3-1 出会い頭の誤解
「さてと、同盟の件どうしたもんかな。アインズも結べたら良しって感じだったし相互協力してこうくらいの内容でいいかな、、、?
えーっと確かこっちの1日が向こうの半日とかだから向こうでは1ヶ月ちょい経ったってところか?こっちもワルプルギスとかで忙しかったからなぁ。」
アインズと出会ってから既に1ヶ月。
本来はもっと早く同盟締結に向かうつもりだったリムルだったがクレイマンによる煩わしい陰謀やワルプルギスなど色々と立て込んでおり行くタイミングがなかった。
「それじゃあまた少し行ってくるから留守は任せたぞ」
「はい、任せてください!」
「かしこまりました。」と張り切る秘書1に丁寧に頭を下げる秘書2。
「任せてください。てか一人で大丈夫なんですか?一応国と国の同盟なんですよね?」
「あぁ、そこまで形式ばったお堅い同盟じゃないからな。多分問題ないと思うぞ。それに安全面の方では今回はランガを影に潜らせて行くからな。」
「主人のことは任せてくれ、ベニマル殿。」
「ああ頼んだぞ、ランガ。」
などと話しているとシュナが
「リムル様、、、」と袖を引っ張ってきて若干の涙目でリムルに話しかける。
「シュナ、大丈夫だ。またすぐ帰ってくるから。ゆっくり待っていてくれ。」
と言ってシュナの頭を撫でるリムル 。
(んーあれ以来どうもシュナがよく甘えてくるな。
この間のそんなに心配かけさせちゃったか、、)と内心反省するリムル。
「はい、、、、」
照れているのか俯いているシュナ。
あの件以降しばらく塞ぎ込みだったが最近ようやく以前のようになってくれたため安心していたが、まだどこか不安そうな様子のシュナを見てリムルはなるべく早く同盟を締結して帰ろうと思うのだった。
それから見送りに来てくれたみんなを見て
「それじゃあ、行ってくる!」と転移の魔法を発動していると
「「「「「「行ってらしゃーい」」」」」とほぼみんなが笑顔で見送ってくれた。
しかしそんな中、主君を見送る執事が如く頭を下げていたディアブロに対しシュナが話しかけていた。
「ディアブロ、聞きたいことがあるのだけど。」
「なんでしょうかシュナ様。ただいま我が主リムル様のお見送り最中なのでできれば後にして欲しいのですが。」と頭を下げたまま器用に返事をするディアブロ。
「時空を越える転移、この世界外への転移は難しいの?」
「はい、それはもう普通の転移とは比べ物にはなりません。転移の際の必要魔力もそうですが、転移先の座標がわからないとそもそも転移できません。」
「なら仮に座標さえ把握して、魔力が不足していなければ普通の転移ができるものなら可能ってこと?」
「理論上は可能なはずです。しかし普通は何かしらの問題が生じることを考えてなのか、悪魔でも時空転移しているものを私は聞いたことありません。」
「そう、、、、ありがとう」
思案げなシュナの表情を面白そうにみるディアブロだったが、リムルの去ったのちこの場にいるのは既に二人だけでもう一人のシュナも何か考え事をしており上の空といった様子でディアブロの表情を全く見ていなかった。
(いつも通りならシオンとディアブロが付いて来ると言ってうるさいのに今回は珍しく静かだったな。
ディアブロは転移間際シュナに話しかけられていたっぽかったし何だろ?)
