IS 織斑家次男坊の学園生活   作:るーちゃー

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見つけて頂きありがとうございます。今年最後の投稿となります。来年度もどうぞよろしくお願いします。


第2話 セシリアの告白

 わたくしセシリア・オルコットは少し憂鬱でしたわ。奈桜さんと会えるとウキウキしてはおりましたが、再開したらしたで約束があるのです……7、8年前の共に過ごしていた日々に何度も何度も言おうとした言葉「好き」……likeではなくLoveの方……英語で言ったって単語1つ! 日本語で言えば2文字でしか無いのに!! ……わたくしは言えませんでしたわ。

 別れの時、言おう言おうとしたのに結局出来たのはまた会えるかもわからないのに先延ばしと軽いキスだけ。むしろ今となってはキスが出来てなぜ言えなかったのかがわからないですわ……。

 

 そしてIS学園入学当日、この日はこのまま授業もするようでわたくし達は教室で待機をしていました。少ししたら教師……? と思われる女性が自己紹介をし、生徒達にも自己紹介を始めさせましたわ。

 そしてある人の番になった。黒髪の男性、彼はたしか……

 

 

「織斑一夏です」

 

 

 そう、織斑一夏さん……織斑というからにはあのブリュンヒルデの……そして彼の……奈桜さんのご兄弟に当たる方。

 そんな時に織斑千冬先生が登場しクラス中が湧いた。わたくしとしてもあの方が……となってはいますがここまで奇声をあげませんわ! そうこうしているうちに次の方の自己紹介の番となった。

 

 思わずじっと見つめてしまいました。その方は透き通るような白髪と白い肌、クラス中をゆっくり見渡すその明るい青い瞳、前にあった時よりも更に美しくなっていた想い人、織斑奈桜さんその人だった。まさか同じクラスとは思わなかったですわ……。

 

 

「「……ッ!」」

 

 

 互いの視線が合い、息を飲んだ。

 彼はわたくしと目が合うとその目を大きく見開いた。わたくしもきっと似たようなことになってるのでしょう、だんだん赤くなっていく奈桜さんの顔と自分の顔が暑くなっていくのを感じていますわ。

 

 

「オッホン! 感動の再会なのはわかるが後にしろ」

 

「あっ……わかりました」

 

 

 わざとらしい咳払いをした織斑先生に彼は振り返り答えてからまたこちら側を向き目線だけわたくしをみた。正直なところ覚えてないのではないかと思っていましたが、織斑先生がそう言う……という事は覚えてくれていたのでしょう。わたくしは微笑んで小さく手を振りました。そしたら彼は見る者を魅了する微笑みをわたくしに向けながら軽く手を振り返してくれましたわ。

 それだけ……それだけでわたくしは自分の顔が真っ赤になっていくのを感じていました。

 

 

 ▲▼▲▼▲

 

 

 SHRも終わり早速奈桜さんの元へ行こうかと思うと彼らの所へ大和撫子といった印象のポニーテールの女性が向かっていました。わたくしはそれを見て向かうのを躊躇してしまい……3人が仲睦まじく話してるのを見て目を逸らしました。

 

 

「……はぁ」

 

 

 クラスが同じなのは良かったですが、早速話しかけるのが出来なくて……幸先がいいのか悪いのか……わからなくなってしまいますわ。

 

 

「……はぁ」

 

「そんなに溜息ばかりだと、掴める幸せも逃げちゃいますよ」

 

 

 ビクッ!? 

 声のした方に振り向けば、青い瞳がわたくしを見つめていた。

 

 

「セシリア……だよね? 久しぶり」

 

「え、えぇ、お久しぶりです奈桜さん」

 

「「……」」

 

 

 わたくし達の会話はそこで途切れた。

 

 

 ▲▼▲▼▲

 

 

 クラスメイト達はイライラしていた。あのセシリアと奈桜の2人の間に流れる空気は「互いが互いに好きだけどまだ告白もしてないし出来てないような甘酸っぱい感覚」としか言い様がなく、皆が皆

 

 

(早くしろー!!!)

 

(間に合わなくなっても知らんぞー!!!)

 

(早く告れぇ!!!)

 

(砂糖が! 口から砂糖が出てくる!!!)

