IS、インフィニット・ストラトスは女性にしか動かせない。これは世界の在り方を変えてしまった。男尊女卑や男女平等の世界は一瞬にして女尊男卑に変わった。口では男女平等を謳う者も居るには居るが、それは『ISという力がある』女性が言うものであって、男性では誰一人として言う者はいなかった。
だが、そんな世界に楔が2つ打ち込まれた。その楔は『織斑一夏』と『織斑奈桜』という未だに最強の人物として名前に上がるブリュンヒルデ『織斑千冬』の弟達であった。
そんな報道を執事によって聞かされた1人の少女『セシリア・オルコット』はティータイム中、そのティーカップを落としてしまう程に驚いていた。
(織斑……奈桜……彼にまた会えるのですね)
その日セシリアの気分は非常によかったとメイドのチェルシーは日記に書いていたそうだ。
▲▼▲▼▲
一方、日本にいる織斑兄弟の兄、織斑一夏は連日連夜自宅前に現れるマスコミに疲れ果てていた。
「あぁぁ……ひっどいなこれ……」
もう何日も来ており家から出られない程であった。故に家の食料等が不足してくる訳だが……
「俺が行ってくるよ一夏」
「いやでもさ……」
「いーっていーって、久々の一夏の手料理食えないのはヤだしどっちかが行かなきゃ行けないのは確実でしょ? それなら多少マスコミ慣れしてる俺の方が良いさ」
と中性的だが女性顔負けレベルの義理の弟である『織斑奈桜』こと奈桜が買い出しに行った。その時にもマスコミがいたのだが
「お勤めご苦労様です」
この一言を言い、微笑みながら軽く頭を下げる。それだけで男女関係なく来ていたマスコミが惚けた表情になり奈桜が歩く道を開けるように別れる。そうしてその中を優雅に(周りにはそう見える)歩いて行く。友人達は
「彼? 彼女? は魔性の人だね!」
「万物を惚れさせるとみた!」
と男の友人達は言い
「女の子としてみても同じ土俵に立てない」
「髪や肌はどんな手入れを……え? 特にしてない? ジャンプーはどんな……家のと同じだ……そ、そっか……あははは……(白目)」
と女の友人達は言う。男女共に羨ましいと言われるが小さい頃から過ごしていただけあって耐性? がある一夏は「そうか?」の一言で終わってしまい、それを聞く友人達に「「「そうだよ!!!!!」」」と言われるまでが最近のセットであった。
そんな友人達に会いたいなと思っていた一夏は外が先程より騒がしいのを感じた。
「魔性さんのおかえりだな」
▲▼▲▼▲
まだ居たのかこいつら。奈桜の嘘偽り無い本音である。未だに家の前から退くことがないマスコミに奈桜は奈桜でウンザリしていた。
「「「「お、おかえりなさいませ!」」」」
「……はい、ただいま帰りました」
一瞬間があったのは仕方が無いだろう。何せマスコミの人達がまるで使用人の様に出迎えてきたのだから……。それでも笑顔を絶やさないのは奈桜の精神力故にだろう。
奈桜はまた行く時にも出来た『道』を進み家に入っていく。
「ただいまー」
「おかえりー魔性さん」
「お? 喧嘩か? 買うよ??」
「やめとくわ」
フフっあははっとどちらとも無く笑い出す双子。そうして2人は料理を作り楽しく入学までの日々を過ごす。そしてその日が来た。
▲▼▲▼▲
IS学園入学当日
一夏と奈桜はIS学園のある人工島に向かうモノレールに乗っていた。割と早い便であるにも関わらず満席になるくらいには人が乗っており、内男子は2人だけであった。
(すっげー見られてる!?)
一夏は居心地が悪いので弟である奈桜に助けを求めようとしたのだが……肝心の奈桜は腕と脚を組み堂々と……
「すぅ……すぅ……」
寝ていた。
(な、奈桜おおおおおお!?)
