今回はラウラVSグレイ。まさかのいきなり頂上決戦となります。楽しんでいただけると幸いです。
「ご同輩、だと?」
ダークトリニティを倒したところに現れた、プラズマ団の首魁グレイを名乗る謎の男の言葉を反芻する。エンジンシティの友人にこんなやつはいないし、ジムリーダーでもないし、俺の時代のジムチャレンジャーでもこんな目立つ奴がいたら覚えているし…なんのことだ?
「お前のことなんて知らんぞ。何者だ」
「こういえば察しが付くと思ったが…存外、頭が悪いようだな」
「なんだと。確かに俺は馬鹿だが知らない奴から馬鹿呼ばわりされる謂れはないぞ」
「ふむ…」
グレイは考え込むような仕草を取ると、何かを思いついたように顔を輝かせて口を開いた。
「赤緑青ピカチュウ」
「なんのことだ?」
意味不明の言葉を羅列してきたグレイに首を傾げるが、グレイは構わず続けた。
「金に銀にクリスタル。
ルビーサファイア、エメラルド。
ダイヤモンド、パール、プラチナ。
ブラックホワイトにブラック2、ホワイト2。
XY。
サンムーンにウルトラサン、ウルトラムーン。
そして、ソードシールド」
「っ…!?」
そこまで羅列したら馬鹿でもわかる。それは、ポケモンシリーズのタイトル名。なんで、この世界の人間がそれを……そこまで考えた時、こいつの正体が分かった。そうか、こいつは俺の同類か。
「……良いリアクションありがとう。これで君が私と同じ転生者だと確信できた」
「転生者…お前もか!」
「いかにも。君と同じ、神に選ばれ特典を手にこの地に転生した人間だ」
「…俺は死んで気付いたらこの地にいただけで神なんかの手で転生したわけじゃないぞ」
「なに?」
事実を述べると押し黙るグレイ。…なんだ、転生特典やらについて話し合いたかったのか?残念ながら俺は前世知識だけで頑張ってるから正直お前が憎いぞ。と、冗談はこれまでにしておいて。
「馬鹿な、転生特典なしであの成績を収めただと…?」
「その転生者がなんでプラズマ団の首魁なんかやってるんだ。転生特典とやらを使ってチャンピオンなり目指せばいいじゃないか。簡単だろう?」
「ふっ、なろうとしてもなれなかった者もいるんだよ……確認だ。我々はこの世界の全てを知っている。全ての地方の、全てのポケモンの事を。それが転生した我々の特権だ」
「全ての地方については外伝作品を見てないから知らんが、それで?」
BW以降のことについては知らないことは黙っとこう……
「なれば知識と権力、そして強さがあれば我々はこの世界全てを支配できる。そうだろう?チャンピオンなんて目ではない。だから仲間にならないか?我々が手を組めば最強だ!」
「悪いがチャンピオンは俺の彼女だ馬鹿野郎」
一蹴してフェローチェ、マッシブーン、ゲノセクトと共に構える。頭の悪い提案しやがって。伝説ポケモンを持つダークトリニティを嗾けて俺の強さを再確認した上での勧誘か。こっちをなめてやがるな。するとやれやれとこちらを子供扱いする笑みを見せるとローブからマスターボールを手にした右手を出すグレイ。やる気か?受けて立つぞ。
「交渉決裂か。しょうがない、ならば力づくで従えさせるとしよう。ダークトリニティの様に!」
「っ…フェローチェ!気にするな、奴目掛けてとびひざげり!」
俺の指示を受け、フェローチェがとびひざげりを叩き込む。ポケモンでトレーナーに直接攻撃は犯罪だが、なにかされたら厄介だ。どうやって洗脳したかもわかってないからな!すると、目にも留まらぬスピードのフェローチェの一撃を、宙返りで避けてしまうグレイ。なんて身体能力だ…!?
「私の特典をお教えしよう。我が特典は三つ。スーパーマサラ人に匹敵する身体能力。アクロマに匹敵する頭脳。そしてマスターボール6つだ。ちなみに容姿は私のイメージ通りにサービスしてもらったから実質四つだな」
「そりゃ羨ましい限りだな。こちとら前世知識とこの身一つで頑張ってんだよ。さっさとポケモン出しやがれ!とびかかる!」
公園の顔出し看板の上にバランスよく飛び乗ったグレイにとびかかるフェローチェだが、やはり宙返りで避けられてマスターボールが投げられる。現れたのは、まさかのレシラムだった。
「なに…!?」
「クロスフレイム!」
慌てて変形したゲノセクトに飛び乗り、フェローチェとマッシブーンをボールに戻して放たれる青い業火から空に逃げる俺達。なんて爆炎だ。グレイもレシラムの姿も見えなくなって…!?
「クロスサンダー」
「ゼクロムだと!?」
特殊な素材なのか、レシラムの炎に晒されてるのに平然な顔で佇むグレイの指示で、レシラムの代わりにその場に現れたゼクロムの雷撃を高速で飛び回って避ける。あまりにも苛烈な攻撃で、攻撃に転じられない…!
