「えーっと。マミちゃんとほむらちゃんが別チームでー」
しばし前の話。美神除霊事務所、応接室。夕食後での打ち合わせ。美神がメンバーに視線を向ける。
「はい!拙者、マミ殿チームがいいでござるよ!」
「んー。じゃあ私はほむらね」
「はいはい」
魔法少女が一番正確に魔女の探知を行えるため、チームに一人は魔法少女が不可欠。それを踏まえてのチーム分けだ。
シロはマミに、タマモはほむらに懐いていたため、美神の予想通りではある。
「じゃあ横島クンだけど、ほむらちゃんチームね」
「えええ!」
シロが驚愕に顔を歪めた!
「先生は拙者と同じ、マミ殿チームじゃ……」
「マミちゃんと横島クンを一緒にするわけないでしょ?!」
「!!!」
美神は肩を落とすシロの横。口元に手をあて、瞬かせた瞳を潤ませるマミに目が丸くなる。
……シロはともかく、マミちゃんも横島クンと同じ組がよかったの??
マミの予想外の反応に、美神は眉をよせた。
「とにかく!マミちゃん、シロと、ほむらちゃん、タマモ、横島クンチームでおねがいね」
「ノーーーー!デメッ!!」
美神の言葉に、横島はがっくりと膝を落とし、魂からの絶叫を上げたのだった!
「あの、私は?」
おずおずとおキヌが手を挙げた。
「ん。おキヌちゃんは魔女向きじゃないからお留守番ね。私のサポートをお願い」
「え。美神さん、事務所に引きこもってサボってますよね?」
「!」
横島の口からぽつりとでた言葉に、美神がびくりと反応する!
「私は私じゃなきゃできないことをしているし?なんにしろここのトップは私なのよ?私がなにしようが、底辺の貴様にどうこういわれる覚えはないってことはわかるわよね?」
「あ、はい……」
怒気を纏わせた美神は、視線の圧で横島を押しつぶした!
*****
思い通りのチームわけにならなかった横島は、せめてとロマンのありそうな委員長の魔女担当をチョイスしたのだった。
薔薇園の魔女、お菓子の魔女の使い魔に比べれば委員長の魔女の使い魔は全然マシではあるのだが、電線の上を移動する使い魔である女生徒の『下半身のみ』というシュールさはあいかわらずのトホホ感。横島が無念に項垂れたその時。
――あきらめたらそこで試合終了ですよ?
……!
横島はびくりと反応した。
――こんなときこそよかった探しだよ!
――いいかい?逆に考えるんだ。
――イヒッ!
――ヨシヒコー!
青空に浮かぶ様々な人物から、次々と優しい言葉が投げかけられたのだ!横島は目を閉じる。
そうだ。考えるな、感じろ。見かたを変えるのだ。あるべきものがないのは残念だが、キモかったり汚かったりというマイナス要素を付加されるよりよっぽどマシだ。下半身なのだからしりと太ももはついている。そう、それはしりと太ももの群れ!キュピーン!こんなにうれしいものはない!そして自分の視界を制限することによって……。なんということでしょう!気味の悪い風景は、揺れるスカートと太もも達が視界一杯に並ぶという魅惑のものに生まれ変わったのです!
「ぉぉぉぉ!これはメガトン級だー!(DA……!)」
横島が満足げにムフー!と鼻から息を吐き、こぶしを握った時だった!
ドンドンドン!ドガッ!ドガッ!ドガッ!!
連続する激しい銃声!
蜂の巣となった委員長の魔女の使い魔達は、ばらばらと落下していく……。
ほむらが両手に構えた自動拳銃を乱射し、使い魔の迎撃を開始したのだった!
「どわーーーー!」
桃源郷が一瞬にして鉄火場な地獄絵図と化した衝撃に、横島は絶叫する!
「なに?横島うるさい!」
タマモは突如絶叫をあげる横島に眉をよせつつ、手をあてた口から《狐火》を放ち、使い魔達を火だるまにする。
「あああ……よもやよもや……」
銃弾と炎に蹂躙され落下していく太もも達……。
横島は唇を震わせ項垂れた。
「あとは大ボスだけかしら?」
タマモとほむらは互いに状況を確認しつつ、ブツブツ呟いている横島に視線を向ける。
「…………」
「うん?なに?」
「も……」
「も?」
「MOTTAINAIIIIーー!」
「????」
くわっ!っと空を見上げた横島の雄たけびに、二人はびくりと肩を震わせた。
*****
上身を倒した低い姿勢で魔女に走り寄るシロに、影の魔女から無数の触手が迎撃に伸びる。だがその凄まじいスピードに追いつくことができない。シロを追いかけるように地面に並んで突き刺さるのみ。
そして距離が近くなるほどに魔女から発する弾幕は厚くなる。だがシロは優れた運動能力でジグザグに走り、狙いを絞らせない。
ざん!
避けきれない触手を霊波刀で薙ぎ払った!
あとすこし。
そうしてシロが魔女に接敵を果たそうとするが。
ぶわり!
「!!!」
魔女の髪の毛が爆発するように膨張し、無数の触手がシロに襲い掛かかったのだ!閉じ込めるような避けようのない全方位からの攻撃!
わずかに届かない。シロは目を細め、唇を噛む。
シロがそれに閉じ込められ、押しつぶされようとしたその瞬間。
「だいじょうぶ」
ドンドンドン!!
シロの黒く覆われる視界が銃声とともにこじ開けられる!
触手を迎撃すべく、地に刺したマスケット銃を次々と持ち替え乱射するマミの手腕だった!
魔女へと至る道に、文字通りの風穴が空いたのだ!
「……参る!」
次の瞬間。
魔女は十字に斬り裂かれていた!
シロが優れた敏捷性ですかさず移動し、斬って落としたのだ!
「おろ?」
そして。断崖の先の魔女を駆け抜けて斬り捨てたシロは、当然勢いのまま断崖の先の奈落に落ちることとなる。
ぽふん。
そんなシロを黄色いリボンのマットが優しく受け止めた。
「マミ殿!」
シロの視線の先。マミはほんわりと微笑みつつ頷いてくれているのだった。
※ケニアの環境副大臣の後、2004年にノーベル平和賞を受賞した、ワンガリ・マータイさんという方が『MOTTAINAI』を世界に広めたそうです。まめしばー。
※シロの二刀流>>
霊波刀をワートリからイメージしたのですが、シロは太刀のイメージかなと弧月二刀流風としました。横島は発想力的にスコーピオン派でしょうか?文珠でだす『剣』ならブレードの強度重視での弧月となるかも。
横島がどのような進化をとげるかは、またの機会です!(丸投げw)
→なんと!横島×ワートリなローファイト様著『横島!トリガー・オン!!』絶賛連載中!わーい!