アブソリュート・錬金   作:caose

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 橘戦の前編です。


橘戦、開始

校舎に行くには講堂と繋がっている連絡通路を通らなければならない。

 透流は先ず道の向こうにある人気を確認してからユリエと共に走った。

 「!!避けろユリエ!!」

 「!!」

 ユリエは透流の言葉を聞いて直ぐに避けるとその地点に・・・何かが飛んできて

目の前にあった地面を抉った。

 そしてそこから少し離れた場所で・・・聞きなれた声が聞こえた。

 「まさか君たちとは幸運だな。私は」

 凛とした声と共に橘が現れて自身の《ブレイズ》でもある雫型の分銅が付いている鉄鎖を回収した。

 鉄鎖は本来鎌に憑りつけて鎖分銅にしたり、相手を拘束したりとサブウェポン的な要素が強いが極めた人間が使えば分銅の攻撃一つで地面を抉ったり頭蓋骨を

粉砕することすら可能である。

 それを見た透流は橘に向けてこう言った。

 「全く物騒な挨拶だなって言うか俺の頭蓋骨当てる気だったろお前。」

 そう言うと橘は透流に向けてこう言った。

 「何を言う。当てる気だったのだぞ。私は・・・・」

 そう言うと橘は少し顔を俯かせて・・・黙った。

 「おおい?・・・どうした??」

 透流は何だと思っていると橘は・・・勢いよく顔を上げてこう怒鳴った。

 「私は貴様に不埒で然も私の体を弄った報いをここで受けさせるのだ!!」

 「お前それが本当の理由だろうがああああ!!!」

 逆恨み・・・とは言えない。

 寧ろ当たり前だろと思いたいのだが橘はこう続けた。

 「橘流十八芸、『橘 巴』・・・参る!!」

 橘はそう言ってヒュン、ヒユンと音を立てながら雫銅を投げ放った。

 「おわあ!」

 「トール!?」

 透流はそれをぎりぎりで避けるがその後ろにあった木が・・・命中して粉微塵になった。

 「うひょお・・・当たったらひとたまりもねえな。」

 透流は粉微塵になった木を見てそう言うと橘は感心するかのようにこう言った。

 「フフフ、良く躱したものだ。何人かは今のデ終わってたがな。」

 そう言いながら透流は周りを見ていた。

 《デュオ》でもあるみやびがいないので何故かと思いながらも戦う事にした。

 今は目の前にいる橘をどうやるかで考えていた。

 目測で鎖の長さは6,7メートル。

 《ルキフル》における超化により手首の僅かな返しが見えづらいのだ。

 そして橘は二人に向けてこう言った。

 「さあ、それでは本格的に始めようではないか!!」

 そう言うと透流とユリエはこう返した。

 「それはこっちの台詞だ!」

 「ヤー、体が温まりました。」

 そう言って三人はそれぞれ動いた。

 透流とユリエは橘を・・・挟みこまない様に囲んだ。

 橘の視覚に自身たちを見せることで判断力を鈍らせようとしたのだが如何やら

それは・・・。

 「君たちの動きは想定済みだよ!!」

 橘にとって想定の範囲内のようだ。

 橘は鎖分銅を使って透流に向けて、そして自身は・・・ユリエの方に向けた。

 鎖分銅のその最も重要な使い方は・・・多対1に使用する同時攻撃である。

 例えるならば鎖鎌ならば鎖分銅を使って一人を攻撃する間に鎌を使って

攻撃するという風に実にトリッキーな戦法を使うことが出来るのだ。

 それを見た透流は雫銅を楯で止めるために一端足を止めた隙にユリエの懐に

飛び込んで腕を取り、そのまま投げ飛ばした。

 意表をつかれたユリエはそのまま飛ばされるも難なく着地した。

 然し再び距離を取られてしまった。

 それを見た透流は橘に向けてこう言った。

 「流石だな、橘。」

 そう言うと橘は誇り高そうにこう言った。

 「橘流十八芸は様々な武術、武芸に通じていてな。とりわけ私は鉄鎖術と柔術が得意だからな。丁度よかったよ。」

 「・・・厄介ですね。」

 橘の言葉を聞いてユリエは少し冷や汗を掻いた。

 遠ければ鉄鎖で、近づいたら柔術という風に遠近両用に優れているのだ。

 近接型の透流やユリエでは相手が悪すぎていた。

 おまけにみやびも見当たらないから猶更分が悪いと思った。

 ここは一時撤退するのがセオリーなのだが橘は容赦なかった。

 「さあ続けていくぞ九重!!」

 そう言いながら橘は雫銅を放った。

 無論避けるがじり貧も良い所だが透流はユリエを見て・・・指を忙しなく

動かした。

 「ヤー」

 そう言うとユリエは《ブレイズ》の片割れを・・・背中に向けている橘目掛けて放った。

 「何!!」

 橘はそれを見て驚いていた。

 何せ《ブレイズ》を投げ放つなど今までいなかったのであろう。

 この戦法はユリエのような複数所有の人間でしか使えない。

 橘はそれを躱すも・・・未だ奥の手があった。

 「何だ・・・・!!」

 橘はそれを見て驚いた。

 何せ・・・透流がユリエの放った《ブレイズ》を持ってこっちに来たからだ。

 橘はそれを見て驚きながらも鎖を束ねてそれを何とか受け止めるが

透流は更に追い打ちをかけるかのように中段突きの拳を橘の腹部にへと

突き刺さった。

 「・・・浅いか。」

 然し透流はそう言いながら橘を見た。

 あの一瞬の間に体を僅かに身を捻らせて打点をずらしたのだ。

 然しそれでも数m飛んだので橘は体勢を立て直してこう言った。

 「く・・・一旦引くぞ、みやび!」

 そう言いながら校舎の中にへと飛び込んだ。

 「トール、どうしますか?」

 ユリエはその光景を見てどうするのかと聞いた。

 鎖分銅は閉所でこそ威力を発揮することが出来る。

 然もみやびの姿が見えない。

 ここで追い打ちかけて何かの策にかかりたくないと思っているが少し考えて

透流はこう言った。

 「・・・先ずは橘を追いながらみやびを見つけよう。流石に遠くにはいない

かもだしな。」

 そう言いながら透流とユリエは進んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 然し未だ透流は気づいていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 危機が迫っていることに未だ・・・。




 後編に続く。
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