「ガリョウテンセイ」
「なんだと!?」
すると目を離していた隙に交代していたのか、メガレックウザの一撃が飛来。慌てて避けるがグルグルと吹き飛ばされる。なんだ、一体何体の伝説ポケモンを持っているんだ奴は!?
「アルセウス。さばきのつぶて」
吹き飛ばされながら目にしたのは、グレイの側に控えるアルセウスが空に向けて解き放つ光弾の雨。公園中に降り注ぎ、爆炎の余波を受ける。その時、おかしなことに気付いた。…熱く、ない?あの規模の攻撃で、何も感じないなんてこと、あるか?とあることに気付いて公園近辺を空から眺める。どこも傷一つ、焦げてすらいなかった。そういうことか。
「次だ。ネクロズマ。プリズムレーザー」
次に繰り出されていたのは、ネクロズマと言うらしい俺も知らない全身が光り輝くドラゴンの様なポケモン。繰り出されるのは大規模・極大のレーザーの雨。あんなものに晒されたら命はないとは思うが、とある仮説を思いついた俺はゲノセクトに指示して、真正面から突っ込んだ。
「むっ?フォトンゲイザー!」
「もうカラクリは見えてるんだよ!ゾロアーク!」
また光線を繰り出してくるが、ダメージはないので意を介さない。ゾロアーク。幻影の覇者と呼ばれるポケモンで、どんなポケモンにも化けることができるポケモン。だがその能力は幻影でしかない。マスターボールを六つも持っていると俺に明示して、伝説ポケモンを本当に持っていると見せかけてた。卑怯な奴だ。だが分かってしまえば恐れるに足らず!
「ゲノセクト、ニトロチャージ!」
「ばれてしまったのならしょうがない。ゾロアーク、あくのはどう!」
飛び降りながらゲノセクトに指示すると、グレイの指示で本性を曝け出したゾロアークのあくのはどうが炎を纏ったゲノセクトとぶつかり、大爆発。俺はフェローチェとマッシブーンを繰り出して駆けつける。爆炎が晴れると、そこにはゲノセクトを踏み潰している、ゾロアークが化けたと思われるキュレムと、平然としているグレイがにやにや笑って立っていた。
「ここで終わらせる!よくもガラルを混乱に陥れてくれたなあ!」
「キュレム。こごえるせかい」
「そんな幻影、通じるかよ…!?」
その瞬間。俺は、フェローチェとマッシブーンは、共に氷像となってその場に縫い付けられた。ご丁寧に俺だけ頭部以外を氷漬けにされるという、あまりにも繊細な技術で屈辱的なことまでしてくれやがった。悔しがる俺に近づきながら見下すような笑みを見せるグレイに、ギリギリと睨み付ける事しか出来ない。
「くっそ……キュレムだけは、本物か……」
「あえて偽物を見せることで精神的に油断させる。真っ向から挑んでも勝てますが、セミファイナルトーナメント二位まで上り詰めた貴方に対しては念には念を入れないとな。二年前は純粋に貴方のファンだった。蟲ポケモンだけであそこにまで上り詰めた貴方を、テレビや掲示板で見守っていたものだ。ああ、懐かしき…我が暗黒時代」
「そうか……変だと思ったんだ。ユウリに見せられた、あの掲示板…この世界の人間なら絶対に知らない筈の、キョダイデンチュラによく似たアトラク=ナクアの名前を書いたのは……お前だな」
「いかにも。アレには驚いた。あれこそが貴方の特典だと思ってましたがどうやら違うらしい。では、私の配下として活躍してもらうぞ。このアクロママシーン改でね」
そう言って取り出したのはなにかの機械。コードを引っ張り、先端を俺に近づけてくる。それでダークトリニティを洗脳したのか…くそっ、無念だ。ユウリ………すまん。
転生者としての素性を明かしたグレイの手によりラウラ陥落。最強の敵として立ちはだかる…?
・ラウラ
グレイの勧誘を蹴り一人戦いを挑んだジムリーダー。普通に輪廻転生した転生者。ゾロアークの幻影を見破ったまではよかったが、騙されて敗北してしまう。
・グレイ
プラズマ団の首魁。その正体は「神様転生」による転生者。三つの特典と共に転生した。整った容姿も声もそのため。チャンピオンになろうとしてもなれなかったと語り、ラウラに手を組むよう持ちかける。二年前までは掲示板でラウラを応援していたファンであり、「掲示板2」にてうっかりアトラク=ナクアについて言及した張本人。アクロママシーン改という機械でダークトリニティを洗脳した。現在判明している手持ちは色違いメタグロス、ゾロアーク、キュレム(BW2と同じ個体)。スーパーマサラ人の身体能力とアクロマ並みの頭脳とマスターボール六つを有する最凶ともいえる存在。その目的は…?
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。