数日後。見滝原中央病院。
「さやかちゃんは今日もお見舞いかぁ」
「毎日、一生懸命ですね」
コソコソとさやかをつけまわす横島とおキヌは、その健気な姿に感心していた。
「くっ。あんな可愛くていい娘が幼馴染みとか、上条とかいうやつどれだけ恵まれてるんだっ!」
「横島さん?」
「おキヌちゃん。俺は今、人生における不平等をひしひしと感じているよ。天才ヴァイオリニストのイケメンで、ベタ惚れの幼馴染み?勝ち組すぎるだろ!ジーマーにゴイスー許せねえ!」
「よこしまさーん?」
妬み全開に喚き散らす横島を、おキヌは額に青筋を立て微笑みかける。
「あ、ごめんなさい!いやだって、ほら……って、ありゃなんだ?」
不穏な気配を感じ、二人の向けた視線の先には……。
「あれは……グリーフシード?壁にめり込んで光ってる……」
「グリーフシード?」
「ええ。魔女の卵らしいのだけど、ひょっとして孵化しかかってる?」
「高確率で出現する魔女ってあれのことか?美神さんに連絡しよう!」
わたわたと慌てる二人。
「あれ?ええと、横島さんとおキヌさんだっけ?どうしたんですか?」
「こんにちは!」
「ぬはっ!」
そんな時、監視対象であるさやかとまどかが挨拶をしてきたのだった!
「や、やはっ!きぐーだねっ!」
「横島さん!そんなことやってる場合じゃ……あっ!」
周りの風景がぐるぐると変化し、奇妙な場所に一変する!
「結界にとりこまれた……」
呆気にとられるさやかとまどか。茫然とする横島とおキヌだった……。
*****
「どりゃー!」
気合一閃!群がる黒くて丸い使い魔を、横島が光の剣でなぎ倒す!
「俺もGSのはしくれ、こんな雑魚共には負けん!喰らえ!我が霊波刀ハンズ・オブ・グローリー!」
決死の覚悟で暴れまわる横島の後ろで、さやかとまどかは目を瞬かせる。
「すごい!光の剣?」
「アルバイトなのに、結構強いんだね」
「……」
二人の反応に、おキヌはなんだか苦笑い。
「ふふっ!JC達の賞賛の眼差しを背中に感じるっ!悪くないっ!悪くないぞっ!フハハハハハ!」
「あれがなければカッコいいのにね……」
「うん……」
「…………」
心情をダダ漏らす横島への二人の視線の温度がすっかり下がるのを見て、おキヌは項垂れた。
「しかし、結界からでるにはどうしたものか」
「横島さん!囲まれちゃってます!」
「くっそ!万事休すか」
壁を背にしても横島一人では対応できる数には限度がある。わさわさと群れてくる使い魔に削られるのは時間の問題だった。
「ティロ・ボレー!」
ドドドドッ!
マミの掛け声とともに無数に銃声が響き、銃弾が雨のように降り注ぐ!
「のわっ!なんだなんだ?!」
銃声が止むと、あれだけ居た使い魔は全滅していた。
「あんなにいたのに、一瞬で……?」
「出鱈目だ。美神さんでもこうはならんだろ……」
おキヌと横島はあまりのことに茫然とする。
「みんな、大丈夫?」
立ち尽くす四人の近くに、マミが華麗に着地した。
「かっこいいー!」
「うん……」
そんなマミにさやかは歓声を上げ、まどかは羨望の眼差しを向ける。
「このまま進んで魔女を退治します!横島さんとおキヌさんは2人を守って!」
「はい!」
マミは先頭に立って使い魔を蹴散らしながら進む。
体が軽い……。
こんな幸せな気持ちで戦うなんて初めて……。
お父さんとお母さんにも会えた。美神さん達という理解者にも会えた。魔法少女の友人もできた。
私はひとりぼっちじゃない!
もう何も恐くない――!
大丈夫!暁美さんには手を出すなって言われた魔女だけれど。今なら負ける気がしないもの!