一夏は数々の視線に耐えながら人工島までの時間を過ごしたのであった。
▲▼▲▼▲
IS学園は入学式が終わったらその当日に授業を始めるらしい。普通科目とIS科目を両方しなければいけない都合上そうなったらしい。中々ハードスケジュールな気もするが会社勤めを余儀なくしていた自身のことを鑑みるに意外となんとか行ける気がするって思える辺りすでに社畜になりかけてるのではないだろうか……。
そして当然と言えば当然だが……
「「……」」
ジィーー
俺と一夏が滅茶苦茶見られるな。俺はブロッサムラビッツの社員という事で度々テレビに映ることがあったし、動かせると広まった後のマスコミの前に何度か顔を出してるから見た事がある人もいるんだろう。だが一夏はそういった視線に晒されるのに慣れていない。まあ、別に悪い視線では無いし慣らしておけばいいか、と俺は考えていた。そこへ
「皆さん、おはようございますー。SHRを始めますねー」
……学生? ってくらいに幼く見える女性が教室に入ってくる。ブカブカな服を着て大きめの眼鏡、それを見るに子供が少し背伸びをしてると言った方が納得行くような見た目だった。
「「「「…………」」」」
「はーい……ぇぇ」
いや、皆返事してあげようよ……ほら、先生? なんだから……ね? それとも何? 普通は先生の話って無視するもんなの?
「え、えっとぉ……今日からこの1年1組の副担任を務めます、
「「「「…………」」」」
「はー…………ぃ」
まーた皆して無視する……ほら、山田……先生が泣きそうな目してるよ!? てかなんかこっち見てるし
俺はどうしたらいいかわからないので両手を握って小さく「ファイト」の意味を込めたポーズをしてみる。
山田先生はそれを見て少し頷くと次に出席番号に自己紹介を始めさせた。俺は一夏の後なので一夏の自己紹介を見て学ばせてもらおう。
そして一夏の番になった。
「織斑一夏君」
「……」
お? 無視ですか? クール系で攻めようという魂胆かな? 山田先生は先程より少しだけ大きい声で一夏を再度呼んだ
「織斑一夏君!」
「は、はひぃ!?」
「ひゃっ!? うぅ……」
いや聞いてなかっただけだわコイツ
「あ、あの……いま、自己紹介してもらってて……それで織斑君の番になったので自己紹介してほしいなーって……」
先生、山田先生。貴方は悪くないんだからそんなにペコペコしなくてもいいじゃないですか。
「じ、自己紹介しますから、そんなに謝らないでください」
「ホントですか!? 約束ですよ!」
約束も何も無いんじゃないでしょうか……そうこうしてるうちに一夏の自己紹介が始まった。一夏は一番前の席なので起立してから後ろを振り返り
「織斑一夏です」
「「「「「…………」」」」」
……だけで止まった。俺も教室内も「え? それだけ?」と言った空気が漂っていた。そんな空気感の中一夏は俺に目を合わせ、「な、奈桜……」と情けない声で名前を呼んできた。こういう時のコイツは大抵助けてくれの意味合いで名前を呼ぶので
「……好きにすればいいじゃない」
とだけ返した。一夏はその一言で何を思ったのか
「以上です!」
自己紹介を終えてしまった。ガクッとなる俺と複数のクラスメイト達、ポカーンと固まっているクラスメイト達、そしてそんななんとも言えない空気感を作ってしまった
スパーンッ!!!
「イ"っ"!?!?」
黒いナニカ……出席簿で一夏の頭をぶっ叩く千冬姉さん、かなりいい音がした。
一夏は頭を叩いた張本人を見るべく後ろを振り返るが、千冬姉さんを見た瞬間に顔が歪み
「ゲェッ!? オニッ」
バーンッ!!!!
