白い小動物の言葉にまどかが固まった、その時だった。
ぱらららららっ!
「ぎぁぁぁぁっ!!」
短機関銃の銃声とともに綿のような生き物は不気味な悲鳴をあげ、なぎ倒される!
「……間一髪ってところね」
二人を庇うように降り立ったほむらは、肩越しに振り返り声を掛けた。
「ほむらちゃん!」
「て、転校生!?」
その顔を確認した二人は目を見開く。
「いきなり秘密がばれちゃったわね。クラスの皆には内緒よ?」
ほむらは長い髪を揺らしながら両の手に構える二丁の短機関銃での迎撃を開始する。
「彼女は魔法少女のようだけど……」
まどかの胸に抱かれていた白い小動物がつぶやいた。
「ま、まほう?」
目を輝かせるまどかの横。ほむらの持つ火を噴く短機関銃に視線をむけ、さやかは首を傾げた。
*****
「お話は伺いました。でももう二度と会うことのないようにした方がよさそうですね」
平行線のまま長い間沈黙で対峙した後。マミは貼り付けた笑顔で話を終わらせた。
「では失礼します」
「…………」
そのまま退室するマミを、やはりビキビキと額に青筋を浮かべ微笑む美神が見送る。
その異様に不穏な雰囲気に、横島とおキヌは動くこともできない。
「あー!もう!これだから世間知らずのおこちゃまはイヤなのよ!」
マミが去って暫し後。美神の絶叫が響き渡った!
*****
「二人とも怪我はない?」
「あ、うん」
「助けてくれたんだよね?ありがとう、ほむらちゃん!」
怪しい空間はデパートのバックヤードに戻っていた。ほむらのおかげだろう。よくわからないながらも、まどかとさやかはそこだけは理解していた。
「ねえ。なにが起こったのか説明してくれる?」
さやかは険しい顔をほむらに向ける。
「ええ、いいわ。少し長くなるから場所を変えましょうか」
二人の視線を受け、ほむらは小さく頷く。
「でもキュゥべえ。あなたに聞かせる話はない。さっさといきなさい」
「君には不明な点が多い。いろいろと聞きたい事があるのだけれど」
「……のみこみが悪いのね。見逃してあげるっていってるのよ」
「やれやれ。残念だけど退散するよ」
「あっ」
キュゥべえは驚くまどかの腕からするりと抜け出し、負傷を感じさせない動きで去っていった。
*****
ほむら宅。
ほむらの招いた部屋は、大きな鎌のような振り子の飾り物がゆっくりと揺れる不思議な空間だった。
さやかとほむらはおっかなびっくりにきょろきょろと視線をめぐらせる。大きなテーブルを囲い、それぞれ座って落ち着いた後。
「ええと。あの綿のオバケはなに?」
さやかは敵意を隠さない視線で、ほむらに詰問を開始した。
「あれは使い魔。人を襲う魔女の部下……かしら」
「使い魔?魔女?」
「そう。あの不気味な空間は魔女の結界よ」
ほむらのあまりに現実味のない答えに、さやかとまどかはついていけない。
「私はそれと戦う魔法少女」
ほむらは淡々と説明する。
「あの白い動物は?」
「あれはキュゥべえ。やつが魔法少女になる契約をもちかけてくるの。絶対聞いちゃ駄目」
「……」
言葉の少ないほむらの説明に、さっぱり要領を得ないさやかとまどかは眉をよせる。ほむらもそれを感じつつもどうにもできない。
気まずい沈黙の時間が過ぎる……。
「えっと……」
それを打破しようとまどかは言葉を発するが、後は続かなかった。
「……こういったことの専門家の知り合いがいるの。話を聞いてみる?」
ほむらの提案に、さやかとまどかは目を合わせ大きく頷いた。
*****
その夜。美神令子除霊事務所、応接室。
美神、横島、おキヌ、ほむらは夕食がてらの報告会を行っていた。
「使い魔に襲われたところを救って、いい感じに仲良くなれたって?」
「ほむらちゃん、やったね!」
「ええ」
初回接触が上々だったというほむらの報告をうけ、横島とおキヌはほむらを祝福した。
無表情ながらも喜びのオーラをだだ漏らしポワポワしているほむらの様子に、二人はほっこりする。
「それにひきかえ……」
「な、なによ?」
ジトりとした横島の視線を感じ、美神は動揺を隠せない。
「お、大人げなくて、わるかったわよ!」
「交渉失敗は残念だったけど、結果的に巴マミの足止めになったわ!だから責めないであげて!」
「……フォローされた」
年少のほむらに全力で庇われているという事実が、はからずも美神の傷を広げていた……。
「そ、それより!明日にでも、その候補二人が契約しないように私が事情を説明するわね」
「………………」
「わ、わかったわ!あなた達も同席なさい!」
横島、ほむら、おキヌのジト目を察し、美神は慌てて宣言したのだった!