転移ミスでナザリックに迷い込みシャルティアと戦闘になったことからこの件は始まる。
そしてあの者はシャルティアと互角に戦える位強い。あの場では転移も使用できる様子だったので殺すことも困難だと感じた。
そこで情報を得るために話してみたところあいつは魔物と人の暮らす国の王らしい。
この人間の国しか周辺にない中、我々が今後どのように国を作って行くかの良いサンプルとなる可能性が高い。
それと我々は今後学習による進化はあっても種族としてこれ以上の高みに登ることは現段階では不可能だ。
しかしあいつの世界ではあいつの強さは上の下ほどという。これは我々がさらなる高みへ登れる可能性がある。
まぁまだいくつか理由はあるが皆に説明すべきことはこれくれらいか」
「あれで上の下でありんすか、、、」
実際に戦ったナザリック内随一の戦闘力を誇るシャルティアが衝撃を受けたのだろう。ボソッとつぶやく。
「なるほど、納得いたしました。しかしそれほどの武力。
こちらに攻め入られる可能性は無いのでしょうか」
「あぁ、その点に関しては問題ない。」
「その理由をお聞かせ願えますでしょうか?」
「それはできないな、どうしても知りたければ考えろ、私から伝えることはできん。」
「!!!なるほど、そういうことでしたか。かしこまりました。」
(うわーまたなんか勘違いされた。単に同郷の説明ができないだけなんだよなぁ、、てかアルベドが珍しく全く話さないけど大丈夫か?)と思いつつもこれ以上話題にする議題もないことから会議は終了となった。
会議ののち各階層守護者は各々仕事に戻った。
自室に戻りアインズの言を少しでも読み取ろうと熟考していたデミウルゴスだったが訪問者が訪れたことにより思考は現実へと引き戻された。
「君が私の部屋に訪ねてくるなんて珍しいね。どうしたんだい、コキュートス?」
「ワタシモコンカイノドウメイニツイテカンガエタノダガ、アインズサマノイトガヨメナイ。クワシクオシエテクレナイカデミウルゴス?」
「なるほど、そういうことでしたか。」
「アア、アインズサマノセツメイデアルテイドハリカイシタガ、ワタシニハデメリットガオオイヨウニシカオモエナイ。」
「ええ、私も初めはそう思いました。しかしアインズ様はまだ何か私たちにおっしゃっていないことがあるご様子。
その点から考えるとまだ私の憶測ではありますがそのおっしゃっていないことがあの者がアインズ様の信用を勝ち得た理由なのではないでしょうか?
信用さえできれば今回の同盟の件はもしもの時の保険であり、異世界の技術による私たちの強化の可能性はメリットしかありませんからね。」
「ナルホド、シンヨウデキルリユウガアインズサマニハナニカアルノカ。シカシソレヲナゼワタシタチニオシエテクレナイノダロウカ?」
「そこまではまだ分かりません。しかしアインズ様が信用なさった方。
私たちも全幅の信頼を寄せるとまではいきませんが多少安心しても良いのではないでしょうか?」
「ソウダナ、デミウルゴスカンシャスル。デハワタシハワタシノカイソウニモドル」
「ええ、ではまた。」
(コキュートスにああいったもののやはりアインズ様のお考えがまだ気になりますね。やはり至高の41人をまとめ上げていた方の知略にはまだ到底及ばないということでしょうか。)と思いデミウルゴスは世界征服の計画について考えを巡らすのだった。
一方自室に戻ったアルベドは思考の海に浸かったままだった。
「あいつをどうにか私の意のままに使えれば、、、、しかし、、、いやそれだとデミウルゴスが気づくわよね、、、でも、、、、、、はぁ、、、、。私もあの子娘みたいに私もアインズ様に首輪でもつけてずっと私だけのものにできたら、、、、ふふふ、、、」
とアルベドの部屋からはナザリック内の者が聞いたら即不敬と感じるようなことを平然とつぶやくアルベドの姿があった。
彼女はベッドの上でほとんど裸の状態でシーツにくるまり体をくねらせている。
その部屋の中からは不気味だが妙に色っぽく、艶かしい声が響くのだった。
syrupさん誤字報告ありがとうございます。