今回はプラズマ団再来。強くなったダフネは対抗できるのか。楽しんでいただけると幸いです。
「むしバッジを手に入れたなら次に目指すのはバウタウンのルリナだ。心してかかれよ。……ところで、ここのところ初見で状態異常の対策してくる人間多いんだが何か知ってるか?」
「あ~……彼女さんに聞けばいいんじゃないかと思います」
そう言うと困った顔になるラウラさん。あんなに自由な彼女を持つと大変なのだろう。
「ユウリか…なにやってるんだあのチャンピオン。まあいいや、気を付けろよ。…こいつは極秘だが、この先の5番道路を守っていたジムリーダーのサイトウがプラズマ団と思われる女に襲われて負傷したらしい。今は警察が出張って警備を固めているが、気を付けるんだぞ」
「っ…はい」
そんな情報を聞きつつラウラさんに見送られ外に出る。……いる、プラズマ団が、すぐそこに。
「…あ、ちょっといいか?頼みたいことがある」
どこかに電話を掛けるラウラさんは気にせず、私は5番道路を目指して走り出した。
5番道路は基本的に一本道だが、大きな脇道がある。キャンプにも最適な場所で、ちょっとした憩いの場にもなってる場所だ。そして……
「ポケモンを解放するか痛い目を見るか。どっちがいいんだ?ええ?」
「か、解放、します…!だから放して…」
少年トレーナーが、側にアブソルを控えさせたプラズマ団と思われる女性に首根っこを掴まれて持ち上げられている光景に出くわし、慌てて草陰に隠れる。やっぱりだ、近くに警察の人が数人とガーディが倒れているところから見て、ジムリーダーがいなくなって警備が薄くなったところを狙ったのだろう。卑劣なプラズマ団らしい。なんにしても、止めねば!
「アブリー、マジカルシャイン!」
「アブソル、みきり!…気付いてないとでも思ったかい?」
不意打ちで繰り出したアブリーの背後からのマジカルシャインを、見もせずに防いでみせるアブソル。少年トレーナーを投げ捨て、こちらに振り返ったのは白髪を腰まで届く長さに伸ばしてシュバルツとは正反対の白装束に身を包んだ少女だった。こんな、私と同じくらいの少女がプラズマ団…!?
「なに驚いてるのさ。こんな年端もいかない餓鬼が悪党やってるのが信じられないって?失礼しちゃうねえ!」
私がアブソルに警戒する中、少女は白装束をはためかせて自分を指差し凶悪な笑みを浮かべた。
「アタシは新生プラズマ団幹部、ヴァイス!お前のポケモンも置いて逝きなあ!」
「幹部だというのなら話は早い。私のポケモンを返しなさい、プラズマ団!ヘラクロス!」
アブリーをボールに戻し、代わりにヘラクロスを繰り出す。アブソル、カンムリ雪原に生息するあくタイプのポケモンだ。むし・フェアリーのアブリーでもいいけど、本気で行かなきゃ勝てない、そう思った。
「はっ!アンタなんかのポケモンなんざ知らないね!エアスラッシュ!」
「メガホーン!」
メガホーンでなんとか風の刃を弾くが、四倍ダメージのそれだ。不味い。一気に決める…!
「メガシンカ…!」
「…はは、ハハハハハハッ!」
メガシンカしてメガヘラクロスにすると、ニタニタと笑い始めるヴァイス。萌え袖になっている左袖をめくると屈んで左足に手をかざした。そこには見覚えのある虹色の石がはめ込まれたアンクレットがあった。まさか、キーストーン!?
「グレイ様、グレイ様グレイ様あ!ジムリーダーもジムチャレンジャーも雑魚ばかりでつまらない、と思ってたらこれですよ!ガラルでメガシンカの使い手に出会うとは!」
「な、なんですか…?」
大笑いするヴァイスに、妙な恐怖を怯えてしまい後ずさる。堅実なシュバルツとは違う、妙な恐ろしさがこいつにはある。
「アブソル、メガシンカァ!」
キーストーンがはめられたアンクレット…メガアンクレットが光り輝いてアブソルの胸元の輝きと繋がり、アブソルは光に包まれると全身の毛が片目が隠れる程に伸びて逆立ち翼が生えた様な見た目となって尻尾や角も伸びたメガアブソルに変貌して咆哮を上げた。
「アタシはね!カロスじゃちょっとは名の売れたトレーナーだったんだ。でもね、相手のポケモンを死なせてしまって追放されてプラズマ団入りさ!弱い奴がポケモンを使うから悪いんだ。だったら解放させてやるのが優しさってね!」
「そんな身勝手な理由でポケモン解放を謳うのですか!許しません!ミサイルばり!」
「みきってエアスラッシュだよ!」
両腕にミサイルばりをセット。高速で連続射出するメガヘラクロス。しかしヴァイスを背に乗せたメガアブソルは地を蹴ってミサイルばりを見切って回避、風の刃を飛ばしてくる。
「メガホーン!」
「隙あり!ふいうち、エアスラッシュ!」
メガホーンで風の刃を弾くも、ヴァイスを下ろしたメガアブソルのふいうちによるしっぽがメガヘラクロスの背中を打ち、体勢が崩れたところにエアスラッシュが叩き込まれる。不味い、あと一発でももらえば終わる…!
