好きなカードをGXに持ち込みたかった話   作:とある決闘者

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おい、デュエルしろよ。


魔法カード『レア・サーチ』

 

 

 デュエルアカデミアでの生活もこなれて来た今日この頃。

 アカデミアで行われる一般教養以外の授業と言う今まで経験したことのない授業には未だに戸惑うことも多いが、レッド寮のルームメイトとも仲良くやっているし、まあ楽し学生生活をエンジョイしている。

 

『ユキトー、遊ぼうよー』

『……ひまーひまーひまー』

 

 俺が今日やった授業の復習を終わらせたのを見計らってか、キスキルとリィラが騒ぎ出す。

 今はルームメイトがどこかに外出しているので二人もPDAのチャットアプリを通すことなく話しかけている。それに対して俺も声に出して返事をした。

 だが、それは彼女たちの希望に沿える答えではない。

 

「すまんな、今日は購買に行くんだわ」

『えー? 何買うのさ。Hな本はこの島では手に入らないよ?』

『……ユキトもそう言う事に興味を持つ歳になったんだねぇ』

「なんでそうなるのさ」

 

 俺が普段からHな本を買い漁っているみたいに言うのはやめたまえ。といっても、二人の声は俺以外には……あ~、十代が居たなそう言えば。

 精霊の声が空気を振動させて俺たちの耳に届いているのかは不明だが、壁の薄いレッド寮だから二人の声が聞こえている可能性はある。外出していることを祈っておこう。

 

『まっ、ユキトが電子派なのは知ってるし』

『……えっち』

「なんッ!?」

 

 バ、バカな……。二人が普段から入ったり出たりするメインのスマホでそういう事を調べたりはしていないはずなのに。まさか、サブスマホの存在が知られている……? 

 

『私達の仕事を忘れてもらっちゃ困るね~』

『……観察は基本』

「……」

 

 二人の仕事は怪盗。周囲の状況確認に人間観察みたいな事はお手の物といった所か。素直にやめて欲しい。

 

『あ! そうそう。ちゃんとブックマークをあいうえお順に並べ替えておいたから!』

『……結構わかりやすい趣味だね……ポッ』

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……」

 

 声に出して「ポッ」って言うな! こっちが恥ずかしくなってくるやろがい! 

 なんでカードの精霊に隠してたエロ本を綺麗に並べる母ちゃんみたいなことをされているんだ俺はぁ……。しかも、二人に知られるとか……もう、何? 死にたい……。

 これから迂闊にサブ端末も使えないな……。

 

「ああ、もう! 出かけるぞ!」

『『はーい』』

 

 全てを振り切る勢いで俺はPDAとデッキだけ掴んで購買へと向かった。

 

 

 ……

 

 

 デュエルアカデミアでは生徒間でデュエルをする、良い成績をとる、学校で行われるデュエル大会で上位に入る等によってDPという校内限定の通貨をもらうことが出来る。

 その通貨は現金と同様に使うことが出来、購買で食品やカードを購入することが出来るのだ。

 

『で、結局何を買いに行くのかしら?』

「カードだよ。DPが良い感じに溜まって来たんでね」

 

 長くないアカデミア生活だが、それでもこれだけデュエル漬けの生活をしていればそこそこのDPが溜るというもの。本腰入れて勉強すれば何だかんだで成績も悪くないんだ、俺は。

 

『……私達じゃ不満?』

「んー、カードが欲しいというよりは、パックを剥きたいって感じかな」

『手段と目的が逆転してるわね』

 

 まあ、それを言われたらそうなんだけど、パックを剥くワクワク感は生まれかわっても変わらず持ち続けているのだから仕方ない。

 

「と、そろそろ校舎だ。人目に付くから続きはPDAでな」

『おっけー』

『……うん』

 

 これまでは人通りがほとんどないレッド寮から購買までの道のりだったため、俺も声に出して会話をしていた。だが、校舎に近づくにつれて生徒たちの姿が見え始める。このまま会話を続けていたら俺は一人でブツブツ言っているヤバイ奴になってしまう。歩きPDAとなってクロノス先生辺りに見つかると面倒なことになるが、やばい奴認定されるよりは良い。

 モンスターが描かれた石碑が並べられた道を通り、正門から校舎の中へ、そこから購買部へと歩を進める。

 

『いつ見てもここのカードの品ぞろえは凄いよね~。……ここにあるカードを全部盗ったらみんなびっくりするでしょうね』

『……流石デュエルアカデミア』

 

 キスキルが何やら危うい事を言っているな……。彼女たちの性格を考えると金が欲しいというよりは、スリルを楽しんだり、エンターテインメント感覚で盗みをやっているような気がする。

 とは言え、精霊界で何やってたかは知らんが、この世界で彼女たちが何か出来ることは無い。気にすることもないだろう。

 

 デュエルアカデミアの購買では、すでに一般のカード屋では取り扱っていない古いパックから最新のパックまで多く取り揃えている。最近のパックはレジで店員に直接言って買うしかできないが、それ以外の古めのパックは棚につるされて陳列されている。

 それはつまり、新し目のパック以外は購入者が買うパックを選べるという訳だな。ふふふ……。

 

『わお、マスターが獲物を品定めしてる時の私達みたいな目になってるよ』

『……うんうん、私達のマスターならそうでなくちゃね』

 

 さてさて、キスキルとリィラの戯言は置いておいて、パックを選びますかね。

 この世界におけるカードのパックはI2社ことインダストリアル・イリュージョン社によって供給されている。前世の世界と同じように定期的に新パックが追加されていくわけだが、その内容は前世の物とは全く違う。

 まず、見たこともないバニラモンスターが多い。しかも総じて打点が低い。そんなこともあってこの世界のカードプールはかなりカオスだ。カードをデザインしているI2社の社員の趣味なんだろうか? 

