とある日、GBNのとあるバーにてグレイはラスターにある頼み事をしていた。
「はぁ?ヴァルガに行くから護衛してくれ?」
「あらぁん、グレイちゃん、そんなにポイントに困ってるのぉ?」
そのバーにてママをしているGBNの良心、ルーキーの守護者ともされるマギーはついつい口を挟んでしまう。
「こいつがポイントに困る?ないない!この前もフォースのPR動画の依頼でたんまりとポイント貰ってやがるし、戦闘用一式にパーツ換装すりゃそこそこ戦えるんですよ?」
「それでも俺はCランクが限界だと思うんだけどなぁ」
そんなグレイの自己評価に「ウソつけ!」という顔をするラスター。
「じゃあ何でヴァルガに?」
「純粋にヴァルガを取材してみようと思ったんですよ、マギーの姐さん」
「あ〜、こいつリアルジェス=リブルみたいなもんなんで」
「あ〜、そういうこと………」
ジェス=リブル。ガンダムSEED DESTINY ASTRAYの主人公でモビルスーツで戦場を取材するという奇特なキャラクターで【野次馬ジェス】とも呼ばれる。
取材対象に入れ込んでしまうという戦場カメラマンとしてはどうなのかと言いたい行動を度々取るが、決して嘘はつかず、疑わしい噂や確証の無い発言には真っ向から反発する人物で、「何処までも真実を求め、信念を貫く」姿は彼と関わった人物に大なり小なり影響を与えていた。
グレイはそんなジェスに尊敬に近い憧れを持っており、特にこのGBNではそういう部分を隠さないのだ。
「でも、流石の俺もヴァルガをお守りしながら行くのはキツいぞ?」
「大丈夫、それ用のオプション装備もちゃんと用意してるから自衛は出来る。ラスターは向かってくる相手を叩いてくれればいいよ」
「おい、今度は何を作りやがった」
「これ」
そう言うとグレイはモニターを出現させて自機のデータをラスターやマギーに見せた。
「またなんつうもんを………」
「あら、面白い装備ね」
「でしょ?」
そして、また後日日を改めて二人はヴァルガを訪れる事となるのであった。
***
そしてヴァルガ取材当日。
『ほんと自衛は自分でしろよ!』
「わかってるって」
二人はそれぞれのガンプラに乗りヴァルガを目指す。
ラスターの本日のガンプラはガンダムアスタロト リ・オリジン。
ガンダムアスタロトオリジンをベースにリシナメントやウヴァルのパーツを使ってカスタムしたダークグレーカラーのアスタロトだ。
一方、グレイのガンプラはいつものファインダーアストレイにブルーフレームフルアーマーのような形状の全身を覆う“鏡面研磨されたような銀のアーマー”と背面にケルヴィムガンダムのシールドビットを鏡面加工して作ったミラーシールドビットを8基装備したフルメタルスキンジャケットという外套を纏っており、今回は肩のカメラビットが使えないので通常のガンカメラとガンカメラの下に折り畳み式の何かをマウントしたガンカメラ2で撮影を行うようだ。
さて、ここでヴァルガについて簡単に説明しておこう。
正式名称は【ハードコアディメンション・ヴァルガ】といい、本来なら双方の合意が無いと行えないフリーバトルが「このディメンションに入る事そのものが合意」とみなされ、ディメンション全体が常時フリーバトルのバトルロワイヤルゾーンと化している場所である。
ここに一歩でも足を踏み込めば何時何処で狙われようが文句は言えず、踏み込んだその場で攻撃を受けて大破等珍しくもないという。
それ故にここには強さを磨きたい者や普通のバトルに飽きてしまった者、バトルジャンキー等が集い、ワールドランカーの多くもここを訪れるんだとか………また、チャンプことクジョウ=キョウヤも時々出没すると言われている。
そのためか、【GBNの魔境】【廃人達の巣窟】【世紀末ディメンション】等の異名が勝手につけられてすらいる。
『こんなとこに取材にくる物好きなんてお前くらいだろうに………』
「ラスターは何度か来てるんだろ?」
『新しい機体の慣らしとかに偶にな』
乗り慣れない新しいガンプラの慣らしに来る時点でラスターも十分この魔境の住人と言える。
『それじゃあ行くぞ』
「おう!」
そして、グレイ達がヴァルガへと踏み込むと早速二人を発見したヴァルガを徘徊するダイバー達に見つかった。
『ん?テメエは万事屋ラスター!ここで会ったが百年目!』
いきなり両手のマシンガンをぶっ放してきた真紅の改造ザクはどうやらラスターを知っているようだ。
だが、グレイとラスターはそれを難なく回避する。
「ラスター、知り合い?」
『倒した雑魚なんて一々覚えてられるか………と言いたいところだが、アイツらはよ〜く知ってる』
そう告げるラスターの顔は物凄く嫌そうな顔である。
