それでも越えなければ・・・先へと進めない。
「・・・冗談でしょ?」
すると伊万里が隣で目を丸くしたまま呟くとこう続けた。
「幾ら戦闘技術訓練校だからって入学初日から・・・だ、大体入試試験って何ヨ!《適正(アブト》があれば誰でも入学出来るんじゃなかったの!?」
そう言うと透流がこう言った。
「いや、それこそ理事長の策略だろうよ。」
「え!?」
伊万里は驚いていると透流はこう続けた。
「適正があれば誰でも入学できるって口実があればどんな奴だって
受けたくなるさ。それがどれだけの人数だろうとな」
「そしてそこから1000分の1で分かったとしても実力が無ければ学園としての
立場もない。」
「だからこそ不意打ちでこう言う試験を出させてるのさ。」
透流がそう言うと理事長がこう答えた。
『その通りですわ。』
そしてこう続けた。
『何時か必ず、貴方達には戦う時が来ますわ。《超えし者(イクシード)》としてドーン機関の治安維持部隊へ所属した後、時には命がけともいえるような闘いが
必ず・・・訪れましょう。』
『けれどその時は貴方達の都合で待ってはくれませんのーーーと、ここまで言えばお分かりですね?』
そう言うと透流がこう締めくくった。
「・・・《資格の儀》は学園側から俺らに対して贈られる最初の決断・・・
って訳かよ。」
『その通りですわ。』
だが透流はこうも聞いた。
「だけどそれなら何で外部にそれが洩れなかったのか気になるな。」
『それは』
理事長が何か言おうとすると透流はこう聞いた。
「一つは多額の金で買収したかそれとも・・・口封じしたか予備施設が
あるのかって所か?」
そう聞くと理事長はニヤリと笑ってこう返した。
『中々感が宜しい事ですわね《九重 透流》』
『確かに口封じ以外の方法で我々は情報規制をしておりましたし
我が学園にはとある島において研究施設がありそこで研鑽している者たちも
おりますわ。』
『負けても尚も戦う意志と覚悟を持った者たちだけが集う場所ですが』
『来年時に空きがあればそこからこの本校に移籍することも可能ですわ。』
そう言うと理事長は透流に向けてこう聞いた。
『ほかに何か聞きたいことでも?』
そう聞くと透流はこう答えた。
「それならもう一つ。」
『はい。』
「戦う相手はパートナー以外でも大丈夫ですか?」
『・・・・それはどういう理由で?』
理事長が何やら眉間にしわを寄せると透流はこう答えた。
「パートナーではなく他の連中2人をパートナーと連携して倒すじゃあ
駄目なんでしょうか?」
それを聞くと全員がガヤガヤと話し合っていた。
中には仲良くなった人間もいる。
それをいきなり戦い合わせるなんてと否定派もちらほらいたが理事長は
こう答えた。
『申し訳ありませんがそれは出来ない相談ですわ。』
『そういうのは入学してからの行事としておりますので。』
ですがと言って理事長はこう続けた。
『時には出会って数分しか経ってないパートナー同士で戦い合わせるのも
一興かもしれないですわね。』
そう言うと三國を見てこう言った。
『三國、来年度からはそれでやれるか調整お願いできますか?』
「畏まりました。」
三國はそう言って会釈した後に透流に向かってこう言った。
『と言う訳で諦めて貰いますわ。ですが来年度に向けて良い指針が
決まった事には感謝いたしますわ。』
そう言うと透流は座ると伊万里がこう言った。
「ありがとう。」
「どういたしまして。」
お互いそう言うと理事長がルール説明をした。
『この決闘は基本的に何をしようとも自由・・・つまり武器の使用制限は
ありませんし勿論《焔牙(ブレイズ)》の使用も許可しますわ。制限時間は10分。その間にどちらかの敗北宣言かこちらが戦闘不能と判断した場合となりますわ。』
『その間に決着が着かなかった場合はどちらとも不合格となりますので
悪しからず。』
そう言うがしんと講堂内において沈黙が走った。
何せその闘いに於いて武器の無制限使用が無いとすれば自分だけではなく相手を傷つけるか・・・殺すかになってしまうのだ。
そんなのを簡単に決断する人間などいないのだが・・・そう言った
心理的状況に対して囁くのが・・・悪魔なのだ。
『それと開始前に《焔牙(ブレイズ)》についての補足説明をさせて
頂きますわ。』
『《焔牙(ブレイズ)》とは超過された精神力によって魂を具現化した
武器・・・故に傷つけるのも同じものであるために体のダメージは無いに等しく、攻撃した相手の精神を疲弊させて肉体を傷つけない制圧用の特殊な武器ですわ。』
それを聞いた新入生が安堵している中で透流はヤバいなと思った。
「(くそ!あの子供理事長は悪魔かよ!!これじゃああの
ガキの思う壺じゃねえか!!)」
そう思いながらも自分の懐にある『核鉄』を触ってこう思っていた。
「(俺の力はあいつ等や・・・人間にも対抗できるがバカでかい力だからこその覚悟を持たなきゃあいけないのに!!)」
そう思いながら透流は隣にいる伊万里を見てみると・・・。
「(・・・覚悟を決めてる目だ。)」
そう思い透流も覚悟を決めると理事長がこう言った。
『闘いなさい、《天に選ばれし子(エル・シード)らよ!!
