ポケットモンスター蟲【本編完結】   作:放仮ごdz

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どうも、性懲りも無く新作を出した放仮ごです。今さらになってポケモン剣を購入してハマったので書くことになりました。デンチュラが推しになったので虫パです。

何気にTSという初めての試み。では、楽しんでいただけると幸いです。


第一章:ジムチャレンジの章
VSユニラン


 俺は桂樹月(かつらいつき)。日本人の高校生だった。…そう、だっただ。趣味が蜘蛛やら蠍やら百足やら虫、それも多足類の蟲を集める事だった俺は、不注意から飼っていたシドニージョウゴグモの毒であっけなく死んでしまった…はずだったんだが、何の因果か生まれ変わった。

 

 何故か性別が変わってしまったが些細な問題だ。何故って?子供の頃に出くわしてしまったんだ。小さな黄色い蜘蛛の様な不思議な生き物…今や俺の相棒であるバチュル、そうポケモンに。

 

 ポケットモンスター。縮めてポケモン。前世では多くの人に親しまれた国民的ゲームシリーズだ。つまりゲームの世界に俺は転生してしまったらしい。そして運が悪いことに、俺はブラック&ホワイト…つまり、DSでできる第五世代までしかやってない。ガラル地方って場所なのはわかったが、知らないポケモンがたくさんいることからブラホワ後のバージョンなのだろう。俺のポケモン知識は偏っていて知ってるポケモンの知識も怪しいからスクールとかで苦労した。

 

 そして11歳になった今世の俺は今、ジムチャレンジの開会式に出ていた。理由なんて簡単だ。幼少期から我が故郷であるこのエンジンシティで行われてきた開会式を客として見るたび、ある疑問が湧いたからだ。誰も彼もがチャンピオンとその相棒のリザードンを褒め称えるが──

 

虫ポケモンの方が強いだろ?と。

 

かっこいいだろ、かわいいだろ、最っ高だろ?(いつか日曜朝に見たヒーロー風)

そう親に言ってみたら割と真面目に嘆かれ説教された。解せぬ。

 

 たしかにリザードン、ほのお・ひこうタイプはどちらも虫の天敵だ。だがそれでも虫ポケモンは最高だ。最強なんだ。誰が何と言おうとこれは真理だ。

 

 

 諸君。私は蟲が好きだ。虫ポケモンが好きだ。愛してる。だからこの愛を以て証明する。虫ポケモンはかっこよくてかわいくて美しくて最高で最強なのだと。

 

 虫ポケモンのよさその一。トレーナー歴一年未満の俺でも捕まえやすく、育てやすい。俺はエンジンシティのすぐ側のワイルドエリアでとある一匹のポケモンを捕まえてから開会式に参加していた。ルビーサファイア時代で好んで使っていた、とある虫ポケモンだ。

 

 

 さて、あの胡散臭い印象のローズ委員長の開会宣言が終わり、選手入場となる訳だが。絶対あの人、慈善事業のトップに見せかけたラスボスだろ(偏見)とは思うが、マクロコスモスという会社の社長にしてガラルポケモンリーグを取り仕切る委員長でもあるガラルの顔とも言うべき人だ。昔の試合のビデオを見た時にシュバルゴ持ってたから多分仲良くなれる。

 

 

 スタジアム内に入る俺達の目の前に立ちはだかるは、七人のジムリーダー。くさ、みず、ほのお、かくとう、フェアリー、いわ、ドラゴン。一人足りないがそうそうたる顔ぶれだ。しかし何度でも思うのだ。フェアリーって何ぞや?ピッピってノーマルじゃなかったっけ?……この世に生を受けて長年疑問に思ってることだが気にしてもしょうがない。気張っていこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから数日後。俺は最初のジムに挑む前に立ち寄ったガラル鉱山出口付近で変な奴に絡まれていた。開会式でも見かけた、ウールーみたいな頭をした紫?ピンク?の高そうな服と腕時計を身に着けた小生意気な態度の少年だ。

 

 

「君の持ってるねがいぼしを置いて行けば見逃しますよ?どうします?」

 

「テッカニン。つるぎのまい」

 

「くっ、無視とはいい度胸ですね…ユニラン、ねんりき!」

 

「虫だけに、な」

 

「はい?」

 

 

 ビートと名乗った少年の繰り出したユニランが、俺のワイルドエリアで仲間になったポケモン、テッカニンにねんりきを繰り出してくるが気にしない。もしやビートよ、エリートぶってるがタイプ相性をご存じで無い?

