受付に戻ると、笑顔のジュリさんとヨハルが待っていて。掲げられた手に、ハイタッチで応える。
「おつかれさま。ダフネ」
「次は私達の番だね。ありがとう、おかげで何とかなりそうだってヤユイが」
「それはよかった。奮闘した甲斐がありました」
グッと握り拳を作って頷くヨハルに笑顔で返す。するとニヤニヤ笑みを浮かべているジュリさんに首を傾げる。どうしたのだろうか。
「聞いてたよ、共犯者だとか犯行声明だとか。かっこいいね」
「い、勢いで言ったので忘れていただけると…」
「いい表現だと思うよ。だからさ、私にも片棒を担がせてよ」
「うん、私もそう思う。私達も、共犯者だよ」
からかっていると思いきや真剣に言ってきたジュリさんと、覚悟を決めた顔で頷くヨハルに、何とも言えない気持ちになる。するとヨハルはヤユイに変わり、不敵に笑んで背を見せると受付に向かっていく。
「共犯だからね。二人に負けてられないな。私なりの犯行声明、見せてやる」
ヤユイは本当に男勝りでかっこいいなあ。…あのクイズでげんなりしないといいけど。
「巷で噂の三人娘最後の一人のご登場ですか。先の二人には後れを取りましたが、貴方の手持ちで我がクチートに勝つことは不可能。今までのジム全てで完勝している様ですが、無敗伝説もそこまでです」
「ダフネに一度負けたからもう無敗じゃないけど。ちょっとイラついてるから一匹だけでスカッと倒させてもらうよ!」
ピクピクとこめかみをひくつかせるヤユイの繰り出したのは、新たな手持ちのガラガラ(アローラのすがた)。オニオンさんが知り合いからもらったものをもらった、ややこしい出自のポケモンである。ちなみにタイプは往来のじめんと異なり、ほのおとゴーストだとか。……あ。
「あのパーティーでどう挑むのかと思ってたらそういうことですか…」
「うん。私もゲンガーとメガリングもらったけど、一番助かったのはヤユイなんじゃないかな」
察してしまった私達は同情的な視線をビートさんに送る。一日かけて色々教え込んでいたのを横目で見ていたのだ。ジムリーダーが使うポテンシャルのポケモンを、努力する天才が使うとどうなるか。一目瞭然だ。
「情報にないポケモン…それもただのガラガラじゃありませんね…?」
「タイプもわざもメガシンカも全て閲覧した…私の共犯者はいい仕事をしたよ」
「ギャロップ!先手必勝です!ふみつけからの…」
「ほねブーメラン!」
繰り出されたギャロップが粉塵を展開するのに対し、手にした骨を高速回転。投擲して攻撃するガラガラ。ギャロップのあの戦法の弱点はふみつける動作をしているがために、姿が隠れてすぐは移動できない事だ。結果、高速回転しながら飛来した骨がギャロップの顔面に炸裂、大きく怯ませたところに骨をキャッチしながら突撃するガラガラ。
「シャドーボーン!」
手にした骨をまるでバトンの様に高速回転させ、骨を額に当てて勢いよく擦ることで先端に青緑色の炎を灯して霊気と思われる紫色のオーラを纏わせて突撃、強烈な一撃を叩き込む。効果抜群のそれに体勢が崩れたギャロップに、炎を消した骨による打撃が連続で叩き込まれていく。
「ボーンラッシュからの……シャドーボーン!」
五度目の打撃で大きく揺らいだところに振りかぶった骨に霊気を纏わせてフルスイングで叩き付け、ギャロップを打ち飛ばして戦闘不能にするガラガラ。圧倒的な実力に静まり返る観客席。ガラルでは見慣れないポケモンということもあるのだろうが、武さえも感じさせるその動きに見惚れているらしい。気持ちは分かる。
「なんという…なんでじめんタイプのわざを二つも覚えておいてラテラルで使わなかったのは謎ですが…」
「単純に、その時は持ってなかったから。早く次のポケモンを出して、ジムリーダー」
「言われずとも!サーナイト!」
次はサーナイト。みらいよちでごり押すつもりだろうか。しかしあの火力は異常だ。何か秘密でもあるのだろうか。
「五回連続でみらいよち!からの、翻弄しつつマジカルシャインです!」
「あの言い方からして攻撃はすぐ来る。ボーンラッシュで迎撃して、シャドーボーン!」
