今回はVSジムリーダー・マリィ。楽しんでいただけると幸いです。
次のジムはスパイクタウンにあるのでナックルシティを東に出てルートナイントンネルを抜け、賑わうストリート街スパイクタウンに訪れた私達。街全体がジムチャレンジの舞台となっている珍しい街で、他の誰かがジムチャレンジ中はチャレンジャーも観戦できるようになっている。ちょうど先に誰かが戦っている様なのでとりあえず私だけ予約し、観戦することにした。
「あれ、もしかしてアレって…」
「ヨハル!いえ、ヤユイでしょうか?」
金網に囲まれたフィールドにやってくると、私達の前に戦っていたのは赤い目の金髪の少女ヤユイで、マニューラを使いジムリーダーのズルズキンを翻弄している光景が広がっていた。ジムリーダーのポケモンを、一方的に!?
「そこだよ!かわらわり!」
ドグシャ、と頭頂部にチョップを受けて頭からフィールドに叩きつけられるズルズキン。ジムリーダーの少女は明らかに異常なチャレンジャーの実力に冷や汗を流す。
「しぇからしか!ダイマックスが無くても、みんなのエールがあるったい!絶対の絶対に勝つもんね!オーロンゲ!」
「交代、ルガルガン。がんせきふうじ!」
「ソウルクラッシュ!」
繰り出された岩石の束を、伸ばした腕の体毛で破壊するオーロンゲ。しかし粉塵が消えたそこにルガルガンの姿はなく、オーロンゲを覆い尽くした影を見て上を見やる。
「オーロンゲ、上ったい!DDラリアット!」
「いわなだれ!」
空中に跳躍し、岩石を山盛りにその手に形成したルガルガンが振り下ろした岩石が沢山雪崩の様に叩き込まれ、オーロンゲは戦闘不能となった。戦況を伝えるモニターを見ればヤユイの手持ち四体は一匹も戦闘不能にはならず、完全勝利した様だ。ダストダスに圧勝した時から思っていたけど、圧倒的過ぎるその実力に戦慄する。
「あーもう、降参たい!でもね、あたしたちの戦いはみんなを熱狂させたんだ。なんか、よかよね!ジムバッジ、受け取ってほしか!」
「あ、ありがとうございます…」
ジムバッジを受け取る時にはヨハルに戻っているらしく、周りの視線を避ける様におどおどと去って行った。不思議なトレーナーだ。
「次、ダフネじゃない?」
「あ、そうですね。行ってきます」
ちょっとずるいけど手持ちは確認できた。誰が先鋒かも想像はつく。悪いがあくタイプ相手に蟲ポケモンで負ける気はしないのだ。
「へっくしゅん!…あ、悪い悪いジム戦中に。なんか身震いが。誰か噂でもしてるのか?」
同時刻、ターフタウンでくしゃみをしたジムリーダーが居たとかいないとか。
ジムミッションはいたって簡単。人ごみでいっぱいのスパイクタウンに紛れたエール団に変装したジムトレーナーを四人見つけて倒すだけだ。物陰に隠れていたり堂々と歩いていたりと千差万別で、結構難しかった。さすがは町おこしと称して町全体でジムを運営している町だ。二年前まで閑散としていたとはまるで思えない。
「でも、これで最後です!であいがしら!」
時間をかけてようやく見つけたジムトレーナーを一蹴し、ジムリーダーへの挑戦権を得て広場へと向かう。そこにはこのスパイクタウンのジムリーダー、前ジムリーダー・ネズの妹でもあるマリィさんが待っていた。先程のバトルの時と異なりニコニコ笑顔だ。明らかに作っている笑顔である。本来は確か表情が乏しい人だったはずだ。
「マリィたちスパイクタウン一同のジムミッション、楽しんでくれたと?でもあたし、みんなのエールを背負っているたい。あんたをコロッとやっちゃうね!」
▽ジムリーダーの マリィが 勝負を しかけてきた!
自然体で投げられたダークボールから繰り出されたのはレパルダス。やはりか、と私はグソクムシャを繰り出す。速さなら負けない!
「であいがしら!」
「ねこだまし!こっちの方が速かとよ」
「なっ…!?」
あとから知ったが、技には優先度というものがあり、ねこだましはほぼ最速の技。であいがしらよりも速かったらしい。完全に怯んだグソクムシャの隙を突き、場を整えるマリィさん。
「蟲はやっぱり苦手やけんね!じっくりたっぷり積んでやると!わるだくみ!」
「グソクムシャ、しっかりしてください!ダイビング!」
「バークアウト!」
間一髪。威力が向上した衝撃波を、潜ることで回避。レパルダスの背後を取るグソクムシャ。
「シザークロス!」
「いちゃもん!」
一撃で叩きのめすも、いちゃもんをつけられてしまった。これではシザークロスを連打できない。
「みずタイプならこの子でいくたい!あたしの相棒、モルペコ!」
そして繰り出されたのはあく・でんきのモルペコ。不味い…!?
