GS美神 マギカ大作戦!!   作:ぶんた

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リポート7

「もう!横島さんはどいてください!」

 

 そんな横島を突き飛ばし、おキヌはマミの正面に立った。

 

「マミちゃん、落ち着いて。ね?そんなことしちゃ駄目だよ」

「……」

 

 ゆっくりと近寄るおキヌに、マミは動かない。

 

「マミちゃん。隣座るね」

 

 刺激しないようにと、おキヌはゆっくりと隣に座り、手をまわしマミを横に抱きしめた。

 おキヌは静かにマミの銃を確保する。

 

「ね。大丈夫だから。落ち着いて。ね?」

「…………」

 

 おキヌはマミの事情は知らされていない。ただ、それでも、凄まじいまでの思いに押しつぶされそうなのは理解できた。

 だからこそ、抱きしめる腕にぎゅっと力を込める。

 

「私……」

 

 俯いたマミがぽつりと、口を開いた。

 

「私、両親とドライブしていた時、事故にあったんです……。車はぐしゃぐしゃで、私は大怪我をしてて……。そこにキュウべぇが現れたんです」

 

 赤い目を瞬かせ、静かに問いかける影……。

 

「どうしたいのかっていわれて私、生きたいって願ったんです。……生きたいって、願ってしまったんです!お父さんもお母さんも近くに居たのに……。まだ生きていたかもしれないのに!私、自分のことしか考えられない駄目な子なんです!」

 

 慟哭するマミをおキヌはさらにぎゅうと抱きしめる。

 

「意識が朦朧としてたのでしょう?そんなときに冷静な事は考えられないよ。マミちゃん……自分を責めちゃ駄目」

「……せめて魔法少女として、人の役に立てればって頑張ってきたけれど、どうせ魔女になって迷惑かけるなら、いっそのことここで……」

「ねえ、マミちゃん。見せたいものがあるのだけれどちょっといい?」

 

 泣き崩れるマミを抱き留め、おキヌは静かに囁いた。

 

 

*****

 

 

 マミの自宅。

 応接室の独特なテーブルを前におキヌは準備する。

 

「それはキャンドル?」

「ええ。じゃあ、点けるね」

 

 薄暗い中、火をともされたキャンドルから光が渦巻き溢れた!

 びょうううと、灯ったキャンドルから二人の人影が浮かび上がる。

 

「マミ!」

「なっ!うそ……。お父さん、お母さん?」

 

 

 それは交通事故で死んだマミの両親だった!

 

「マミ。私の不注意で事故を起こしたばかりに、済まなかった」

「理由はどうあれ、あなただけでも助かってくれて、本当に嬉しいのよ」

 

 白装束の二人は優しくマミを抱きしめる。

 

「1人で寂しいのに、よく頑張ったな。お前は自慢の娘だ」

「う、うわぁーん!」

 

 堰き止めていた感情の全てを、マミは泣き叫び解き放ったのだった!

 

 

*****

 

 

「辛いのはわかるけれど、こっちにこようなんて思わないでおくれ」

「ずっと見守っていますからね」

「お父さん、お母さん!私、頑張ります!」

 

 キャンドルは燃え尽き、煙を揺らす。

 そして微笑みながら二人の姿は薄れゆき、姿を消した。

 

「今のは……」

「幽霊を呼ぶキャンドルなの」

 

 マミの視線におキヌは小さく微笑む。

 

「持っていってあげなさいって、美神さんが」

「えっ……」

「あんなに険悪だったのに、信じられないよね」

 

 おキヌは思い出しつつ、クスクスと微笑む。

 

 

*****

 

 

 その日の朝。美神除霊事務所、応接室。

 

「おはようございます」

「お、おはよう」

 

 珍しく起きている美神に、おキヌは首を傾げる。

 美神は雑多な物の山積みなテーブルの前で、落ち着かなそげにソワソワしていた。

 

「このコマみたいなのはなんですか?飾り?」

「それはグリーフシードっていって魔女の卵の様なものなの」

「!」

 

 びくりと手を引っ込めるおキヌに美神は笑いかける。

 

