今回は今季最強のチャレンジャー・ヤユイVSモコウ。楽しんでいただけると幸いです。
ガッツリ落ち込んでいるモコウさんからバッジを受け取り、出入り口に戻って行ったのでヨハルと二人して受付へ迎えに行く。
「あ、二人とも。どしたの怖い顔で」
「ジュリさん。やりすぎです」
「そうだよ。あれはひどい」
「酷いもなにも、あれがヌケニンの戦い方なんだよなあ」
全く悪びれず悪戯が成功した子供の様に笑うジュリさんに呆れる私とヨハル。それは理解してますが、あそこまではめなくても…上機嫌になっているのはいいことですが。
「次はヨハルだね。頑張れ」
「う、うん。――――すぐ終わらせてくるよ」
一瞬でヤユイに変わり、不敵に笑んで受付に向かうヨハル。相変わらずかっこいいなあ。思わず見惚れてしまう。そういえば、マリィさんと戦っているところを見る以来、ちゃんと最初からヤユイが戦うのを見るのは初めてだなと気付く。心配はしてないが、いつかセミファイナルトーナメントで戦う相手だ。どう戦うのかはちゃんと見ないとな。…でも、たしかじめんタイプを持ってなかったはずだけどどうやって戦うんだろう。
ジュリさんのせいか、それとも二連続で負けたせいか、本気で落ち込んでいたモコウさんが回復する間もなくヤユイがジムミッションを突破してから30分ほど待って。ようやく自信を取り戻したモコウさんが出てきて、ヤユイも並ぶ。ジムトレーナーが元気づけたのだろうか、お疲れ様だ。
『え、えー…ジムリーダーのメンタルが回復しましたので続きましてのチャレンジャーを紹介します。続きましての挑戦者は、背番号408!これまでの全てのジムで猛威を振るってきた、間違いなく今季最強のチャレンジャー、ヨハル選手!対するはジムリーダー、モコウ!4VS4のシングルバトルです!』
爆音の様な歓声が上がる。予想はしていたけどヨハル、じゃなくてヤユイ、今季最強のチャレンジャーと呼ばれているんだ。さすがの人気だ。私やジュリさんの時とは熱量が違う。
「ふん、最強か。チャレンジャー時代、最速最強を目指したどこぞの馬鹿を思い出す……お前には悪いが、ちょっとした鬱憤晴らしに付き合ってもらうぞ」
「友達二人のおかげで手持ちの構成と技構成は覚えた。私が強くなるための糧になってもらうよ、ジムリーダー!」
好戦的に笑い合う二人の対決が始まった。初手はパルスワンと、マニューラ。ほのおのキバを持つパルスワンが有利か?
「地を駆けろ、ほのおのキバ!」
「地面にれいとうパンチ!」
冷気を纏った拳を地面に叩き付け、まるで鏡の様な氷のスケートリンクの様なフィールドを作りだすマニューラ。パルスワンは足を取られて転倒し、そこにアイススケートの様に滑走するマニューラ。クルクル回転して速度を強め、その勢いのまま独楽の様に三連続でぶつかっていく。
「トリプルアクセル!」
アレは確か、ヨロイ島で覚えられる特殊な技の一つだ。以前見たマニューラの技はれいとうパンチ、かわらわり、メタルクローの三つ。アレは四つ目の技か。あくタイプの技を覚えさせてないのか。高速でスケートリンクを回転しながら滑走し何度もトリプルアクセルを放つマニューラにパルスワンはまともに立つこともできず防ぐこともできず手も足も出ない。強すぎません?
「パルスワン、落ち着け!踏ん張ってほのおのキバで迎え撃つんだ!」
「マニューラ、かわらわり!」
パルスワンがようやく安定して立った途端、トリプルアクセルを止めてピタッと止まり、凍り付いた足元にチョップを叩きつけるマニューラ。その瞬間、砕け散った氷の破片がパルスワンに襲いかかって怯ませ、滑走して接近するマニューラ。
「れいとうパンチ!」
すれ違いざまに強烈な一撃が胴体を捉え、殴り飛ばし戦闘不能にするマニューラ。無傷で初手を切り抜けてしまった。
「次だ、エレキブル!かみなりをばら撒いて氷を砕け!」
「交代、タチフサグマ!ほのおのパンチで溶かしながら近づいて!」
かみなりを放ってスケートリンクを破壊することで隙だらけなエレキブルに、炎を纏った拳をだらんと垂れ下げて氷を溶かしながら地を駆けるタチフサグマが肉薄、殴りつける。やけどを負ったようで苦しむエレキブル。私もジュリさんもエレキブルとは距離を取って戦っていたからわからなかったけど、あのエレキブル実は超接近戦が苦手なのか?
