ポケットモンスター蟲【本編完結】   作:放仮ごdz

110 / 179
どうも、放仮ごです。ついにお気に入りが1800を安定して越えました。消えて増えたりを繰り返していたので嬉しいです、これからも頑張らせていただきます!

今回はワイルドエリアでの激闘。楽しんでいただけると幸いです。


VSキテルグマ

「はい。お預かりしたヘラクロスは元気になりましたよ」

 

「ヘラクロス…ありがとうございます、ありがとうございます!」

 

 

 ジョーイさんに礼を言い、ヘラクロスが入れられたボールを受け取る。ボールの中を恐る恐る見てみると、ヘラクロスは気にするなとでも言いたげにふんすと鼻息荒くVサインを作っていた。ああ、私の信頼に応えてくれると、そう考えていいんですね…

 

 

「ね、大丈夫だったでしょ?」

 

「はい…!」

 

 

 当分はメガシンカを控えねば。そのためにも……ワイルドエリアで、鍛えよう。

 

 

「ダフネ、ジュリ!」

 

 

 ジュリさんと二人でエンジンシティを出てワイルドエリアに向かおうとしていると、エンジンシティの出口で呼び止められる。振り返ると、そこには息を荒くしたカブさんがいた。

 

 

「まずは失礼したね、ジュリ。まさかあんな作戦で来るとは。呆けたままジムバッジを渡して悪かった。アレも立派な戦術だ、いいものを見せてもらったよ。君にはジムバッジを受け取る資格があるんだ」

 

「あ、ありがとうございます…」

 

「よかったですね、ジュリさん」

 

「そうだな、あれも立派な戦術だ。どうやら間に合ったみたいだな」

 

「これで今季は二回目かしら。ダフネ、ジュリ、おめでとう!貴方達はカブさん相手でも勝ち残ると思ってたのよね」

 

 

 さらにラウラさんとルリナさんまでやってくる。これは…?

 

 

「カブさんからジムバッジをもらえるジムチャレンジャーは本当に少ないの。だから応援の意味でみんなで見送りをするのよ」

 

「ダフネ、ジュリ。お前たちに推薦状を渡してよかったよ。ジュリはまあ、エンターテイメントとしてはアレだが新しいバトルの形を見せているわけだし気にすることはないと思うぞ」

 

「むしろダイマックスが新しくて私の戦法の方が古いような…なんでもないです、はい」

 

 

 ジュリさんがなにやら反論してたが、ラウラさんに睨まれて口を押さえた。ははは…

 

 

「ダフネもだ。メガシンカは強力だが、もっと蟲ポケモンのことを理解しないとな。好きなだけで理解がないのは駄目だ」

 

「は、はい…!」

 

 

 ヘラクロスが倒れたことを知っているのか厳しめのラウラさんに頭が上がらない。するとカブさんが手を叩き、注目を集めた。

 

 

「お小言はそこまでだ、ラウラ。彼女たちは精一杯戦った。エールを送らせてくれ!いけいけ!ジュリ!やれやれ!ダフネ!…君達を待ち構えるジムリーダーはツワモノぞろいだ。だが君達なら勝ちぬける!ポケモンを信じて突き進め!」

 

「ありがとうございます…!」

 

「生で聞けたあ…ちょっと感動」

 

「ジュリ…お前、本当いい加減にしろよ?気持ちは分かるけど」

 

 

 カブさんのエールに何故か必要以上に感動しているジュリさんに呆れ顔のラウラさん。

 

 

「わかってるよーだ、お兄ちゃん」

 

「「お兄ちゃん!?」」

 

「え、あ、あはははは。こいつは従姉妹でして…小さい頃兄と間違えられて…」

 

 

 ジュリさんのの呼び方に目を丸くするジムリーダー二人に空笑いしながら説明するラウラさん。そんな彼らを尻目に、私達は旅立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そーれーでー?」

 

「はい、ジュリさん」

 

 

 全速力で走る私と、それに追従するジュリさん。後ろからは木を薙ぎ倒す轟音が聞こえてくる。

 

 

「鍛えたいから遠回りしていこうってこもれび林の方に向かったはいいんだけど、どうしてこうなってるんだっけ?」

 

「はい。多分大丈夫と前を通ったらこんなことに」

 

「なんでキテルグマに追いかけられてるのかなー、ほんとにー!?」

 

 

 全速力で走りながら振り返る。そこには全速力でダッシュしてくるキテルグマがいた。本来なら人に慣れてないポケモン達は近づくことすら稀なのに、なんで追いかけられてるんでしょうね!