 

 

 等と口には出さないが2人の無言タイムに苛立っていた。そんな事に気付いた訳では無いがセシリアが口を開き

 

 

「約束……覚えて……ますか?」

 

「……勿論、覚えてるよ」

 

 

 この時のセシリアの声は非常に弱々しいものに対して奈桜の返答はハッキリとしたものだった。2人は見つめ合い

 

 

「わ、わたくし……あの時から……貴方の事が……っ」

 

 

 いけぇー!!! あと2文字だぁぁ!!! 

 おめでとうと言わせろぉぉお!!! (建前と8割くらいの本音)砕けろぉお!!! (2割くらいの非リア充としての本音)

 クラスメイトの心の中は非常に荒ぶっている。そんな中奈桜は

 

 

「これなら言える?」

 

 

 そう言って顔を近付けた。顔が真っ赤になっているが目は逸らさない、ジッとセシリアを見ていた。セシリアはコクリと頷き

 

 

「……好きですわ

 

 

 涙目になり、かなり小さい声であったが奈桜もクラスメイト達も聞こえていた。奈桜はそれを聞いてから軽く触れるだけのキスをして

 

 

「ありがとうセシリア、俺も同じ気持ちだよ。それと今のはあの時のお返しね」

 

「あっ……あっ……キュゥ」

 

 

 セシリアは真っ赤になってしまい机に突っ伏した。それを見て奈桜はフフっと笑っているが自分の顔も同様に真っ赤なのは気付いていた。クラスメイト達は

 

 

キャアアアアアアアアアアアアアア!!!! 

 

 

 本日3回目の歓声を上げるのであった。

 

 

「おめでとう! 美男美女のカップル!! しかもこれってもしかして……超長距離恋愛だったんじゃない!?」

 

「入学当日から何をと思ったけど……まさかずっと前に会った人を2人とも思っていたなんて!!」

 

「なんてロマンチックなの! 薄い本が厚くなるわ!!!」

 

「おお神よ! 今この瞬間から貴方を信じるからこの2人に幸あれ!! ついでに私にも幸せくださーい!!!」

 

「ははは……ありがとね皆……いやちょっとおかしいのあるね?」

 

 

 奈桜はみんなに祝福されたのに感謝しようとしたが変なの混じってるな? と気付いてた。そして突っ伏したままのセシリアに声をかける。

 

 

「セシリア、セーシーリーアー? 大丈夫?」

 

「うー! うー! ずるい! ずるいですわ!! 奈桜さんは随分と女性慣れしておられるんですね!」

 

 

 プンスコという表現が似合いそうなセシリアに奈桜はぱちくりと瞬きしたがフフっと笑って

 

 

「こんなことするのセシリアしかいないよ」

 

「ほ、他にいたら困りますわ!」

 

「それもそうだ、セシリア、君を紹介したい人がいるんだけど良いかな?」

 

「……構いませんわ、先程話しておられた方達でしょう?」

 

 

「うん」と返事してセシリアの手を握りながら2人の元へ戻って行く。

 

 

「お・ま・た・せ、こちらが前に話していたイギリスでお世話になった人、セシリア・オルコットさんだ」

 

「ご紹介に預かりましたセシリア・オルコットと申します。以後お見知りおきを」

 

「ご、ご丁寧にどうも。そっか君が奈桜がよく話していたイギリスの人か」

 

「一夏!?」「あら? そうなんですの?」

 

「初めましてだな、オルコット。確かに奈桜が話をする時はまるで恋する乙女のようだったが、なるほどなるほど」

 

「ほ、箒!?」

 

「あらあらまあまあ!」

 

 

 箒もセシリアもクラスメイト達もニヤニヤが止まらないと言った様子だったが

 

 キーンコーンカーンコーン

 

 チャイムがなってしまった。奈桜は安堵し、箒とセシリアとクラスメイトは残念そうな表情をした。

 

 

「むう、いつも澄ました顔でいる奈桜がここまで乱れるのは珍しいのだが」

 

「本当に残念ですわ、『色々』お聞きしたかったのに」

 

「……勘弁してください」

 

「ははは、良いじゃないか奈桜、羨ましいぞ!」

 

「「……こいつ」」

 

 

