好きなカードをGXに持ち込みたかった話   作:とある決闘者

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効果『このゲームに勝利した時、カードを交換する権利を得る』

 最近、アカデミアの様子がおかしくなってきた。

 具体的に言うと、万丈目の制服が黒から白に変わり、オベリスク・ブルーの生徒もどんどん漂白されていった今日この頃。斎王の中に潜む破滅の光が引き起こす事件が近づいてきているのが分かる。

 だが、今一番俺を困らせているのはホワイト寮の勢力拡大ではなく……

 

「桜 幽鬼兎! このカード全部とブラック・マジシャンを交換してくれ!」

「……またか」

 

 ラー・イエローの生徒がアタッシュケース一杯に詰められたカードを見せつけながら交換を申し込んできた。

 ブラック・マジシャンをパックで引き当てたという情報をどこかで聞きつけたのか……。まあ、十代と翔が大声でブラック・マジシャンの名前を叫んでいたあの場には俺ら以外の生徒も普通に居たし、そこから話が拡がっていったのだろう。

 それに、このイエローの人は一度ならず二度までも……ならかわいいものだったのだが、ほぼ毎日俺に対してアタックを仕掛けてくるのだ。今日みたいなことがもう何回も行われている。普通に迷惑である。

 

『もうユキトの所にブラック・マジシャンは無いのにねー』

『……しいて言えば新しいパソコンと交換した』

 

 キスキルとリィラの言う通り、ブラック・マジシャンはもう手放している。俺のデッキに入れられないこともないけど、特に意味もないし、わざわざブラック・マジシャンのためにデッキを作ろうにも関連カードも軒並み値段が高くて作ろうという気すら起きなかった。

 と言う訳で、ブラック・マジシャンは売り払ったのだ。ちなみに、あまりにも値段が高すぎて未成年の俺だと売却が出来なかったので、先生に頼んで代わりにオークションに出品してもらった。売上金の2%程は俺が貰ってプロ棋士もニッコリの最強スペックパソコンを組み立てるためや汎用カードとかをちょこちょこ買う事に使わせてもらった。

 残りは施設のお金にしてくれと先生に頼んだが、あの人の事だからきっと手を付けることは無いだろう。先生はお金が少なくなってはカード大会に出て賞金を荒稼ぎして帰ってくるから、基本的にうちの施設はお金には困っていない。流石は元プロデュエリスト。一時期はDestiny of Duelist、DDにも迫る勢いでランキングを駆けあがって行った腕は今も衰えていない。何故早々と引退してしまったのか、界隈では一つの謎として有名だったりする。

 

「おい! 聞いているのか?! 頼むから交換してくださいお願いします!」

 

 ああ、忘れてた。

 

「何度も言ってるけど、もうブラック・マジシャンは売ったんだよ」

「嘘だ! そう言ってまだ手元に残しているんだろ!」

 

 うん、なんでそんなに話を聞いてくれないのか。でもデュエリストはこれくらいの強引さを持っていないと先攻をとれないから仕方ないね。

 

「こうなったら、俺とデュエルしろ! もし俺が勝ったらブラック・マジシャンを交換する権利をよこせ!」

 

 ああ、アンティルールは一応校則で禁止されているからな。そこら辺を弁える程度には冷静なようだ。それにしても地味に腰が低いのは対象がブラック・マジシャンだから多少は申し訳ない気持ちもあるのだろうか? 

 

「デュエル!」

「デュエル!」

 

 あ、つい言い返してしまった。

 

 ユキト   LP4000

 イエロー生 LP4000

 

 デュエリストの性分とでも言うのだろうか、「デュエル!」という掛け声を掛けられると反射で返してしまう。

 こうなってしまってはもう後戻りはできない。さっさとデュエルに勝って話を終わらせるしかない。

 

「先行は俺! ドロー! フィールド魔法、魔法族の里を発動!」

 

『魔法族の里』

 フィールド魔法カード

 ①:自分フィールドにのみ魔法使い族モンスターが存在する場合、相手は魔法カードを発動できない。②:自分フィールドに魔法使い族モンスターが存在しない場合、自分は魔法カードを発動できない。

 

(げ、げぇ!! 面倒なカードを出してきやがった!)