「ならば…インファイト!」
あと一発喰らえば終わりならば防御は捨てる。渾身の猛打がメガアブソルに炸裂、殴り飛ばす。すると天気ががらりと変わり、吹雪いてくる。こんな時に…!ただでさえ素早いのに、メガアブソルの姿が見えにくくなる。不味い、完全に吹雪になる前にとどめを刺さなければ。
「ミサイルばり!」
「みきり!」
追い打ちのミサイルばりは見切られて防がれる。駄目だ、あの技がある限り決定打を与えられない。…待て、なんで吹雪いてくる?今は春だ、陽気も暖かいのになんで…まさか!?
「前にばかり集中していていいのかい?ツンベアー、きりさくだよ!」
「っ!グソクムシャ!」
吹雪に隠れて私の背後にいつの間にか佇んでいた、ツンベアーが氷柱を爪に付けた腕を振り下ろしてきたので、咄嗟にグソクムシャを出して応戦。ギリギリ気付けた。一対一なんて正々堂々戦う相手じゃなかった、油断した。恐らくこの吹雪はツンベアーのあられだ。
「であいがしら!」
渾身の一撃がツンベアーのどてっぱらに炸裂、殴り飛ばす。その間にメガアブソルのエアスラッシュを自主的にメガホーンで弾くメガヘラクロス。駄目だ、指示が追い付かない。元実力者のトレーナーと言うのは嘘ではないらしい。二体を同時に操ってくる、それだけで私は追い詰められる。不味い…!
「これで終わりさあ!アブソル、エアスラッシュ!ツンベアー、ゆきなだれ!」
ツンベアーのゆきなだれで動きが止まったところに、メガヘラクロスに襲いかかるエアスラッシュ。グソクムシャが間に立ちはだかって受け止めたことでメガヘラクロスは無事だが、ききかいひでグソクムシャがボールに戻ってしまう。次のポケモンを出している暇はない。メガヘラクロスは動けない、まずい…!?
「ヒートスタンプ!」
次の瞬間、少女の声と共に膨大な熱量を持った何かが落ちてきて、雪雪崩による大量の雪が蒸発すると同時に、メガアブソルとツンベアーが吹き飛ばされる。落ちてきたのは、セキタンザン。上の道を見上げると、そこには黒いジャケット姿でサングラスに帽子で顔を隠した人物がいた。
「貴女は…!」
「なんだあ?邪魔するなよ、こんな楽しいことをさあ!なみのり!」
「なっ!?」
メガヘラクロスと共に流される勢いの巨大な波が5番道路の下道に広がる。しかしその前にボールにセキタンザンを戻した上の人…ユウリさんは、飛び降りると同時に次のポケモン…フシギバナを真下に繰り出し、その左手の薬指につけたキーストーンがはめ込まれた指輪、メガリングを輝かせた。
「メガシンカ…!」
頭部と尻尾に新たな花が咲いて背中の花は巨大化してヤシの木の様に、足腰がさらに頑強になった姿に変貌したメガフシギバナの頭部に飛び乗るユウリさん。続けて蔦を伸ばして警察とそのポケモン達を持ち上げて波から退避させた。すると波風で帽子が取れて、同時にサングラスも外したその顔に笑みを引きつらせるヴァイス。
「その子、私の大事な人の目にかけてるトレーナーなんだよね。こんなところで潰されちゃたまらないなあ」
「その顔、まさかチャンピオン…?こんなところになんでいるのさ!」
「休暇中ですが何か?ハードプラント!」
「マジか!?」
さらにきゅうきょくわざを行使するユウリさん。メガアブソルとツンベアーはあっという間に巨大な蔦に捕縛されるも、ヴァイスは繰り出したトゲキッスで空に舞い上がって逃げ出していた。あいつ…!
「ちい!ここまでだ!そこの女ァ!今度会ったらねじ伏せてポケモン解放してやるからな!覚えてやがれ!」
「逃がすか、ムゲンダイナ!」
そう吐き捨てて手にしたボールにアブソルとツンベアーを戻して回収し、飛び去って行くヴァイスと、それをムゲンダイナに乗って追いかけて行くユウリさん。私はそのまま、立ち尽くすしかなかった。
他の地方からも結構プラズマ団になった人多そうってイメージから生まれたキャラ、ヴァイス。
・ダフネ
メガシンカを得て強くなったと思ったらプラズマ団もメガシンカを有していて勝てるのか分からなくなった主人公。ユウリの助けが無かったら結構危なかった。
・ラウラ
ダフネに情報を与えた物の絶対やらかすと確信してユウリに救援を頼んでおいた元主人公。情報の出し方が下手。
・ユウリ
ラウラに連絡もらって急ごうとしたけど、ファンに見つかってファンサしていたら遅れて到着したチャンピオン。メガシンカを手に入れてさらに圧倒的に。ちなみに指輪型なのは本人のリクエストで…?
・ヴァイス
新生プラズマ団の幹部の一人。名前の由来はドイツ語で「白色」。元カロスのエリートトレーナーでメガアンクレットを持つメガシンカの使い手だが、やりすぎて相手のポケモンを死なせてしまい追放されたところをプラズマ団に入った。弱い人間がポケモンを使うのは間違っているという考えでポケモン解放を謳うゲーチスタイプの人間。チャンピオンに挑むほど無謀じゃない。手持ちはアブソル、ツンベアー、トゲキッスと白一色。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。