大きな音を立てつつ巨人らはほむらに走り襲い掛かった。
「……」
ほむらは素早く状況を判断。バックスッテップで距離を取る。
「ふっ!逃げるだけではどうにもならんぞ!」
そんなほむらを巨人らは追いたてる。
「!」
その恐ろしい光景にまどかは声を失い固まってしまう。
「大丈夫だよ」
そんなまどかの肩に手を置いた横島は、まどかににっこりと笑いかけたのだ。
「ほむらが負けるわけないぜ?」
だがそんな横島とまどかの視線の先では、ほむらが二体の巨像に追い詰められているようだった。
「……」
いつの間にかほむらは銃口が溝で銃身が短い奇抜な銃を構える。盾に収納していたものをすかさず装備したのだろう。引き金を引く。
それは美神に渡された装備のひとつ。その銃は弾丸ではなく結束バンドを発射するものだ。そうしてバンドを絡みつかせることにより対象を無効化させる鎮圧装備なのだった。
ほむらが放ったバンドは狙い通り右鬼の左足と左鬼の右足にぐるぐるにまきつき拘束する。劣勢を装い二鬼が近寄るように誘導し狙ったものだ。千切れたりしないようにと、すかさず全弾叩きこむ。
「「なっ!」」
そうして動きを制限された両鬼は大きくバランスを崩し。勢いのまま無様にも盛大に二人もつれて転がることとなった!
「勝負あり!」
横島が大声を上げ。
「なっはっは!雑魚めが!」
あくまで偉そうに横島が(後方腕組み師匠ポジに)二鬼を見下ろした!
「いや、なぜおまえがそこまで勝ち誇る?」
「なはは!うちのほむらの勝ちは俺の勝ち!俺の勝ちは俺の勝ちだからな!」
そしてここぞとばかりに横島は両鬼をコケ下し、そして。
「ほむら、さすがだな!」
横島はほむらに、にっこりと満面の笑顔をむけた。
「!!!」
それを受けたほむらは、がばりと俯く。顔が髪に隠れる。
(ほむらちゃん、たいへんだったのかな?)
流れる髪から逆に露出した赤くなった耳を見つめつつ、まどかは首を傾げた。
「じゃあ通してもらうぜ?」
くやしがる両鬼を横目に、横島はこれ見よがしに門をくぐり。ほむらとまどかも後を追う。
「わあ……」
まどかの声が漏れる。
境内は思った以上に広く、和風建築の建物がいくつもある厳かな景観だったからだ。
「あ!」
そんな二人を見守っていた横島がびくりと反応し、ぐるりと視線を向け。二人もつられてそちらを見る。
遠くに小柄な人影。
「ちょっと挨拶してくるから、おまえらはこのまま本堂にむかってくれ!」
有無を言わさない勢いでそういった横島は「小竜姫様ー!」と叫びながらその人物へ突撃していった。
「えーっと。とりあえずいこうか」
なんだか不満げなほむらにまどかは微笑みかけて、先導するように歩きだす。
「ええと。おまえらでちゅか?」
そんな二人に巫女姿の幼女が不機嫌そうに声を掛けてきたのだった。
「!」
短い金髪に、大きな青い目に白い肌。人形のような外見はともかく、その身に纏う圧の異質さにほむらが固まる。
(この子、何者……?)
この幼女は見た目とは違うモノだ。人間ではありえない。今の自分では太刀打ちできないそうにない。
まどかだけでも逃がさなければ……。
ほむらが息を呑む。
「こんにちは!」
そんなほむらを後に、まどかが幼女に進みより。
「わたしはまどか。あなたは?」
まどかはしゃがんで視線を同じくして名乗るのだった。
「パピリオでちゅ」
その返答をうけてまどかは微笑んだ。
「パピリオちゃん?よろしくね!」
「!!」
そのパピリオに笑顔で対応するまどかに、パピリオとほむらは目を見開き固まってしまう。
「お手伝いしてるの?」
「うるさいでちゅ!人間のくせにおまえ調子にのるんじゃあ……」
凄まじいまでの圧が幼女から膨れ上がる。が。
「えらいねー!」
「え?」
そのパピリオの怒気を孕んだ気をものともせず、パピリオの頭をまどかは撫でた。
「パピリオちゃんはちゃんとお手伝いしてるんだよね?えらいね!すっごいえらいよ!」
「はぅ……」
満面で褒めちぎり頭を撫でるまどかに、パピリオはフリーズする。
その横で。凄まじい存在に笑顔満面で対応しているそんなまどかをみつつ、ほむらも固まっているのだった……。
『祝!小竜姫様登場!』
そんな垂れ幕を背に(謎の)小竜姫が俯いて震えていた……。