 

「さらに、魔導戦士ブレイカーを攻撃表示で召喚! このカードの効果で魔力カウンターを一つ置くことによって、攻撃力を300ポイントアップ!」

 

『魔導戦士 ブレイカー 』

 効果モンスター/レベル4/ATK1600 DEF1000

 ①:このカードが召喚に成功した場合に発動する。このカードに魔力カウンターを1つ置く(最大1つまで)。②:このカードの攻撃力は、このカードの魔力カウンターの数×300アップする。③:このカードの魔力カウンターを1つ取り除き、フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。その魔法・罠カードを破壊する。

 

「俺の場に魔法使い族が居ることによって、お前は魔法カードを発動できなくなるぜ!」

 

 魔法族の里。このカードによって相手の魔法カードの発動を制限する戦略を俗に里ロックなんて言ったりする。デッキが魔法使い族を中心とした物ならなんて事のないフィールド魔法であるが、そうではない俺にとってはぶっ刺さってしまっている。とは言え、これは俺だけの話と言う訳ではなく、里ロックは魔法使い族をデッキに入れて居なければ基本的に刺さるため有効なロックデッキとして有名だ。

 

「魔法使いデッキか……」

「そうさ! そして、このデッキにブラック・マジシャンを導入することによって、俺のデッキは完成するんだ! 俺はターンエンド」

 

 なるほどね、だからブラック・マジシャンにあれほどまでに執着していたのか。でもそこまでする必要あるのかね? 

 

「俺のターン、ドロー」

 

 魔法族の里によって俺は魔法カードの発動を封じられてしまった。破壊するためのサイクロンも発動できないんだから困ったものだ。まあ、今手札に無いけど。

 そうなると、次に考えるのは罠カードによる破壊。すでに発動をされてしまったのでマジック・ジャマーも使えない。なら砂塵の大竜巻あたりで破壊を狙うのが定石だろう。まあ、今手札に無いけど。

 とは言え、あのフィールド魔法の攻略方法は何も一つだけと言う訳ではない。

 

「Live☆Twin キスキルを守備表示で召喚! キスキルの効果を発動! 自分フィールドに他のモンスターが存在せず、このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、手札・デッキから「リィラ」モンスター1体を特殊召喚することが出来る。俺はデッキからLive☆Twin リィラを特殊召喚!」

 

 ここからEvil★Twinコンボを使って最後にEvil★Twin リィラを出すことが出来ればその効果でカードを一枚破壊することが出来る……のだが、こいつも手札に居ない! 本来なら手札にあるシークレット・パスフレーズによってデッキからサーチするつもりだったのだが、これが封じられてしまった。

 

「さらに、手札のLive☆Twin リィラ・トリートの効果を発動! フィールドにキスキルが居るとき、このカードを手札から特殊召喚する!」

 

『Live☆Twin リィラ・トリート』

 効果モンスター/レベル2/ATK500 DEF0

 このカード名の、①の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、②の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:自分フィールドに「キスキル」モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。②:「イビルツイン」モンスターの戦闘で自分または相手が戦闘ダメージを受けた時、墓地のこのカードを除外し、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力は、その戦闘ダメージの数値分ダウンする。

 

「なっ! 一気に3体のモンスターを召喚して来ただと! だが、守備力0の雑魚モンスターじゃ壁にもなりゃしないぜ!」

「言ってろ」

『言わせんなよマスター!』

『……そうだぞー』

 

 俺にしか聞こえないフィールドからのやじが五月蠅いが、まあ、攻撃力と守備力が貧弱なのは言いようのない事実だし。でもゴミとかクズとか言ったらキレるからな。俺はゴミクズアレルギーなんだ。

 

「リバースカード2枚伏せてターンエンド」

「魔法族の里の前で何も出来ないか。ブラック・マジシャンが泣いてるぜ! ドロー!」

 

 だから、もう居ないって。

 

「熟練の黒魔術師を召喚!」

 

『熟練の黒魔術師』

 効果モンスター/レベル4/ATK1900 DEF1700

 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分または相手が魔法カードを発動する度に、このカードに魔力カウンターを1つ置く(最大3つまで)。また、魔力カウンターが3つ乗っているこのカードをリリースして発動できる。自分の手札・デッキ・墓地から「ブラック・マジシャン」1体を選んで特殊召喚する。

