ポケットモンスター蟲【本編完結】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。いつの間にかUAが246000行ってましたありがとうございます。これからも頑張らせていただきます!

今回はジュリの隠し事が大事に…?楽しんでいただけると幸いです。


VSニャイキング

 キルクスタウンを後にした私とジュリさん、ヨハルの三人。三人旅なので空飛ぶタクシーを使う気にもなれず、8番道路をまた戻りナックルシティを目指す。今度はプラズマ団はいないみたいで安心…うん、安心だ。決して、アーマルドを持ったプラズマ団がいないかとか期待している訳ではない。

 

 

「残念だけど、さすがにジムリーダーに仲間が捕まったところにまたのこのこ来るほどプラズマ団も馬鹿じゃないと思うよ?」

 

「プラズマ団がいたの…?」

 

「あ、ヴァイスじゃないのでそんなに怖い顔しないでくださいヨハル。ここにいたのはしたっぱですよ」

 

 

 したっぱであの強さなのだから幹部のシュバルツやヴァイス、その裏にいるであろうボスの強さを考えると気が遠くなるが。アーマルドを取り返せるか不安になってくる。途中ですれ違ったマクワさんと挨拶を交わしつつ、7番道路に出る。橋を抜ければもう少しでナックルシティだが、既に夕方だ。ちょうど広場があったのでキャンプを張って朝を待つことにした。

 

 

「うーん、いい広場だけど…」

 

「なんか強そうなニャイキングがいますね…」

 

「……邪魔。ヨハルがお腹を空かせてるでしょ」

 

 

 キャンプを張ろうとしたら、広場のど真ん中に通常より大きくて強そうなニャイキングが陣取っていて。お腹を空かせた音を鳴らしたヨハルがヤユイに変わり、襲いかかってきたニャイキングに対してルガルガンを繰り出す。

 

 

「ちょうはつ、カウンター」

 

 

 そして鋼の爪を伸ばして挑発に乗って突っ込んできたニャイキングを殴り飛ばし、KOした。…なんかぬしポケモンの気配がしたんですけど。え、一撃ですか?

 

 

「相変わらず、強いなあヤユイ」

 

「…私、一度勝ちましたけどセミファイナルトーナメントでもう一度勝てるか正直不安です…」

 

 

 ジュリさんと二人してその強さを痛感しながらキャンプの準備を始める。ニャイキングが可哀そうなのでとりあえず一緒の食事に誘って餌付けしてみますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば、早くアラベスクタウンに行かないとね。あの子が待ってるよ」

 

 

 キャンプを張り、夕食のカレーを食べた後に焚火を囲んで雑談していると、ヨハルがそう言ってきて、ジュリさんが鞄の中から古い手紙を取り出す。ナックルシティの幽霊の女の子からの預かり物だ。私とジュリさんがヨハルとヤユイに出会うきっかけにもなったものである。

 

 

「そうだった。急がないと成仏しちゃうかもなあ…そういえば、ヨハルは幽霊が見えるの?」

 

「…ブラッキーが死んでから見える様になったけど、二人にも見えたならあの幽霊の女の子は特別なんじゃないかな?」

 

 

 霊感が無い私にも見えたってことはそういうことなのだろう。幽霊には詳しくないが、相当な未練があったのかな。あれ、でもジュリさんあの時は確か…

 

 

「そういえばジュリさんも驚いてませんでしたし、霊感あるんです?」

 

「え?あー、えっと…ないはず、だよ?うん。………まさかゲームで知ってたからとは言えないよなあ。あの事故で見える様になったとかないよね?フィクションだったらありえそうなんだけど………」

 

 

 ブツブツトリップし始めたジュリさんに、ヨハルと顔を見合わせる私。なんか隠しているんですよねジュリさん。私達に言えないことなのは間違いないですが。……まさかと思いますが、隠す理由なんて一つしか思いつかないのですが。

 

 

「…ジュリさん、実はラウラさんの従姉妹を騙ってジムチャレンジに潜入しているプラズマ団じゃありませんよね…?」

 

