ラウラで言えば時系列的にムツキ戦に当たる今回。強敵トレーナーとの対決です。楽しんでいただけると幸いです。
「クワガノン。これが新しい仲間のグソクムシャ、アブリー、ヘラクロスです。グソクムシャとは旧知の仲ですね?今は兄さんから借り受けています」
8番道路の遺跡群を抜けた広場で、クワガノンと今の手持ちたちの顔合わせをする。あとはアーマルドだけだ。アーマルドが揃えば六体、私の手持ちは完成する。なんとか取り戻したいが、クワガノンと意思疎通することはできないのでアーマルドがどうしているのかはわからない。
「パーティー完成してきたね、羨ましい限り。次のジム戦が鬼門かなと思ったけどクワガノンがいれば行けそうだ」
「そうですね」
そうなのだ。マリィさんがジュリさんにとっての鬼門なら、次のジムリーダー…ひこうタイプつかいのムツキさんはむしタイプを使う私の天敵だ。二年前のセミファイナルトーナメントではラウラさんが結構圧勝していたが、あれはあの人が可笑しいだけである。
「まあ今回の切札はクワガノンじゃないんですけどね」
「え?」
「空飛ぶ相手にはうってつけの子がいるんです。まだ見せてませんでしたね」
そうなのだ。私には対ひこうタイプに対する切札がある。クワガノンではなく、空を飛んで移動するタイプには例外なく刺さる切札が。
「だから心配してないんですよ。むしろそちらが心配です」
「ゴーストタイプじゃひこうタイプは確かに難しそうだね…まあ、呪い倒すだけなんだけど」
「こわいこわい。うん?」
手持ちをみんなボールに戻し、南部である遺跡地帯を抜け、8番道路の北部、豪雪地帯に入ると一本橋の上をこちらに向けて渡ろうとしているトレーナーがいた。フードを深く被って目元が見えないが、アレは間違いない。
「ヨハル、でしたっけ?もうキルクスジムを越えたんですか?」
「それともヤユイの方かな?あの強いルガルガンがいるなら納得だけど」
「お姉さんたち…たしかジムチャレンジャーの……誰だっけ?」
どこか警戒した目で訪ねてくる青い目の少女、ヨハルに、そう言えば名乗ってなかったことを思い出す。
「私はダフネ。蟲使いです。この間はどうもありがとうございました」
「私はジュリだよ。ゴーストポケモンが好きなんだ。よろしくね」
「わ、私は……その、ええと…お願いします、私の…ええと、ヤユイの事は誰にも言わないでください」
おどおどしながらそう言ってくるヨハルに首を傾げる私達。すると気弱な少女は勇気を振り絞って続けた。
「私、チャンピオンに推薦されたんですがヤユイの事は隠して参加していて…ヤユイが戦う時もヨハルで通しているんです。でも、あの時は私がキョドってしまってヤユイのことを教えてしまって…」
チャンピオンの推薦だったんだ、そりゃ強いはずだ。でも、ヤユイの事を知られたくないとは目から鱗だ。でも確かに、マリィ戦でもヨハルだと紹介されていた。私達が顔を見合わせ、言うつもりはないと言おうとしたところ、ヨハルはヤユイになっていて。
「無駄だよヨハル。他人は信用できない。信用できるのは私だけなんだから。痛い目見せて思い知らさないといけないんだ」
「いや、あの、ええと…?」
「そんなつもりはないよ…?」
「嘘だ!他人は信用できない。私たちはこんなところで失格になるわけにはいかないんだ。あいつに会うまで、アイツに仕返しするまで、私達は勝ち続けないといけないんだ!邪魔はさせない!」
▽ポケモントレーナーの ヤユイが 勝負を しかけてきた!
何だかよくわからないけど、バトルが所望らしい。過去に何かあったのか、他人を信用できないらしい。ジュリさんを手で制して私が前に出る。他人を信用できない気持ちは正直わかる。私もスクールで他人の悪意に晒された経験がある身だ。戦って話を聞いてもらうしかない。
「やっちゃえ、マニューラ!」
「様子見です、アブリー!」
先鋒がマニューラだと知っている上でのアブリー。だがしかし、こんなに強いトレーナーが何も対策してないわけがなかった。
「マジカルシャイン!」
「上を取ってメタルクロー!」
マジカルシャインを宙返りで回避し、鋼と化した爪を叩き込んで着地するマニューラ。効果は抜群でしかもアブリーは耐久力がない、戦闘不能となって倒れてしまう。かくとうが四倍で入るからヘラクロスでもよかったが、どうも温存してしまう。
「頼みます、グソクムシャ!であいがしら!」
「体勢を低くしてれいとうパンチ!」
グソクムシャ自慢のであいがしらをまさかの回避、れいとうパンチで顎をかち上げるマニューラ。いや、さすがに強すぎませんか!?