そして己の未来をその手で掴み取るのですわ!!』
その鋭い一声と同時に・・・学内全てに鐘の音が響き渡った次の瞬間・・・。
「ウワアアアアアアアア!!」
誰かが発した雄たけびと同時に戦闘が始まった。
そんな中で4つの状況が出来上がった。
一つは状況を理解して講堂入り口に逃げ出す者。
二つ目はその場でパニックに陥った者。
三つめは状況についてこれずに立ち尽くす者。
最後は・・・決闘を受け入れ、戦う者達。
そう言う人たちは力ある言葉を発して体から焔を出して・・・
武器を顕現させた。
これこそが・・・《焔牙(ブレイズ)》であり、魂が武器と化した姿である。
剣、槍、弓、視界に映る数多もの武器を持つ所有者たちが目の前にいる
敵に向かって鎬を削っていた。
そんな中においても透流と伊万里はお互いの顔を見つけ合ったまま無言で
立ち尽くしていると・・・伊万里は口を開いてこう言った。
「仕方がないって言葉は好きじゃないんだけど・・・・でも、アタシには
やるべきことがあるわ。その目的を達するためにはどうしてもこの学園に
入学したいの。」
この学園でと言って伊万里は透流の目を真っすぐ向いてみるとこう叫んだ。
「この道は譲れない!!」
そう言って伊万里は胸元に手をかざして・・・こう言った。
「《焔牙(ブレイズ)》!!」
そう言うと伊万里の胸元に《星紋(アスター)》が浮かび上がり、黒く、そして何よりも淡い光を放った・・・見る人間によってはひび割れにも似た構造の
刀になった。
「透流も《焔牙(ブレイズ)》を出して・・・!」
そう言うと透流は伊万里に向けてこう言った。
「悪いが俺のはどうも戦闘向きじゃないからな。」
そう言うと透流は腕を突き出してこう言った。
「この拳でお前と戦うさ。」
そう言うと伊万里はこう言った。
「そう・・・だったら!!」
「(速い!!)」
ルキフルによって超化された瞬発力は数メートルもある間合いを一瞬で
詰めることが可能となっており一瞬で透流のすぐ近くに迫った。
「うおっと!!」
透流はそう言いながら避けた瞬間に・・・振り落とされた床が斬り裂かれた。
とてもではないが伊万里の見た目から見て出来るものではない。
矢張りこれがと透流はそう思っていると伊万里はこう聞いた。
「良い身のこなしだけどもしかして何かやってたの?」
すると透流はこう答えた。
「ああ・・・ちょっと格闘技とその他諸々をな。」
そう言って口を濁した。
錬金戦団ではあらゆる武術を使わせ、その中から見合った戦い方を見出すという特殊な訓練法がある。
無論これには特殊な戦場や市街地、ジャングル、あらゆる環境を念頭に
置いており武器は自身が使用するものやその場の武器なども存在する。
そうとも知らない伊万里はこう言った。
「そう、アタシは剣道よ。」
「道理で打ち込みがちゃんとしていると思ったよ。」
そう言うと伊万里は正眼に構えてこう言った。
「フフッ、ありがとう。躱された上で言われるのは癪だけど・・・」
「次は外さないわ。」
そう言って伊万里は構え直した。
最早闘いを止めるすべなど・・・ない。
作者「そう言えば透流って格闘技以外に何マスターしてんだ?」
透流「それは秘密だ。」
ネタバレになるからなと言った。