「はえ!?な、なんでそうなるの?」

 

「プラズマ団…?」

 

 

 赤い目になってギロリと睨んでくるヤユイに慌てて手と首を振って否定するジュリさん。まあ信じたくはないんですが、隠し事なんてそれぐらいしか…

 

 

「い、いやいや違うから!ほら、私したっぱとも戦ったじゃん!?」

 

「スパイだからしたっぱには知られてないとか…?」

 

「なんのスパイなのかなそれ!?」

 

「そういえばみちづれとかのろいとかポケモンを気にしない戦い方してた…」

 

「気にしてるからねこれでも!?私、お兄ちゃんの蟲好き程じゃないとはいえゴーストポケモンを愛している自信があるからね!?」

 

「じゃあ何を隠してるんですか?親友だという私にも話せない事なんですか?」

 

「えっと…その……」

 

 

 問いかけると、目をグルグルさせるジュリさん。この人が善人だとは知っているけれど、この私自身がラウラさん達を騙して悪事を働いた人間だ。信用しすぎると痛い目を見るというのは、一番よくわかっている。

 

 

「…えっと、うーん、その、ね…?」

 

 

 グルグルグルグルと目を回し続けたジュリさんは顔を真っ赤にし、ボフンとオーバーヒートしたようにばたりと倒れてしまった。………ちょっと虐めすぎましたかね?

 

 

「…少なくとも、プラズマ団ではないんですよね」

 

「そうなの?」

 

 

 首を傾げながら青い目に戻りジュリさんを睨み付けるヨハルに、ジュリさんを寝かしながら答える。どうやら疲れていた様でそのままぐっすり眠ってしまったようだ。

 

 

「この人、妙にポケモンに詳しいと思ったら妙に常識が欠如していたり、変なところだらけなんですけど。ヘラクロスが倒れて落ち込んでいた私を元気づけてくれた、いい人なんです。これでプラズマ団だったら人間不信になる自信あります」

 

「でも何かを隠してるんだよね?信用できるの、そんな人」

 

「本当に言えない事なんだと思います。ラウラさんに口止めされているとか、そう言う感じの」

 

「ラウラさんってジムリーダーの?お兄ちゃんって言ってたけどあの人、女の人だよね…?」

 

「はい、従姉妹らしいですよ?昔、呼び間違えてそのまま定着したとか前に話してました。そのラウラさんに口止めされていると考えれば、話せないのも納得できるんです」

 

 

 そう言うとジュリさんを見つめ、寂しげに俯くヨハル。落ち着かないのかボールから出していたブラッキーを手招きして撫でつつ、続けた。

 

 

「……でも、隠し事されるのはやだな。なんか、寂しいよ」

 

「それは私もそう思います。でも、ヨハルもヤユイのことを隠していたいように、私が過去に犯した罪の様に、誰にだって知られたくないことはあるかと」

 

「…過去に犯した罪って?」

 

 

 赤い目になって睨んでくるヤユイに、しまったと口を押さえるがもう遅い。結局無言の圧力に耐えられなかった私は自白(ゲロ)した。トレーナーを傷つけようとしていたことを知ったヤユイからは白い目で見られて、ヨハルからは慌てて「い、今はいい人だから!」ってフォローされた。その気遣いが心に刺さります…昔の私、余裕がなかったとはいえやりすぎです……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、目を覚ましたジュリさん。同じく目を覚ました私とヨハルの居た堪れない空気に耐えられなくなったのか、たっぷり沈思黙考しているのか目をグルグル回していたジュリさんはスマホロトムを取り出した。

 

 

「…とりあえず、私はちゃんとお兄ちゃん…ラウラの従姉妹だよ。ちょっと待ってね」

 

 

 そう言ってどこかに電話を掛けるジュリさん。するとすぐ繋がったのか、スピーカーモードにして私達に突き出してきた。

 

 

『こんな朝っぱらからどうしたんだ樹里…ユウリが横で寝てるから静かに手短にな』

 

 