『フォース・ダークネスアクシズっていうSDガンダムフォースのダークアクシズ系の機体を再現したガンプラを扱うヴァルガ近郊にフォースネストを持つフォースだ』
「あっ、ホントだ。あれザッパーザクじゃん………完成度高っ!?」
『お、おう、ありがとよ、こいつはザクザッパーっていうんだ兄ちゃん………じゃなかった!オイコラ、ラスター!今日という今日はテメエをケチョンケチョンにしてやるからな!』
このやり取りだけでグレイは「このダイバー面白いなぁ」とガンカメラを回している。
「ところでどうしてこんなに目の仇にされてんだ?」
『………いやな、俺がヴァルガに来ると何故か高確率でコイツらと鉢合わせてな、毎回ボコってたらこうなった』
「ラスターェ………」
そうこうしているとモヒカンをつけたりスパイクが増設されたりと色々世紀末っぽいザクがザクザッパーの元へと集まってくる。どうやら彼らはダークネスアクシズのメンバーのようだ。
『ザップの旦那!集まりましたぜ!』
『よ〜し、オメエら、やっちまいな!』
『『ラジャー!』』
ヒャッハーな見た目のザク達からの一斉射撃にラスターは周囲の廃ビルの影に隠れ、グレイはガンカメラには当たらないように追加装甲でブロックしながらラスターとは別の廃ビルの影に隠れた。
「いきなり刺激的な取材になったな」
『笑ってる場合か!アイツらはあんなナリしてやがるがこのヴァルガをメインで活動するフォースだから地味に強いぞ』
ラスター一人なら振り切る事も容易だが、今回のグレイの装備は重装仕様なのでそれも難しい。
『デップ!御自慢の武器をカマしてやんな!』
『おう!』
すると今度はデストロイヤードムを再現したドムが現れ、牽引していたミニギャロップから大型のビームバズーカを構える。
『ちょま!?ここでそれかよ!』
「ビームバズーカか………なら任せてくれ」
『グレイ!?って、あっ』
護衛対象のグレイがビルの影から飛び出し、ラスターに向かって放たれたビームバズーカを背面のミラーシールドビットを連結したシールドでブロックする。
『わざわざ飛び出してくるなんて………うん?鏡面加工装甲?イカン!?デップ下がれっ!』
そこでザクザッパーに乗るダイバーのザップはある事に気付いてデップのドムデストロイヤーを下げさせようとするが時既に遅し。
「返すぞ、“ヤタノカガミ”!」
そう、ファインダーアストレイが装備するフルメタルスキンジャケットはブルーフレームフルアーマーの形をしているが、その装甲の表面にはアカツキに搭載されていたビーム反射装甲“ヤタノカガミ”と同じ効果を再現する塗料を塗装しており、ビームを反射出来るのだ。
ただ、この塗料、かなり手間を掛けて綺麗に鏡面加工を施さないとヤタノカガミとして機能しない、もしくは反射しきれない、全く見当違いの方へ反射する等という面倒な塗料で、カラーも金と銀しかない、そもそもめちゃくちゃ高いとあって一部のビルダーにしか使われない塗料なのだ。
『お前、よくあれだけの数を仕上げたな………』
「まあ、ビットの方は撮影に使う用に綺麗な鏡面になるって聞いたから試しに作ってみたらこうなってね。ついでだからジャケットの方もやっておいたんだよ」
『お前らしいというか、何というか………』
大型ビームバズーカの反射をモロに食らったドムデストロイヤーはバズーカを持っていた右半身が融解しており、その威力が相当なものであったのが伺える。
『デップ!無事か!?』
『すまん、ザップ………』
『なら実弾だ!実弾を使え!』
今度はグラップラーグフを模したグフグラップラーに乗るグラップが指示を出し、フォースメンバーが乗る世紀末ザクことザクヴァンデッド達が再び一斉射撃を開始するのだが………
「ヤタノカガミが実弾に弱いのはよく知ってるさ」
連結していたミラーシールドビットを分離させ“裏返した”。
すると、ミラーシールドビットの裏にあった円盤状のギミックが起動し、ファインダーアストレイに迫る射撃を遮断する。
『“プラネイトディフェンサー”だと!?』
そう、ビットの裏に取り付けられていたのはメリクリウスやビルゴ等に搭載されていた射撃遮断フィールドを展開する“プラネイトディフェンサー”だった。
「取材中の流れ弾対策は万全さ!」
『ならば近接戦闘で!』
そこで左腕を鉤爪タイプの腕へと換装し、グフグラップラーがグレイへと迫るが………
『悪いな、その距離は俺の担当だ』
そこへラスターのアスタロト リ・オリジンがストレッジハンマーを改造したスラスター付きハンマーであるブーステッドハンマーでグフグラップラーを打ち上げ、左腕のシールドクローでハンマーを掴むと内部に仕込まれたナノラミネートγブレードを抜刀し、落下してきたグフグラップラーを両断し爆散する。