など思ってる間に転移が完了した。
「よっし転移でき、、、た?あれ?ここは?」
リムルの転移した場所はこの間の墳墓が全く見えない湖だった。
(「ここは?」)
(「解、転移先に転移妨害の魔法がかけられており別の場所に転移させられました。)
(「うわぁ、またどっか違うとこかー。んー違う世界ではないっぽいし歩いて向かうかー、ラファエルさん案内お願い。)
(「告、できません」)
「は!?!?マジで?)と驚いて思わず声を漏らしてしまうリムル 。
(「解、以前接触したものの気配が感じられません。
よほど遠い場所にいるか気配遮断系の能力または魔法を使用してると推測します。」)
「んー困ったな、てかなんで前回は転移できたんだろな?」
などと湖の前で座り込み考えるリムル。
これはアインズが転移阻害の費用をケチったことに原因があり、
リムルが転移してきた時に上げた警戒態勢を維持したままだったのが今回の転移失敗の理由なのだがそんなことリムルは知る由もない。
「どうしようかな、いったん戻るか?でも戻ったところで転移阻害をどうにかしないとダメなんだよな。ボチボチ探すしかないか。シュナが心配しない程度で。」
この先長そうだな、、などと考えていると
「我が主人、どうしました?」と言ってランガが影から出てきて訪ねてきた。
「ん?あぁここ前回の転移地点と違うっぽくてな〜」
「なぜ違うところに?」
「なんかそこに転移阻害の魔法があってここに飛ばされたっぽいんだよな」
「なんと!?それは主人が来ると知って阻害魔法をかけるとは」
「いや、向こうにも何かあったのかもしれんぞ、向こうは俺がいつ来るのか何てわからないだろうし。」
「そ、そうでしたか。それでは一度テンペストまで?」
「いや、少し探してみようと思う。戻ってもどうせ阻害魔法をどうにかせんといけないだろうし」
などと話していると突然背後から「危ない!!!後に下がって」と叫び声が聞こえたと思ったら剣を持った女と、他何人かが俺とランガの間に割って入ってきた。
思わずリムルは呆然としてしまいその人たちを眺めてしまった。
「なぁ今回の依頼どう思うよ?」
「まだなんとも言えないわ」
「しかし詳しい情報が一切ないなんておかしすぎやしねぇか?」
「それは尽くそいつと遭遇した冒険者が殺され逃げ帰った一部の奴らも混乱して情報を聞き出せなかったからだろう」
「ええ、そうギルドマスターが言ってたわね」
「でもよ、姿や形、それに攻撃手段まで意見がバラバラってあり得んのか?」
「確かに今回の依頼は不審なところばかりだが放って置くわけにもいくまい。」
「まぁそうなんだよな」などと話していると少し遠くから
「は!?、、、」と素っ頓狂な叫び声が聞こえ蒼の薔薇の一同が顔を見合わせる?
「おい、今の声はなんだ?」
「誰かが襲われている?」
「鬼リーダー、確かめる?」
「鬼ボス、どうする?」
「もしかしたら私たちの探しているモンスターかもしれないわ。
見に行ってみましょう。ただしもし攻撃するとしても慎重にね。」
と話し合った五人は湖のそばで腰を抜かし地面に手をついている人と大きなモンスターを見つける。
「どうするよ、助けねえと不味くないか?」
とガガーランが言うとイビルアイが焦った様子で
「まずいぞ、あれは強い。勝てるかわからん。」
と言うイビルアイの切羽詰まった声と話した内容でその場に一気に緊張感が走る。
するとリーダーであるラキュースが
「でもまだあの人は生きている、あの人だけでも助けられないかしら?」
「ああ、そうだな。
戦うかは別としてあいつは助けてやらねえとまずいよな。どうする」
「ならば私、ラキュース、ガガーランであいつの注意を引いている間にティアとティナがあいつを救出。その後私たちはひとまず離脱しよう。」
「わかったわ、それじゃあ行くわよ!!!」
とラキュースの掛け声とともに蒼の薔薇は行動を開始し始めた。
「危ない!!後に下がって!!」
と声をかけすぐさまモンスターの気を引き、臨戦態勢をとるラキュースにガガーラン。
その後ろではイビルアイ も何やら魔法の準備をしている。
いい感じにモンスターの注意は引けたから後はティアとティナがあの人を助け出して即離脱。
と考えているとそのモンスターはラキュースたちには目もくれずティアとティナの元へ一直線に向かう。
ラキュース、ガガーランそしてイビルアイもがそのモンスターの行動を見て驚愕する。
「う、嘘だろ、マジックアイテムまで使用したティアとティナに気づいていたのか」と珍しくイビルアイも狼狽してしまう。
それもそのはずで今のマジックアイテムを使っている彼女らは高位の冒険者ですら発見が困難な暗殺者なのだ。
それなのに突然の襲撃に加え目の前に敵がいる状況で潜伏している彼女らを見つける。並大抵のモンスターではない。
この時イビルアイは戦力差を見誤ったかと後悔した。イビルアイは内心で
(早く離脱せねばまずい。あいつには悪いがこれはどうしようもない。もっと念入りに準備しなければならない)と頭をフル回転させていると思ってもいないところから声がかけられる。