 奈桜と箒は一夏の発言に同時に溜息を吐いた、そしてその理由を知らないセシリアは首を傾げるばかりだった。

 

 

「お前達、何時までそこにいるんだ? 早く自分の席に戻りなさい」

 

 

 織斑先生の登場に4人は「「「「は、はい!」」」」とハモった。セシリアは別れ際に奈桜に「また後で」と良い自分の席に戻っていき、奈桜は聞こえるかわからないが「ああ」と返す。

 そんなやり取りを見ていた織斑先生は

 

 

「奈桜……叶ったようだな」

 

「……うん、叶ったよ、姉さん」

 

「……そうか」

 

 

 ……そこに居たのは教師と生徒では無く姉と弟、一夏をして「千冬姉そんな顔できるのか」と言わしめる程の優しい顔をしていた。

 

 

 ▲▼▲▼▲

 

 

バァンッ!!!!!! 

 

「ガフッ!?!?」

 

「はぁ……」

 

 

 教室に鳴り響く制裁(出席簿)の音、一夏(愚兄)の断末魔。なんでそうなったか、それはあまりにも馬鹿馬鹿しい事が理由だった。

 

 

 

 ────―

 

 

 

 1限目の授業は普通科目であったため難無く進んだ。俺は学校に行ってなかったとは言え、束さんの元で勉強をしていたことで普通に着いていけていた。

 問題は2限目のIS基礎知識の授業であった。山田先生が教え、千冬姉さ……織斑先生はそれを聞いているだけのように見える……。サボってる訳では無いらしいよサボってる訳では……ほら今だってさっき見せてくれた笑顔が霞むレベルの圧を混ぜた視線で睨んでくる……俺だけ睨むのやめてもろて……。

 さて、肝心のIS基礎知識だが……内容に関しては入学前に貰った参考書(クソ分厚い)にあった内容な為、ある程度の事前知識は皆ある感じだろうか、特に問題なく進んでいた。そんな時に山田先生が

 

 

「ここまででわからない所がありますか?」

 

 

 と聞いて

 

 

「ハイ!」

 

 

 と元気よく一夏が手を挙げた。彼は予定では普通科の高校に進学予定だったので俺やクラスメイト達と違いIS関係の勉強期間が短い。少しくらいわからない所があるだろうとは思っていた、少しくらいは……ね。

 

 

「はい、おり……一夏くん、どこがわかりませんか?」

 

 

 織斑双子が2人して同じクラスにいるので名前で分けてくれた山田先生。

 山田先生は優しく聞いている。

 

 

「ハイ! 殆どわかりません!」

 

「……え? あ、えっと……殆ど……ですか?」

 

「ハイ!」

 

 

 非常に不味い空気が流れている気がする。織斑先生の顔が一瞬だけ般若のように見えたが即座にその思考自体を捨てる。今の織斑先生の雰囲気で睨まれたくないですハイ! 

 

 

「入学前に参考書を渡している筈だが?」

 

 

 さっきよりもドスの効いた声の織斑先生、だが一夏若干申し訳無さそうに

 

 

「あー、あの分厚いのですか? それは……古い電話帳とまちが──」

 

 

バァンッ!!!!!! 

 

 

 

 ────―

 

 

 

「……奈桜、お前がいながら何故こうなった?」

 

「……俺は実家には入学三日程前に帰りましたし、マスコミの対応に追われてましたので……正直なところ面倒見る余裕は無かったです」

 

 

 そう、一夏は対応出来ないので俺が主にマスコミの相手をしていた。テレビにも連日放送されていたので織斑先生も知っているようだ。

 

 

「ふむ、確かにな。まあ高校生になろう者が参考書と古い電話帳を間違える訳が無いな」

 

「そうですよー、有り得ませんよー」

 

「うっ……」

 

 

 あははは! と笑う馬鹿の姉と弟(千冬と奈桜)、ものすごーく凹んでる一夏、笑っていいのかダメなのかわからないクラスメイト達と山田先生。

 2人は笑い終わると真剣な表情をしていた。

 

 

「1週間だ奈桜、1週間やろう」

 

「1週間……いえ、2週間ください」

 

「ダメだ、1週間だ」

 

「では間をとって10日間で」

 

「……いいだろう」

 

