今回はダフネVSモコウ前半戦。楽しんでいただけると幸いです。
翌日、宿屋で朝ごはんを三人で食べながらテレビを見ていた時だった。
『次のニュースです。先日、キルクスタウンのジムリーダー・ムツキがプラズマ団に襲撃されたという事件が発生していたことが判明しました』
「「「!?」」」
思わず飲んでた水を噴き出しそうになってしまい押さえて見てみれば、私達が去った次の日に何者かに襲撃されたが、難なく撃退したらしい。襲撃犯は複数で、したっぱはほとんど捕まったが逃げられた一人はプラズマ団の幹部を名乗る黒ずくめの男…とあった。間違いない、シュバルツだ。
「シュバルツ、ムツキさんも襲って…?」
「その足でラテラルタウンまで来たってことかな…?」
「でもなんでわざわざジムリーダーを襲うの?それにここに来る理由なんか…いや、私はモコウさんやムツキさんに詳しくないから何とも言えないんだけど」
「モコウさんとムツキさんの共通点…」
ジュリさんの言い分について考える。シュバルツがムツキさんを襲おうとして失敗、モコウさんを狙ってここにきたとする。その共通点と言えば、ラウラさんと特別仲がいいこと、二年前のチャレンジャー…いや、どれもしっくりこない。シュバルツはラウラさんに私のポケモンを強奪する時邪魔されたと聞いたが、それならなんでラウラさんを襲わないのかがわからないからだ。他には……そうだ、確か二年前の、私が起こした事件とUB事件の時。
「レジエレキと、フリーザー、ファイヤー、サンダー…」
「え?」
「私の知る限り、モコウさんとムツキさんが所有している伝説ポケモンです。二年前、レジエレキは私のやったことを止めたポケモンの一匹で、三鳥はUB事件の時にウルトラビーストの鎮圧を手伝った時にムツキさんが操っているのを見ました」
あの光景は今でも覚えている。ナックルシティの上空に出現したキョダイウツロイドの触手を、空を飛び交い薙ぎ払う伝説の鳥ポケモン達の姿と、高速で触手をぶち抜いて行く雷を。あの巨大触手で被害がそんなにでなかったのはあの二人の功績が大きいと思う。私の言葉に「いやチャンピオンが手に入れてるんじゃないのかい」と呆れた顔をしていたジュリさんがそれに気づいたのかぽつりと呟く。
「つまり…目的は伝説ポケモン?」
「そういえば、少し前にソニア博士の研究所から伝説ポケモンが強奪されたって話もあったね」
ヨハルにそう言われ、シュバルツと初めて遭遇した日を思い出す。そうだ、確かルミさんって人が所有していたレジドラゴ、レジアイス、レジスチル、レジロックの四体が強奪されていたんだった。と言うことはほぼ確定か。なんのために伝説ポケモンを集めているかは知らないが。
「昨日のは下見だったってことですかね…なんにしても、モコウさんに伝えた方がよさそうです」
「まあ今日はどうせ三人とも戦うんだし、その時に伝えればいいでしょ。伝説ポケモンを持ってるなら早々やられないだろうし」
「ムツキさんも撃退してるからそもそも心配する必要なさそう…」
「それもそうですね」
さて、昨日は三人で予約を申し込みに行ったので一番手は私だ。勝てる気はしないが、足掻いてみるとしよう。
そして再び、今度はチャレンジャーとしてやってきたラテラルスタジアム。ジムミッションは電磁石で弾かれる円形の乗り物をグルグル回して移動する人間ピンボールだった。しかもSかNかを見極めてその向きに回転しないと弾かれないので凄く頭を使う上にスピードが速く、だいぶ失敗しながらもなんとか時間をかけてクリア。ジムトレーナーはクワガノンに覚えさせたあなをほるでごり押した。
『本日のラテラルスタジアム第一の挑戦者は、背番号064!天敵であるひこうタイプジムリーダームツキを降したむしつかい、ダフネ選手!対するはジムリーダー、モコウ!4VS4のシングルバトルです!』
バトルフィールドで向かい合う、でんきタイプのユニフォームをかっこよく改造した物を着込んでいるモコウさんの目は死んでいた。昨日のサタリアが原因だろうか。
「ついにきたかダフネ。ようやくだな」
「はい、ようやくですモコウさん。お待たせしました。あの時の私とは違うことを証明してみせます」
何度でも語るが、モコウさんとはこれが初対面ではない。二年前に私が犯したアレの当事者だ。彼女とレジエレキのコンビにだいぶ苦戦した記憶がまだ残ってるぐらい、印象に残ってる。あの時、私が犯した罪を許してくれた一人でもある、つまり恩人だ。無様な戦いは見せられない。私はもともと、あの時の当事者たちに、今の私を見せることが目的だったのだから。
「ふははははっ!二年前、貴様に苦戦させられた我ではない。メガシンカを使うようだが、それがお前だけだと思わない事だ」
そう言って振り上げられた右足に付けられたアンクレットを見て驚愕する。アレは、キーストーン!?