 聞こえてきた声は忘れようはずがない、ラウラさんだ。でもなんだろう、ジュリさんの呼び方に違和感ある気がする。ヨハルも聞き覚えがあるのか頷きながらも、ラウラさんとユウリさんがどんな状態なのか想像したのか顔を赤くしていた。ジュリさんはちょっと呆れた顔で続ける。

 

 

「えーと、昨晩はお楽しみでしたね?」

 

『ぶふっ!?……それだけなら切るぞ』

 

「待って待って待って!?…相変わらず二人で寝てるんだ…そうじゃなくて、私とお兄ちゃんはちゃんと従姉妹だよね?それに、私はプラズマ団なんかじゃないよね?」

 

『なんで今更そんな当たり前なこと聞くんだ…?』

 

「ほら、私隠し事があるからダフネと…えっと、一緒に旅することになったヨハルって子に疑われちゃって…本当のこと言う訳にも行かないしさ?」

 

 

 その言葉で、その泣きそうな顔で、言いたくても言えない事なのだと確信する。疑って悪いことをした。

 

 

『あー…聞いてるかは知らんが、ダフネにヨハル。ちゃんとジュリは俺の従姉妹で妹の様な奴だし、プラズマ団でもないことは保証する。それに、こんな馬鹿が人を騙せると思うか?』

 

「お兄ちゃん!一言余計!」

 

『むにゃ…んー?ヨハル?ヨハルがそこにいるのー?』

 

 

 ジュリさんが怒っていると、通話の向こうからユウリさんの寝ぼけた声が聞こえてきた。

 

 

『ヨハルー、頑張ってるー?せっかく推薦したんだから、早く勝ち抜いて、私のところまで来てねグー』

 

『あー、ヨハルって聞き覚えがあると思ったら大興奮で推薦したって言ってたトレーナーか。俺が推薦した二人のトレーナーとユウリが推薦したトレーナーの一人が一緒に旅しているのはなんか、感慨深いな。仲良くな、お前たち。じゃ、俺も仕事があるから』

 

 

 そう言って電話を切るラウラさん。ジュリさんがプラズマ団じゃなくてよかった。胸を撫で下ろす私とジュリさん、顔を真っ赤にして固まるヨハル。そんな私達の後ろで、昨日の残りのカレーに火を付けてかき混ぜているぬしニャイキングの姿があったとか。




道路やエリアに一匹はいるぬしポケモン。

・ダフネ
過去が過去なのでジュリを疑ってしまった主人公。被害妄想が激しい。ヨハルにも自分の悪事がばれた。もう一度戦ってヤユイに勝てる自信はない。

・ジュリ
転移前の事を隠しているのに失言ばかりするから大事になってしまったダフネの親友。まさかプラズマ団だと疑われるとは思わなんだ。考えるタイプじゃないので考え過ぎると頭がオーバーヒートして気絶する。ラウラ宅に住んでた頃から一緒に寝るラウラとユウリを見慣れてる。

・ヨハル
ブラッキーが死んでから霊感を得た二重人格。お腹が減ると苛立つ他、一度疑念を持つととことん疑う疑り深い性格。色々妄想しちゃうところは年相応な女の子。

・ヤユイ
ヨハルのセコム。お腹が減れば邪魔者は排除するし、疑った相手には攻撃的になるし、無言の圧力で自白させる、ヨハルの望みはなんでも叶える強い子。

・ラウラ
ジュリからの言葉に「やらかしたな」と察して従姉妹設定をペラペラ話した元主人公。プラズマ団って疑われてるのは正直笑った。描写はしてないけど事後である。

・ユウリ
ヘヴン状態でラウラの側で眠っていたチャンピオン。推薦状を渡した一人であるヨハルを可愛がって大いに期待している。

・ニャイキング♀
とくせい:はがねのせいしん
わざ:メタルクロー
   アイアンヘッド
   じごくづき
   つめとぎ
もちもの:なし
備考:おだやかな性格。よくものを散らかす。7番道路のぬしポケモン。キャンプに使った広場はお気に入りの寝床だった。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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