ポケットモンスター蟲【本編完結】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。題名が思いつかなかったのでヌケニン初登場回にゾロアを出してVSゾロアに変更してきました、申し訳ない。

今回はヌケニン無双。ジュリVSモコウです。楽しんでいただけると幸いです。


VSヌケニン

「大丈夫ですか、モコウさん」

 

「いたた…なに、慣れてる。しょっちゅうスッ転んだりマッギョを踏んだりするので生傷が耐えんのだ」

 

「それはそれでどうなんでしょう…」

 

 

 私にバッジを渡し、赤くなった鼻頭をさすりながら涙目でそう語るモコウさん。ドジにも程があるんじゃなかろうか。…観客の前だけど、内緒話ぐらいならできるだろうか。そう考え、モコウさんの耳元に近づく。

 

 

「それより、伝えたいことが」

 

「うん、なんだ?」

 

「…昨日、観客席にプラズマ団の幹部が居ました。私を襲った男です」

 

「なに?」

 

 

 私の話を聞くと鋭い目つきになるモコウさん。此処の前任者であり既知の仲らしいサイトウさんがヴァイスにやられたこともあってピリピリしているのがわかる。

 

 

「恐らく狙いは…」

 

「レジエレキ、か?」

 

「…多分、そうです」

 

「ルミとムツキが襲われたと聞いたからな。共通点と言えばそれしかない。なに、賊なんぞに負けんさ。我は最速最強のジムリーダーだからな」

 

 

 そう不敵に笑うモコウさんに、大丈夫だと感じて。私は一礼してその場を去るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時間は過ぎて。観客席でヨハルと共に、ジュリさんとモコウさんの対決を見守る。私が大苦戦したあのクルクル回る仕掛けを、全力で楽しんでいたジュリさんには感服した。

 

 

「行くぞ、パルスワン!」

 

「よろしくどうぞ、ダダリン!」

 

 

 地を駆けるパルスワンと、ゆらゆら漂うダダリン。対照的な二体が激突する。

 

 

「ほのおのキバ!」

 

「パワーウィップ!」

 

 

 炎を纏った牙で舵輪部分に噛み付くパルスワンを、太い蔓が叩きのめして吹き飛ばす。効果抜群を受けたというのにダダリンはピンピンしていた。

 

 

「ご存じありません?噛み付きやすいところを狙ったようだけど…ダダリンの本体はそこじゃないので痛くも痒くもない!」

 

 

 そう豪語してるジュリさんだが、嘘である。むしろ舵輪が破壊されたら無力化されることを私は身をもって知っている。

 

 

「続けてアンカーショット!」

 

「ならば選手交代だ。ボルトチェンジ」

 

「っ…」

 

「いでよエレキブル!鎖を掴んで振り回せ!」

 

 

 出た。モコウさんお得意のボルトチェンジ。出た来たのはエレキブル。アンカーショットが巻き付いた腕を気にも留めず、鎖をガッシリと両手で掴むと力の限り振り回し、地面に叩きつけようとする。

 

 

「ゴーストダイブ!」

 

 

 するとジュリさんはゴーストダイブを使い、勢いは殺されずに自身の振り下ろした威力で影の中に引きずり込まれんとするエレキブル。上手い、アレならエレキブルと言えど…

 

 

「エレキブル、当てなくてもいい。適当にかみなりを撃て!」

 

 

 その瞬間、エレキブルの尻尾から何を狙う事もなく放たれるかみなり。その瞬間、眩い光で影が掻き消えてしまい、強制的に出て来てしまうダダリン。影が無くてはさすがに潜れないらしい。

 

 

「引き寄せてれいとうパンチだ!」

 

 

 さらに掴んだままの鎖を自らの体に巻きつけてダダリンを引き寄せ、冷気を纏った拳をクリーンヒットさせるエレキブル。ダダリンは吹き飛ばされることもできずにその場で崩れ落ち、ジュリさんの手にしたボールに戻って行った。これで、電気の威力をある程度打ち消せるくさタイプのダダリンが倒れたわけだが。残るジュリさんの手持ちはミミッキュ、ゴビット、プルリル、ヌケニンの四匹のうち三匹。この中から抜くとしたらプルリルだろうか。