 次に、レアカードの封入率が恐ろしく低い。運が悪いとワンボックス買ってもスーパーレア1枚当たらないこともある。そのせいもあってこの世界におけるレアカードはとても価値があり、シングルで買おうものなら適当なレアカードでも学生にはちょっと厳しい値段になってくる。

 そして何より一番問題なのが……。

 

(どの闇鍋にするか……)

 

 収録カードのテーマになんの統一性も無い事だ。前世のパックでは精々3つ程度のテーマのカードが収録されている。だが、この世界では新規テーマが追加されるでもなければ既存テーマの新規カードがごちゃ混ぜにされているのである。まさに闇鍋。

 とは言え、それだけでは新規プレイヤーがとっつきにくいという事でそれ以外のパックもある。それは既存のカードを再録し、特定の種類のカードだけが収録されたモンスターカードパック、魔法カードパック、罠カードパックがあるのだが……それはそれでまた別の意味で最悪な闇鍋だ。

 

「う~ん……」

「お、ユキトじゃん」

「やあ、ユキト君」

「十代先輩、翔先輩。どうもです」

 

 パック選びに集中していた所にやって来たのは十代とその子分、丸藤翔。彼もオシリス・レッド所属であるため、俺も交流がある。

 

「先輩たちもパック買いに来たんですか?」

「いや、俺はドローパン目当て。今日の分の黄金の卵パンは頂いて行くぜ!」

「僕はアニキの付き添いだよ」

「は~、俺は黄金の卵パン引けたことないですよ」

 

 ドローパン。これもまたこの世界の悪い所と言うか、まあ一種のお楽しみではあるんだが、それは具がランダムのパンである。その中でも一日一個だけあると言われる黄金の卵パンが超絶美味いという噂は聞くのだが、実際にその味を確かめられたことは無い。

 だが、そこは十代。彼の持ち前の運命力はこんなところでも発揮されるのか、黄金の卵パンを引く自信があるらしい。十代ならパック選びも適当にやって目的のカードを易々と引けるんだろうなぁ……。

 居るよね、そう言う人。前世にもそう言う友達が居たもんだ。目の前で実践されて普通に泣きたくなった覚えがある。

 

「ユキトは……何やってるんだ、それ?」

「え? 先輩はやらないですか? サーチですよ」

「サーチ?」

「アニキはそういう必要無さそうッスもんね……。ここで言うサーチって言うのは、狙ってレアカード当てる技の事ッス」

「へ~」

 

 そんなえげつない運命力を持たない凡人は小手先の技術でどうにかするしかないのだ。そして、それはパック選びにも言える。

 一番的中率が高いのはパックを軽く曲げてみて、固い物を選ぶ方法だが、それはカードを痛めやすく、店員にも目を付けられやすい。俺も店員のトメさんに怒られるのは嫌だ。

 今俺がやっているサーチの手法はレアカードが入れられている一番後ろのカードを滑らせて、その滑り具合を見る方法だ。レアカードはノーマルと表面の処理が違う事を利用したサーチ方法だな。これはこれで細かい傷がつく可能性があるのだが、この世界のカードは何故かは知らないがやたら頑丈なのであまり気にする必要もない。そして、何より店員に目を付けられにくいのが良い。傍から見たら動きが小さいこのサーチ方法はじっくりパック選びをしている様にしか見えない。

 

「そんなんで分かるのか?」

「まあ、気休め程度ですけどね。……これかな」

 

 じっくりと選んだパック2つを持ってレジに会計に行く。

 2パック分のDPが手持から引かれ、代わりにこのパックは俺のものとなった。

 

「お、開けるのか? 何が出るのか楽しみだな!」

「気になるッスね」

「じゃ、開けますよ」

 

 そう言って1パック目を開ける。

 

「ありゃ」

「あーノーマルだけか」

「ま、そんなもんッスよね」

 

 サーチをしたって必ずレアカードを当てることは出来ない。いや、俺には出来ない。これは単純にスキルの問題だ。何パックもカードをスリスリしていくとだんだん感覚が分からなくなってくるから仕方ないのだ……。

 それはそれとして、2パック目を開ける事にした。

 

「お」

「おお! これはレアカードの気配がしてるぜ!」

「早く! 早く!」

 

 少しカードをずらすと、絵柄が光っている事が確認できた。これでスーパーレア以上確定だ! 

 

 さて、ここで今回買ったパックについて話そう。

 俺が使っているLive☆Twin&Evil★Twinは本来ならこの時代にあるはずのないカードであり、現在売られているパックから関連カードが出ることは無い。しいて言えば、その効果と相性がいい何か、キスキルとリィラの属性が光と闇なので、それに対してシナジーを発生させることが出来る何かが当たればデッキに組み込んでも良いかなといったところだ。

 ぶっちゃけ言って、今特別欲しいカードと言うものはない。と言う訳で、今回選んだパックは適当にモンスターパック。

さっきも言ったように、それには既存のカードが収録されている。

 

「あ」

「あ」

「あ」

 

『ブラック・マジシャン 』

 

「「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああブラック・マジシャン だああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」」

 

 出たカードはブラック・マジシャン 。

 伝説のデュエリスト、武藤遊戯が愛用していたという事もあって価値が爆上がりしたカードの一枚だ。その値段は……ちょっと想像できない。

 

(……うん、売ろ)

『マスター大金持ちじゃーん!』

『……新しいパソコン買って?』

 

 OCG生まれOCG育ちの反応は淡白だった。

 

 

 




キスキル『///』
リィラ『///』
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