 

「お前からブラック・マジシャンをもらい受けることが出来ると知って、こいつも喜んでるぜ!」

「え? あ、うん」

 

 熟練の黒魔術師は確かにブラック・マジシャンをサポートするカードだけど、そこまでする必要あるのかな……。熟練の黒魔術師は元のスペックが優秀だから雑に使っても真っ当に強いのが良いよね。

 

「さらに、ブレイカーの効果を発動する! 魔力カウンターを一つ取り除き、右側の伏せカードを破壊する!」

「そうはさせない! リバースカードオープン! 天罰!」

 

『天罰』

 罠カード

 手札を1枚捨てて発動する。効果モンスターの効果の発動を無効にし破壊する。

 

「俺は手札を1枚捨てることにより、ブレイカーの効果を無効にし、破壊する!」

「何! くっ……」

 

 これによってブレイカーが墓地へと送られた。

 

「だが、魔……」

「おっと! もう一枚のリバースカードオープン!」

 

 俺は奴が魔法カードの発動を宣言する前にもう一枚の伏せカードを発動させる。

 

「Evil★Twin プレゼント!」

 

『Evil★Twin プレゼント』

 このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。①:自分フィールドに「キスキル」モンスター及び「リィラ」モンスターが存在する場合、以下の効果から1つを選択して発動できる。

 ●自分フィールドの「キスキル」モンスターまたは「リィラ」モンスター1体と、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスター2体のコントロールを入れ替える。

 ●相手フィールドにセットされた魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを持ち主のデッキに戻す。

 

「俺は一つ目の効果を使う! 俺の場のLive☆Twin リィラ・トリートとお前の熟練の黒魔術師のコントロールを入れ替える!」

「なっ!?」

 

 場に出ているリィラ・トリートと熟練の黒魔術師がプレゼント用の梱包に包まれたと思うと、その梱包が解ける。すると、俺の場に熟練の黒魔術師が、相手の場にリィラ・トリートが出現した。

 

「これでお前は魔法カードを使えないな」

「しまった!」

 

 魔法族の里は強力なロックカードだが、自分の場に魔法使い族が居なくなればその強力な効果は自分の身にも降りかかってくる。

 すでにモンスターの召喚権を使い終え、特殊召喚しようにも魔法カードを使えないので少なくともこのターンは相手は何もすることが出来ない。

 

「(くっ……ディメンション・マジックが使えない……)リィラ・トリートを守備表示にし、カードを一枚伏せてターンエンドだ」

「俺のターン、ドロー! お前の場に魔法使い族が居ない事によって、俺は魔法カードを使うことが出来る。手札から、天使の施しを発動! カードを3枚ドローし、2枚捨てる」

 

『天使の施し』

 魔法カード

 自分のデッキからカードを3枚ドローし、その後手札を2枚選択して捨てる。

 

「さらに、シークレット・パスフレーズを発動!」

 

『シークレット・パスフレーズ』

 魔法カード

 このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。①:デッキから「ライブツイン」魔法・罠カードまたは「イビルツイン」魔法・罠カード1枚を手札に加える。自分フィールドに「キスキル」モンスター及び「リィラ」モンスターが存在する場合、代わりに「イビルツイン」モンスター1体を手札に加える事もできる。

 

「俺のフィールドにキスキルが居ることによって、デッキからイビルツインモンスターを手札に加える。俺が手札に加えたのはEvil★Twin キスキル! フィールドのキスキルと熟練の黒魔術師を墓地に送り、Evil★Twin キスキルを特殊召喚する!」

 

『Evil★Twin キスキル』

 効果モンスター/レベル7/ATK 1100 DEF 1100

 このカードは通常召喚出来ない。フィールド上の「キスキル」モンスターを含むモンスター2体を墓地に送ることで手札から特殊召喚することが出来る。

 このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。①:自分フィールドに「リィラ」モンスターが存在し、このカードが特殊召喚に成功した場合、フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。②:自分フィールドに「リィラ」モンスターが存在しない場合、自分・相手のメインフェイズに発動できる。自分の墓地から「リィラ」モンスター1体を選んで特殊召喚する。このターン、自分は悪魔族モンスターしかデッキから特殊召喚できない。