 

 

「フハハハ!小癪、小癪だぞチャレンジャー!ラウラと同じ顔の癖して勢いがないな貴様!」

 

「お兄ちゃんと比べて欲しくはないです、行くよ!ヌケニン!」

 

 

 繰り出されたのはジュリさんの新メンバーであるヌケニン。…私は蟲好きだから知っているが、かなり特殊なポケモンだ。使いこなせることができるのだろうか。

 

 

「比べて欲しくないと言いながら同じ蟲を使うか!だがそんな覇気も感じぬポケモン、一撃で葬ってくれよう!かみなり!」

 

 

 お得意のかみなりが尻尾から天に向けて放たれ、ヌケニンに降り注ぐぎその姿が砂塵に包まれる。砂塵が晴れると同時に驚愕に目を見開くモコウさん。並大抵のポケモンなら一撃で落とされたであろうそれを受けたはずなのに、無傷でふわふわ浮かんでいた。

 

 

「なに?まさか、外れたか?いや、それほど速いポケモンということか…ならば地面にれいとうパンチだ!氷漬けにしろ!」

 

 

 ラウラさんのドラピオンと同じ、大規模な氷結がヌケニンを襲う。だがしかし、氷が触れてすらいない。モコウさんは知らなかったらしいが、これぞ体力が1しかない前代未聞のポケモン、ヌケニンしか持たない唯一無二の特性。効果抜群の攻撃…即ち、ほのお・ひこう・いわ・ゴースト・あく以外の攻撃は一切効かないというチート級の特性、ふしぎなまもりだ。エレキブルがほのおのパンチを使えば瞬殺されてしまうが、知らなければ無敵のポケモンに見えるだろう。

 

 

「なんだ?なにをした?」

 

「さあ、なにをしたのでしょう?私は何も指示していませんよ?」

 

「ならば、エレキブル!自身にかみなり!そしてほのおのパンチだ!」

 

 

 出た。自家発電エレキブル。理に適っているでんきエンジンの使い方で素早くなったエレキブルが肉薄し、炎を纏った拳を振るわんとする。しかしそれは、ドーム状の透明な壁で防がれた。

 

 

「まもる」

 

「むっ?これは防ぐのか。ならば連打だ!」

 

「あなをほる」

 

 

 もう片方の拳に炎を纏って振るわれるが、地面に逃れるヌケニン。ああ、なるほど。昨日のジュリさんの思いついた策がこれか。他のポケモンならエレキブルのかみなりで大ダメージを受けるが、ヌケニンには一切効かないんだ。

 

 

「我の秘策を知らないでか!地面にかみなりだ!」

 

 

 地面に突き刺さった尻尾から電撃が流され、吹き飛ぶ地面。しかしヌケニンは潜ったまま、爆風にまぎれてエレキブルに攻撃して地表に出てきた。姿を現したのにダメージを受けた様子がなく、逆に大ダメージを受けているエレキブルにわけがわからない、と言った表情を浮かべるモコウさん。

 

 

「なんだ?何が起きた?だが出て来たな?もう一度、ほのおのパンチ!」

 

「まもって、シザークロス」

 

 

 ほのおのパンチを的確に防ぎ、返しに斬撃を繰り出すヌケニン。その不気味な姿に焦燥感を隠せないモコウさん。観客もヌケニンの存在を知っている方が少ないのか、一方的な展開にざわついている。

 

 

「距離を取れ!かみなりだ!」

 

「かげうち」

 

 

 距離を取るエレキブルに、ジュリさんが不気味に笑った瞬間、その巨体が崩れ落ちる。ジュリさん得意のダメージ計算か。もし倒しきれなくてもかみなりはふしぎなまもりで防げるからチャンスを狙った攻撃だった。

 

 

「馬鹿な…そのポケモンは、なんだ!?こちらも全力で挑まねばということか……ライボルト!メガシンカだ!」

 

 

