今回はVSビート戦。楽しんでいただけると幸いです。
地味にオニオンさんと別れた後ルミナスメイズの森で迷って一日かけてようやくたどり着いたアラベスクタウンの明かりに安堵する私達。時間的には朝の12時か。昼食時だ、どこかで何か食べたいところだ。一個でもキノコを見逃すと本当に道が分からなくなったので困った困った。
「ようやくつきましたねアラベスクタウン…ヨハル、大丈夫ですか?」
「なんとか…ベロバーにスカート引っ張られまくった時はどうしようかと…」
「なんでヨハルばっかり狙われたんだろうね…ヤユイが怒り狂ってベロバーを蹴り飛ばした時はどうしたものかと」
そうなのだ。何故か闇夜に紛れてヨハルばっかり狙われてイタズラされまくるという珍事が起きて一悶着が起きた。それはもうヤユイが怒り狂ってベロバーを蹴り飛ばした挙句に「試運転だ!」とガラガラで周りのポケモンを一匹残らず戦闘不能にしようとしたのを、森が燃えそうだったのでジュリさんと二人で必死に止めたのだ。ドッと疲れた(迫真)
「じゃあ私は用事があるからここで。14時ぐらいにジム前で集合でいい?」
「え、ジュリさん一緒に昼食いただかないんですか?」
「私はほら、これ渡さないといけないから」
そう言ってジュリさんが鞄から取り出したのは古びた手紙。そうだ、ヨハルと出会ったきっかけの幽霊の手紙。アラベスクタウンに運ぶというのをすっかり忘れてた。
「えっと…付き合いますよ?」
「いや、三人でぞろぞろ尋ねるのも迷惑かなって。私はフレンドリーショップで何か軽食買って食べるから、二人は遠慮なくどこかで食べてきなよ」
「どこかわかってるの?」
「名前はわかってるから、まあ交番にでも聞いて捜すよ(ある程度場所は分かってるし、とは言えないよね)」
「一応気を付けてくださいね!」
後ろ手を振って去って行くジュリさんに一声呼びかけ、私はヨハルと共にどこか食事をできる場所を探して歩くことにした。
二時間後。どこかしんみりした顔のジュリさんと合流した私達はジュリさんに何を尋ねることもなく、ジムを目指す。二年前に前ジムリーダーのポプラさんからジムリーダーを継いで以降、万年二位の座を保守しているエリートを名乗る少年、ビートさんがジムリーダーをしているジムだ。正直フェアリータイプは苦手にも程があるが、何とか勝って、強くならねば…!
「さて、今回は誰から行く?」
「今回は初見だから最初の人は何も情報なくてだいぶ不利になりますからね…」
「私は最後がいいかな。ヤユイが作戦立てれるようにしないとだから…」
「で、では私が…」
「いや。今回は私が一番手で行くよ」
受付の前で三人で話し合い埒が明かなそうだったので私が進み出ようとすると、それを制して満面の笑みを浮かべたジュリさんが前に出た。
「フェアリー使いでしょ?どくタイプがあるゲンガーが入ったうちのメンバーなら勝負になるはずだよ」
「え、でも…いいんですか?」
「初見だったムツキとモコウと違ってビートが戦ってる姿は見たことあるし、あとちょっとしんみりした空気から吹っ切れたいからね」
そう笑うジュリさんを尊重し、今回はジュリさん→私→ヤユイということになった。正直助かりますが、大丈夫だろうか?
今回のジムはどうやらジムミッションは未公開らしく、そんなに時間をかけずにジュリさんが出てきた。若干疲れているように見えるのは気のせいじゃなさそうだ。どんなジムミッションだったんだろう?
「ようこそいらっしゃいました。あれを全問正解とは、さすがは同じ顔だと言うべきでしょうか」
「いやまあ、少し前まで一緒に住んでたもんで……」
「さて、お遊びはここまでです。エリートである僕が魅せるピンクのショータイム、見せてやりましょうとも!」
ジュリさんが初手に繰り出したのはゴビット。ビートさんが繰り出したのはクチート。相性的にはジュリさんが有利だ。
「僕はエリートですので!有力なチャレンジャーの情報は入手済み!貴方がゴーストタイプ使いだというのも把握済み!故に洗礼を浴びせましょう、かみくだく!」
「その場でばくれつパンチ!」
ゴビットの振りかぶった拳を、紙一重で立ち止まり回避。空ぶってグラついたゴビットのボディにその巨大な顎を開いて噛み付くクチート。しかし不敵に笑むジュリさん。ここまではいつも通りのペースだ。
「じだんだ!」
「クチート!顎を軸に自らを持ち上げなさい!」
「なっ!?」
ゴビット必殺のじだんだを、その小柄な体を顎の力のみで持ち上げて地響きを回避するクチートに目を丸くするジュリさん。そんな躱し方が…!?
