今回はVSカブ戦。楽しんでいただけると幸いです。
「ところでダフネ。旅に同行していい?」
共にキャンプし、カレーを作ってポケモン達を回復させていたところ、ジュリさんがそう提案してきて首を傾げる。
「え?私の旅ですか?」
「さっきの叫び、プラズマ団にポケモンを奪われたんでしょ?無茶しそうだからついていこうかなって。仲間は多いにこしたことはないんじゃない?」
「ジュリさん……危険、ですよ?」
「友達を見捨てられる人間じゃないんだよね、私」
そう笑うジュリさんとラウラさんの顔が重なる。ううむ、底なしにいい人だ。…私が過去にしでかしたことを知ったらどう思うんだろう。貴女が兄と慕う人にさいみんじゅつをかけたり殺しかけました、なんて言えるはずもない。
「どうしたの?」
「い、いえ…助かります。いつも道端のトレーナーと戦って鍛える訳にも行きませんから」
「私もまだこっちのバトルに慣れてないから練習に付き合ってくれると嬉しいな」
「? 他の地方だとバトルも違うんですか?」
「う、うん。ソウダヨ?」
明らかに目が泳いでいるがあまり踏み込まないでおこう。誰しも人に言えない秘密を抱えているものだ。
「とりあえずエンジンシティに行こうか。多分今のダフネなら勝てるよ」
「勝てますかね…?不安なんですが」
「カブさんはおにびとか搦め手も使うから、私に勝てたなら行けるよ、きっと」
「メインのグソクムシャがあっという間にやられたのであまり自信がないです」
「それについてはごめんなさい」
ほとんど何もできずに倒されたグソクムシャ。相性はそうでもない相手にああなのだ、不安でしかない。蟲はどんなに工夫しても蟲だ、打たれ弱いのは変わらない。それをどうにかしなければ。兄さんはてっぺきを覚えさせることで耐久力を向上していたけど、私はやられる前に状態異常にするか一気に倒すスタイルだ。逆に一撃で倒されたら元も子もない。
「いやさ、グソクムシャでどうにかする気満々だけどさ」
「はい、なんでしょう?」
「カブさんって切札にマルヤクデ使うから、ロックブラスト覚えているヘラクロスで押し切れるんじゃないかな?それにやけどだってヘラクロスの特性で…」
「……そうだ、ヘラクロスの特性って…」
ポケモン図鑑を見る。……あ、これなら行けるかも。
「この作戦でやってみます!」
「うん、その意気だ。頑張ろう。…私はどうしようかなあ」
「プルリルとゴビットで押し切れるのでは」
「プルリルは打たれ弱いしゴビットは物理メインだからやけどが痛いんだよね。のろいも交換されたら意味がないし」
「…なんで自爆覚悟のパーティーなんです?」
「ミミッキュが強いから問題ないかなって」
「それミミッキュが倒されたら終わる奴じゃないですか…」
そうやってキャンプの中で議論を交わしながら、夜は更けて行った。
エンジンスタジアムのロビーでジュリさんと別れ、ジムミッションに挑む。ほのおタイプのポケモンを状態異常を駆使して捕らえ、あっさりジムミッションをクリア。共にチャレンジャーの出入り口から歩いてきたカブさんと向かい合う。
『続きましてのエンジンスタジアム挑戦者は、背番号064!メガシンカ使いにして蟲使いダフネ選手!対するはジムリーダー、カブ!3VS3のシングルバトルです!』
「君は蟲使いだそうだね。勝つために君達はいつもトレーニングしているだろう!だが戦う相手も同じように努力している!勝負の分かれ目は本番でどれだけ実力を出せるかどうかだってことを教えてあげよう!」
「私はもう、努力のやり方を間違えない!」
▽ジムリーダーの カブが 勝負を しかけてきた!
「行って来い、コータス!」
「お願い、イオルブ!」
カブさんが繰り出したのはコータス。私はイオルブ。ひでりによる日光がフィールドを照らし蒸し暑くなる。ちょっとガチすぎませんかね!?
「おにび!」
「そうして、来ますよね!交代、ヘラクロス!」
やけどにするおにびを放って来たのでイオルブに指示することなく交代。やけどを負うヘラクロス。本来なら持続ダメージと共に攻撃力が下がるが、ヘラクロスはそうではない。
「こんじょうか…むしつかいはやけどを無力化するのが得意だね」
「お褒めに預かり光栄です。ロックブラスト!」
こんじょうで攻撃力が上がり、ロックブラストを放つ。しかしそこはジムリーダー。一筋縄ではいかなかった。
「こうそくスピン!」
「なっ!?」
手足と頭部を引っ込め、甲羅を回転させてロックブラストを弾き飛ばしてきたことに驚愕する。そんな…!?