さっきより音だけで高威力とわかる出席簿が振るわれた。いや、本人目の前にしてオニは無いだろう? 叩かれて当然だわ。
「ほお? 貴様が普段私のことをどう思っているのか良くわかった」
普段聞くよりドスの効いた声で一夏に言い放つ千冬姉さんとそれにより悶絶して何も言い出せない一夏。
「あ、織斑先生、会議は終了したんですね」
「ああ、ありがとう山田君。助かったよ」
「い、いえ! 担任の補助をするのが副担任の仕事ですから!」
一夏に言った声とは明らかに別物の千冬姉さんの声、そして少し顔を赤くしている山田先生。そーやって千冬姉さんは前から誑かすんだから……。
「そうか、そう言ってもらえると助かるよ。さて、私が君達の担任を務めることとなる織斑千冬だ。私の仕事は君達のを1年で使い物になる操縦者にすることだ。出来ないものには出来るようになるまでミッチリと教えよう。逆らってもいいが私の言うことは聞くように、良いな?」
……千冬姉さん、ここ軍隊じゃないですよ? ドイツ軍に一時期居たとか聞いてるけど、ここ日本のIS学園ですよ??? クラスの皆ひき
キャアアアアアアアアアア!!!!
突如教室内に爆音が響き渡った。これはアレだ、束さんに動画サイトの音割れBGMとかいうヤツを高性能ヘッドホンの音量マックスで聞かされた時に似ている。音の出処はクラスメイトの女子生徒達
「ち、千冬様! 本物の千冬様よ!!」
「私! ファンなんです!!」
「千冬様に憧れてこの学園に来ました!!」
「千冬様! 手取り足取り腰取り教えてください!!」
キャアキャア騒ぐ女子生徒を鬱陶しそうに見る千冬姉さん。
「……まったく、毎年毎年よくもまあこれだけの馬鹿者達が集まるものだな。これはなんだ? 私への嫌がらせか何かか?」
そりゃあ嫌がらせにも感じるというものだ、こんなのを毎年やってるなら。ところがそんな千冬姉さんの発言にも女子達は静まるどころか更にヒートアップしていく
「きゃああああっ! もっと叱って、罵って!」
「でも時々で良いから優しくして!」
「そしてつけ上がらないように厳しく躾しつけしてぇ~!
……千冬姉さんからはIS学園はそれなりに偏差値は高いと聞いていたんだが、少し……いやかなり面白い……人達がいるんだなぁ……。
それにしても流石の人気だな千冬姉さんは。一夏の友人達の間でも千冬姉さんの人気は凄まじかったし、ましてやここはその千冬姉さんが有名になった要因のISについて学ぶ学園だから当然と言えば当然か。
「で、お前はまともに自己紹介も出来ないのか?」
「い、いや千冬姉、俺は──―」
スパンッと先程より弱い出席簿で叩かれる一夏
「織斑先生と呼べ」
「……はい、織斑先生」
「まったく……お前は大丈夫なんだろうな? 奈桜」
「……多分、大丈夫です」
一夏の自己紹介が終わった? のでその次の俺の番になった。起立をし後ろを振り向く。そしてさーっとクラスメイトになる人達の顔をそれとなく見ていた、その時
「「……っ!?」」
1人の少女と目が合った。その少女もこちらと目が合い息を飲んでいた。
少し巻かれた輝くような金髪、宝石のサファイアより綺麗な青い瞳、白く透き通るような肌。その少女、セシリア・オルコットは奈桜と目が合ってから離せないでいた。互いに会いたかった人物がまさかの同じクラスだとは思いもよらなかった。
「オッホン! 感動の再会なのはわかるが後にしろ」
「あっ……わかりました」
千冬姉さんがわざとらしい咳払いをしたが一夏の二の前は嫌なので素直に自己紹介することにした。チラッとセシリアの方を見れば、彼女も気付いてくれたらしく微笑みながら小さく手を振ってくれた。嬉しくてつい手を振り返したがすぐに自己紹介を始めた。
「初めまして、ブロッサムラビッツ所属の織斑奈桜です。ちふ……織斑先生と今程自己紹介をした織斑一夏の弟になります。学校という施設に通ったことが今まで無いので皆さんには迷惑をかけるかもしれませんがよろしくお願いします」
そう言って頭を下げる。すると千冬姉さんが
「ほう、マトモな挨拶だな?」
「そう? なら良かった」
「だがそこでタメ口は減点だな、それとお前もあんな表情するんだな」
「あんな表情?」
と気になったが、教室がやたら静かの方が気になってしまいそちらを見ると
「「「「………………」」」」
クラスメイト達が皆俺のことを見ていた。
な、なんだ? 顔になにかついてるんだろうか? セシリアの方を見てみると……顔を真っ赤にして固まっていた。幻覚だろうか? 湯気が見える気がする。
キャアアアアアアアアアアアアアア!!!!