『グラップ!?チッ、野郎共!撤退だ!』
そこを引き際と見極めたザップの号令でフォース・ダークネスアクシズのメンバーは一斉に退却していった。
「いきなり濃い戦闘だったな」
ラスターの活躍をちゃっかり撮影していたグレイはそう言うが、ラスターからすればまだまだこんなの序ノ口だと言う。
『で、まだ回るのか?』
「せっかくだからもっと激しい戦闘を撮影したいな」
『勘弁してくれよ………』
と、一息ついていた時だった。
少し離れた場所で激しい爆音が響いてきたのだ。
「あっちか!行こう、ラスター!」
『オイコラ!瞳輝かせて爆心地向かうな!』
グレイ達が向かった先ではモスグリーンに塗装されたライノサラスの改造機と思われるガンプラが暴れ、対抗するようにモノトーンカラーのデストロイガンダムの改造機が戦っており、その周りを様々なガンプラが動き回っていた。
『ライノサラスとデストロイガンダムとか絶対フルスクラッチだろ』
「よく見たらライノサラスはバストライナー砲がローエングリンになってて、他の武装もアークエンジェルの武装になってる。デストロイガンダムも三悪ガンダム*1っぽいパーツあるし」
『というかアレ、バ艦長とデーモンの野郎じゃねぇか!』
バ艦長というのは「大艦巨砲主義」を掲げる戦艦と巨大MAの悪魔合体ガンプラをメインにしているグッドライナーというダイバーの二つ名で、「馬鹿みたいな事をする艦長ルックのダイバー」というのが由来。
この男は本来は複数人で操作する戦艦の各操作を一人のマニュアル制御で熟すとかいうアホみたいな技量を有している。
一方、デーモンというのは正式名称デューク=カルヴァナ=モードゴンの略で、似非悪魔貴族ロールをするソロモンの悪魔の名を持つエクステンデッドの乗ったガンダムやガンダムフレーム、その他悪魔のような外見をしたガンダムを中心にそれらを組み合わせたガンプラをスクラッチビルドするダイバーだ。
この二人もヴァルガによく出没するダイバーで、今回は両者共に広域殲滅型のガンプラを持ち込んでいる。どうもその2機が偶々この場で衝突し、周辺に潜んでいたダイバーが炙り出されて乱戦になったようだ。
「これはいい画が撮れそうだ」
『いや、ここに居座って撮影する気かよ!?』
「流れ弾は自分で処理出来るし、他のダイバーが来ても」
『俺のポイントになりやがれ!』
『やらせるかよ』
撮影モードになったグレイのファインダーアストレイにティターンズカラーになったアンクシャが接近してきたが、直ぐ様ラスターがナノラミネートγブレードでアンクシャを両断して撃破する。
「ラスターが処理してくれるでしょ?」
『ったく、お前は………わかったよ!気の済むまで撮ってろ!』
「ありがと、ラスター」
その後、数回襲撃があったものの、幸い上位ランカー等には襲われず、グレイが満足するまで撮影をしてから二人はヴァルガを脱出するのであった。
グッドライナー
大艦巨砲主義の戦艦とMA等を悪魔合体させたガンプラを使うダイバー。
使うガンプラはどれも大型且つ制御の難しいガンプラなのだが、各操作を全てマニュアル操作で熟すとかいう変態。
言ってしまえば劣化版カルロス・カイザー。
ダイバールックは宇宙戦艦ヤ○ト等の艦長っぽい姿にキセルを加えたよくわからない格好をしている。
アークライノサラス
グッドライナーが作成したライノサラスの改造機。
コンセプトはライノサラス+アークエンジェル。
バストライナー砲をローエングリンに換装し、ゴットフリート等のアークエンジェルの武装を追加したモスグリーンのライノサラスで、ライノサラスにはなかった腕としてマゼラトップ砲を改造した武器腕を装備している。
何故かザクの頭部には指揮官機のツノがついている。
デューク=カルヴァナ=モードゴン
悪魔貴族のロールをする青年ダイバー。
悪魔関連のガンダムを掛け合わせた独自の悪魔ガンダムを使用する。
三悪ガンダムをガンダムフレームにしたものやガンダムXのゲテモノガンダムことヴァサーゴやアシュタロンもガンダムフレームに改造してたりする。
名前が長いので「デーモン」と略される事が多いが本人はむしろ喜んでいるんだとか。
デストロイガンダムMarkⅡ
デーモンが作成したデストロイガンダムをサイコガンダムMarkⅡ風にし、三悪ガンダムの要素をリミックスしたガンプラ。
通常のデストロイの2/3くらいにダウンサイジングしており、三悪ガンダムのパーツでカスタムされているが、変形形態がレイダーというよりはアシュタロンハーミットクラブに近い姿になっている。