 まだ解答が分からないらしいが、ライボルトを繰り出しメガシンカさせるモコウさん。いかくで攻撃力を下げて、ほのおのキバという打点もあるから最適解と言ってもいい。対してジュリさんはヌケニンを戻し、プルリルを繰り出した。あっ、という顔をヨハルと揃って浮かべる。ジュリさん、ゴビットというでんきタイプの天敵いるのにメガシンカ相手に真っ向から勝負する気ないな?まあいかくで攻撃力下がってしまうから泥仕合になることを避けたのか。

 

 

「では私はこれで、頑張れプルリル!」

 

「ユウリのインテレオンみたく無効化するかもしれん。油断するな、最大火力だ!ワイルドボルト!」

 

「では遠慮なく。みちづれ」

 

「なにぃ!?」

 

 

 効果抜群の一撃を、むしろ受け入れる様に喰らって目を見開くプルリル。その瞬間、戦闘不能になるプルリルに抱かれるようにして崩れ落ち、メガシンカが解けるライボルト。完全に度肝を抜かれたのかモコウさんはブルブル震えていた。少し考えこんでから次のポケモンを繰り出すジュリさんは満面の笑みだ。

 

 

「じゃあ、ヌケニンで」

 

「パルスワン!」

 

 

 ほのおのキバを持つパルスワンが出てくるとわかってるのになぜヌケニン?と一瞬思ったが、すぐその理由に気付く。モコウさんにとってヌケニンは得体のしれないポケモンだ。ライボルトとエレキブルが倒れた以上、最後のストリンダーで相手したいはずだ。だからこそ、ヌケニンを先に出したのか。強制的に交代されたくないから。

 

 

「ほえる!」

 

「ありがとうございます。ゴビット、その場でばくれつパンチ!」

 

 

 ほえるでヌケニンが戻され、出てきたのはもちろん、最後のポケモンであるゴビット。それを見た瞬間、乗せられたと気付いたらしいモコウさんの顔が青ざめる。しかもばくれつパンチは当たる筈がなく空振り。次の攻撃を防ぐ手はない。

 

 

「じだんだ!」

 

 

 効果抜群の一撃を受け、崩れ落ちるパルスワン。そしてモコウさんの最後の手持ちはストリンダー。端的に言って、詰んでいた。諦めることなくストリンダーを繰り出すモコウさんに対し、ジュリさんはヌケニンを再度繰り出すとニッコニコで語った。

 

 

「ネタばらしです。特性、ふしぎなまもり。効果抜群の攻撃以外の全てを遮断する特性です。ここで明かした意味、貴女ならわかりますよね?」

 

「………我の負けだ」

 

 

 戦うことなく敗北が決まり、膝から力なく崩れ落ちるモコウさん。最速最強だと謳ったジムリーダーの敗北は、あまりにも圧倒的で。盛り上がりに欠けたのか観客はシンと静まり返っていた。…ジュリさん、こんなんばっかだなあ。




ジュリ「はめるのすっごく楽しかった」と供述しており…

・ジュリ
今回のバトルを心の底から楽しんだナチュラル外道。非難されるだろうけどやめられない、止まらない。ヌケニンとゴビットいるから負ける気がしなかった。無論、ネットは大荒れである。

・ダフネ
前回の戦いの後、一応モコウに報告した。ヌケニンを使いこなせる自信はないので素直にすごいと称賛しているけど、絶対アンチが出る親友に不安を隠せない。

・ヨハル
ヤユイが強くなるために勉強していたのでヌケニンの特性は知っていた子。

・モコウ
相変わらず微妙に勉強不足なジムリーダー。テッカニンについてはよく知っているがラウラが使わないためヌケニンについては毛ほども知らなかった。ついでに言うと初見で挑むことが礼儀だと考えているのでジュリの戦法もまるで知らず簡単に乗せられてしまった。ジュリが悪魔に見えたという。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

掲示板回は

  • これまで通り作者の采配で
  • 短い頻度で(ジム戦一つぐらい?)
  • 長い頻度で(ジム戦三つぐらい?)
  • もういらない
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