本日2度目の爆音が発生した。またもやこのクラスの女子達である。
「て、てぇてぇ……」
「綺麗な顔で……なんて……なんて幸せそうな顔をするんだ……」
「ありがとうお母さんお父さん、この時代に産んでくれて……」
な、何がどうなっているんだ!? 何人かは崇めるが如く祈りのような動作をしだすし、また何人かは倒れてしまってるし……。
「お前もこれから大変そうだな、奈桜」
その一言を聞いて俺は項垂れつつ席に座る。その後のクラスメイト達の自己紹介は項垂れている俺にはあまり聞こえなかった。
▲▼▲▼▲
SHRが終わり早速セシリアの所へ行こうとした時に見知った人物が俺……というより一夏にだろう、近付いてきた。
「久しぶりだな、2人とも」
「ん……? もしかして」
「箒だな、久しぶり」
篠ノ乃 箒、一夏の幼馴染であり束さんの妹さん。姉妹仲は……見た感じ悪くは無さそうだ、束さんが一方的に可愛がっているのを少し鬱陶しそうにしている様には見えるが……
正直なところ俺は箒とは去年束さんの付き添いをしてる時に会ってはいるので一夏程久しぶりでは無い。
「やっぱり箒か! 一瞬わかんなかったぞ」
「そうだな、一夏は小学生以来だしな。奈桜は……去年会ったな」
「そうだねー、変わらず元気そうでなによりだよ」
「そちらもな、……姉さんはどうだ?」
俺はその質問にヤレヤレといった感じで首を左右に振る。
「はあ、まったくあの人は……」
箒の言う「姉さんはどうだ?」とは純粋に寝てるのかとか一般的に身体に気をつけてるのかといった意味合いである。だが束さんはな……
「あの人は細胞レベルで天才と自称してるだけあるさ、俺も何度も言ったから疲れた時は休んでるしね」
「そうか……奈桜には迷惑をかける」
「そう言うけど奈桜はなんだかんだ世話焼きだからな!」
「「お前が言うな」」
はははっと3人に笑いが起こる、そうだこの2人にも彼女を紹介しようか
「そうだ、2人に紹介したい人がいるんだ、ちょっと待ってもらっていい?」
「俺はいいぞ」
「私も構わない、……フッ彼女か?」
俺は箒の問に「どうだろうね」とだけ答えてセシリアの元に向かった。
お読み頂きありがとうございます。やっとこさ学園生活が始まりました。
以下オリ主「織斑奈桜」の設定2(本編)です
名前:織斑 奈桜(おりむら なお)
性別:男
身長:165cm
IS適正:A
容姿:中性的で白髪のセミロング。微笑めば男女問わず顔を赤くする程の美形。一夏の友人達は奈桜と一夏に言ってはいないが「美の女神に愛された美の怪物」「(良い意味で)人じゃない容姿」という評価をしている。
制服:男子用の物の丈を長くして膝丈程のコートのようにした物
雰囲気が大人の様であり、大人の余裕の様なものを持ち合わせてる事から一夏の双子の兄弟と言えば兄に間違われたり、姉の千冬に「もう少し年相応にはしゃいだり照れたりしたらどうだ」と度々言われたが、セシリアに関することとなると年相応にはしゃいだり照れたり怒ったり悲しんだり…と意外な一面を見せる事がある。セシリアと過ごした7、8年前のイギリス滞在がそうさせたようだ。