その日、ラスターは新たなガンプラと共にヴァルガを訪れていた。
そのガンプラの名はリバーストリームガンダム。例のエコプラ版エクストリームガンダムを改造したガンプラなのだが、全身をダークブルーで塗装しており、一部をダークバイオレットにしていたり、エクストリーム由来のクリアパーツやエクシアリペアⅡから移植したものや自作した腕に装着されたブレードパーツの一部は鮮やかなクリアグリーンが両肩のGNドライヴによって輝いているせいでその差が異様な不気味さを醸し出している。
それでも、いつもの左肩の白十字のマーキングからラスターのガンプラだと特定したヴァルガダイバーはいつもの新作の試し乗りと知り、ラスターのリバーストリームガンダムへと殺到する。
「ははっ!今日も入れ食いだな!」
しかし、ラスターはそんなヴァルガダイバー達に恐れをなす事もなく、群がるスパイクを増量したザクやモヒカンのような頭部カッターを追加したジェニス、本来の装甲よりも重装としたアサルトジン等のガンプラを両腕にそれぞれ三本ずつ装着したブレードをスライドさせて延長するとそれで両断する。
『あの重装アサルトジンを一刀両断かよ!?』
『相変わらず変態染みたガンプラ作りやがって!』
『見たところ遠距離武装は見当たらねぇ!遠距離から囲んで蜂の巣にーー』
「判断が遅い」
集団のリーダーと思われるザクⅢ改が指示を出そうとしたが、その前にラスターは瞬時にそのザクⅢ改に近付くと連撃を叩き込み、トドメにクリアパーツを発光させて両手にエネルギーを纏わせるとその胴体にそれを撃ち込み内部から爆発して上半身と下半身を分断する。
『あれは!?まさか粒子発勁!?』
『いや!あの動きと腕部のブレード、いや聳弧角………万事屋の野郎今度はヒゲを再現しやがったのかよ!』
ヒゲとは白ヒゲこと∀ガンダムの事ではなく、スーパーロボット対戦に登場したゲームオリジナルロボット・ソウルゲインの事である。
「へぇ〜、コイツを見てソウルゲインがモチーフと気付くとは見所あるじゃねぇか」
そう、このリバーストリームガンダムのモチーフの一つとしてラスターが選んだのはソウルゲイン。気を纏う事が可能という近接格闘に特化した仕様の機体であり、それをモチーフにしたリバーストリームガンダムもエクストリームガンダムの関節構造等を見直してわざわざRGのような内部フレームまで作り込んだことで人間とほぼ変わらぬ可動域を獲得しているのだ。
ちなみに粒子発勁とはガンプラバトル時代に当時ニルス=ニールセン*1が編み出したプラフスキー粒子を発勁に応用して相手のガンプラに過剰粒子を叩き込んで破壊する技だ。
『最初のは舞朱雀、さっきのが白虎咬だとしたら………』
「当然こういうのもあるんだな、これが!」
次に放たれたのは白虎咬のように手に溜めたエネルギーをそのまま少し離れた場所にいた獅電に放ち機体を爆散させる。
『青龍鱗………やっぱりこいつGN粒子をクリアパーツで気に変換してやがる!』
そこへケルディムサーガの改造機と思われるガンプラが狙撃を仕掛けるが、ラスターはGNフィールドの部分展開でそれを無効化する。
『GNフィールドのピンポイントバリアだと!?』
「そこか」
そして、直ぐ様ケルディムサーガの位置を特定すると右腕を引いて聳弧角の取り付けられた手首のリングが高速回転を始める。
『あ、あああああああ!』
「玄武金剛弾!貫けぇええ!!」
慌てて逃げるケルディムサーガだが、それよりも速く右腕の肘から先を射出したリバーストリームによって背後からGNドライヴを撃ち抜かれ粒子へと還る。
「やっぱヴァルガは慣らしに最適だな」
そんな事を言えるラスターもやはり立派なヴァルガ民である。
また、ラスターもAランクダイバーで個人ランクも150位前後と割と高いのだが、受ける依頼等の影響でポイントが上がり難く、それ故にSランクになれないだけなのだ。
そうしてヴァルガのダイバー達を蹴散らし、機体の扱いに慣れてきた頃にヤツは現れた。
『また食いごたえのあるガンプラじゃねぇか!なぁ、万事屋ラスター!』
「またテメエか、獄炎のオーガ!」
