キーンコンカーンコーン……。
見滝原中学。終授業を終えるチャイムが鳴った。
「暁美さん。上級生の巴さん、またきてるわよ?」
「!!」
隣の席の女子の呟きに、ほむらは視線を走らせる。そこには半身隠しつつ、こちらを伺う巴マミの姿があった!
「ほむらとマミさん、すっかり仲良しだね!」
「ふふっ!」
「……!」
さやかとまどかの微笑みを受け、ほむらは眉をよせた。
「暁美さん!今日はアレでしょ?一緒に行きましょ?!」
はにかみながらきりだすマミに、周りがどよめく!
巴マミ。
美少女にして少女以上の抜群のプロポーション!成績優秀、スポーツ万能、品行方正!
家庭の事情とやらで部活動や委員会には所属しないものの。学園人気トップ人物!フレンドリーではあるものの常に周りと一定距離を保ち、近寄りづらいところもあり。まさに高嶺の花、花柱とすら揶揄されている存在だ。
暁美ほむら。
まっすぐな黒くて長い髪と、透き通るような白い肌。儚げな雰囲気をもつ美少女。やはり成績優秀、スポーツ万能という噂の転校生。
その二人がいつの間にやら仲良くなっている!
陽と月。対照的な話題のツートップの案件は、学校七不思議に足されそうな勢いなバズニュースとして、学園を沸き立たせていたのだ!
「……マミさん、いきましょ」
突き刺さる多くの視線に、ほむらは顔を伏せた。
マミとの共闘は何度かあったが、こんなに悪目立ちするのは初めてのことだ。
ほむらはマミを連れ、そそくさと足早に下校することにした。
*****
「うふふっ!」
「…………」
嬉しそうに満面の笑みを浮かべるマミの横で、ほむらは苦虫を潰していた。
マミには魔法少女の先輩として、いろいろと面倒を見てもらった。そして珍しいほどの善人だ。嫌いなわけじゃない。
ただ。
不安定で読めない心情。どう接したらいいのか?正解がまったくわからなくて。
よくわからない理由で隙あらばと襲い掛かられたことも何度もあった。その実力ゆえに敵対した場合、厄介なんてものじゃなく、まさにラスボスとなる!
そうして敵として立ちはだかり、幾度も辛酸を嘗めさせられた。
正直、横にいられると気が気じゃないくらいの苦手意識を自覚していた。
「…………」
ほむらの心情を、マミは欠片も思っていないのだろう。上機嫌でハミングを漏らしている始末。
そんなマミを横目で見つつ、ほむらは溜息を吐いた。
*****
「あら、いらっしゃい」
そうして定例のミーティングのため美神事務所を訪れたマミとほむらを、赤子を抱いた美神によく似た夫人が出迎えた。
「!」
固まる二人に、ばたばたと美神が近寄る。
「おつかれー。こっちは私のママと妹のひのめ。ママ、この子らが魔法少女のマミちゃんとほむらちゃん」
美神の雑な紹介に、マミとほむらは頭を下げる。
「そう……。私は令子の母、美神美智恵です。よろしくね」
美神の母、美智恵は二人を見つつ目を細めた。
「二人ともおかえりー!もうちょっとでごはんだから待っててね!」
「あっ!手伝います!」
奥からのおキヌの声に、マミは反応し厨房へ向かう。
「おつかれでござるー!」
「おつかれ、ほむら」
取り残され立ち尽くすほむらに声が掛かった。
ほむらの視線の先には二人の人物。白い長髪に一部の前髪が赤い少女と、髪をナインテールにした少女。
――ああ、こいつらはここの居候ね。
美神がそう紹介した犬塚シロとタマモだ。
対面した時はかなりの緊張感があったのだった。
*****
「こやつら、人間ではありませんぞ?」
マミとほむらの二人を前に、シロは敵意をむき出しにし、後ろでタマモも目を細める。
「落ち着きなさい。この子達は敵ではないわ」
説明する美神の後ろで、マミとほむらは目を瞬かせた。シロは人狼、タマモは妖狐なのだそうだ。
「へー。魔法少女とか、本当にいるんでござるねー」
シロのじろじろとした視線を受けつつ、獣人ってなんなの?本当にいるのねと、ほむらは思っていた。
「とりあえず、仲良くしてちょうだい」
美神が雑にしめたのだった。
*****
「ややっ!では拙者、マミ殿と料理の鍛錬をするでござるよ!」
シロは慌てて厨房へとすっとんでいく。
「ん。じゃあ、ほむら。ゲームでもしてあげるわ」
「……!」
ぽつりと残されたほむらに、タマモがさも迷惑そうな顔で声を掛ける。
「横島も混ぜてあげるわ。喜びなさい」
「へいへい。ん?……人生ゲーム?」
タマモのやつ、ツンデレか?尻尾がでてれば、さぞ振っていそうだ。しかしあんなもん、どこからひっぱりだしてきたんだ?
横島は生返事を返しつつ、首を傾げた。
*****
「横島、赤ちゃんができたわ。お金ちょうだい」
「横島さん、私も子供ができました。お金ください」
「なっ?!」
タマモとほむらに揃って手を出され、横島は顔を歪めた!
この国民的ボードゲームである『人生ゲーム』では、プレイヤーが出産イベントの際、他のプレイヤーはお祝い金を支払わなくてはならないのだ。
それはさておき。
女性複数人からこのセリフが投げかけられる状況を想像し、横島はいやな汗が流れるのを感じていた……。
「横島クン……。最低ね(お祝い金が)」
「ちゃんと責任とるのよ?(お祝い金の)」
「ちょっ……!あんたら、紛らわしい言い回しはやめてもらえません?ジャロに訴えるぞっ!」
人の悪い微笑みを浮かべ、息ぴったりにちゃちゃをいれてくる美神母子に、横島が反論する!
その横島からお祝い金をせしめつつ、タマモとほむらは不思議そうに首を傾げた。
*****
夕食は和食洋食の様々なものが並ぶ豪華な物だった。
「んー!美味しすぎる!」
満足げに舌鼓を面々に、調理担当のおキヌとマミは満面の笑みを浮かべる。
「マミちゃん、すっごい料理得意なんです!私、洋食は得意でなくて……。色々教えてもらってるんです」
「私こそ和食は苦手だったから、すっごい勉強になります!」
「拙者!拙者も微力ながらお手伝いしてるでござるよ!」
三人は手を取り合って、微笑みあう。意気投合した様子を周りは、ほっこりと見つめた。
そうして、その日の夕食は穏やかに過ぎていく。
ええ!前回投稿4月!?
月日の移ろいは、まこと早いものですね……
そんで日常回;
※チェックのための、誤投稿がありました!
毎回お騒がせしてごめんなさい;