 

 

「とりあえず、なんとかしよう!ミミッキュ!」

 

 

 走りながらボールを構えて繰り出すジュリさん。器用ですね本当に。私も習って相性はいいはずのアブリーを繰り出す。

 

 

「じゃれつく!」

 

「マジカルシャイン!」

 

 

 

 ミミッキュを前衛に、アブリーが後衛で攻撃を繰り出す。咄嗟にして抜群のコンビネーション。しかし、キテルグマはとんでもない行動に出た。

 

 

▽キテルグマの ぶんまわす !

 

「「なあ!?」」

 

 

 キテルグマはじゃれつくを繰り出したミミッキュをぶん回した腕で相殺するともう一回転、ミミッキュの顔面を鷲掴みにするとそのままぶん回してマジカルシャインを掻き消し、アブリーに投げつけてきたのだ。結果、ミミッキュアブリー共にノックアウト。

 

 

「この反撃の仕方…まるでトレーナーと戦っているみたいです」

 

「もしかして、プラズマ団のせいで解放されたポケモン…?」

 

「それです。きっとそうです。人に慣れているのもそのせいですよ」

 

 

 プラズマ団の影響で解放されたポケモンは少なくないと聞く。一度鍛えられ、人間に懐いたポケモンが逃がされて野生として暮らしているとは聞てはいましたが……

 

 

「とにかく、襲われちゃたまらないので倒しますよ、ジュリさん!」

 

「倒すだけなら簡単なんだけどなあ…どうしよう」

 

 

 ヘラクロスの入ったボールを取り出し繰り出した私と違い、手にしたボールを出すことをためらうジュリさん。

 

 

「プルリルですか?」

 

「うん、でもまたみちづれを使ってこの場を切り抜けるなんてトレーナーとして失格なんじゃないかって…」

 

「とりあえず、私は戦います!メガシンカはできないけれど…私のヘラクロスは最強なんだ!インファイト!」

 

▽キテルグマの インファイト !

 

 

 ヘラクロスの猛打と、キテルグマの猛打がぶつかる。しかしもふもふの体で衝撃が吸収され、ヘラクロスに一方的に拳の猛打が襲いかかる。これでは、駄目だ。押し負ける。

 

 

「強い…!」

 

「キテルグマはインファイトを自然に覚えない筈…わざレコードか!」

 

「めんどくさいことをして逃がしてくれやがりましたね前の持ち主!?」

 

「わ、私も加勢する!ゴーストには格闘技は効かないよ、ゴビット!メガトンパンチ!」

 

 

 ゴビットが繰り出されたと同時に拳が繰り出され、殴り飛ばされるキテルグマ。ゴビットの特性はてつのこぶし。「拳で殴る」技の威力を1.2倍にする特性だ。さすがに衝撃を吸収しきれなかったらしい。するとキラリとキテルグマのぬいぐるみのような無感情な目が光ったような気がして。

 

 

▽キテルグマの しっぺがえし !