 

 2人以外はなんの話しをしてるんだと思っていた。急に1週間だの2週間だのと何なんだ? と。すると

 

 

「織斑一夏、後でお前に捨てたものと同じ物をやる。それを奈桜に教えて貰い10日間でその空っぽの頭に詰め込んでおけ」

 

「と、10日間!? 短すぎるよちふ「ヤるんだよ」──は、はひっ!」

 

 

 一夏の講義を遮るように奈桜がドスの効いた低音ボイスで言い放つ。一夏はこの声を出す奈桜には幾ら講義しても無理だと知っていたので早々に抵抗を止め、従うことにしたのだった。

 それ以降は特に問題なく授業が進んで行った。

 

 

 ▲▼▲▼▲

 

 

 午前中の授業が終わり昼休み、セシリアは奈桜の元へ向かった。

 

 

「奈桜さん、お昼ご飯ご一緒してもよろしいでしょうか?」

 

「ん? 勿論だよセシリア、行こうか」

 

「なぁぁおぉぉぉ……!」

 

「……チッ」

 

 

 奈桜は絶対一夏が煩く絡んでくるのがわかっていたのでセシリアとさっさとズラかろうと考えていたが一夏が腕を掴む方が早かった。

 

 

「どぉして10日間なんだぁ!? もっとなが「お前が悪い」──グフゥ」

 

「流石に介護のしようがないぞ一夏」

 

「ほ、箒……」

 

 

 箒も介護する気は無いようだ、しょうが無いね☆

 結局奈桜、セシリア、一夏、箒の4人で食堂に向かい、それぞれ注文を済ませて席に座った。

 

 

「そうだ、オルコット。奈桜のどこに惚れたんだ」

 

「ンッフ!? ……と、突然ですわね」

 

「「確かに気になる」」

 

「お、お2人まで!?」

 

 

 箒が突然セシリアに聞き、セシリアは少しむせてしまうがとりあえずの返答をして難を逃れようとしたが、まさかまさかの一夏と奈桜も気になると言ってしまい逃げ場を塞ぎにかかった。

 

 

「……むしろ奈桜は知らなかったのか?」

 

「両想いだとは別れ際に気付いたけどね、理由まではわからなかったよ」

 

「むしろ両想いってどうやって気付いたんだ……?」

 

「そりゃあ、別れ際にき」

 

「りりりり理由ですわね!? 理由はですね!!」

 

 

 セシリアは奈桜の言葉をさえぎり、赤くなりつつもポツポツと好きになった理由を話していった。

 

 

「切っ掛けは些細な事でしたわ……両親を亡くして悲しみに深けていたわたくしを……ただ慰めてくれたのですわ」

 

 

 セシリアは奈桜が変装してたと言うことを言わずに話していく。

 

 

「ああ、束さんの関係でイギリスに行ってたって言ったけど、もしかして?」

 

「多分その時ですわね、それから数ヶ月の間わたくしに勉強を教えてくださったり遊んでくださったり……慰めてくださったり……カッコよくて優しくて、何よりわたくしを思っての行動をしてくれていた。それでドンドン惹かれていったのですわ」

 

「ほお、良い話じゃないか! じゃあ次は奈桜だな、何処に惚れたんだ?」

 

「秘密とかナシだぜ……って奈桜?」

 

 

 奈桜は腕を枕にテーブルに突っ伏していた。腕と髪で隠れていない耳は真っ赤になっているので恥ずかしくて顔を見せられないのだろう。少し経つと奈桜は顔を上げ、これまたポツポツと喋り出す。

 

 

「俺は……最初はその目に一目惚れした……かな、絶対に家を守ってみせるという決意を秘めた目に……それから話して笑って泣いて、他の人にはぎこちない微笑みだけど俺には色んな表情を見せてくれて……気づいたらって感じかな」

 

 

 セシリアはそれを聞いて真っ赤になって撃沈してしまった。そして周りで聞いていた生徒達はキャーキャー騒ぎ出したがすぐに昼休みは終わり各々教室へ、その後の授業は特に問題なく進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふふっなっくんがああも変わるなんてねー! あのイギリス野郎、少し興味が湧いてきたよ!」

 




次回『天災と黒兎』
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