マミはほむらの忠告を無視することにした……。
*****
お菓子をまき散らした病院のような結界内を突き進む。幾つもの扉を開けて、奥へ奥へ。
「ここが結界最深部みたい」
そうして辿り着いた巨大なお菓子と脚の長い椅子やテーブルの並ぶ場所に、丸い使い魔がわさわさと群れていた。
赤の水玉模様のある黒くて丸い体。白く丸い顔のような部位には一つ目のような丸い模様。足や尻尾は線のように細い。
最深部への侵入者へ反応し、ぴょんぴょんと飛び跳ねながら一斉に襲い掛かった!
「ぁ。またこの曲……」
どこからか流れだすマミが変身した時に流れていた軽快な音楽に、おキヌは目を瞬かせた。
マミは使い魔の群れの真ん中に飛び込み、創り出したマスケット銃を至近距離から射撃!別の使い魔をマスケット銃で殴り飛ばす。その勢いのまま後ろの使い魔を蹴り飛ばしと、くるくると踊るように使い魔の群れを迎撃する!
「わぁ……!」
マミの華麗な姿におキヌ、さやか、まどかは目を輝かせた。
*****
使い魔の大群を難なく殲滅し、マミは魔女に厳しい視線を向ける。
ひと際背の高い椅子に、小さなぬいぐるみのようなものが座っていた。キャンディの様な桃色の頭部に円らな目をしており、ダボダボの服にマントという愛らしい姿だった。
「あのちっちゃいのが魔女?」
可愛いかも……。おキヌ、さやか、まどかはきゅん!とするものの、マミがその容姿に心動かすことはなかった。どのような姿でも魔女は魔女。全ての魔女は斃し、弔うのだ。マミは目を細めた。
マスケット銃の銃身を持ちその台座で、魔女の座る椅子の脚を叩き折る。無様に落下した魔女を足で踏みつけ抑え、その脳天にマスケット銃を突きつけ発射!銃弾をお見舞いする。ぴくりともしない魔女をマスケット銃の台座でフルスイング!壁に叩きつけた!
すかさず撃ち込まれる銃弾を、しかし魔女はふわふわと避ける。
やはりマスケット銃ではたいしたダメージを与えていないようだ。倒すには大技しかない。
黄色いリボンが魔女に伸び、ぐるぐると縛り上げる。そのままリボンはぐんぐんと上へ伸び、魔女を高い位置に固定する。
マミは銀色の固定砲台を創り出し、魔女に狙いを定めた。
「ティロ・フィナーレ!」
マミの掛け声とともに砲台が火を噴き、魔女を粉砕する!
次の瞬間。
その小さな魔女の口から、頭部付近についた赤と青の羽、白い顔にカラフルな目、パーティ帽のような鼻。ギザギザとした牙の並ぶ大きな口にぺろりと青い舌を出す、巨大な黒い蛇のような魔女が出現した!
魔女は大技に固まるマミへとぎゅんと伸び、その凶悪な顎を開ける!
自分を覆う不吉な影に、マミは目を見開いた。
どすん!
爆音とともに巨大な蛇のような魔女はそのまま地面に激突!もうもうと土煙を上げる!
「!!!」
それを見ていたおキヌ、さやか、まどかは、突然の出来事に固まるのだった……。
美神「は?こんな糞雑魚共、瞬殺なんてわけないに決まってるでしょ?」
はい。破魔札乱れうちとか、精霊石とか。やろうと思えば……やれるんですよね?
美神「でも、やらないの!いい?やれないんじゃなくて、や、ら、な、い、の!だいたいね……」
※小笠原エミは霊体撃滅波。六道冥子は式神で瞬殺とのこと。
美神「は?あいつらは規格外ってこと、わかってる?ねえ!ちょっと!」
美神はカメラに向かって力説中!
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誤字指摘、餡堂夏様感謝!
やっば!霊刃刀は、霊波刀っすね……!
あざーす!