虚空から現れたみらいよちによる攻撃を、まるで舞踏の如く華麗に骨を振り回して舞い踊り、防いでいくガラガラ。タイミングをずらして放たれていた最後の攻撃すら優雅に防ぎ、そのまま額に擦りつけて炎を灯し、マジカルシャインを一刀両断するかの如く拡散させて唐竹割り。脳天に一撃もらったサーナイトは目を回し、倒れ伏す。あんなに苦戦したサーナイトをこうも簡単に…!すると腕組みしながら観ていたジュリさんが口を開いた。
「アローラガラガラはゴーストタイプの中でもダダリンに並ぶ物理の火力を持つポケモンなんだよね。特に専用の持ち物がその火力を助長させている」
「もしかして…ふといホネ、ですか?」
「大当たり。ヤユイ曰くヨロイ島に行ったときに、なんでも落ちてるものをコレクションする癖があるヨハルが拾ってたんだって。私も使いたかったなあ」
「あんな正統派に強いポケモン、ジュリさんとは合わないと思いますが」
「それは確かに」
そんなことを言ってるとクチートをメガシンカさせ突撃させるビートさん。両の大顎二つを開いて確実に噛み砕かんと迫るメガクチートに対し、骨を回転させて踊りながら待ち構えるガラガラの姿からは余裕すら感じられた。
「二つ同時に、かみくだく!」
「骨でつっかえ棒にして、フレアドライブ!」
ガバッと開いた右の大顎に骨を差し込み、つっかえ棒代わりにメガクチートの大顎を開かせたまま後退してもう片方の大顎を空ぶらせると、グルンと頭部を振り回し紅蓮の業火に包まれると突撃、メガクチートを吹き飛ばすガラガラ。
「フレアドライブ!確かに弱点タイプではありますがそう連射はできない大技…!?」
「もう一度、フレアドライブ!さらにもう一度!さらにさらにぶっ放せ!」
かなりの反動が発生することなど知ったことかと言わんばかりに、突き飛ばした側からまた業火を纏い突撃。何度も何度もメガクチートに体当たりして何度も打ち上げる一方的な光景が繰り広げられる。メガクチートも大顎を盾に防いではいるものの確実にダメージが溜まって行く。これは…!?
「なぜ、なぜそんなにフレアドライブを使えるのですか…!?」
「共犯者の一人がポケモンに妙に詳しくてさ。この子の強みを教えてもらったんだ。特性、いしあたま。反動無しでフレアドライブを撃てる。さらにふといホネで攻撃力二倍。さすがのクチートでも耐えられない、よね?骨を手にして後退、ほねブーメラン!」
「アイアンヘッドで弾きなさい!」
フレアドライブをしながら骨を回収して遠く離れた所から骨を投擲し、硬質化した大顎で弾こうとしていたメガクチートの顎に炸裂して転倒させ、戦闘不能にするガラガラ。さらに間髪入れずボールに戻してダイマックスを発動するヤユイに対し、戦意を削がれながらも同じくキョダイマックスするビートさん。
「ガラガラに効果抜群の技がないことは分かってるもんね!ガラガラ、ダイホロウ!」
「負けるなブリムオン、ピンクの底力を見せなさい!キョダイテンバツ!」
ガラガラは骨を高速回転させて家具の幻影を展開、キョダイテンバツを避ける様にして横を飛び、キョダイブリムオンに叩きつけられる家具の幻影。効果は抜群だ。大爆発して縮んでいくブリムオン。圧倒的な試合に、大歓声がスタジアムを木霊した。
ダンスは最強。特にサンバはいいぞ。
・ダフネ
ガラガラの強さに驚くしかなかった主人公。ほのおタイプと言う天敵であるが故に嫌な予感しかしない。二人から共犯者だと言ってもらえて嬉しい。
・ジュリ
共犯者その一。ヤユイからの頼みでアローラガラガラについて知っていることを全部教えた。
・ヨハル/ヤユイ
共犯者その二。ジュリの知識を最大限に活用し、一日でガラガラのことを理解し4タテに成功。トップジムチャレンジャーの実力を観客に見せつけた。ヨハルはなんでも落ちてるものをコレクションする癖がある。
・ガラガラ(アローラのすがた)♂
とくせい:いしあたま
わざ:シャドーボーン
ボーンラッシュ
ほねブーメラン
フレアドライブ
もちもの:ふといホネ
備考:れいせいな性格。暴れることが好き。自身の踊りに絶対的な自信を持つ自信家。アセロラからオニオンに渡り、オニオンからヨハルに渡った。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。