今回はVSポプラ前半戦。四体いるジムはこれからも前半後半に分かれます。楽しんでいただけると幸いです。
目の前が真っ暗になりながら、出口近くだったこともあって急いでアラベスクタウンに足を踏み入れ、ポケモンセンターに向かった。ポケモン達を回復している間にロビーの椅子に座って頭を抱え、考える。正直、トーナメントで当たるであろうあんな奴に勝てるのかと、そう思った。
「…いや、レベルの問題だったらなんとかなる。俺も鍛えればいい話だ。相性は…バチュルが、進化すればなあ」
バチュルさえ進化すれば、レベルも上げていれば5タテも可能だ。そろそろ進化してもいいはずだが…何か足りないのだろうか。
「ラウラさん?ラウラさん。お預かりのポケモンの皆、元気になりましたよ」
「あ、ありがとうございます。ジョーイさん」
いつの間にか寝ていて、一夜が明けていた。起こしてくれたジョーイさんからバチュル達の入ったボールを受け取り、頭の上にバチュルを乗せて外に出る。アラベスクタウンは不思議な雰囲気の町だった。正直、綺麗だがあまり好きではない。その奥に聳えるアラベスクスタジアムを見やる。
「…行くしかないか」
正直、ムツキとの実力差に自信を粉々に粉砕された。蟲ポケモンへの信頼が揺らいでしまっている。こんな状態で勝てるのかどうかは分からない。それでも俺は、むしタイプが最強である、最高であると証明するために勝ち進まなければならない。
「ごめんな…俺、もう負けないから…」
そう決意を固めて拳を握る俺を心配そうに見ているバチュルに、俺は気付いていなかった。
「こんな朝早くからご苦労様なことだよピンク不足のジムチャレンジャー。どうやら元気がないようだけど大丈夫かい?」
「ええ、まあ…」
ジムに入って早々、骨張った長い鼻と白髪が特徴の、いかにも魔術師といった風貌の老齢の女性がいた。紫のファーと帽子がお洒落だ。たしか背番号910。ファンタスティックシアター・ポプラ。ジムリーダーが最初からいるのは珍しいと思っていると、どうやら後継者を探していて、今回のジムミッションは次のジムリーダーを決めるオーディションも兼ねていてクイズが行われるらしい。
…何度でも言おう、俺はフェアリータイプがジムリーダー共々よくわからない。まるで舞台の上の様なセットの中で戦うことになった。しかもバトル中に問題を出すからそれに答えろときた。俺はフェアリータイプのジムリーダーになる気はないんだが!あと一応女子だけどピンクは嫌いだし!
「私はジムトレーナーのコト!問題!フェアリータイプの弱点はどくかはがねか?!」
「え?どっちもだろ?どく!」
「正解!」
正解したらなんか知らんけど、俺のドラピオンの攻撃と特攻がぐーんと上がった。……どういう仕組み?フェアリータイプポケモンの不思議な力?俺、よく、わからない。
「私はジムトレーナーのチヨ!問題!さっきのトレーナーの名前はコト?ココ?」
「覚えてるわけないだろ、ココ!」
「不正解!」
不正解したらなんか知らんけど、俺のドラピオンのすばやさががくっと下がった。…だからどういうことだってばよ?
「私はジムトレーナーのタチ!私が毎朝食べているものはカレー?オムレツ?」
「どうせ流行のカレーだろ!」
「不正解!最近、チーズオムレツに目がなくて…」
「知るか!」
今度はドラピオンの防御と特防ががくっと下がった。いやまあ、一撃で倒してるから問題ないけど。…もしかしてジムリーダー戦もこんなのか?ただでさえテンションがだだ下がりなのだ、勘弁してほしい。
『本日のアラベスクスタジアム第一の挑戦者は、背番号064!もはや知らぬ者の方が少ないむしつかい、ラウラ選手!対するはジムリーダー、ポプラ!4VS4のシングルバトルです!』
三人のジムトレーナーに勝って辿り着いたスタジアムの中心。そこにはポプラさんが杖を突いて待っていた。
「今更だけど名乗るかね。ジムリーダーのポプラさ。クイズに答えたアンタのリアクションを見せてもらったよ」
「色々卑怯だと思います」
「まあ、元気がよくていいことさ。ここまでジムリーダーを倒してきたとは思えない覇気の無さだったからちょっと心配だったけど大丈夫そうでなによりだよ。昨日来たチャレンジャーはクイズに答えるたびに吐血して心配だったからねえ。最後の試練はあたし…相棒のポケモンにどんなふるまいをさせるのか、ちょいと見せておくれよ」
▽ジムリーダーの ポプラが 勝負を しかけてきた!
