今回はジムチャレンジ開会式と、プラズマ団の現状。楽しんでいただけると幸いです。
あれから二ヶ月。ついにこの日がやってきた。ジムチャレンジの幕開けだ。
「レディース アンド ジェントルマン!俺はポケモンリーグ委員長のダンデだ!この場に集まったみんなも、テレビで見ているみんなも、本当に待たせたな!いよいよガラル地方の祭典、ジムチャレンジの始まりだぜ!」
ビシッとコートのど真ん中でリザードンポーズを決めながらそう宣言するダンデさん。サービスなのかチャンピオン時代のユニフォーム姿だ。相変わらずの大人気だ。
「まずは巷で噂の事件が起きながらジムチャレンジを開催したことへの説明をさせて欲しい!ここ最近、プラズマ団と名乗る集団が救済と称してトレーナーからポケモンを奪う行為が横行している」
プラズマ団…!思わず顔が険しくなる。周りのジムチャレンジャーはジムチャレンジが中止になるんじゃないかとざわめいていた。
「ともすれば、それはジムチャレンジ開催の障害となる案件だろう。だが安心してほしい。我々はそんな集団に屈しない!ジムチャレンジ開催期間中、各所にマイナーリーグのジムリーダーを警備に配置する事とする。メジャーリーグのジムリーダーが動けない分、充分な実力を持つも惜しく今回のジムチャレンジの壁となりえなかった彼らが君たちの身の安全を保証しよう!」
その言葉に歓声が上がる。たしかに、それなら心配はないだろう。…私としては、襲撃してほしい、が本音だから少し複雑ではあるが。
「それでは本題だ!ジムチャレンジ!8人のジムリーダーに打ち勝ち、8個のジムバッジを集めた凄いポケモントレーナーだけが、最強のチャンピオンが待つチャンピオンカップに進めるんだぜ!それではジムリーダーのみんな!姿を見せてくれ!」
そう言ってダンデさんが入り口に手を向けると、続々と出てくる今期のメジャージムリーダーたちに歓声が上がる。キバナさんを中心に、並び立つ彼らは年若い者達が多い。女性五人男性三人とだいぶ偏っているが、間違いなく今期で最も強いジムリーダーたちだ。
「インセクト・クイーン!蟲ポケモンの使い手、ラウラ!」
何か吹っ切れた様な表情で歩くラウラさん。ジムリーダーたちの中で一番小さいけれどその堂々たる足取りはまさに女王だ。
「レイジング ウェイブ!みずタイプ使いのルリナ! いつまでも燃える男!ほのおのベテランファイター、カブ!」
モデルらしくロングヘアーを靡かせるルリナさんと、最年長らしくしっかりとした足取りで歩くカブさん。
「スパイクタウンのアイドル!あくタイプのマリィ!」
若干引きつりながらも綺麗な笑顔を見せるマリィさん。ジムチャレンジャー時代の仏頂面が嘘の様である。
「大空に羽ばたく大天使!ひこうタイプの申し子、ムツキ!」
ひこうタイプのユニフォームの上から羽織ったロングコートをはためかせながら優雅に立ち振る舞うムツキさん。病弱とは思えない軽やかな足取りだ。
「猪突猛進イナズマガール!でんきが痺れるモコウ!」
かっこつけようとしていたが途中で慣れない動きだったのか転倒し、逆に声援が上がって不服そうに立ち上がるモコウさん。ドジっ子は健在だ。
「ピンクの伝道者!フェアリータイプのビート! ドラゴンストーム!トップジムリーダー キバナ!」」
エリート然とすました顔で歩くビートさんと、不敵に笑みながら堂々と中央を歩くキバナさん。私が乗り越えるべき、ジムリーダーたちだ。
「ガラル地方が誇るジムリーダーたちだ!選手入場!ジムチャレンジャーたちよ、心して挑むんだぜ!」
その声と共にスタジアム内に足を踏み入れる私達ジムチャレンジャー。ふと、前を向くとラウラさんと目が合った。何を思うことなく、頷く。推薦状を渡してくれた恩は、バトルで返します。すると、ジムリーダーたちの背後から長髪の少女がマントを靡かせて現れる。キバナさんよりその風格はまるで王者の様だ。
「ジムリーダー8人を倒し、彼女…チャンピオン・ユウリに辿り着く者を俺は期待しているぜ!」
ダンデさんの台詞に歓声が上がり、不敵に笑うチャンピオン・ユウリを睨みつける。さいみんじゅつなんかに頼ることなく、彼女を倒して見せる!