 

「キスキルが召喚された時、墓地からリィラを呼び戻す! 俺はLive☆Twin リィラを特殊召喚! フィールド上のLive☆Twin リィラとEvil★Twin キスキルを墓地に送り、Evil★Twin リィラを特殊召喚。今度はEvil★Twin リィラの効果発動! 来い! Evil★Twin キスキル! フィールドにリィラが居るとき、キスキルの効果で1枚ドロー! ……サイクロンでその伏せカードを破壊させてもらう」

「ミラーフォースが!」

 

 偶々引けたサイクロンで破壊出来て良かった。フィールドを一掃するあのカードは厄介だ。

 

「フィールドのEvil★Twin キスキルとEvil★Twin リィラを墓地に送ることで、このカードは手札、墓地から特殊召喚することが出来る。出て来い! Evil★Twins キスキル・リィラ!」

「墓地からだと……そうか、天使の施しの時か!」

 

 天使の施しの効果で墓地に送ったのはキスリル・リィラだ。

 

『Evil★Twins キスキル・リィラ 』

 

 効果モンスター/レベル8/ATK2200 DEF2200

 

 このカードは通常召喚できない。自分フィールドのEvil★Twin キスキル及びEvil★Twin リィラをリリースした場合のみ手札・墓地から特殊召喚できる。このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。相手は自身のフィールドのカードが3枚以上の場合には2枚になるように墓地へ送らなければならない。②:自分の墓地に「キスキル」モンスター及び「リィラ」モンスターが存在する限り、このカードの攻撃力・守備力は2200アップする。

 

「攻撃力……4400……。あのサイバー・エンド・ドラゴンも超える攻撃力……。だ、だが、俺の場には守備表示のモンスターが居る……」

「俺はまだ召喚権を行使していない」

「ッ! そう言えば!」

「2枚目のLive☆Twin リィラを通常召喚! バトルだ!」

 

 相手の場には俺がプレゼントしたリィラ・トリートが守備表示で存在していた。守備貫通能力を付与するメテオ・ストライクが手札に来ていない現状、キスキル・リィラ1体だけではLPを削ることは出来なかった。

 しかし、相手のフィールドにいるのは俺のリィラ・トリート。その守備力は……0。攻撃力が0以外のモンスターなら容易に破壊できるカードだ。

 

「バトル! リィラでリィラ・トリートを攻撃!」

 

 普段衣装のリィラが相手フィールド上に居るハロウィン衣装のリィラの所に向かうと、適当に「ぽかっ!」と殴っただけで消えてしまった。ちなみに、リィラ・トリートが破壊されるときの演出までハロウィンバージョンだ。

 

「終わりだ! 敵のライフを全て奪い取れ! キスキル・リィラでダイレクトアタック!」

「うわああああああああああああああああああああああ!!!!」

 

 イエロー生徒 LP4000→0

 

 終わりだ。

 

「これに懲りたらもうブラック・マジシャンの事は忘れろ。俺は持ってない」

「うぐぐ……仕方ない……諦めるよ」

 

 はぁ……。ようやく面倒くさい奴が突っかかってくることも無くなる。

 

 そう思った俺だったが、今回相手した奴以外は今まで通り俺に「ブラック・マジシャンをくれ」とうるさい奴が続出したので、全員デュエルで拘束して黙らせることになったのは別の話。学校の実力者と呼ばれるような人達が挑みに来なかったのが幸いだったな。

 疲れた……。

 

 

 




キスキル『そんな凄いパソコンで何してるの?』
リィラ『…レスバ』

以下余談

Q.なんでリィラの効果を使って伏せカードを破壊しなかったの?
A.最後に自分の場にリィラを出すようにするためには、プレゼントでキスキルを渡す必要があった。そうすると、攻撃で相手はLP500回復してキスキル・リィラでワンショットキル出来なくなってしまったんでご都合主義です、はい。別にこれ以上内容を広げるデュエルじゃなかったんで敵にはLP100で粘ってほしくなかったんです。攻撃力4400にキレそうになった経験は初めてです。

追記
別にそんなことなかったかもしれないけど、書き直すのが面倒だったのでこのままで。
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