「貴方の得意戦法はしかと勉強させてもらいました。定石で勝てると思わない事です」
「振りほどいて!」
「無駄ですよ!かみくだいていますからね!」
身を震わせて引き剥がそうとするゴビットだが、噛み砕いたことで歯が突き刺さったクチートは全く離れず、振り回されながらキシシと可愛く笑う。体勢を変えて地面に押し付けようとしても、器用に体を上方に移動させて地に触れることさえ叶わない。
「なら、零距離なのを呪え!ばくれつパンチ!」
「あなたたちの実力……今のでほぼほぼ理解しましたよ。うそなき!からのじゃれつくです!」
くっ付いているから必中である拳を炸裂させようとするゴビットだが、涙を見せるクチートに一瞬止まってしまい、そこにボコスカ短い両手で殴られてしまった。それでもばくれつパンチを振るうゴビットだが、やはり器用に体をずらされて避けられる。得意な接近戦のはずなのに追い詰められてるなんて…!?
「それと、ご存知でしょうか?クチートはこう見えて怪力なのだと!」
「っ…ゴビット!右後方からシャドーパンチ!」
クチートの死角から幻影の拳を飛ばして殴りつけるが、クチートは物ともせず着地したかと思うとそのままゴビットを咥えたまま顎を持ち上げ、手足をジタバタさせて為すがままのゴビットを空中に投げ飛ばした。あの重量のゴビットを空中に投げるなんてなんて怪力なのだろうか。
「くっそ、いかくで攻撃力が下がってシャドーパンチが効かなかったのか…!しかもクチートより
「反省は後からした方がよろしいですよ?とどめです、アイアンヘッド」
そして落ちてきたところに硬質化した顎を振り抜いて一撃。落下の勢いも伴い大ダメージを受けたゴビットはそのまま崩れ落ちた。あのゴビットが一方的に……あれ、なんか違和感。ジュリさんがなにもせずに倒されるなんて、おかしくないか?
「おつかれゴビット。こんなに早く出す予定じゃなかったけどしょうがないか…行くよ、ゲンガー!」
恐らく本当ならダダリンを出したいのだろうがクチートがはがねタイプだから出せないのだろう。あと一匹は分からないが、ヌケニンなんかはビートさんの言い分からばれていそうだから、新メンバーのゲンガーでかき乱そうってことだろうか。そして隠すことなく右手首に装着しているメガリングに手をかざすジュリさん。
「情報にないポケモン…そしてそのリングは…?なるほど、そう来ましたか」
「
そしてX字に交差する様に大きく腕を動かして笑顔で両手を広げる謎のポーズを決めると、ゲンガーをメガゲンガーに変身させて構えた。いつもよりご機嫌ですねジュリさん。
「…今の、アローラ地方のZワザのポーズじゃないです?」
「あ、さすが博識だね。でもこれが試運転なんだ。ひとっ走り付き合えよってね!距離を取りながらシャドーボール!」
「クチート、アイアンヘッドで蹴散らしながら近づいてかみくだくです!」
指示に従って素早い動きで距離を取り、シャドーボールを乱射するメガゲンガーと、硬質化した顎で弾きながら接近するクチート。見る見るその距離を縮め、その顎でかみくだかんと迫るが、その瞬間胸を押さえて動きが止まってしまう。
「なっ…!?」
「のろいがようやく効いてきた!零距離からシャドーボール!」
そしてシャドーボールを纏った拳を顔面から受けて崩れ落ちるクチート。…さっきの「鈍い」か!あれで指示していたのか、なんて悪知恵か。
「フフッ、フフフッ、クチートで全員叩き潰そうという僕の目論見を潰すとはやりますね…ではこちらも、相応の力でお相手しましょう。サーナイト」
不敵に笑いながらビートさんが次に繰り出したのはサーナイト。だがしかし、それだけでなくその右手にはキーストーンが埋め込まれたバングル…メガバングルが装着されていて。右手を前方に掲げるとキーストーンの輝きがサーナイトの右拳の中から溢れる光と繋がり、紫色の光の膜に包まれて砕け散ると、そこには美しく変貌したメガサーナイトが立っていた。
「メガシンカ。偉大なるピンクをお見せしましょう」
いや、未だにピンクは出てなくね?とツッコんだのは私だけではない筈だ。
VSサーナイト(顔出し)
・ダフネ
今回は一番手じゃない主人公。今回はさすがに勝てる気がしない。
・ジュリ
幽霊の手紙を届け終えて肩の荷が下りた転移者。仮面ライダーネタが好きで根っからのゴーストタイプマニア。ゴーストのZワザが好き。さらっとのろいを指示する悪知恵は一丁前。
・ヨハル/ヤユイ
いつも作戦立てるために誰かの試合を見ることに徹している二重人格。何故か知らないけど真夜中のフェアリーポケモンからのセクハラ悪戯に遭ってヤユイが激怒して森を燃やすところだった。何故かと言うと元ネタのせい。
・ビート
なぜかジムミッションでジュリにげんなりされたジムリーダー。エリートなので有力チャレンジャーの情報は欠かさず手に入れて対策している。クチートだけでジュリを突破する予定だった。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。