「お前は知らんようだがメガシンカ自体はリーグ委員長ダンデの采配でジムリーダー全員が使えるぞ。ジムチャレンジでは、後半の三人しか、それも使うに値する相手にしか使ってはいけないという規則があるがな。ぬしポケモンやメガシンカ、あと滅多にいないが幻や伝説のポケモンを頼りにここまで来たチャレンジャーを叩き潰すのが、我の役目だ」
そう笑うモコウさん。私が知らなかっただけでジムリーダーがメガシンカを普通に使っていたとは……いや、よく考えたらガラルを発展させたいダンデさんが普及させないわけがないか。ラウラさんの時に観客に驚かれたのはチャレンジャーである私が使っていたからか、と今更ながらに納得する。死んだ目のまま獰猛に笑うモコウさんはまるで稲妻の様なポーズを取り、構えた。
「それにもはや将来が決まってしまった我に死角はない……いざ勝負だ!パルスワン!」
「それについてはご愁傷様ですが、行きます、クワガノン!」
今回の私の手持ちはでんきが苦手なグソクムシャを除いたクワガノン、アブリー、イオルブ、ヘラクロスだ。唯一地面技が使えるクワガノンでエレキブル以外を削り切りたいところだ。だがしかし、じめんわざがあることを悟られてはならない。切札は最後まで取っておくべきだろう。
「クワガノン、むしのさざめき!」
「パルスワン、でんこうせっかで回避してほのおのキバだ!」
真正面に放たれる衝撃波を、凄まじい速度で右に左と避けて炎を纏わせた牙を剥いて襲いかかるパルスワン。だがしかし、私の相棒であるクワガノンは、ただのクワガノンじゃない。私の得意とする、補助技を全力で扱えるクワガノンだ。
「ねばねばネット!」
「なに!?」
牙が届かない胴体を粘々する糸の束を口から飛ばして拘束、パルスワンを拘束したまま空まで舞い上がり、鋏の様な顎で切り離す。空中に投げ出され、まさに手も足も出ないまま落ちて行くパルスワン。
「ほえるだ!」
「大きく避けて挟み込んでからむしのさざめき!」
ほえるでこちらのポケモンを強制交代しようとしたのだろうが、音が届かない距離まで離れて回避、急降下したクワガノンが顎で挟み込み、地面に高速で落下しながら衝撃波を放ち、大ダメージを与えた。
「ほのおのキバ!」
「そこで解放です!」
衝撃波により糸から解放され、ほのおのキバで対抗しようとするパルスワンを、地面すれすれで顎を開いて放し、落下の勢いも合わせて叩きつける。
「むしのさざめきでとどめです!」
「ただでは死なん!でんこうせっか!」
立ち上がるのもやっとなパルスワンにとどめを刺そうとするが、でんこうせっかで抵抗され先に攻撃されたものの、そのままパルスワンは衝撃波をまともに受けて戦闘不能。まずは一体。
「ねばねばネットをあんなふうに使うとは…いや、二年前も使っていたなお前は」
「ラウラさんのいとをはくとは使い方は違いますが、空を舞えるクワガノンが使えば強力な武器になります」
「そうみたいだな。だが、パルスワンの様な軽量級ならともかく重量級ならばどうだ。エレキブル…!」
出た、モコウさんがこの二年間で手に入れたであろう強力無比なでんきポケモン。このエレキブルをどうにかしないとモコウさんに勝つのは難しい。作戦はないけど、行き当たりばったりで頑張ろう。
ジムリーダーが全員メガシンカできるのは掲示板でも触れられていたように、グレイの正体を示唆するものも前の掲示板にあったりします。
・ダフネ
珍しく行き当たりばったりで行く主人公。恩人の一人であるモコウに今の自分を示すべく戦う。ラウラがいとをはく使いならダフネはねばねばネット使い。
・ジュリ
UB事件とか言われても二年前のことはそんなに詳しく知らないので内心焦っていた人。薄々プラズマ団のリーダーが何者なのか感づいてきた。
・ヨハル
ガラルに引っ越してきたのは最近なので二年前のことについては詳しくない。難しいことを考えることは苦手。
・ムツキ
ダフネたちが去った翌日にプラズマ団に襲撃されたジムリーダー。容赦なく三鳥を繰り出して撃退した。舎弟と言ってもいいルミが襲われているのもあり逃がす気はなかったがシュバルツが一枚上手だった。
・モコウ
別にまだ負けた訳じゃないけどサタリアからは逃げられないと悟ったジムリーダー。ダフネの事は覚えているしレジエレキを手に入れることができた恩人だとも思ってる。ほとんどのジムリーダーはメガグローブなのだが、かっこいいからという理由でヒガナと同じメガアンクレットにしている。
・シュバルツ
前日に部下を率いてムツキを襲ったものの返り討ちにされていたプラズマ団の幹部。目的は伝説ポケモンと思われるが…?
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
掲示板回は
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これまで通り作者の采配で
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短い頻度で(ジム戦一つぐらい?)
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長い頻度で(ジム戦三つぐらい?)
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もういらない