ヴァイスを追いかけて行ったユウリさんを見送り、5番道路を歩いて進む。
「…まだ、私じゃプラズマ団に勝てない…」
シュバルツにヴァイスと、幹部が続いたのもあるが、メガシンカしても通用しなかった。まさかプラズマ団までメガシンカを有しているとは……もっと強くなる必要がある。そのためにはやはり、ジムを踏破しなければ。
「…タネマシンガンの技マシン、ありましたよね…?」
ワイルドエリアを一望できる巨大な橋をバッグの中を漁りながらとぼとぼ歩く。トレーナーに勝負を挑まれることもなく、普通に橋を渡りきって、バウタウンに入る。我が故郷、バウタウン。ガラルの中東部に位置する市場やレストランに多くの 人が集まる港町。町の岬には、かつてガラルが災厄に見舞われた際に2匹のストリンダーによって守られたと言い伝えられている灯台があることでも有名だ。
「兄さんには…会わないでいいか」
またプラズマ団と出会ったと言えば小言を言われそうだ。やめとこう。そう思ってバウスタジアムに足を進める。二年前からずっとメジャージムリーダーの座を死守している、このバウタウン出身のジムリーダー、ルリナ。私は彼女の使うグソクムシャと兄のグソクムシャを幼心に見て育った。ある意味、ラウラさんにとってのカブさんの様な存在だ。だから、負けられない。
夜にキャンプしてそのまま街へ入ったので、今回は一番乗りらしい。二年前と変わってないらしい水仕掛けを解き、新たにタネマシンガンを覚えさせたヘラクロスでジムトレーナーを蹴散らしながらジムミッションを突破。青いメッシュの入った黒髪をロングヘアーにしたルリナさんと向かい合った。インタビューによるとイッシュのカミツレというジムリーダーに影響されたらしい。
『本日のバウスタジアム第一の挑戦者は、背番号064!かつてのラウラを思わせるむしつかい、ダフネ選手!対するはジムリーダー、ルリナ!3VS3のシングルバトルです!』
「朝早くからよくぞいらっしゃいました!貴女、このバウタウン出身ね?何度か見た覚えがあるわ。同じ町の出身で、あの控えめに言っても難しいジムミッションを突破する冴えた頭脳の持ち主…相手にとって不足はないわ。冴えた頭脳でどんな作戦を繰りだそうとも、私と自慢のパートナーが全て流し去ってあげるから!」
▽ジムリーダーの ルリナが 勝負を しかけてきた!
左足を頭上まで上げて大きく腕を振り抜いて豪快に投げられたダイブボールから飛び出したのは、トサキント。私はヘラクロスだ。一気に決める…!
「メガシンカ…!」
「まさか、まだジムリーダーでも数人しか使ってないメガシンカを使うジムチャレンジャーがいるなんて!でも関係ないわ、押し流します!みずのはどう!」
「ヘラクロス、タネマシンガンです!」
放たれた水の塊を、タネマシンガンで撃ち抜いてトサキントに攻撃を炸裂させた。…そう、確信していたのに。トサキントは無傷だった。
「うずしお。その程度の勢いじゃ私のポケモンの勢いは押し流せない!」
「っ…ならばさらに重たい一撃ならどうでしょう!ロックブラスト!」
「つのでつく!」
相性は悪いが、水の勢いにも負けない重い連射を叩き込むも角で的確に破壊される。そんな…!?
「貴女と私、相性は最悪だったようね!みずのはどう!」
「メガホーンで叩き斬って近づきなさい!」
「なっ!?」
斬。水の塊を文字通り真っ二つにして、突撃するメガヘラクロス。近づいたらこっちものだ!