「オーラぐるま!」
「アクアブレイク!」
電気を車輪を纏った突進と水を纏った腕が激突、吹き飛ばされるグソクムシャ。あんな小さいのに、強い…!?
「タネばくだんたい!」
さらに姿を変えたモルペコが口を膨らませて巨大なタネを吐き出し、グソクムシャに炸裂して大爆発。たまらずききかいひで戻ってくるグソクムシャ。なんて強さ…さすがジムリーダーの相棒です。
「出番です、アブリー!」
「オーラぐるま!」
今の姿は黄色を基調とした姿、でんきタイプのオーラぐるまがアブリーに襲いかかる。
「避けてむしのていこう!」
ひらりと宙を舞って回避し、まとわりつく蟲の幻影を飛ばすアブリー。黒が基調の強面の姿になったモルペコは嫌がるように小さな手を振り回し、その素早い動きが止まった。
「しまっ…モルペコ!いちゃもん!」
「マジカルシャイン!」
眩い輝きがモルペコを襲い、目を回して戦闘不能に。いちゃもんをつけられたがアブリーのメインウェポンのマジカルシャインが連打できないだけでしびれごなもようせいのかぜもある。行ける…!
「ダイマックスがなくとも、かけひきでタイプ相性はどうとでもなるったい!オーロンゲ!」
切札であるはずのオーロンゲを三匹目で出してきた。ズルズキンじゃ四倍ダメージをもらうという考えか。だけど甘いです。
「しびれごな!」
「そんなもの、届かいないったい!ソウルクラッシュ!」
「…ようせいのかぜ!」
しびれごなをようせいのかぜで飛ばす。腕の体毛を伸ばしてきたオーロンゲだがその動きが痺れてアブリーを捉え切れず、ひらりひらりと避けていく。タイプ相性はそう簡単には覆せない!
「むしのていこう、からのマジカルシャイン!」
蟲の幻影を纏わりつかせてダメージを与えながら動きを止めつつの、零距離マジカルシャイン。さすがにひとたまりもなく、オーロンゲは崩れ落ちる。今回はヘラクロスに頼らずに勝てそうです。
「ジムリーダーになって鍛えた自慢の技で!絶対の絶対に勝つもんね!ズルズキン!」
そして繰り出された最後のポケモン、ズルズキン。フェアリーが四倍。これはさすがに勝った。
「マジカルシャイン!」
「ラウラ!アンタの戦法、借りるったい!地面にれいとうパンチ!」
「なっ!?」
思い出すのはラウラさんの切札級ポケモン、ドラピオンのこおりのキバ。それと同じように地面を冷気を纏った拳で殴りつけて氷の壁を形成しマジカルシャインを防ぐマリィさん。
「かみなりパンチたい!」
さらに砕けた氷を隠れ蓑に飛び出したズルズキンの電撃を纏った拳がアブリーに炸裂し、耐久がそんなでもないアブリーは撃沈。思わず顔が引きつった。
「グソクムシャ!であいがしら!」
「地面にかみなりパンチ!」
今度は地面を走る電撃に、グソクムシャの動きが止まり、そこに拳の一撃。グソクムシャも倒れる。これが、鍛えた自慢の技…!あくタイプじゃないのか、とツッコむ前に負けそうだ。イオルブは論外、だとすると今回も頼らざるを得ない。
「お願いします、ヘラクロス!」
「話は聞いとると!蟲を使うメガシンカ使い!しぇからしか!一気に叩き潰すよ、ズルズキン!」
「今回は、メガシンカは使いません!そう、決めたんです!インファイト!」
「かみなりパンチとドレインパンチ!」
電撃を纏った右拳と、なにも纏ってない左拳が交互に振るわれ、インファイトと交差する。これで終わりです!
「振り下ろしなさい、メガホーン!」
痺れに耐えながら振り下ろされたメガホーンがズルズキンの頭頂部に叩きつけられ、バタンキューと倒れる。私の勝利だ。あ、危なかった…
「すごい根性見せてもらったと。これがあたしに勝った証、あくバッジったい!」
そう言って手渡されたバッジをギュッと握りしめ、ジュリさんの方を向いて拳を掲げる。…恐らく、ジュリさんにとっては最難関だ。どうか頑張ってもらいたい。
別々のパンチを同時に使うのはポケスペのシバのエビワラーのリスペクト。
・ダフネ
楽勝だと思ってたらラウラと同じく意外な大苦戦になった主人公。油断大敵。
・ジュリ
手持ちが三匹なため一度ジム戦を見送ったダフネの相棒。ちょっと勝てる気がしない。
・ヨハル/ヤユイ
圧倒的な実力を持つ二重人格のジムチャレンジャー。手持ちはルガルガン、マニューラ、???、???。共通点は「夜」に進化するポケモン。戦闘が終わるとヨハルに戻る。
・マリィ
色々吹っ切れて常にスパイクタウン訛りで話すジムリーダー。普段はダイマックスなしだが、スタジアムでの試合となるとダイマックスを使用するところがネズとは違う。ヨハル、ダフネと続けて負けて不機嫌。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。