前話は龍虎祭より前、大体グレイがシャフランダムやった後ぐらいの時系列となります。
龍虎祭が終わって数日が経った頃、尚樹ことアスターはあるミッションを受けようとしていた。
【防衛ミッション:舞い降りる剣】これはガンダムSEEDにおけるアラスカ基地防衛戦の再現ミッションで、最初はアラスカ基地を基地防衛戦力と共に防衛し、一定時間の経過か敵戦力を一定以上倒すと防衛対象がアークエンジェルとなり、アラスカ基地から離脱させるというミッション。
このミッションは難易度によって防衛戦力の数が変動し、イージーであれば途中でストライクガンダムに乗ったムウが僚機となり、ノーマルではストライクガンダムからスカイグラスパー、ハードになるとスピアヘッドにまで機体ランクがダウンする。
フェイズ2の途中でフリーダムガンダムが味方NPDとして参加してくれるが、それまでが割とキツイ。
推奨ランクはD*1だが、これは三人以上での推奨ランクであり、ソロであればCにまで跳ね上がるミッションだ。
そんなミッションにアスターはソロで、しかもノーマルモードに挑もうとしていた。
「これが卒業試験って、ラス兄スパルタだろ………」
新しいガンプラのテストをヴァルガでやるようなダイバーのラスターからしたらまだまだ甘いのだが、アスターからしたら十分スパルタである。
ところでこのミッション、実はちょっと面白い演出がある。
「まさか、インパルスでアークエンジェルから発進シーケンスやれるとはなぁ」
そう、このミッションの開始時にアークエンジェルから出撃する演出が行えるのだ。*2
『進路クリア、発進どうぞ』
「アスター、メテオインパルス出る!」
原作同様ミリアリアの音声で出撃を促され、アスターはフィールドへと出撃する。
アスターのメテオインパルスはインパルスガンダムに大きく手を加えたガンプラで、本来白い装甲は薄いオレンジ色、肩や胸部等の一部の装甲を真紅に塗装しており、ツインアイはブルーというカラーリングになっている。
肩と脚部は大型のスラスター内蔵装甲を増設し、胸部もインパルスというよりはシャイニングガンダムに近い形状をしており、腰の本来ビームライフルをマウントする部分には追加スラスターと小型のプロペラントタンクを取り付けた。
また、頭部はアストレイのような尖ったヘッドに4本の大型アンテナと中央にクリアレッドのパーツを使用している。
シルエットはメテオシルエットというフォースインパルスにエールストライカーやアストレイのフライトユニットのパーツを流用した高機動空戦仕様になっており、カレトヴルッフ用のマウントにはカレトヴルッフ炎を改造したクリアパーツのブレードを備えたメテオカレトヴルッフを2本装備。
その他の武装はビームマシンガンとブラスターシールドと腰のビームナイフ、アーマーシュナイダー、ビームライフルショーティー、メテオシルエットに備えたビームサーベルという構成だ。
「敵はグゥルに乗ったジンやシグーにディンか………確か、フェイズ1終了でデュエルとディンが増援で出てきて、Secretでディープアームズだっけ?」
事前に攻略班のまとめサイトを見てきたが、ソロでやるとなれば防衛対象、特にアークエンジェルの耐久値には注意せねばならない。
「フェイズ移行にしか増援は無いみたいだし、基地に近付いてきたやつを片っ端から落としていくか」
そう言いながら近付いてきたディンをビームマシンガンで撃ち落としていく。
「ジンはグゥル落としておけばいい的だな」
ジンのスラスターは長時間の飛行に適していないので、SFSのグゥルを先に潰してしまえば動きが鈍るのでそこを狙いコックピットを撃ち抜く。
基地のイージス艦やスピアヘッドも迎撃に参加しているが、足留め程度にしかならないのでバックパックのメテオカレトヴルッフのビーム砲と腰のビームライフルショーティーも取り出して次々とジンやディンを落としていく。これくらいやれないと後でヴァルガに放り込まれかねないからだ。
途中、ムウのスカイグラスパーらしき機体も見えたが、ストライカーパック無しの機体だった為直ぐに戦線を離脱しアークエンジェルへと着艦していった。
と、ここでアークエンジェルが配置を離れ戦域からの離脱を開始する。
「よし、フェイズ2」
フェイズ1を乗り切った事を喜ぶアスターだが、そんな彼のメテオインパルスを遠距離からのビーム砲が襲う。
「うおっと!?このビームはまさか!?」
何とか回避したものの、アスターは増援の中に青いシグーのカスタム機・シグーディープアームズを発見する。
「Secret達成してたの!?」
ちなみにSecretの条件はフェイズ1で一人が一定数以上の機体を撃破するというもので、ソロでプレイしているアスターは必然的にSecretの条件を満たしてしまっていたのだ。
「ラス兄、絶対これ知ってただろ!」