「メガホーン!」
「こうそくいどうからのつのでつく!」
双方自慢の角と角が激突。どっしり構えた一撃と、高速で加速しての一撃で衝撃波が発生し、周囲に散乱した水が跳ねる。勝者はヘラクロスだった。
「さすがはメガシンカ…しかし、その力を持て余している様ね」
「ッ」
「図星かしら。それでは私達には敵わないわよ!チョンチー!」
続けて繰り出されたのはチョンチー。みず・でんきタイプだ。でんきタイプ対策なのだろう、だがこちらの唯一有利を取れる技であるタネマシンガンは草技。関係ない。
「タネマシンガン!」
「うずしお」
タネマシンガンをうずしおを盾にされ受け止められる。駄目だ、完全に対策されている。例えはっぱカッターでもあのうずしおの前では意味がないだろう。でんき・むしのクワガノンがいれば…いいや、今はいないんだ。取り返すためにも、今のメンバーで突破しなければ。
「来ないならこっちから行くわよ!スパーク!」
「上に向けてロックブラスト!」
電撃を纏った体当たり。恐らく麻痺狙い。ならばと避けることはやめて上空にロックブラストを放つ。
「一体何を…?エレキボール!」
「メガホーン!」
放たれたエレキボールをメガホーンで打ち消す中、訝しむルリナさんだったが、それに気付くとハッと目を見開いた。
「バブルこうせんで上に迎撃!」
「大きく後退してタネマシンガン!」
上に向けて放たれ、落下速度で威力が上がったロックブラストは侮れない。迎撃のために上方に向けてバブルこうせんを放つ隙だらけのそこに、渾身の高速度タネマシンガンが炸裂。ダダダダダッ!と全身打ちのめされたチョンチーはダウンし、さらに迎撃し損ねたロックブラストまで喰らって完全に戦闘不能となった。よし!
「メガシンカとはいえ私をここまで追い込むなんて…でもね。最後の一匹じゃないの、隠し玉のポケモンなのよ!カジリガメ!」
そして繰り出されたのはルリナさんの相棒、カジリガメ。ダイマックスか…ラウラさんの時もそうだったが、ダイマックスしたらメガヘラクロスの利点である特性のスキルリンクが本領発揮できないためダイマックスはできない。このままで行く。
「スタジアムを海に変えましょう!カジリガメ、キョダイマックスなさい!」
「ヘラクロス、ここが踏ん張りどころです!」
相対するメガヘラクロスとキョダイカジリガメ。昔に兄さんと見た、ポケウッド制作の巨大OLの話を思い出す構図だ。勝負!
「跳躍して、タネマシンガン!」
「首を伸ばして捕まえなさい!」
「なっ!?」
空中に飛び出し、翅を羽ばたかせて滞空してタネマシンガンを繰り出すメガヘラクロスだったが、カジリガメは巨大な前足でタネマシンガンを受け止めると首を伸ばして攻撃してきて。技でもなんでもないそれに驚いているうちにメガヘラクロスはその巨大な口で噛み付かれてしまう。キョダイマックスによる体の変化を利用した攻撃、確か二年前ラウラさんもサイトウ戦でそんなことをしていたような…あの人の影響!?そんな攻撃してくるなんて…!
「ヘラクロス!?」
「噛み砕けないか…そのまま叩きつけなさい!」
四肢に力を入れて踏ん張るメガヘラクロスがお気に召さなかったのか、叩きつけるように指示するルリナさんに応えてメガヘラクロスをフィールドに叩きつけるキョダイカジリガメ。メガヘラクロスは満身創痍で倒れ伏す。まだだ、まだ終わってない!
「私達からの贈り物、全身で受け止めてよ!キョダイガンジン!」
「っ…ヘラクロス、立って!インファイト!」
放たれる尖った岩を伴った水流の一撃が降り注ぐ中、フィールドを駆けるメガヘラクロス。翅を広げ後ろに向けた両腕から蒸気を放出して加速したメガヘラクロスはキョダイカジリガメの懐に飛び込み、甲羅の腹部に蒸気を噴出して加速した己が拳と角を大きく振り上げた。
ドゴンッ!
その勢いと衝撃に、爆音と共にキョダイカジリガメの巨体が浮かぶ。今だ!
「タネマシンガン!」
ドドドドドッ!と凄まじい勢いで無防備な腹部に放たれるタネマシンガン。キョダイカジリガメはその猛攻に引っくり返り、崩れ落ちて縮んで行った。
「なっ…!なんたることっ!!自慢の最強メンバーなのにまとめて凄まじい勢いで押し流されちゃった!」
髪を掻き毟って本気で悔しがるルリナさんに、勝てたんだと実感し。元の姿に戻ったヘラクロスと拳を合わせてグータッチした。
ポケスペオマージュ首が伸びるカジリガメ。
・ダフネ
メガシンカを使ったとはいえ三タテを成し遂げた主人公。結構大苦戦だったが自信を取り戻すことはできた。わざマシンで技を調整するタイプ。
・ルリナ
二年間で手持ちを少し変えたジムリーダー。でんきタイプ対策にチョンチーを入れた他、キョダイマックスできるカジリガメをジム戦用に育て直した。カミツレリスペクトで髪を伸ばしている。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。