「かわらわりだ!」
「ブロッキング。ほのおのパンチ!」
チョップを腕を交差させて防いで弾き飛ばし、無防備な胴体に炎を纏った拳が炸裂。その巨体が後退する。
「ほのおのパンチとれいとうパンチ!」
「ブロッキング。クロスチョップ」
二属性の二連撃をもブロッキングで弾いて、カウンターに交差した手刀が叩き込まれる。完全にヤユイのペースだ。接近戦では敵わないと見たのか、エレキブルを後退させるモコウさん。
「距離を取ってかみなりだ!」
「逃がすな。つじぎり!」
しかし、かみなりを撃ちながら後退したエレキブルの猛攻を身を低くして避けてすれ違いざまに斬撃を叩き込み、エレキブルを戦闘不能にするタチフサグマが咆哮を上げる。前も思ったんですが、さすがに強すぎませんか。
「ぬしポケモンもメガシンカも使わない相手だが、使わざるを得ない実力か…ライボルト、メガシンカ!」
「交代、アマルルガ」
アマルルガが出された途端、あられが降り始め一気に冷え込み寒くなる。メガライボルトのいかくが発動するが、ヤユイのアマルルガはふぶきを使う遠距離メインだ。
「ライボルト、ワイルドボルトだ!」
「アマルルガ、じしん!」
前足を振り上げ、地面に叩きつけると大きな揺れが私達を襲う。覚えていた。打点となるじめん技。もはやネットでは語り口となっているキリエのじしんの様な無茶苦茶さはない、普通のじしん。それに足を止めて大ダメージを受けるメガライボルト。しかしタイプ不一致でいかくも入っているためか一撃で落とすには至らない。
「もう一度、じしん!」
「宙に逃げろ!」
宙に跳びじしんを避けるメガライボルト。隣でジュリさんが「それありなんだ…」と苦笑いしていた。割とポピュラーな避け方だと思うのだが。
「空中じゃ逃げ道はないよ!ふぶき!」
そこに、あられなため必中になっているふぶきが炸裂。氷漬けにして地面に叩きつけられると氷が砕け散り、ふらふらと立ち上がるメガライボルト。しかしアマルルガは容赦なく前足を振り上げていて。
「じしん」
「この我が…手も足も出ないだと…!?」
揺れが再び襲いかかり、満身創痍のメガライボルトは戦闘不能となり倒れてボールに戻って行きモコウさんが戦慄し、ストリンダーを繰り出す。いまだにヤユイの手持ちは全て無傷だ。これであとはヤユイはブラッキーであくびしてじっくり体力を削るだけで完勝だ。ジュリさんと似た様な戦法なので批判が来そうだが。
「キョダイマックスだ、ストリンダー!」
「交代、ブラッキー。あくび」
「むっ…!?」
「交代、アマルルガ。ダイマックス」
モコウさんがストリンダーをキョダイマックスさせたのを確認してから、ブラッキーを出してあくびさせるとすぐ戻してアマルルガを繰り出しダイマックスさせるヤユイ。一度交代したから下がった攻撃力も戻っている。キョダイ化したまま眠りにつくストリンダーと、怪獣の如き迫力と化したアマルルガが対峙する。ジュリさんが悪魔なら、ヤユイは鬼である。
「起きろ、ストリンダー!」
「キョダイマックスだからダイサンダーも撃てないよね?エレキフィールド展開されたらこれはできなかった。ダイアースでとどめ!」
そして四倍ダメージのダイアースが炸裂、眠りについたまま大爆発して縮んでいくストリンダー。完勝したヤユイはヨハルに戻ると、また随分と落ち込んだ様子のモコウさんとおずおずと握手を交わし、バッジを受け取って一礼して出入り口に去って行った。……これで六つ連続のジムを完勝したことになるのか。ヤユイ、強いなあ。
犯罪者と悪魔と二重人格な鬼とかいうやべー三人娘。
・ダフネ
ヤユイの底知れない強さに戦慄した主人公。なんで前に勝てたんだ?と真面目に考えている。モコウが哀れ。
・ジュリ
じしんって跳んで避けれるんだ…と別の意味で戦慄してた転移者。ずっと上機嫌。
・ヨハル/ヤユイ
今のところ全てのジムで完勝しているかつてのユウリを思い出す今季最強のチャレンジャー。チャンピオン推薦は伊達じゃなく、普通に強い。強くなるためにヨロイ島にも赴いていた。
・モコウ
三連続で敗北してちょっと自信を失ってるジムリーダー。このあとにサタリアも再戦して来て、大衆の面前で泣いた。メンタルが崩れるとジムトレーナー総がかりでヨイショして回復させるぐらいに愛されている。
・マニューラ♀
とくせい:プレッシャー
わざ:トリプルアクセル
かわらわり
メタルクロー
れいとうパンチ
もちもの:するどいつめ
備考:きまぐれやな性格。よく物を散らかす。ヤユイの先鋒。凍らせて高速で滑走し敵を翻弄する他、格闘戦が得意。
・タチフサグマ♂
とくせい:こんじょう
わざ:ブロッキング
つじぎり
クロスチョップ
ほのおのパンチ
もちもの:かえんだま
備考:わんぱくな性格。暴れることが好き。的確にブロッキングで敵の攻撃を弾いて高火力の物理技を叩き込むタンク兼アタッカー。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
掲示板回は
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これまで通り作者の采配で
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短い頻度で(ジム戦一つぐらい?)
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長い頻度で(ジム戦三つぐらい?)
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もういらない