その日、グレイは月一で開催されているバトルイベントであるバトルスクランブルの会場である専用ディメンションへとやってきた。
何故カメラマンのグレイがバトルスクランブルの会場にいるかというと、ロビーで受けられるミッションでスターロードの戦闘性能を試していたのだが、これまで使用してきたガンプラとカテドラルガンダムをベースにしたスターロードガンダムでは感覚が異なり、グレイが受けられるミッションでは性能テストにならなかったのである。
故に対人戦………それもバトルロワイヤルであるこのバトルスクランブルなら他のダイバーのガンプラとも比較出来るだろうと考えて参加を決意したのだ。
まあ、今回のバトルスクランブルは龍虎祭前とあって機体の損傷を抑えるべく龍虎祭参加者が参加してこないという情報を知り合いから仕入れていたのでチャンプと遭遇さえしなければグレイも善戦出来るだろうと踏んでの事だ。
「おや?グレイじゃないか」
「あっ、キョウヤさん」
噂をすればそのチャンプことキョウヤと遭遇してしまう。
「君も今回のバトルスクランブルに?」
「ええ、ちょっと前に言っていた新型のテストに」
「ほう、例のカテドラルガンダムの改造機だね?」
やはり1ビルダーとして興味があるらしく、後で詳しく見せる約束をしてから別れて真っ白なディメンションで離れた位置にスタンバイする。離れたのは勿論開幕直後にやられない為である。
「行こうか、スターロードガンダム」
そして、開始を待つ。
『Dimension fields Random select!』
そして、真っ白なディメンションはいくつかの河の流れる熱帯雨林へと変化する。
『Field to Forest』
「これは、ジャブローかな?」
それは連邦軍が一年戦争時に本部を置いた南米ジャブローの跡地。おそらくはGのレコンギスタのジャブローだろう。
そして、ステージを確認したグレイは直ぐ様キョウヤの位置を探ったのだが、そこにいたのはある意味トライエイジマグナム以上に有名な機体だった。
「………トライエイジマグナムは温存してくるとは思ったけどさ、それはないでしょ、キョウヤさん………」
それは第2次有志連合戦、その後のレイドボス戦にて使われた機体で、彼の代名詞とも言われたAGE-2マグナムの強化仕様であるAGE-2マグナムSV。
ハッキリ言って並みのダイバーであれの正面に立てば瞬殺されると言っても過言ではないガンプラだった。
『Countdown 5…4…3…』
「全力で逃げる!」
『2…1…Battle start!』
開幕直後、キョウヤは6基のファンネルを展開し、近くにいたダイバー達を瞬殺。
グレイはスターロードを高機動巡航形態に変形させて即その場を離脱していた為に難を逃れた。
「うわ、あの白いクアンタってFOEさんじゃんか!?」
そんなキョウヤにヴァルガのFOEこと白いダブルオークアンタの改造機を操るFOEさんことキョウスケが挑み掛かる。
「あんな
龍虎祭不参加組は相変わらずらしく、キョウヤを中心とした危険地帯が既に構築されている為、グレイは流れ弾に注意しながら距離を取った。
しかし、そんなグレイを標的に定めたダイバーがいた。
『その可変機………見つけたぞぉ!カミーユゥウウウウ!!』
「ちょま!?」
巡航形態のスターロードを上から急降下して強襲してきたのはジェリド=メサのバウンドドックカラーのTR-4ダンディライアンと思われるガンプラ。
それを素早く機体を変形させて回避したグレイだったが、ダンディライアンのダイバーはMA形態から機体を変形させて静止するとロゼット代わりにコアユニットとしたバウンドドックカラーのマラサイが持つフェダーインライフルでスターロードを攻撃する。
『ガンダムタイプ………やはりカミーユだな!』
「ジェドさん!?」
このダンディライアンのダイバーはジェド=メリサ。
ジェリド=メサロールをするティターンズ広報課のダイバーで、Zガンダム系のガンプラを見ると『カミーユゥウウウウ!』と襲い掛かってくる事で有名なダイバーだ。
ティターンズ広報課には広報に使う写真等で偶に依頼を受けているグレイからしたら顔馴染みなのではあるが、一度彼がこのモードに突入すると全く話を聞いてくれない。
更に最近は巡航形態へ変形するTMSならZガンダムでなくてもカミーユ判定してくるという病状の悪化からキチーネことTHE Bi-neより警戒されているとのこと。
どうやらスターロードガンダムもカミーユ判定されてしまったらしい。
「………やるしかないか」
『やっとやる気になったか!カミーユゥウウウウ!!』
「後で恨まないで下さいよ!」
フェダーインライフルを肩に仕込んだスラスターを噴かせて回避しつつ、腰のレールガンでジェドのガンプラ・TR-4C ダンディライアン改を狙うが、サイズに見合わず動きが軽快で中々当たらない。
「ならこいつで!」
『甘い!』
ならばとフォーカスビームブラスターを放てば再びMS形態からMA形態になり、大気圏突入用の外殻に対ビームコーティングを施していたようでビームを弾かれてしまう。
『そらぁ!次はこっちからいくぞ!』
すると、今度はMA形態のままダンディライアン改は凄まじい速度でスターロードへ突撃してくる。
「くっ!」
それをシールドで防御するが、大質量の激突にスターロードは大きくバランスを崩して弾き飛ばされてしまう。
『まだまだぁ!』
そこでジェドの猛攻は終わらず、MA形態の大型クローを有線式の遠隔操作ユニットに改造していたらしく、それでスターロードの足を掴んでワイヤーを巻き取り、もう片方のクローで殴りつける。