同時刻。ガラル近海。ヨロイ島とは反対方向の海に浮かぶ黒い船…否、巨大旗艦。ステルスで外からは見えない様になっているその船の最深部。妙に凍てつく部屋で、モニターでテレビ放送のジムチャレンジ開催を見ていた玉座に座っていた人物が口を開いた。
「シュバルツ。ヴァイス。いるか?」
「ハッ、ここに」
「いますよォ、ボス」
その声と共に現れるのは、ガッシリとした体格に黒づくめの戦闘服…黒いプラズマ団の服装と軍帽を身に纏った黒髪で鋭い目つきの男と、対照的に華奢な体格に白づくめの修道服の様な物…フードを取っ払った白いプラズマ団の服装で白髪を腰までかかるロングヘアーにしているたれ目の美少女。ダフネから蟲ポケモンを奪った張本人であるシュバルツと、もう一人の幹部ヴァイスである。
「お前たち、今の放送を見ていたか?」
「はっ。リーグ委員会も面倒なことをしてくれましたが、我等なら問題ありません。救済は滞りなく行います。メジャークラスならいざ知らず、マイナークラスなら相手にもなりません」
「いい子ちゃんだねシュバルツは。救済なんてどうでもいい!アタシさえ楽しめればそれでね!まあ仕事はしますよォ、アタシを暴れさせてくれるならね」
「貴様!グレイ様への態度がなってないぞ!小娘め!」
怒りと共にシュバルツが繰り出したゴルバットの鋭い翼の先端が付きつけられるも、ヴァイスは気にすることなくグイッと押しのけ笑った。
「アタシとグレイ様はそう言う契約なんだ。あんたこそ、ゲーチスやアクロマに不満があった人間だろうが」
「そうだ。だからこそ、真のポケモン救済を望むグレイ様へと忠誠を誓っている!N様のことは尊敬しているが、我らを見捨てて逃げてしまわれた!ゲーチスやアクロマは救済など考えてもおらん!だからこそ真の救済を望むグレイ様を主としているのだ!お前はそうではないのか!」
「アタシは暴れ足りないんだよォ。ゲーチスもアクロマも必要以上に暴れさせてはくれなかったから、ストレスでこんな白髪になってしまった。そんなアタシを拾って暴れることができるこの新生プラズマ団の幹部にしてくれたグレイ様には忠誠を誓ってるけど、救済なんかはどうでもいいね」
「なにを!」
「なにさ!」
「そこまでだ。メタグロス」
バチバチと火花を散らす幹部二人に、グレイと呼ばれた人物が側に控えさせた色違いのメタグロスから放たれるサイコキネシスで押さえつけた。溜まらず喧嘩を止めて片膝をつく両者。
「申し訳ありません、グレイ様」
「すみませんでしたー」
「お前たちはどちらも私の大事な部下だ。そう争うな」
「「御意」」
サイコキネシスなしで片膝を下ろして控える二人に満足したのか、グレイは本題に入った。
「ヴァイス。君は適当な場所で暴れてくれるだけでいい。ジムリーダーが居ようが君なら問題あるまい?」
「暴れていいんですね!?やった!」
「シュバルツはヴァイスが暴れている間にモコウ、ムツキ、ラウラから例のポケモン達を救済してこい。あれらは我ら新生プラズマ団にこそ必要なポケモン達だ。特にモコウからは確実に救済しろ。いいな?」
「御意」
「我等の悲願が達成される時まであと少しだ……心してかかれ」
「「ハッ!」」
敬礼してその場を去る二人を見送り、グレイは天を仰いだ。天窓から降り注ぐ光を見ながら笑い出す。
「フフフッ、ハハハハ…もう少しだ、もう少しで私が王となる…!」
その背後には、凍てついた灰色の体を持つ竜が静かに鎮座していた。
VSメタグロス(戦うとは言ってない)
・ダフネ
ユウリと真っ向から戦うことを決意する主人公。もうさいみんじゅつなんかに頼らない。
・ダンデ
ポケモンリーグ委員長として頑張っているバトルタワーオーナー。相変わらずのファンサービスで今でも人気が高い。
・ラウラ
プラズマ団に狙われているらしいインセクト・クイーン。ジムリーダーの中では一番小さい。
・ルリナ
髪が伸びてさらに美人になったレイジング ウェイブ。キバナとの関係が噂されている。
・カブ
ちょっと白髪が増えたいつまでも燃える男。ラウラと共に歩けて感無量だったり。
・マリィ
ちょっと不服そうなスパイクタウンのアイドル。少しぎこちないが笑えるようになった。
・ムツキ
外面だけ優雅な大空に羽ばたく大天使。体を冷やさないためロングコートを着用している。
・モコウ
ライトニング・アルバトロスは却下された猪突猛進イナズマガール。相変わらずのドジっ子。ジムリーダーではキバナの次に人気。
・ビート
ピンクの伝道者。若干不服だけどそれを見せない。ジムリーダーの中で2番目の実力者。
・キバナ
相変わらずトップジムリーダーで居続けているドラゴンストーム。
・ユウリ
長髪をなびかせマント姿のチャンピオンとしての出で立ち。まさに王者。
・グレイ
新生プラズマ団のリーダー。相棒はメタグロス。王になるのが目的…?
・シュバルツ
白ズマ団出身のグレイの腹心。Nを尊敬していたが自分たちを見捨てたと見限った。ゲーチスやアクロマのやり方じゃポケモン救済は無理だと感じてグレイに着いた。ヴァイスとは対照的な犬猿の仲。
・ヴァイス
今回初登場の黒ズマ団出身のグレイの腹心。救済はどうでもよく、ただ暴れたいだけ。ゲーチスやアクロマでは必要以上に暴れさせてくれないためストレスで髪が白くなり、グレイに着いた。シュバルツとは対照的な犬猿の仲。
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