「ならば、メガシンカ!」
「メガシンカか…ガラルでは使い手も少ない、強力な力だ。でもどうやらその体は熱がこもりやすいようだね」
「ヘラクロス…?」
カブさんの言うとおりだった。こんじょう消えることを考慮した上でのメガシンカだったが、熱が籠ったのかしきりに全身から蒸気を噴出させるメガヘラクロス。ここのところ酷使していたせいか、限界が近い…?
「そ、その前に!ロックブラスト!」
「かえんほうしゃとふんえんだ!」
その瞬間、コータスの頭部の穴から炎が吐かれ、さらには甲羅の頂点から噴火の如く炎を放出しながら回転するコータス。その姿はまるで火の独楽。ロックブラストすら寄せ付けず、そのまま突進してきた。まずい!?
「交代、イオルブ!サイコキネシス!」
交代すると同時にコータスを念動力で持ち上げるイオルブ。回転すら止まり身動きが取れないコータスは顔を甲羅から出してきた。今だ!
「そのまま地面に叩きつけなさい!」
グシャリ、と。自身の甲羅と地面に頭部が挟まれたコータスはそのまま崩れ落ちた。なんとかなった……ヘラクロスはメガシンカしたまま、ボールの中で休んでいる。心なしかボールまで熱くなってきた。相当な熱が籠っていることが分かる。ひでりで不利だけど…グソクムシャに頑張ってもらうしかない。まずはイオルブでできるだけ削る。
「コータスをあんな方法で倒すとは。かつて僕も苦戦した戦法だったのに、恐れ入るよ。でも負けてやるつもりはないよ、キュウコン!」
「イオルブ、さいみんじゅつです!」
「でんこうせっか!」
イオルブの十八番にして私が唯一誇れる技は、あっさりと避けられる。さすがに無理ですよね…
「キュウコン、ひのこだ!」
「ミラーコート!」
跳躍し、口にめいっぱい溜めこんだ、ひでりで威力が上がったひのこを空中からばら撒くキュウコン。ミラーコートを張るも、いくつものひのこを跳ね返したが簡単に身を捻られて避けられる。だけど…時間稼ぎは終わった。
「ほのおのうず!」
「…おつかれさま、イオルブ」
ひでりが終わった。ここからはこの子の独壇場だ。
「グソクムシャ!」
「むっ…持っていたか」
「この子なしで挑むほど無謀じゃありません!ダイビング!」
水たまりに潜り、すぐさまキュウコンの足元に水たまりを出現させて体当たりを喰らわせるグソクムシャ。効果は抜群だ。
「せめてもの、おにび!」
「アクアブレイク!」
おにびを受けながらも、零距離からの水を纏った腕が叩き込まれ、キュウコンは戦闘不能となった。
「交代、頑張ってください!ヘラクロス!」
「カブよ頭を燃やせ!動かせ!勝てる道筋を探すんだ!マルヤクデ、キョダイマックスで姿を変えて燃え盛れ!」
繰り出されたのはキョダイマルヤクデ。だがしかし、私のやることは変わらない。
「上空に飛んで、ロックブラスト!」
「キョダイヒャッカ!」
放たれた炎の猛撃を、両腕と腹部から蒸気を噴出させて上空に打ち上がり回避するメガヘラクロスの振りかざした両腕から放たれた岩の連射が変形していたマルヤクデの全身の腹を穿つ。両腕から一度に五連射、合わせて10連撃が炸裂。キョダイマルヤクデは大爆発を起こし、縮んで崩れ落ちた。急所を狙った一撃だ、これは効いただろう。そう、胸を撫で下ろしていた時だ。
「ヘラクロス!?」
メガシンカが解けると同時にヘラクロスが倒れ伏し、私は勝利のアナウンスを聞くことなく慌てて駆け寄るのだった。
ついに限界が来て倒れてしまったヘラクロス。蒸気を噴出するボディなのに熱気の中にいたらそりゃ倒れます。
・ダフネ
ジュリと共に旅することになった主人公。こんじょうを利用したがそろそろきつくなってきた。なんでヘラクロスが倒れたのかが分からないため涙目で慌てて駆け寄った。
・ジュリ
ダフネと共に旅することにしたラウラの妹分。あやうくこの世界の人間じゃないと明かすところだったが、別の地方にいたで通している。メガシンカに関してはダフネより詳しい。ミミッキュを切札として信頼している。
・カブ
現在、二年前の事件で手に入れたコータスを新たな手持ちとして使っている。ラウラが状態異常、ルリナが天気(雨)を教えるため、カブは天気と状態異常を同時に扱うことにした。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。