臨海学校は一言で言うなら・・・生と死の狭間を彷徨っているのだと
断言できるものであった。
本校でやる基礎訓練や戦闘訓練のみならず、島の環境を最大限利用した
サバイバル技術やロッククライミング、トラップ設置など錬金戦団で
やっていたようなことをここでもやるのかと透流とリーリスは少し遠い目で
そう思っていた。
唯一の救いといえば座学がない事が救いといえよう。
錬金戦団では座学ですら気が抜けないからだ。
そして4日目・・・・。
「まさかこの歳になって鬼ごっことはな・・・・!!」
透流はそう言いながら・・・70キロの砂がたんまり詰まった布人形を抱えて
走っていた。
現在の気温はこれまでの中で最高の気温であったためかなりきついのだ。
因みにこの鬼ごっこのルールは以下の通りである。
①本校組は砂の入った布人形を持って逃げて追うのは分校組
②追って側には携帯型無線機を使って良し
③山稜に複数配置されているゴールまで行けば本校組の勝ちで捕まえれば分校組の勝ち
④その間は《ブレイズ》以外は何使ってもよし。
こう言うルールである。
因みにこれには設定があり、捕まった要人を目的の場所まで逃がすという
設定でここら辺は錬金戦団というよりはドーン機関としての側面がキッチリと
出ている。
然しこの鬼ごっこは・・・かなりきついのだ。
木の根やでこぼこの道で足を取られないようにし、障害物だらけという事も
あって集中力を常に一定に保たなければならないが透流とリーリスにとっては既に経験済みであるためそう言う言うのに関しては一日の長であるが・・・
分校組もまた同じなのだ。
向こうはここで3か月間みっちりとやっているせいなのかどうかわからないが
地形を完璧に把握しているため何処で如何おい囲めば勝てるのかを
把握しているのだ。
現にそれにより半数以上が捕まっている。
だが透流とリーリスはそれを・・・逆手に取る作戦を取った。
幾つかの場所に簡易的な罠を仕掛けてこっちでしかわからない暗号で書かれたマークを辿っているのだ。
因みに作る際には相手を撒いたことを確認してからである。
そしてそんな中で透流は・・・伊万里とばったり会ってしまった。
「くっ!先回りとはやっぱ準備している連中は違うな。」
「そうよ。備えあれば患いなしってね。」
そう言いながら伊万里は周りの地形を生かして跳びながら透流の隙を
伺っていた。
そんな中で透流は・・・足元にある蔦を辿って・・・笑いながらこう言った。
「そりゃあ・・・そうだな!!」
そう言いながら蔦を思いっきり足で引っ張ると下から・・・小石が飛んできた。
「ヤバい!」
伊万里はそう言って慌てて宙返りして躱すと・・・透流はもう1本の蔦を手に取ってこう言った。
「こいつで如何だ!!」
そう言って引っ張って・・・伊万里が着地した場所から蔦が現れて伊万里の足を搦めとった。
「どうだ伊万里!今回は上手くいかな・・・かった。」
透流は伊万里の現状を見て・・・段々と顔を赤く染まっていった。
そして伊万里もそれに気づいて自身の・・・上を見て・・・。
「キャアアアアアアアア!!」
悲鳴を上げた。
「・・・透流のエッチ、スケベ、獣。」
「態とじゃないとはいえ・・・すまん。」
透流は伊万里に向けてそう謝るも伊万里は尚もこう言い続けた。
「態とじゃないって言ってても私のパンツを見たでしょう?」
伊万里は口をアヒル口にしてそう言った。
そう、あの時に伊万里を逆さづりにするトラップを仕掛けていたのだが
それに伴い伊万里の下着を・・・見てしまったのだ。
すると透流はこう言って反論した。
「けけけけどさ、俺以外は見ていないって言うか俺も殆ど見ていないし」
「今日の色は何色?」
「パステルカラー・・・あ。」
「見てんじゃん。」
透流は誘導尋問に引っかかってしまったと後悔してしまったが喋った以上は・・もうどうしようもなかった。
「スミマセン、嘘ついてました。見てました。」
透流は大人しく謝るも伊万里はこう続けた。
「じゃあ反省してるんなら前の貸と合わせて2つとユリエみたいな
すっごい可愛い子とリーリスみたいなすっごい美少女と《デュオ》になっていて、それでいて一緒のテントで寝ているから合計して・・・4つだね。」
「何が4つだ、何でそうなるんだ」
透流はそれには納得しないとそう言うと透流はこう聞いた。
「そういやあ何時も分校組はどんな特訓してるんだ。」
それを聞くと伊万里は・・・こう答えた。
「そうねえ・・・岸壁を手だけで登らされたり・・・
夜間に《ブレイズプラクティス》をやらされて・・・猿を捕まえるだけで
走り回って・・・崖から飛び込まされて・・・・。」
そう言いながら伊万里の目からほろりと・・・涙がこぼれ落ちた。
「あれ・・・可笑しいな・・・涙が止まらないよ。」
フフフと死んだ目で笑いながらそう言うが透流はそれを聞いて・・・
こう答えた。
「俺も同じだよ、伊万里。」
「へ・・・?」
「命綱は付けてあるけど素手で断崖絶壁の山に登ったり色んな場所で模擬演習をやらされたり、クマや猛獣に死ぬほど追われたり、パラシュート付けて飛行機からバンジージャンプやらされたり・・・ハハハハ・・・俺も涙が出そうだよ。」
ウルウルと涙を流しながらそう言う透流を見て伊万里はこう答えた。
「透流。」
「ああ、伊万里。」
お互いに見つめ合って・・・手を握ってこう答えた。
「「俺(私)達は仲間だ!!」」
何やら被害者関係だが・・・友情が固く結ばれるのを感じた瞬間であった。
その後リーリスとも話してお互いに何だか・・・良い意味で仲良くなった。
死ぬほど辛い訓練をした2人は戦友である。