そして夜になり透流とユリエは一緒にテレビを見ていた。
何だかんだで結構うまくいっているのだ。
今回は動物特集で丁度子ライオンが転がる姿を見ていたユリエがそれを見て
こう言った。
「可愛い・・・。」
そう呟いたのだ。
すると透流はこう聞いた。
「ユリエは動物好きなんだな。」
そう聞くとユリエはこう答えた。
「ヤー、特に鳥が・・・中でもインコが好きです。」
そう言いながらユリエはアップルティーを飲んでいるとユリエはこう聞いた。
「トールも動物が好きなのですか?」
そう聞くと透流は少し苦々しい顔でこう言った。
「いや・・・あまり好きじゃないな。」
そう言った。
あの時妹を殺されたあの日から動物相手に対して幾つかの苦手意識が
出来てしまったのだ。
無論あれは動物の姿形を変えたバケモノであるのだが心のどこかで
何かがあるようだとそう思っていた。
そして透流は話題を変えようとユリエにこう聞いた。
「そういえばユリエ、《デュオ》の相手は決まってるのか?」
そう聞いた。
何せお互いに相手を見つけるのは四苦八苦しているのでどうしたら良いのかと
思っていると少ししてユリエは・・・少し俯き加減にこう言った。
「・・・巴に申し込み」
「嘘だろ。」
「・・・・・・ヤー」
ユリエは決まったと嘘を言ったのだがそれを見た透流は嘘だと見破った。
そして透流も自分もだよと言うと透流はこう聞いた。
「良かったらさ、ユリエ。」
「?」
「俺と組まないか。」
「・・・・・!!」
ユリエはそれを聞いて目を見開くと透流はこう続けた。
「ほらさ、こうやって一緒に住んでいるからさ。改めてルール作るよりかは楽でいいかなあと思ったんだけどさ・・・どうかな?」
そう聞くとユリエはこう聞いた。
「・・・トールは私と組んで迷惑になりませんか?」
そう聞くと透流はこう答えた。
「迷惑上等、仲間なんだから甘えても罰はあたらないよ。」
だからさと言って透流はユリエに向けてこう言った。
「俺を頼ってくれユリエ、俺もお前を頼る。」
そう言うとユリエは・・・。
「ヤー」
何時ものように頷いて・・・初めて笑ったのだ。
それは小さな・・・だが、可愛らしい微笑であった。
この日、新たに《デュオ》が決まった。
因みに内心では・・・。
「(良かったああ・・・これで楽に調査が再開できる。)」
ユリエって寝るの早いからなとそう思っていた。
そう・・・言うならばこれは・・・。
計画通りであった。
5日目の金曜日。
恒例のマラソン。
「遅いな。・・・」
透流はそう言いながら夕暮れにもかかわらず穂高がゴールしていない事に対してそう言った。
「昨日はもっと速く走り終えてたなあ。」
それでも夕暮れ時だったがと言いながらこう続けた。
「そういやああの時は気を失わなかったから体もそろそろ慣れてくるはず
なんだが。」
そう呟くと後ろで声が聞こえた。
「みやびの事か?」
橘がそう言いながら先ほどゴールした女生徒に対して酸素吸入器を当てていた。
この二人が大抵首位であり月見からこう言われたのだ。
「二人とも速いからさあーー、終わった人たちのレスキュー宜しくねえーー♪」
そう言われたのだ。
「橘もか・・・まあルームメイトだからな・・・だけじゃないんだろ?」
「ああ・・・もしかしたらみやびは・・・・。」
そう言いながら橘は口を瞑んだ。
この5日間の間に辞めていったのは合計で10人。
然も透流のクラスだけでだ。
入学早々から厳しい訓練ばかりで仕方がないとはいえ日増しにクラスの人数が減ってきており現に橘に介抱されている女生徒も諦め始めているのだ。
そして透流は橘に向けてこう言った。
「・・・ちょっと様子見てくるからここ頼む。」
「お、おい九重!」
やがて半周近く回ったところで道路脇の木に寄りかかっている
みやびの姿が見えた。
「大丈夫か、穂高?」
「あ、九重君。どうして?」
穂高はそう聞きながら力なく顔を上げると透流はこう言った。
「中々戻ってこないからちょっと心配したんだ。」
どうしたと聞くとみやびはこう言った。
「あ・・・ごめんね。足を捻っちゃって・・・。」
「歩くのは無理そうだな。・・・おぶろうか?」
そう聞くと透流は片膝ついてそう言うとみやびは大慌てでこう言った。
「っわわわわ、悪いよ!九重君だって走った後なのに!!
そ、それに私重いから!!」
普段は大人しいみやびも流石に大慌てであったが透流はこう続けた。
「それじゃあ肩を貸すから一緒に歩こうぜ。捻ったところは足付かない様に
すればさ。」
「でも《ルキフル》で回復力も超化されてるし・・・。」
「動けるようになるまでにはもう辺りは真っ暗だぞ。それに遅くなると
橘が心配するからな。」
ほらと言うとみやびは少ししてこう言った。
「それじゃあ・・・肩貸して?」
「おお。」
みやびの言葉に対して透流はそう言った。
みやびの歩くスピードに合わせて歩いているとみやびはこう聞いた。
「ねえ透流君。私ね、お姉ちゃんに電話したんだ。」
昨日ねと言うとこう続けた。
「最初はね、《戻っておいで》とか、《優しいあなたが戦いなんて出来ない》なって結構言われたけど私絶対に変わるって言っちゃんたんだけどね・・・・。」
「私・・・才能ないかも。」
「穂高・・・」
それを聞いて透流は心配するがみやびはこう続けた。
「私って《アブト》があるだけでそう言うのが無くて・・・
巴ちゃんや透流君みたいになんでも出来る」
「・・・違うぞ、みやび。」
「え?」
透流の言葉を聞いてみやびは何だと思っていると透流はこう続けた。
「才能って言うのはな、植物なんだ。植物は水や日光が無ければ
成長できない。」
「うん。」
「水はこの場合努力、日光は目標とするなら俺も橘もそれに向かって
頑張っていることだと思うんだ。」
「だからそれを才能の一言で片づけるのはよくない。」
「・・・・・」
「頑張れなんて無責任な事は俺は言わないし辛いからこそ努力だとか
そう言う脳筋めいた事は言わない。」
「だけど辛い今だからこそ踏ん張るべきだと思うんだ。」
「実力ってのは耐えれば耐えた分だけ強くなれるからな。」
透流はみやびに向かってそう言った。
たった2年で「核鉄」を手に入れるだけでも才能だと思われるだろがそれは
自分の血も滲むような努力から手に入れたのだ。
そう、自分の限界を決めないで高めたものにこそそれは与えられるのだ。
「変わりたければ耐えるんだみやび。自分を変えたけりゃあ
自分を鍛えるしかないんだ。」
そう言うとみやびはこう言った。
「私も・・・変われるかな?」
「ああ、変われるさ。人間だれしも変われるんだから。」
透流はみやびの言葉に対してそう答えた。
そして暫くするとユリエと橘が迎えに来てくれた。
そしてまた時は経て・・・。