 

 

 次の瞬間、目にも留まらぬ速度の拳の連撃がヘラクロスとゴビットを襲い、殴り飛ばした。今のはしっぺがえし…後攻になると威力が二倍になる技。ヘラクロスには効果はいまひとつだがゴビットには効果は抜群だ。まさか、ぶんまわすとしっぺがえしの悪技二つも持っているなんて…!多分、エスパーにボコボコにされたかくとう使いとかだったんでしょうね、元の持ち主。

 

 

「…悪技二つもあるのは無理だ、私のポケモンじゃ太刀打ちできない。もうみちづれを使うしか…」

 

「諦めないでください!本当に自分のポケモンが好きなのなら!一緒に勝利を味わう達成感を知るべきです!」

 

 

 弱音を吐き始めたジュリさんを一喝する。だって、まだ、ゴビットは立っている。なのにトレーナーが諦めたら駄目だろう。

 

 

「…ゴビット、信じてくれる?」

 

 

 そうジュリさんが恐る恐る言うと、振り返らずに手を突き出しサムズアップを作るゴビット。ジュリさんは今にも泣きだしそうだ。

 

 

「私さ、ポケモンはお兄ちゃんみたいにガチ勢でもないエンジョイ勢だから、勝たせるために、あんな戦法を取っていたんだ。でもやめる、私はゴビット達と一緒に勝利を喜びたい。あんな悲しい勝利はもう嫌だ!シャドーパンチ!」

 

「その意気です、ジュリさん!」

 

 

 ノーマル・かくとうには効果がないシャドーパンチを繰り出すジュリさんとそれを疑うことなく実行するゴビットに、こちらも心が熱くなる。見れば、キテルグマは最大級の一撃を繰り出そうとしていた。

 

 

▽キテルグマの ギガインパクト !

 

「ヘラクロス、メガシンカが無くても貴方は強い。私はそれを、知っています!メガホーン!」

 

 

 全身を引き絞ったキテルグマの突進と、私の言葉に奮い立たせたヘラクロスの光り輝く角が激突する。そして、ヘラクロスは全身の力を振り絞ってキテルグマの巨体を持ち上げ、背後に引っくり返した。

 

 

「!!??!」

 

「ダフネ、ヘラクロスを宙に!」

 

「はい、ヘラクロス!」

 

 

 ジュリさんの言葉のままにヘラクロスの翅を広げさせて飛ばせると、引っくり返ったまま反動で動けないキテルグマに最大級の一撃が見舞われた。

 

 

「じだんだ!」

 

 

 強烈な地面の揺れに、私達も立ってられなくなり、同時にキテルグマは沈黙。私とジュリさんは目を合わせ、それぞれの立役者に駆け寄り、掲げられたポケモン達の手とハイタッチする。

 

 

「やりました、ヘラクロス!さすがです!」

 

「やった、やったよ!一緒に、勝てたんだ!」

 

 

 ジュリさんのその顔は、どこか憑き物が落ちたかのような笑顔だった。




それぞれ気にしていたことを払拭した回でした。

・ダフネ
ヘラクロスの強さを信頼している主人公。なお今回、イオルブを出せば完勝していたであろうことは完全に頭から抜け落ちていた。蟲ポケモンの生態までは詳しくないが、今後はケアをしっかりやろうと思っている。

・ジュリ
自分はトレーナーとして弱いから、ポケモン達を勝たせるためにどんな方法でもやっていたラウラの妹分。ミミッキュが真っ先にやられて戦意喪失していたものの、ダフネの叱咤とゴビットの頑張りで、一緒に勝利することの喜びを知った。

・ラウラ
モスノウで空飛んできたジムリーダー。ダフネとジュリの保護者だと思っている。ジュリの戦い方には理解はするけど納得はしていなかった。ダフネと違って蟲ポケモンの生態にも詳しい。

・ルリナ
ジュリにはのろいみちづれでやられたジムリーダー。今までにない戦い方なので気に入っている。

・カブ
ジュリの戦い方にかつての自分を思い出しショックを受けていたジムリーダー。自分と同じく乗り越えてくれると信じて送り出す。

・キテルグマ♀
とくせい:もふもふ
わざ:ギガインパクト
   インファイト
   しっぺがえし
   ぶんまわす
もちもの:なし
備考:れいせいな性格。物音に敏感。プラズマ団に襲われたかくとうおうに解放されたポケモン。前期のジムチャレンジを7つ勝ち上がっている実力者のポケモンだった。前の持ち主は身体が丈夫でいつも抱きしめていて、今回もただ単にダフネとジュリに抱きしめようとしていただけで襲おうとしたわけではない。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。