一度視線を向けてから放られたハイパーボールから繰り出されたのは、ガラル地方のマタドガス。どく・フェアリー…だったはずだ。
「頼むぞ、ドラピオン!」
対して俺が繰り出したのはドラピオン。ムツキに負けて、その憤りをぶつけるようにここまでジムトレーナーを一撃で沈めてきた。こいつならいけるはずだ。
「距離を取りながらようせいのかぜだよ」
「近づいてクロスポイズンだ!」
距離を取ろうとするマタドガスの懐に飛び込み、両腕の交差を叩き込むドラピオン。こうかばつぐんとまでは行かないが、今ので完全に体勢が崩れた。しかし浮遊する相手…昨日のフワライドを思い出し、追撃を躊躇してしまう。
「? ようせいのかぜだよ、マタドガス」
「しまっ…つじぎり!」
間一髪。マタドガスの攻撃が通る前に、ドラピオンは十字に斬り裂いて戦闘不能に追い込んだ。一息つくが、こちらに向いたドラピオンは明らかに怒っていた。集中しろと、そう言いたいのか。それができるなら、どれだけ楽か…連想してしまえば、すぐにあの光景を思い出す。足が竦む。だが今は試合中だ、流されるな、俺。
「次だよ、クチート」
「なら、マルヤクデ!」
「さあ余計なことを考えているところ悪いけど問題だ。あんた…あたしのあだ名、知ってるかい?」
「…魔法使い?」
「ブブー。残念だねえ」
次に出されたはがねタイプ…にフェアリーが追加されたクチートに気を取られていたところに問いかけられた問題に不正解。マルヤクデのすばやさががくっと下がってしまう。ついでにいかくされて攻撃力を下げられてしまった。こいつはきつい…!?
「まきつく!」
「避けてかみくだくだよ」
すばやさが下がっているマルヤクデは案の定あっさり避けられて、胴体を噛み砕かれてしまう。効果はいまいちとはいえ、防御まで下げられた。やばい、どうする…!?
「問題!あたしの好きな色は?」
「え?…ピンク?」
「人には求めるがあたしはそうじゃないよ」
「ふざけんな!?」
今度は防御と特防ががくっと下げられた。なんだ、なんなんだこのジムは!?
「終わらせようかねえ。ドレインキッスだよ」
「っ、そうだ!近づいてきたところをまきついてやれ!そのままおにびだ!」
咄嗟に思いついた機転。近づいてきたところに、その大きな後ろ顎と小さな胴体に巻き付いて拘束し、さらにおにびでやけどにするマルヤクデ。そうだ、こいつはこの戦い方でいいんだ。俺が、ムツキと同じように戦おうとしてたから失敗したんだ。
「そこだ、ほのおのうず!」
そうだ、あいつの言う通り蟲は弱いかもしれない。だけど、工夫次第で最強になれる!そうだろ、俺はそんな蟲ポケモンが好きだからここにいる!
「っ、中々やるね若いの」
「…よくやった、マルヤクデ」
黒こげになり倒れるクチートと、ドレインキッスをぼうぎょが三段階も下がった状態で受けて相打ちとなったマルヤクデをそれぞれボールに戻しながら俺達は向かい合う。勝負はここからだ。
「行くんだよ、トゲキッス」
そのポケモンが繰り出された瞬間、俺の頭は真っ白になった。そんな俺を心配してか頭上から飛び出したのは、バチュルだった。
皆のトラウマ、まひるみキッス
・ラウラ
完全にひこうタイプがトラウマになっている人。クイズは苦手。ごり押しというムツキと同じ戦法でジムトレーナーたちを蹴散らしていたが、ドラピオンの怒りの視線やマルヤクデの頑張りを見て一応戦い方は思い出したけどトゲキッスの登場でまた頭真っ白に。
・ムツキ
今回出番はないけどアラベスクジムではジム戦のクイズに答えるたび吐血していて心配されてる人。ちなみに全問正解。アラベスクタウンに入った昨日のうちに攻略してまた旅立った。
・ポプラ
フェアリータイプのジムリーダー。心配させてくるトレーナーが二日連続で押しかけてきて心労がひどいことになってる婆さん。ちなみにモコウには全問正解で上がりまくった能力でごり押しして勝利された。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。