 

 

「その態度、気に入りませんね…さっさと終わらせてくださいよ」

 

「OK。テッカニン、れんぞくぎり」

 

「え?」

 

 

 瞬間、目にも留まらぬ加速をしたテッカニンの一撃がユニランを斬り飛ばしていた。戦闘不能になったユニランを信じられない、といった顔で戻すビート。しかしすぐに気を取り直して不敵に笑んで見せる。

 

 

「…貴方のポケモンにも見せ場くらいあげないとね」

 

「声が震えてるぞー」

 

「っ、なら、僕の相棒がお相手しましょう!ミブリム!」

 

「れんぞくぎり」

 

 

 出て来た次のポケモンも、三段階加速し、二段階攻撃力を上げたテッカニンの餌食になる。こうなったテッカニンは誰にも止められない。それを俺は、よく知っている。

 

 

「くっ…ゴチム!」

 

「れんぞくぎり」

 

 

 なにもさせることなく、さらに威力が上がった斬撃が炸裂し、ビートのポケモンは全滅した。目の前が真っ暗になった様で立ち尽くすビート。

 

 

「…あー、えっと…入り口に親切なお姉さんがいたから回復してもらうといいぞ」

 

「な、なるほどいいんじゃないですか?こ、こちらも本気ではあ、ありませんし?」

 

「まあ、でも気持ちは分かるよ。好きなタイプを極めたくなるよな、わかるわかる。俺にとってはそれが虫で、ビートにとってはエスパーだったってだけだ。相性が悪かった」

 

「…そうですね。僕が負けた訳ではありません、相性の差で負けたんです!」

 

「好きなら相性の差ぐらい覆さないとだけどな」

 

「ぐっ!?」

 

 

 言ってやるとショックを受けてへこむビート。わかりやすい奴だな。今作?に当たるであろうシリーズのライバル枠だろうか?

 

 

「じゃ、俺は行くぞ」

 

「待ってください。貴方の名は?」

 

「あー、俺か?俺の名は…」

 

 

 去り際に問いかけて来たので立ちどまりつつ、頭の上にバチュルを、傍らにテッカニンを侍らせて振り返る。外から光と風がいい感じに舞い込んで、めんどくさくて伸ばしている髪が帽子から出てふわりと浮いたが、それよりも影に映るテッカニンの羽ばたきの方が綺麗だった。

 

 

「虫タイプ使いのラウラだ。じゃあまた会えたらバトルしよう、ビート」

 

「お、女…!?」

 

 

 今更なことに驚愕しているビートを置いて、俺はターフタウンへと向かうのだった。




・ラウラ
元は桂樹月(かつらいつき)という名の男子高校生で転生者。BWまでしかプレイ経験がなく、フェアリータイプの存在も知らなかった。一番好きなポケモンはデンチュラ。
めんどくさいからという理由で伸ばした肩までかかる赤い髪を帽子に隠してボーイッシュな服装を取る少女。クラスで四番目くらいの美人だが自身に興味がなく、虫ポケモン、特に最初の相棒であるバチュルに愛情を捧げている。一人称は「俺」。かしこまる時は「私」。名前は月桂樹とそのラテン語から。


・テッカニン♀
とくせい:かそく
わざ:つるぎのまい
   バトンタッチ
   れんぞくぎり
   かげぶんしん
もちもの:ひかりのこな
備考:せっかちな性格。暴れるのが好き。テッカニンの状態で捕まえたためヌケニンはいない。ラウラのパーティーの先方にしてサポーター。とにかく積んでとにかく避ける。

・ビート
ポケモン剣盾のライバルの一人。ガラル鉱山で主人公の前に立ち塞がる前にラウラに遭遇。自慢のポケモンたちが一撃でやられて意気消沈。ラウラのことは男だと思っていた。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

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