ちなみに、イージーでフェイズ2までストライクのダメージを抑えていれば補給に戻ったムウが再びストライクで出撃し、デュエルはストライクに釘付けに出来るので、その間にディープアームズを倒してデュエルを狙うという戦術が使える。
また、デュエルのNPDのイザークはストライク系の機体を優先して狙う傾向があり、メンバーの中で一人ストライク系に乗せておけば簡単に分断可能だったりする。
「まずはあのディープアームズから落とさないと!」
グゥルに乗っているせいか機動力ではメテオインパルスの方が上である事を利用し、アスターはシールドにビームマシンガンをマウントすると右のメテオカレトヴルッフ・ソードモードを手にしてデュエルを無視しディープアームズへと突撃する。
『こいつ!?』
『ここは私にお任せを!』
無視された事でイザークが憤るが、ディープアームズのNPDであるシホがそれを宥め、試作ビーム砲ではなく、レーザー重斬刀を抜く。それはメテオカレトヴルッフを警戒しての事であったが………
「悪いけど、斬り合いなんてしねぇよ!」
アスターは素直に斬り合う事はせず、左手のブラスターシールドのギミックを起動し、スライドさせた装甲から8連拡散ビーム砲を放つ。
『きゃあぁああああ!?』
『シホ!?キサマァアアアアア!!』
至近から拡散ビーム砲を受けたせいで撃墜されたディープアームズを見てイザークが激昂するが、その隙にアスターは右手のメテオカレトヴルッフをライフルモードに変形させてデュエルのグゥルを撃ち抜く。
『くっ!?』
グゥルが爆発し、デュエルが飛び上がったところで再びメテオカレトヴルッフをソードモードにすると先端のビームサーベルを起動させデスティニーのアロンダイトでの突撃のようにデュエルのコックピットを貫く。
『ちくしょぉおおおおお!!』
「よし、ネームド撃破!」
デュエルを撃破したアスターは一度アークエンジェルの傍まで戻り、その後は指揮官機を失って統率の乱れたZAFT軍を倒し、フリーダムが介入してきたらあとは残った敵を退けながらアークエンジェルが指定ポイントに到着した事でミッションクリアとなった。
***
ロビーに戻るとミッションカウンターの傍でラスターが待っていた。
「お疲れさん」
「お疲れさん、じゃねぇよ!ラス兄絶対Secretの条件知ってて俺にこれやらせただろ!」
「当たり前だろ?それ含めて卒業試験だったんだからな」
「これ、ゼッテー始めて数週間の初心者にやらせるミッションじゃねぇって!」
とは言うが、普通の初心者が始めて数週間でソロクリア出来るようなミッションでは無い。
「ハハハ!身内にも容赦が無いのだな、君は」
「えっ?」
すると、二人の傍に軍服を着たオコジョのようなアバターのダイバーがやってきた。
「よっ、ロンメルの旦那」
それはGBNにおいてチャンプに続くNo.2の実力者と言われる男、智将ロンメルであった。
「ろ、ロロ、ロンメル大佐!?」
始めて間もないアスターでもトップランカー達の名前くらいは調べており、その中でも知名度の高いロンメル。
そんなロンメルと遭遇した事でテンパリ始めるアスター。
「如何にも私がロンメルだ。君の名前は?」
「あ、アスターといいます!」
「アスター君か………君と似たような名前だね?ラスター君」
「まあ、親戚なんでネーミングセンスが似たんですよ」
「なるほど」
これに関しては尚樹がGBNを始めたのはラスターに教えを乞う前なので似たような名前になったのは偶然である。
「ロ、ロンメル大佐!」
「何かな?」
「サインもらってもいいですか!?」
「構わんよ」
慣れているのか、サラサラっとサインを書き終えてアスターに手渡し「今後も頑張りたまえ」と言ってロンメルは去っていった。
「ラス兄、ロンメル大佐と知り合いだったんだ?」
「始めたばかりの頃に少し世話になってな」
「ふ〜ん」
「まあ、とりあえず試験は合格ってとこだな」
「よしっ!」
「あとはお前自身でどうしたいか、どうなりたいか決めてやるこった」
「うん」
こうして、ラスターからの指導期間を終えたアスターは本格的にGBNの世界へと飛び込んでいくのであった。
【防衛ミッション:舞い降りる剣】
本編中で説明した通りガンダムSEEDの追体験型ミッション。
攻撃してくるZAFT軍からアラスカ基地を防衛するフェイズ1。アークエンジェルのアラスカ離脱を護衛するフェイズ2に分かれており、フェイズ1で個人撃墜数が一定を超えるとイザークのオマケにSecretとしてシホがディープアームズで参戦してくる。
難易度によって味方のスピアヘッドやイージス艦の数やムウの乗機が変わる。
難易度EXを選択するとジンがゲイツになり、長距離偵察型ジン等の機体まで参戦してくる。また、フェイズ2にてシホとイザークを倒すと専用機のゲイツに乗ったクルーゼまで現れる。
尚、フェイズ2にて離脱に失敗するとサイクロプスでガンプラが全損ダメージを受けるので基本的にチームプレイが推奨される。