まどマギは最初。GSは36巻辺りスタートですが、どちらも終盤までのネタバレとなります。
ご注意を!
「はぁはぁ」
季節外れの大型低気圧到来。避難の済んだ薄暗い街を駆ける。
もう少し。乱れた息で目的の場所に到着した。
「やい!武器泥棒め!って、なんじゃこりゃ!」
盗まれた重火器のGPSを追ってきた青年は仰天した!
その広場には、多くの銃器が墓標のように立ち並び。その真ん中に黒く長い髪に端正な顔立ちの小柄な少女が佇んでいたのだ。
「え?あなたは?」
駆けつけたバンダナ、ジージャン、ジーパンの青年に、黒髪長髪、制服のような衣装の少女は視線を向けた。対峙した二人は、お互い目を瞬かせる。
「あーよくわからんが、お前逃げろ!でないと美神さんに殺されるぞ!」
「美神?……ああ、新しく見つけたヤクザ事務所?」
「ヤクザだけど、ヤクザちゃうわ!」
「?」
少女は長い黒髪を揺らし首を傾げた。
「とにかくそのヤクザより恐ろしい人が……」
次の瞬間。二人は異様な圧を感じて、びくりと肩を震わせ視線を走らせる。その先には……。
「よーこーしーまー!まさか女の子だからって逃がそうとしたりしてないわよねぇ?」
現れた女は青年である横島を睨み、不穏な圧を発しつつゆっくりと歩み寄る。
紫色のチューブトップとミニスカのボディコンといういで立ちに、亜麻色の長い髪。美麗な顔と抜群のスタイルのモデルのような若い女だった。横島のいう、美神なのだろう。
「ひ!遅かった!」
横島はびくりと大きく反応し、顔を歪める。
「あなた達、今すぐここを離れなさい!」
眉をよせた少女は警告を発した。
「は?盗人猛々しいとはこのことね!私からモノを盗むとどうなるか、たっぷり教えてあげるわ!」
「あかん!あの娘、殺されるぞ……。数年後には俺の彼女になってるかもしれんのに!」
自分の警告を聞かず喚き散らす二人に、少女は苛立つ。
「ここは今から戦場になる!巻き込まれたくなければ逃げて!」
「これだけ大量の武器で何と戦うっていうのよ?あんたのその格好……まさか魔法少女?」
美神は眉をよせる。
「ま、魔法少女?日曜朝のアニメ的な、アレっすか?」
「そんな可愛いもんじゃないわよ。で、戦う相手って……」
「……ワルプルギスの夜」
少女の静かな言葉に、美神は目を見開く。
「な!アレがくるっていうの?!馬鹿はよしなさい!」
「逃げるわけにはいかない……!私は勝たなければならないのよ!」
《10》
「この気配、マジやばい!」
沸き上がる不穏な気配に美神は反応した。
《7》
「冗談じゃないわ!横島クン、さっさとずらかるわよ!」
突如慌てだした美神に、横島は不思議顔。
《3》
「え、え?なにがなにやらさっぱりなんすけど」
「このばか!」
《0》
「もう遅い!」
チュドーーン!!
盛大な爆音とともに、空中に爆炎が広がる!
「あれだけの銃火器を一斉射撃?」
空中に出現したものに少女が攻撃をしたのだろう。だが、いつの間に?美神は眉をよせる。
「大爆発してますねー!全弾命中!まぁ、あんだけ食らえばひとたまりもないっしょ!やったか?わはは!」
浮かれ気分の横島はタリホー!などと、にやけ顔で叫び、盛大にフラグを立てていた。
「……あまいわね。アレは何百年も前から暴れまわってる天災級のバケモノなのよ?」
少女は様々な攻撃を仕掛けているようで、ワルプルギスの夜は爆炎に包まれ続ける。
美神は口元に手を当て観察していた。
超加速?ううん、違う。なにかしらの魔法干渉により、すべての攻撃を命中させているのだろう。けれど、近代兵器は効きが弱いようだ。ほぼ無効化されている……。
闘いの行く末を確信し、美神は目を細めた。
*****
開幕の総攻撃をしのがれた少女は徐々に劣勢になりつつあった。
「なんだか旗色が悪そうっすけど……。あっ!直撃くらって吹っ飛んできた!」
それを不安そうに眺めていた横島が仰天する。
ドゴーン!
「かふっ!」
ワルプルギスの夜の攻撃に吹き飛ばされた少女が、近くに叩きつけられたのだ!