「だ、ダフネ大丈夫…?」
「正直大丈夫じゃありませんけど…シザークロス!」
「メタルクロー!」
渾身のシザークロスも、メタルクローで相殺される。なんて強さだ。グソクムシャまで押されている。しかも絶妙に強力な技じゃないせいでききかいひが発動しない。
「これでとどめ!かわらわり!」
「ダイビング!」
渾身のチョップを、水たまりに潜って回避するグソクムシャ。マニューラは周囲を警戒するが、グソクムシャは自身の判断で潜ったところから移動してない。行けるか…!
「マニューラ、足元にれいとうパンチ!」
「なっ!?」
まさか、ばれた!?トレーナー自身も抜け目がない強さだ。グソクムシャは水たまりを氷漬けにされて破壊され、空中に飛び出しボールに戻ってくる。此処まで追い詰められるなんて…!
「どうしたの、お姉さん。まさか私のマニューラにも勝てないなんて言わないよね?蟲使いさん」
「むっ……そんなにお望みなら出しましょうとも!ヘラクロス!」
これは出し惜しみしていい相手ではない。ジムリーダーと戦う時と同じ気概で挑まねば。メガペンダントを握りしめると目を見開くヤユイ。どうやら知ってるらしい。
「この寒空なら負担も少ないはずです、メガシンカ…!」
「何でお姉さんが、カロスのメガシンカを使えるの…!?」
「私が勝ちとった私の力です…!ロックブラスト!」
「か、かわらわり!」
岩の弾丸を撃ちまくる。マニューラはすばやい身のこなしで避けたり、避けきれないものはチョップで破壊したりと耐えるが、凄まじい勢いと連射力で制圧射撃するヘラクロスには敵わず、叩きのめされ戦闘不能となった。
「むう…お姉さん、ずるいなあ。そのポケモンじゃ勝ち目がないよ。タチフサグマ!」
次に繰り出されたのはタチフサグマ。あくタイプ、こっちが圧倒的に有利だ。効果抜群で攻めよう。
「メガホーン!」
「なんてね。ブロッキング!」
蒸気を噴出して突撃したメガヘラクロスを、交差した両腕で受け止めて弾き返すタチフサグマ。その手に炎が纏われ、私は誘われたことを確信した。
「ほのおのパンチ!」
「ろ、ロックブラスト!」
何とか相殺するが、炎を纏ったまま両腕を振り回してくるタチフサグマ。メガヘラクロスは後退しながらロックブラストで反撃しつつ橋の端に追い込まれていく。
「ほのおのパンチを維持したまま、クロスチョップ!」
「メガホーン!」
炎を纏ったまま振り下ろされた両腕を、メガホーンで受け止め両腕を胴体に突きつけるメガヘラクロス。なるほど、何時も貴方の判断には助けられますね!
「ロックブラスト!」
ドドドドドン!と、岩の弾丸が連続で胴体に炸裂して吹き飛ぶタチフサグマ。体勢が完全に崩れたそこに、メガヘラクロスが維持したままだったメガホーンを叩きつけ戦闘不能にした。
「まだだ、私は負けてない!私は最強でなくちゃいけないんだ!」
そして繰り出されたのはブラッキー。相性は最高のはずなのに、嫌な予感しかしない。私は、勝って話ができるのか…?
世にも珍しい夜パ統一。
・ダフネ
五匹揃って初のフルバトルに挑む主人公。二重人格は珍しいと思うけど本人が嫌がるなら誰かに言う気はない。
・ジュリ
自分が戦おうと思ったけど、ジュリに止められてやめた親友。元々二重人格キャラが好きなので全然忌避感はない。むしろ仲良くなりたい。
・ヨハル
チャンピオン、つまりユウリに推薦されたトレーナー。実はブラッキーはヨハル本人の相棒。他人を信用したいけど、過去のとあるできごとから信用できないでいる。
・ヤユイ
ヨハルの別人格。自称最強。過去のとある出来事から他人を信用できないヨハルの一面が色濃く出ている人格で、ヨハルは自分だけ信じていればいいと考えている。負けることをよしとしておらず、最強を志す。メガシンカについて知っているようだが…?
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。