「その状態なら危険はないわ。むしろ魔法少女には必要なものなのだけどね。ここにあってもしょうがないから、処分しようと思って」

 

 視線を泳がせる美神を、おキヌは怪訝な顔で見つめた。

 

「これ、どうしたんですか?一等茶葉?ダージリン?」

「わ、私と横島クンは珈琲党だし。おキヌちゃんはお茶じゃない?紅茶はいらないかなって」

「?」

「お歳暮でもらったものだけれど、いらないものでしょ?だから処分しようかなって」

「…………」

「ほ、ほらっ、あの娘!巴マミ?紅茶好きっていってたし?」

 

 わたわたと言い訳を続ける美神に、おキヌは目を細める。

 

「み、か、み、さーん?」

「!」

 

 にんまりと見つめてくるおキヌに、美神は苦虫を潰す。

 

「もう!そんなんじゃないの!廃品処分なだけなの!」

 

 顔を真っ赤に染めながら、美神はがなり立てた。

 

「今度会ったら、謝ってくださいね?大人なんだから」

「もう!おキヌちゃん、そーゆーんじゃないのよ……」

 

 揺れる瞳を下げ、美神はぽつぽつと語りだす。

 

「私も中学生のときにママが居なくなって、一人ぼっちになって。寂しくって辛くって……そんな時にインキュベーターが現れて、ひどい目にあったのよ。他人事じゃないのよ……あのマミって娘」

 

 当時を思い出すのだろう。美神の表情は暗い。

 

「私の場合、なんとかしてノーリスクで願いを叶えようと質問攻めにして秘密をしゃべらせて、契約はしなかったのだけれど」

「流石美神さん……」

「あの娘、契約の経緯が経緯だけにインキュベーターに依存しきっちゃってるから、魔法少女の秘密に耐えることができるのか心配だわ……」

 

 美神は視線を下げ、唇を噛む。   

 

「い、今のは内緒よ?あとこのキャンドルも、もってって!」

 

 はっと顔を上げた美神は、テーブルの上の物をざらざらとおキヌに押し付たのだった。

 

 

*****

 

 

「美神さんは口ではいろいろいうけれど、困ってる人をほっておいたりはしないわ。厳しいことをいうのは、GSのトッププロとして責任感が強いからなの。マミちゃんも、魔法少女として戦いを続けているから分かるでしょ?」

「はい。私、すっかり誤解してしまって……謝らなくっちゃ」

「ふふっ」

 

 しゅんと縮こまるマミを、おキヌはしっかりと抱きしめた。

 

 

*****

 

 

 夜。美神令子除霊事務所。

 

「ただいまー!」

「おかえり!おキヌちゃん、マミちゃんどうだっ……」

 

 おキヌの声にバタバタと走ってきた美神は、マミを見つけて固まった。

 

「……こんばんは。お邪魔します」

 

 おキヌの後ろでおどおどとしていたマミは、小さく挨拶をする。

 

「……なにも知らないのに、生意気いってすみませんでした」

 

 マミは美神に大きく頭を下げた。

 

「…………」

 

 あまりのことに固まる美神だったが、痛いくらいのおキヌからの視線は気づいていた。

 

「わ、私も言い過ぎたわ!もう、水に流しましょ!おキヌちゃん、ご飯にしてよ!マミちゃんも食べていきなさいよね!」

「今準備しますね」

「私、手伝います!」

 

 うーむ。おキヌちゃん、恐るべし……。和やかに解決したその場をコソコソと見ていた横島は唸っていた。

 

「横島さんは、今晩ご飯抜きですね」

 

 そんな横島におキヌからさらりと死刑宣告が告げられる。

 

「サーセン!マジ、サーセンシタッ!」

 

 慌てた横島はスライディング土下座を決めるのだった。




 あ、ご都合主義っぽいんですけど、このキャンドルがGS36巻、リポート3「賢者の贈り物!!」からになります!
 ご都合で引っ張て来たんで、ご都合主義なんですけど!(テヘペロ!

 おキヌちゃんの美神美化フィルター!
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