「ぐあっ!?」
『見たか!これが俺様の実力だぁ!』
直撃する寸前に肩のコートアーマーを使ってガードしたおかげで大破は間逃れ態勢を立て直したものの、既にイエローアラートが鳴り響いている。
「やっぱ俺じゃコイツを上手く扱ってやれないのか………」
元々バトルはそこまで得意という方ではなかったグレイは自身の作ったスターロードガンダムを上手く扱ってやれない事にレバーを強く握り絞める。
「いや、スターロードはカテドラルガンダムをベースにしたガンプラだ」
カテドラルガンダムは「操縦に嘘がつけない」「使い手の実力を最大限に引き出す」ガンプラと呼ばれたガンプラ。そんなカテドラルをベースにしたスターロードがこの程度で終わる訳が無い!とグレイは殴り飛ばされて距離が空いた事を利用して“ある事”を試そうとする。
「カテドラルガンダムは粒子制御能力でフィールドを構成するプラフスキー粒子すらエネルギーに転換したって話だ………なら、お前だってやれるだろ!スターロード!!」
その言葉に応えるかのようにスターロードはツインアイを光らせ、フォーカスビームブラスターにエネルギーをチャージする。
だが、それは通常のチャージではなく、周囲の………いや、このバトルスクランブルのフィールド全体で“空気中に霧散したビーム粒子”全てをブラスターの銃口前に集束させていく。
『ん?これは………』
『霧散したはずの粒子が………』
これには多くのダイバーが異変に気付き、粒子が集まっていく方角を見る。
『一体何をするつもりだ!?カミーユ!』
「この一発だけでいい………耐えてくれよ、スターロード!」
それに気付いたジェドが慌てて接近してトドメを刺そうとするが、既にスターロードの前にはスターロードの全長と同じサイズの光球が出来上がっていた。
「いっけぇえええええ!!!」
そして、ダンディライアン改があと数mまで接近してきたところでグレイはトリガーを引く。
すると、サテライトキャノンレベルの凄まじい砲撃が放たれ、直撃したダンディライアン改は対ビームコーティングすら融かして撃ち抜き、偶々その射線上にいたガンプラ達も無慈悲に爆散させていった。
『今の光は………なるほど、彼か』
『マイクロウェーブ送信無しのサテライトキャノン………いや、空気中の残留粒子を使ったと言う事はアレを放ったのは………』
その直撃を回避し、Fファンネルでシールドを作り余波を防いだキョウヤと、同じくソードビットとGNフィールドでそれを防いだキョウスケ。
その両者のファンネル、ビットは直撃でなかったというのに所々に罅が出来てしまった。
だが、スターロードガンダムもボロボロだったところへ今の砲撃の反動を受けてしまったせいで特にブラスターを持っていた右腕の関節部へのダメージが深刻な状態となっていた。
「………あはは、やるじゃんか、スターロード」
コックピットはレッドアラートの嵐ではあるが、グレイは笑っていた。
もしかしたらとは思っていたが、まさかこれ程までの砲撃を放てるとは思っていなかったのだ。
『TIME UP!』
そこで丁度タイムアップとなり、グレイは何とかバトルスクランブルを生き残る事が出来た。
「あ〜、なんだか凄く疲れた………でも、収穫はあったかな」
フィールドが再び真っ白な空間に戻り、各ダイバー達も転送が開始される中、グレイは先程の砲撃の後からコンソールに表示されている文字を見て笑みを浮かべた。
『FINISH MOVE 01』
それはグレイとスターロードガンダムが得た新たな力………【必殺技】だった。
という訳で今回のゲストキャラは青いカンテラさんのとこよりティターンズ広報課のジェド=メリサ。
守次 奏さんのとこより白いクアンタ使いのFOEさんことキョウスケ。
この2名に出演いただきました。この場をお借りしてお二人には御礼申し上げます。
スターロードガンダムの必殺技
ベースとなったカテドラルガンダムの特性を元に、バトルフィールド上で使われたビームや粒子の残留粒子をフォーカスビームブラスターの銃口付近に集束させて放つ集束砲撃。
その特性上、チャージ時間が長い程、フィールドに残留する粒子が多い程威力が上昇する。
今回はバトルスクランブルという多人数が使用した残留粒子を集束した為にサテライトキャノンレベルの砲撃となった。
TR-4C ダンディライアン改
ジェリドのバウンドドックカラーに塗装されたダンディライアン。
コアユニットを同カラーにしたマラサイ(UC)に変更しており、フェダーインライフル、ウミヘビ等の装備を搭載している。
また、MA形態のクローを有線射出可能なアンカークローに改造しており、ミノフスキークラフトを搭載して大気圏内でも高速飛行を可能としている。
ダンディライアンユニットには対ビームコーティング塗装がされており、並みのビームでは傷を負わせるのも難しい。
AGE-2マグナムSV
言わずと知れたチャンプの愛機の強化バージョン。
いくらトライエイジマグナムを温存しておく為とはいえ、SV装備で来るとかさぁ………
今回の集束砲撃がグレイの仕業と察している。
FOEさん
ヴァルガにてFOE扱いされるキョウスケの白いダブルオークアンタことディバインダブルオークアンタの事。
突如現れて色々とぶっ放して去っていく事からこんな扱いをされている。
今回はチャンプへ挑戦するチャンスと思ってバトルスクランブルに参加していた模様。
最後に飛んできた集束砲撃を見て何か気付いたらしい。