「お、おい!大丈夫か?」
横島は慌てて少女に駆け寄り、少女を見つめ息を呑む。
「やっぱり、勝てない……」
少女は絶望に顔を歪め、涙をこらえていたのだ。
「わかったでしょ?もうあきらめなさい」
美神は胸元で腕を組み少女を見下ろす。
「そして私達を安全な場所に逃がしなさい!」
裂帛の気合で言い放った!
「おまえもうボロボロだぞ?そうしとけ!な?な!」
横島が媚びる笑顔で追随する。
「このままでは、まどかが契約してしまう……。まどか駄目!そいつの話に耳をかさないで!」
「まどか?」
自分達の発言を上の空につぶやき続ける少女に、美神は眉をよせた。
「史上最強の魔法少女になる娘よ」
「ちょ!勘弁してよ!その娘どこ?」
少女の返答に仰天した美神は慌てて周りを見回す!
「んー?アッチの建物に女の子がいますねぇ」
呑気な横島の指摘に、美神も遠くに桃色の髪の娘を認識した。
「おーい!はやまるなー!契約するなー!って、遠すぎる!」
「よくわからないけれど、俺にまかせてください!」
横島はポケットから小さな珠を取り出し、念を込めた。
(伝)
珠に文字が浮かび上がり効果が発動する。
「はなまるにゃー!」にゃーにゃー……
その効果により、横島の思念が少女にとぶ。
「花丸……にゃ?」
横島の言葉にほむらは首を傾げた。
「すんません!アイタタ、ちょっとカミマミタ!いや、噛みましたって、あの娘なんだか頷いて胸元で拳握っちゃってるけど……。賛成って意味にとっちゃってたりせん?」
横島が伝達の失敗にあうあうと慌てていると、遠くの少女は桃色の光に包まれる。
「あほかー!」
大事な伝達に失敗した横島を、美神が罵倒する!
「まどかぁぁぁ!だめえぇぇぇぇ!」
満身創痍の魔法少女が悲痛な叫びをあげた!
*****
――崩壊した街。
「魔法少女になったまどかはすごかったね。ワルプルギスの夜を一撃で倒してしまったよ」
いつの間にか現れた耳の長い白い小動物は、瓦礫の上でつぶやいた。
「そして現れた巨大なアレは……?」
横島が呆然と見つめるその先。ワルプルギスの夜を越える禍々しい巨影がそそり立っていた。
「最強の魔法少女の成れの果て、最悪の魔女……」
「……」
やはり呆然と見つめ呟く美神の横で、魔法少女は唇を噛んでいた。
「十日もあれば地球を滅ぼしてしまうかもしれないね。まぁあとは君達の問題だ」
「インキュベーター!」
吞気に語る小動物を美神が睨みつける!
「久しぶりだね、美神令子。君には断られたけれど、無事ノルマを達成することができたよ」
「くっ……」
小動物は赤い目を美神に向け、首を傾げた。
その言葉に美神は忌々し気に溜息を吐く。
「おや?暁美ほむら。君は戦わないのかい?」
「私の戦場はここじゃない」
その場に背を向けた魔法少女、暁美ほむらはインキュベーターの問いに静かに呟いた。
「私はあきらめない。絶対まどかを救ってみせる。何度繰り返しても」
「繰り返し……まさか、ちょっと待って!」
ほむらのつぶやきに、美神は声を掛ける。
「あなた、固有魔法が時間操作なんでしょ!過去に戻れるのね?」
「ええ。こんな未来変えてみせる。必ずまどかを救ってみせる!」
決死の覚悟を漲らせるほむらに、美神はいろいろと合点がいったのかもしれない。小さく頷いた。
「いい?過去に戻ったら、私に会いにきなさい」
美神の言葉にほむらは唇を噛む。
「あなた、いろいろ知っているようだけれど……。幾度過去に戻っても、私のいう未来を信じて受け止められる人はいなかったわ」
「まぁ、そうでしょうね」
寂しそうに視線を下げるほむらに、美神は肩をすくめた。
「私は美神令子。ゴーストスイーパーをやってるわ。いい?過去の私にこの数字をいいなさい。そうすれば絶対信じるから」
美神はほむらの耳元に口を寄せ、小声でつぶやく。
「わかったわね?戻ったら絶対よ?悪いようにはしないから!」
「…………」
がちゃり!
ほむらは硬い表情のまま盾を作動させ、過去へと戻る――。
だからーもうー!
操作ミスでもうばたばたに投稿!
死にたい……;
この後。
美神は仲間を呼んでその魔女と対決します!
が、それはまた別のお話