そう、それは今でこそ少し落ち着いたものの、GBNにおける戦闘狂にして美食家と呼ばれたフォース・百鬼を率いるダイバー・獄炎のオーガ。彼もこのヴァルガをよく訪れており、こうしてよくラスターと鉢合わせてはバトルを繰り返しているのだ。
『そのガンプラの強さ!俺に食わせろぉ!!』
「テメエこそ、このリバーストリームの試し乗りの仕上げにしてやるよ!!」
GNオーガソードと腕の聳弧角がぶつかり、衝撃でステージオブジェクトの廃ビルが崩落していく。
『ぎゃああああ!?』
『逃げろぉおおお!!巻き込まれたら一瞬でやられちまうぞ!?』
近くにいたダイバー達はそのバトルの激しさから巻き込まれてたまるか!と我先にその場を離れていくが、その最中にも衝撃波や流れ弾、瓦礫等がダイバー達を襲い、甚大な被害を及ぼしていく。
『そのガンプラ、まだ何か隠してやがるな?そいつも俺に食わせろぉおおお!』
「ほんとコイツの嗅覚はどうなってやがんだか………そんなに言うなら味あわせてやるよ!モードチェンジ!モードΩ!」
すると、リバーストリームガンダムの頭部と脚部が180°回転し、腕の聳弧角が向きを変えて巨大な爪となる。
反転した頭部はエクストリームの面影を持っていた表とは違い、テスタメントガンダムを鬼のような禍々しい顔付きにしたものとなっており、バックパックのバインダーーを展開してコートのように被せたその姿は先程までの面影を感じさせないものに変貌している。
『なんだそりゃ!?一粒で二度美味しいガンプラじゃねぇか!』
「テメエならそう言うと思ったよぉ!」
そんな変貌を遂げたリバーストリームすらオーガにはご馳走のおかわりに過ぎず、歓喜して襲いくるオーガにわかってましたよと呆れながらもバックパックに折り畳んで格納していた朱色の柄をしたGNビームジャベリンを瞬時に組み立て迎撃する。
『もっとだ!もっと俺に食わせろ!』
「ここらで俺達の因縁にも一度決着を入れようぜ!」
『鬼トランザム!』
「トランザム!」
二人同時にトランザムを起動し、その戦いの激しさは更に増していく。
オーガがオーガソードを連結してツインソードと金棒バズーカの変則二刀流になればラスターはジャベリンと腕の爪でそれを弾き、ラスターが爪から飛ぶ斬撃を放てばオーガは拡散ビーム砲で撃ち返す。
そんな風にヴァルガを所狭しと暴れ回る獣と鬼に抗う術の無いヴァルガ民は巻き込まれて蹴散らされ、一方で力あるヴァルガ民は遠巻きにそれを眺めていた。
『ラスタァアアアア!!』
「オーガァアアアア!!」
結局、そのバトルは相討ちによるドローとなってしまったが、ラスターのリバーストリームガンダムのコンソールにはこう表示されていた。
『FINISH MOVE 01』
「あははは………ずっと発現して無かった癖にこんなとこで発現するなんてな………」
それはCランク以上のダイバーが習得可能とされる“必殺技”と呼ばれるもので、チャンプことキョウヤならばEXカリバー、リクならばハイヤーザンスカイフェイズ、タイガーウルフなら龍虎狼道、等の上位ランカーならばまず習得しているであろうスキルなのだが、ラスターは様々なガンプラを乗り換え続けてきたせいかAランクに上がっても今まで必殺技は発現しなかったのである。
まあ、必殺技無しで上位ランカーに食いついていけるラスターも十分おかしいのではあるが………
そんなラスターが遂に必殺技を習得したのである。
その必殺技はトランザムの制限時間を大幅に減らし、トランザム後のステータスの大幅ダウンと引き換えにに瞬間的に通常のトランザム以上の出力を得るというトランザム中にしか使えない制約を持つ必殺技だった。
発現したのがトランザム終了間際だったせいでちゃんとした出力の増加数値はわからなかったが、使いこなせれば大きな力になるのは間違いない。
「こりゃあ、GNコンデンサー増設した方がいいな」
必殺技の発現による欠点が浮き彫りになり、その改善策を考えながらラスターはログアウトする事にしたのであった。
ラスターの必殺技はトランザム中に更に強化モードに突入するタイプのもので強化幅が大きい分、終了時のデメリットも大きいタイプです。